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Archive for December, 2007

コンタクトレンズ診療所 / 検査料改訂

Posted by guideboard on 2007/12/16/Sun

不正を取り締まることができず、金の流れを締めるという政策だが、不正を不正として取り締まるのが本筋であり、検査料を減らしても、不正を働く者は不正の技を編み出すだけだ。

頻回の立ち入り調査、監査で名義貸し、不要検査や過剰請求等を一掃する、という正攻法が何故とれないのか。今回の全国一斉監査は約 100 軒。氷山の一角でしかない。

前回の引き下げ改定で、最も影響を受けたのは小規模診療所でコンタクトレンズも扱っていた良心的な一般眼科開業医だった。多くの小規模眼科診療所でコンタクトレンズ扱いをあきらめさせられた。

一般眼科診療所でコンタクトレンズの扱いを続けられたのは、建物敷地の余裕があったり、設備投資の余裕があったり、患者数が多く経営規模が大きいところだけだった。

コンタクトレンズだけに限って言えば、一般眼科診療所より、コンタクトレンズ診療所の方が、不正も駆使し、有利に闘える。一般眼科診療所は、ますますコンタクトレンズの扱いを手放し、まともにコンタクトレンズを求めようと思っても、なかなか眼科専門医によるコンタクトレンズ処方までたどり着けない事態になる。

1 – 2 年後には、健全な通常の眼科診療所が、さらにコンタクトレンズの処方を止め、不正を働くコンタクトレンズ診療所は減らないという結果になる恐れが高い。

前記事

コンタクトレンズ診療所 / 不正の温床からアンダーグラウンドへ

以下、参照記事


コンタクトレンズ検査、不正請求防止へ基準厳格化
asahi.com 2007.12.12

コンタクトレンズ(CL)の購入希望者を主に検査する眼科診療所で、診療報酬の水増し請求が相次いでいることを受け、厚生労働省は12日、中央社会保険医療協議会(中医協)に、CLの検査料の報酬に格差をつける施設の基準を現行よりも厳しくするなど、不正防止のための診療報酬の改定案を示した。大筋了承され、来年4月から実施される。

厚労省は06年度に、CLの患者が7割以上を占める診療所を「CL専門の診療所」とみなして一般の眼科と区別。支払うCL検査料を一般の診療所の約半分とする改定をした。厚労省が昨年末からCL診療所を調査した結果、CLの患者を一般の眼科患者と偽り、診療報酬を水増し請求するなど不正をしていた診療所が60カ所以上あることがわかった。

このため、改定案ではCL専門診療所とみなす際のCL患者の割合を、現行から「3割以上」に引き下げ、病名を偽った水増し請求を実質的にできないようにした。

また、再診の患者を「初診」と偽った水増し請求も多発しているため、現行では約3倍以上の価格差がある初診時と再診時の検査料を一本化する。

———-

コンタクト検査、診療報酬を見直し
CB ニュース 2007.12.12

「診療報酬で稼いでコンタクトレンズを安く売るようなことは許しがたい」――。コンタクトレンズ販売店に併設された眼科診療所などで診療報酬の不正請求が横行しているため厚生労働省は12月12日、コンタクトレンズ検査料を2008年度の診療報酬改定で見直す方針を中央社会保険医療協議会(中医協)基本問題小委員会(会長=土田武史・早稲田大商学部教授)に提示した。診療側の委員などから「善良な眼科医が迷惑するので、診療報酬以外の対応も考えるべき」との意見も出たが、大筋で了承された。

現在、コンタクトレンズの検査をした診療所が受け取る診療報酬(コンタクト検査料)は、コンタクトを初めて使用する人(初回装用者)に対する検査の点数が高く設定されており(387点)、既に使用している人(既装用者)に対する検査の点数は112点になっている(検査料1)。

また、外来患者の70%以上をコンタクト検査の患者が占めると検査料の点数が半分に引き下げられ、初回装用者193点、既装用者56点となる(検査料2)。

2 現行の診療報酬上の評価
初回装用者 既装用者
コンタクトレンズ検査料 1 387 点 112 点
コンタクトレンズ検査料 2 193 点 56 点

厚労省が示した見直し案は、検査料1について初回装用者と既装用者の区別をなくして点数を一本化するほか、検査の点数が半分にならない「検査料1の施設基準」を厳格化。コンタクト検査の患者が「70%未満」という要件を「30%未満」とする。

この見直し案によると、コンタクト検査料の点数が一般眼科の半分に引き下げられる診療所の範囲が広がることが予想されるため、全体的に診療報酬が引き下げられることになる。

このほか、検査料1と検査料2に共通の要件として、コンタクト検査を受けた患者が支払う費用について説明する院内ポスターなどの掲示や、受診費用を患者に説明することを新たに求める。

2 コンタクトレンズ検査料 1 の施設基準

次のいずれかに該当していること。

イ コンタクトレンズに係る診療を行う診療科において、初診料、再診料又は外来診療料を算定した患者のうち、コンタクトレンズに係る検査 ( コンタクトレンズ処方のための眼科的検査及びコンタクトレンズの既装用者に対する眼科的検査 ) を実施した患者の割合が 30% 未満であること。

ロ 眼科診療を専ら担当する常勤の医師 ( 専ら眼科診療を担当した経験を 10 年以上有するものに限る。) が 1 名以上勤務する保険医療機関においては、コンタクトレンズに係る診療を行う診療科において、初診料、再診料又は外来診療料を算定した患者のうち、コンタクトレンズに係る検査 ( コンタクトレンズ処方のための眼科的検査及びコンタクトレンズの既装用者に対する眼科的検査 ) を実施した患者の割合が 40% 未満であること。

この日、厚労省はコンタクトレンズの不適切な診療報酬の事例を報告。今年1月から3月にかけて実施した個別指導で判明した不正事例をまとめた報告書によると、「医師の資格がない者が検査を行っていた」という医師法違反の事例や、「継続的な診療中であるのに来院の都度、初診として扱い(高い)初診料を算定していた」という事例、70%未満の要件をクリアするために虚偽の病名を付けるという悪質な事例などがあった。

厚労省保険局の阿部重一医療指導監査室長は「不正請求をしている医療機関に対しては指導から監査に切り替えて厳正に対処する。健康保険法以外の法令順守に疑義がある医療機関も多いため、医師法や医療法を所轄する積極的に情報提供して、行政的に厳正に対処したい。詐欺同然の悪質なケースは告発し、1.4倍の返還金も求める」と述べた。

また、同局の原徳壽医療課長は「憶測を含めて言えば、診療報酬で稼いでコンタクトレンズを安く売るようなことは許しがたい」と述べた。

■ 委員の反応

質疑で、診療報酬の支払い側である対馬忠明委員(健康保険組合連合会専務理事)は「ありとあらゆる不正事例があり、強い憤りを感じる」と厳正な対処を求めた。

また、対馬委員は「医療雑誌の求人情報などを見るとコンタクト診療の医師は2,000万、3,000万となっている。コンタクトの診療報酬は前回の改定で厳しくしたので下がると期待したが変わっていない。法令違反をする医師に対して、どのような指導をしているのか」と診療側の委員に投げかけた。

鈴木満委員(日本医師会常任理事)は「この問題は10年以上も前から指摘されている。眼科の専門医の先生方が『看過できない』と懸念して、前回の改定でようやく取り上げられた」と述べ、コンタクトレンズ販売店に併設された眼科診療所と眼科専門の診療所との区別を強調。

「初回の診察に2時間半かかることもある。今回の見直しは緊急避難措置として受け入れるが実態と離れた措置なので、この問題が一掃されたら適正な再評価をお願いしたい」と求めた。

西澤寛俊委員(全日本病院協会会長)は「知人や子どもには『きちんとした眼科で診てもらえ、コンタクトレンズ併設のところには行くな』と言っている。診療報酬とは別の形で対応していただかないと、専門の眼科医が迷惑する」と述べた。

これらの意見には支払い側の松浦稔明委員(香川県坂出市長)も「善良な眼科の医者が迷惑する」と同調。松浦委員は「今回の事例はどろぼう、詐欺、盗人のようなものなので、診療報酬だけでは善良な眼科が衰退する」として、診療報酬以外の対応も求めた。

これに対して、対馬委員は「内情は知っているはずだ。コンタクトの求人のところには、わざわざ『法令順守』と書いてある。ほかの求人には書いていないのに、かっこ書きで『法令順守』とある。今回の問題は、医師としてのモラルが問われることなので、『医師は別ですよね』と割り切らないでいただきたい」と反論した。

西澤委員は「医師だけを甘くという意味ではなく、医師だけを処分しても駄目だという意味だ。医師法などをよく知らないで就職する医師も多い。今後は、医師が法律を理解して行動できるように日本医師会と協力して進めていきたい」と述べた。

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JBM / 医療事故について荒木駿二先生の論説

Posted by guideboard on 2007/12/15/Sat

科学の進歩に、人の意識も、法制度も、遅れつつあるのだろう。科学者が社会をリードする一翼を担えるように、科学者を重用し、科学者の発言に耳を傾けるべきだ。特に、自然科学の中で医学は最も人の身近にある。

日本は主に文系の人材によって、科学までも含め、コントロールされている。

医学、医療行政には、医師がもっとリーダーシップをとるべく、活動し、行政にも入り込み、医学と法制度を繋ぐべきなのだ。

以下、大変参考になる論説であるので、参照する。


全国自治体病院協議会雑誌
協議会雑誌(平成14年6月号)

窓 MEDICINE
医療事故について思うこと
公立昭和病院院長
全自病協常務理事 荒 木 駿 二

1999年1月の横浜市立大学医学部附属病院における患者取り違え事故と,同年2月に起きた東京都立広尾病院での消毒薬静脈内誤注入による患者死亡事故という2つの大きな医療事故をきっかけとして,医療事故は連日大きく報道されるようになった。この2つの事故は,地域における高度先進医療を担うべき基幹病院で発生したことで,世の中に一層大きな波紋を投げ掛けたと言える。すべての医療関係者はこれらの報道に心を痛め,大きな危機感を抱いている。しかし,一方で医師・ナースをはじめとしたほとんどの医療従事者は,日夜患者さんの診療に全力を傾注し,献身的な努力を重ね,患者さん達の信頼も得ていると自負している。

医療事故報道は以前から数多くなされてきたが,最近の取り上げ方はきわめて興味本位でセンセーショナルであり,医療に対する不信感の増大を煽る傾向にあるのは残念である。医療事故には明らかな医療過誤を含め,医療の全過程で発生したすべての人身事故が含まれるとされるが,過失が存在しなくても多発する医療上のクレームを含めた医事紛争や,アクシデント/インシデント・レポートまで包括して「医療ミス」という言葉で報道されることもある。もう少し冷静で客観的な報道のスタイルが望ましいと思うのである。しかし,こうした報道は私達医療関係者の事故防止へ向けた努力を,従来にも増して喚起してくれた効果も認めなければならないであろう。

米国では,すでに1970〜80年代に,医療事故による損害賠償訴訟の急増から,医療の危機が大きな関心を集め,保険料の高騰や民間保険会社の撤退,保身的医療の広がりなど,深刻な問題に直面していた。当初,医療事故防止対策は民事上の損害賠償対策の色彩が濃厚であった。しかし,1990年代に入ってから,そうした損害賠償の視点だけでなく,医療事故の発生そのものを減少させるための科学的検討が行われるようになったことは注目に値する。1999年11月に公表された米国のIOM(Institute of Medicine)報告は衝撃的であった。この報告では,入院患者の2.9〜3.7%に医療事故が発生し,そのうちの6.6〜13.6 %が死亡し,米国全体では年間44,000〜98,000人が医療事故で死亡していると報告されたのである。この数字には米国でも種々批判があるようであるが,他の先進諸国でもこれに近い数字が報告されており,わが国における研究が待たれるところである。

このように,1999年はまさに医療事故防止対策元年と言ってもよい年となった。それは過去の民事訴訟・損害賠償対策とは違って,私達医療人が医療事故に正面から科学的に立ち向かう決意を新たにした年であった。わが国でも,その前年の1998年には,日本医師会医療安全対策委員会で,「医療におけるリスクマネジメントについて」という答申が出されている。ここでは,いくつかの過程が関与して医療事故が起こることを指摘し,そのシステムや組織の欠陥を是正することの重要性が強調されている。このことは,IOM報告の表題が『To Err is Human』とされ,「人は過ちを犯すもの」という前提のもとに,システム上の組織的な事故防止策を主張している内容と合致する。

厚生労働省でも,2001年9月には医療安全対策検討会議で「医療安全に関する10の要点」という標語を作成したり,2001年度を「患者安全推進年」と位置付けるなど,その対策に懸命である。現在ではほとんどの病院に医療安全対策委員会が設置され,インシデント/アクシデントの集積が行われている。今後はこれらのデータの科学的分析により,原因を究明し,対策を講じ,現場にフィードバックする作業が重要である。しかし,これらの事例をSHELモデルや4M−4E方式を用いて分析するなどの作業はようやく緒に就いたばかりで,今後の成果が期待されるところである。航空機事故や労災事故の分析から導かれたハインリッヒの法則によれば,重大事故1件に対して軽い事故が約30あり,その背後には約300のインシデントがあるという。1990年代以降は,他産業における対策を参考にしながら,TQM(Total Quality Management)の手法で対策が立てられようとしている。しかし,医療は本質的に大きなリスクを伴ったものであり,医学が進歩すればする程リスクも増大する現実がある。しかも,医療は心理面も含めて個々に異なった病状と経過を示す患者を対象としていることから,他産業のTQMを単純に導入することは困難であろう。複雑高度で不確定要素の多い医療の分野では,これをひとつの学問分野として発展させる必要があり,医療安全学の確立が急務と考えられる。

事故防止のためには,個人の責任追及よりもシステム上の欠陥を正すことの方が重要であることについては,一般のコンセンサスも得られてきたようである。しかし,ヒューマンエラーを減少させるためには,医療従事者(とくに医師)の資質を向上させることも大切である。2004年度より新卒医師に対して2年間の臨床研修が必修化されることになった。学部教育でもクリニカルクラークシップの導入が図られるなど改善の兆しも見られる。しかし,それだけでは不十分で,大学入学・卒前教育・卒後教育・生涯教育などを含めて,医師養成のための抜本的改革が必要である。現在進められている国立大学医学部の大学院大学化は,研究者の養成を目指すもので,必ずしも優れた臨床医の養成に役立つものではない。米国式のメディカルスクール構想などへの転換が必要なのではなかろうか。医療の質を高めるための専門医の養成は非常に重要であるが,現在各学会で行っている専門医・認定医制度については,その実効性に疑問がある。むしろ医師免許更新制も念頭においた生涯教育の確立の方が優先されるべきと考える。

医療安全対策を考える場合,常に気になることは,現在の急性期病院における医療従事者数の少なさである。欧米に比し数分の1の医師やナースで,安全で良質な医療が提供できるのであろうか。現状のあまりに苛酷な労働条件では医療従事者に対する厳しい注文も控え目にならざるを得ない。安全にはコストがかかることをもっと強調すべきである。最近,この「安全のためのコスト」に関して,これを「病院管理者や医療従事者が負うべき構造的,精神的,労力的な負担」にすり替えようとする意見があり,警戒を要する。最も安全であるべき病院が,実は最も危険の多い施設であることを認識し,ここにもっと人や資金を投入すべきであると思う。

最近気になることがもうひとつある。それは医療事故における「警察の介入」である。医療は18世紀に欧州で医師に対する裁量権が与えられてから発達普及してきたものである。欧米では故意によるものなど特殊な事例を除いて,刑事罰を念頭においた警察の介入はないとされている。これに対してわが国では,医師法21条でいう異状死体の届出と刑法211条の業務上過失に対する刑事罰のための届出とが渾然一体となって,医療事故による死亡や重大な障害が生じた事例では,警察への届出が義務付けられようとしている。異型輸血や消毒薬の静脈内注入など,現実に警察の捜査に委ねざるをえない事例も存在し,これらが大きく報道されるために,医療事故全般について警察の捜査を優先させようという考え方が広まっている。こうした流れは,報復的な感情を満足させることにはなっても,「起こりうる」医療事故をできるだけ減少させ,高度で複雑な医療行為に内在するリスクを科学的に検証して,安全な医療の発展に役立たせようとする考え方とは相容れない。刑事罰に相当する事件を警察が捜査することは当然であるが,医師法21条の活用と刑法211条の業務上過失致死傷罪のみで現在の医療事故の刑事責任を追及することは現実的でないと思う。このような風潮は,医療従事者を保身的な萎縮診療に向かわせるのではないかと危惧されるのである。20世紀の医療は長足の進歩を遂げ,人類に大きな福音をもたらした。一方で,医療に対する社会の見方も大きく変化し,医師のパターナリズムに任せることなく,情報開示と自己責任のもとにインフォームドコンセントが重視される時代となっている。医療の提供側とこれを受ける側との関係は大きく変化しており,これは医療の社会化と表現できるものであろう。このような時代の変化に対して,医療をめぐる法律は旧態依然としており,甚だ不備である。十分なインフォームドコンセントのもとに,医師も患者側も一定の危険性を認識した上で行われた医療行為の過程で,何らかの被害が患者側に生じた場合,これが警察に報告すべき医療過誤にあたるかどうかを直ちに判断することは困難な場合が多いのではないか。既存の刑事・民事の一般法規の適用のみでは処理不可能な時代が到来したように思う。他方,「医療だけは特別である」として,医療を法規制の枠外に置くことも不可能である。従来の一般法規の直接適用ではなく,特別法の制定も視野に入れるべき時代を迎えたのではなかろうか。

以上,さまざまな視点から医療事故について思うところを述べてきた。わが国の安全神話は,社会の各方面で崩壊していると言われている。医療においても,その信頼が大きく揺らいでいることが残念でならない。事故の原因を科学的に検証し,その発生率をできるだけ減少させるための医療安全学を確立し,医師の資質を高め,医療現場に必要なコストについては,これを惜しむべきではないと思う。医師をはじめとした医療従事者が,安心して良質で最新の医療を提供し,受療する患者側も,それを信頼できるような社会的基盤の確立も必要である。そのような,信頼関係に基づく医療を構築することは,私達医療関係者だけでなく,国や社会をリードする指導者層にも課せられた大きな責務であると思う。

公立昭和病院院長
全自病協常務理事
あらきしゅんじ

■参考文献
1)安達秀雄:医療危機管理.東京,メディカル・サイエンス・インターナショナル,2001
2)小島恭子ほか:リスクマネジメントとリーダーシップNo3.東京,テクノコミュニケーションズ,2002
3)竹中郁夫:医療事故訴訟の判決からみた医療事故の傾向 病院 60(2):112−116,2001
4)長谷川敏彦:「医療事故」と「医療の質」をめぐる新たな国際的潮流−米国医学院報告書の衝撃− 病院 60(2):117−123,2001
5)村上陽一郎:「安全学の薦め」.新医療 2000年11月号:38−40

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JBM / ガリレオ裁判 4 / 亀田事件東京高裁判決

Posted by guideboard on 2007/12/14/Fri

2003 年 1 月 1 日、元日の亀田総合病院は、戦場のような修羅場だっただろう。2006 年 9 月、東京地裁で原告患者側勝訴の判決が下った。

前記事

JBM / ガリレオ裁判
JBM / ガリレオ裁判資料
JBM / ガリレオ裁判 / 草加事件資料

毎日新聞 2006.9.12
医療過誤:病院に慰謝料8100万円支払い命令
千葉地裁 判決によると、男子生徒にはぜんそくの持病があり、治療のため同病院に入通院していた。01年1月1日午前4時半ごろ吐き気を訴えて受診したところ、ぜんそく薬による中毒と診断され、胃洗浄、薬物投与などの治療を受けたが、けいれんなどを起こした。医師が血管にカテーテルを挿入した数分後、血尿が止まらなくなり、午後9時半ごろ死亡した。 病院側は「死因はぜんそく薬による中毒だった」などと主張したが、小磯裁判長は「病院側に過失があったと言わざるを得ない」と退けた。

平成18年9月11日判決言渡 平成15年(ワ)第202号損害賠償請求事件
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20061106163942.pdf ( 保存 pdf 52KB )

参考リンク

http://blog.m3.com/TL/20060912/1

http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20061218

http://www.yabelab.net/blog/2006/09/12-005947.php

http://www.yabelab.net/blog/2007/02/07-152146.php#c40200

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そして、2007 年 12 月 14 日、東京高裁判決で、またも患者側勝訴 ( 賠償額 7300 万円 ) の判決が出た。

http://lohasmedical.jp/blog/2007/12/post_976.php

詳細が判明したら、また検討したい。

その他の過去関連記事

JBM / ガリレオ裁判
JBM / ガリレオ裁判資料
JBM / ガリレオ裁判 / 草加事件資料
JBM / ガリレオ裁判 2
JBM / ガリレオ裁判 2 資料
JBM / ガリレオ裁判 3
JBM / ガリレオ裁判 3 資料

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コンタクトレンズ診療所 / 不正の温床からアンダーグラウンドへ

Posted by guideboard on 2007/12/09/Sun

コンタクトレンズの処方を主に扱い、近隣にコンタクトレンズショップを併設している眼科診療所を、コンタクトレンズ診療所という。通常の眼科一般の診療は、建前上は扱うとしている。

それらの多くは、眼科専門医が眼科一般の診療を行う通常の眼科診療所とは異なり、眼科専門医でない医師が診療所開設者としての名義を貸し、アルバイト医師がコンタクトレンズの処方だけをしていたりする。

眼科専門医がいて、通常の眼科診療も行っているところも、もちろんある。

こういうコンタクトレンズ処方を主に行う眼科診療所をチェーン展開して傘下に持つ、コンタクトレンズ販売業者がいる。全国的に名を知られたところも、各地方にも、たくさんある。

少なくないコンタクトレンズ診療所では、保険診療の網の目をかいくぐって不正の限りを尽くし、それで処分を受けるのは院長という名義を貸した医師だけ。経営母体のコンタクトレンズ販売業者は何の痛みも感じない。

院長が監査を受けて保険医停止処分を受けたら、さっさと医院を閉めて、新しい院長を連れて来て、そのまま看板の文字だけ変えて、開業させる。

それでその院長に不正をさせて、売り上げをかすめ取って、また院長だけ処分されて,を繰り返している。

そういうコンタクトレンズ販売業者の中には、当然、アンダーグラウンドに金を流す奴がいる。大きくチェーン展開をして、何件ものコンタクトレンズ診療所とコンタクトレンズショップを開いていて、その経営者はフロント企業。

今回、厚生労働省は行政処分だけでなく、詐欺罪による刑事告発も武器として手に臨んでいる。警察のバックアップもある。なんせ相手が某勢力の資金源な訳である。

頑張れよ、厚労省。

ところで、薬事法を改正して、コンタクトレンズの医療機器区分と取り扱いを厳しくして、コンタクトレンズ販売業者を閉め出そうとしたのに、実際には良心的な眼科医院がコンタクトレンズの扱いを辞めてしまうだけの結果になった、何とも皮肉な事になってしまったのも、厚労省の失政である。

asahi.com 2007.11.17
診療報酬水増し横行 コンタクトレンズ診療所
2006年11月18日08時35分

コンタクトレンズ(CL)の購入希望者を専門的に検査する眼科診療所(CL診療所)が、診療報酬を水増し請求する例が全国で相次いでいることが、日本眼科医会の内部調査でわかった。4月の診療報酬改定でCL診療の検査料が大幅に引き下げられて以降、急増しており、このままでは水増しの合計額は年間で600億円規模になるとみられる。医会は調査結果を厚生労働省に提出、診療所への指導・監査の強化を要請した。

CL診療所をめぐっては、報酬を過剰請求しているという指摘が以前からあった。今春の改定は「CL診療にかかわる不適切な請求をなくすことも狙いのひとつ」(厚労省)だったが、改定が骨抜きにされた形だ。

全国約6500の眼科診療所のうち、CL診療所は約1300で、大半がCL量販店と患者紹介などの協力関係を結んでいる。

医会は、各都道府県で社会保険などの審査委員を務めている医会の会員を通じ、全国のCL診療所について医師名や診療報酬明細書(レセプト)の内容について継続的に調査を続けてきた。それによると、CL診療所が1カ月に提出するレセプトは平均約1400件で、一般の眼科診療所の約1.5〜十数倍。大半の診療所が約8割を初診患者として扱い、1診療所あたりの月間保険請求額は約870万円に上っていた。

4月の改定では、さまざまな検査料について出来高方式で加算していた保険点数を一本化した上、CL患者の割合が70%以上を占める眼科診療所の点数が大幅に引き下げられた。大半のCL診療所が引き下げの対象になるため、一つの診療所あたりの請求額が月間約250万円の請求に減るとみられていた。

しかし、全国の審査委員からは「改定後も、CL診療所は以前と同レベルの件数や金額で保険請求を続けている」という報告が相次いでおり、今回の集計で、1300のうち約1000カ所の診療所で、水増し請求が行われている可能性が高いことが判明したという。

水増しは、CLの利用者を未経験者に偽装するほか、全患者数に占めるCL患者の割合を70%未満にしたり、CL検査以外の目の病気を治療して一般の眼科患者を装ったりしている。この結果、改定前と同程度の保険点数を請求している例が大半という。医会の関係者によると、水増し額は1カ月あたり約50億円で年600億円にのぼる可能性が高いという。実際、九州地方のある県で、社会保険事務局が調べたところ、大半の診療所で不正が認められたという。

不正請求が明らかになった場合、診療所は保険支払機関から返還を求められたり、医師の保険医登録が取り消されたりすることもある。

日本眼科医会の吉田博副会長は「大半のCL診療所で水増し請求が行われている可能性が極めて高い。量販店系列の複数の診療所で同じ手口が使われるなど組織的と思われる例もある。診療報酬の改定の効果を上げるためにも、行政による一斉立ち入りなど積極的な指導・監査が不可欠だ」と話している。



〈コンタクトレンズの診療報酬〉
日本眼科医会によると国内の眼科の総医療費は約1兆円で、このうちCL診療所の医療費が約1400億円を占めていた。ただ、1人の患者に何度も初診料を算定している例などもあった。このため保険給付範囲を明確にしてCLの医療費を約1000億円削減することを目的に、診療報酬改定で、従来は精密眼底検査など個別検査の保険点数を加算していたのを、一括した点数に統一した。CL診療所のように患者全体に占めるCL利用者の割合が70%以上の場合、70%未満の一般眼科に比べて保険点数が約半分に減った。またCL利用者に対する定期検査は保険給付の対象外▽初診料は1人につき最初の1回などとなった。

YOMIURI ONLINE 2007.12.5
コンタクトレンズ診療所、医師の名義貸し横行

コンタクトレンズ購入者の目の検査などをする眼科診療所(コンタクトレンズ診療所)で、勤務実態のない医師が管理医師として名前を貸して報酬を得る「名義貸し」が頻繁に行われている疑いが強まり、厚生労働省は実態調査を行うことを決めた。

診療所の管理医師は常勤が原則で、勤務実態がないと医療法などに抵触する可能性がある。

コンタクトレンズ診療所をめぐっては、診療報酬の不正請求が相次いでいるとして、同省が全国約100か所の監査・指導を進めており、名義貸し問題もその中で調べ、実態を解明する方針だ。

コンタクトレンズ診療所の大半は、販売店に隣接して作られ、全国に約1300ある。

医療法や同省の通知などによると、診療所には常勤の管理医師を置くのが原則で、同じ人が二つの施設の管理医師を兼務することも原則としてできない。このため、他の医療機関で働く医師が管理医師を兼ねるのは難しいのが現実だ。

仲介業者に医師の募集を委託しているコンタクトレンズ診療所も少なくないと言われる。医療専門誌の募集広告には、「管理医師 経験不問 在住地問わず 登録のみ」と、名義貸しの医師を募るとも取れる内容を堂々と掲載しているケースもある。

最近まで東京都内のコンタクトレンズ診療所に名義を貸していた神奈川県内の総合病院の勤務医(男性)は読売新聞の取材に「後ろめたい。長く続けてはいけないと思っていたが、金にひかれてしまった」と重い口を開いた。半年以上も前、管理医師となったが、診療所に行ったのは2回だけ。それでも毎月20万円が管理料として振り込まれてくる。

名義貸しをしていた先輩医師から「いい副業がある」と紹介されて始めた。精神科が専門で眼科の診療経験はなかった。「目の治療が必要な人がきたらどうしよう」と不安になったが、「管理料をもらうだけで、診察はしないから大丈夫」と言われたという。

管理医師になった直後、たまたま診療所に行った時、「点眼薬をほしい」という患者がきた。「目薬のことはわからなくて、急いでほかの診療所へ行ってくださいと答えた」と振り返る。

自分の代わりのアルバイト医師の派遣も、先輩医師から紹介された人に任せた。診療所で誰が働いているかも知らない。医師以外の人が処方せんを書くと医師法違反になるだけに、「今思うと怖い。事故が起きたら責任があるし、早く辞めたいと思った」と話す。

別の埼玉県の診療所で管理医師を務める都内の外科の勤務医(男性)も、最近は月1回しか行かない。普段診療所に勤務している医師のことを知らないといい、「それは管理医師としてまずいことだとは思う」と認める。

コンタクトレンズ診療所を巡っては、必要のない検査を行うなどの不正があったことから、昨年4月、レンズの処方に関する診療報酬が大幅に切り下げられた。

しかし、昨年末に、「水増し請求などの不正を行っている診療所が多数」と日本眼科医会が調査結果を公表。厚労省が今春、指導を行った。だが、改善がみられない診療所が多数あるとして、今月から指導、監査に乗り出した。

日本眼科医会の吉田博副会長は「名義貸しの話はかなり聞いている。無資格者が検査をし、たまにしか来ない医師の名前を使って処方せんを書いているところもあるようだ。コンタクトレンズによる目の障害も起きかねないだけに、医師としてのモラルも問題だ。厚労省は厳しく対応してほしい」と話している。
(2007年12月5日14時31分 読売新聞)

毎日 jp 2007.12.4
コンタクトレンズ:厚労省が診療所を指導・監査へ

コンタクトレンズの購入希望者を専門的に検査する眼科診療所で診療報酬の不正請求が相次いでいるとして、厚生労働省と各地の社会保険事務局は悪質な診療所の指導・監査に乗り出した。昨年度からコンタクトレンズ診療所の診療報酬が大幅に引き下げられたにもかかわらず、請求額が減っていない状況を受けた措置で、対象は100カ所以上になるとみられる。

コンタクトレンズ診療所は全国に約1200施設あり、大半は販売店と提携して患者の紹介を受けている。必要のない検査や何度も初診料を請求するケースが多く、厚労省は昨年4月の診療報酬改定で出来高加算だった検査の保険点数を包括化し、コンタクト使用者が外来患者の70%を超える場合は点数を一般眼科の半分にした。

しかし、日本眼科医会の調査によると、コンタクトレンズ診療所からの保険請求は05年度から06年度にかけ約400億円しか減らず、約1000億円の圧縮を見込んだ厚労省の試算と大きな隔たりがあった。収入を維持するため、割高な検査料を不正請求したり、コンタクトレンズの購入者を別の病気のようにカルテに記載し、コンタクトの処方を70%以下に装う診療所が多いという。

監査で不正が発覚した場合、診療報酬の水増し分の返還や、保険医療機関取り消しの処分がある。処分逃れのための廃院や返還拒否が分かれば、刑事告発が検討される。

コンタクトレンズ診療所を巡っては、実際は勤務していない医師による管理者の名義貸しも問題になっており、日本眼科医会などは実質的に診療所を経営する販売店の取り締まりも求めている。【清水健二】
毎日新聞 2007年12月3日 19時19分


こういう論説を見ることができる。

勤務医 開業つれづれ日記
■悪いやつほどよく眠る 「コンタクトレンズ診療所、医師の名義貸し横行」のコメント欄より。

もともと、2年前の削減時に、眼科の削減分はコンタクトを差し出した格好で決着をつけたと思います。

眼科医会は長年の敵対相手であるコンタクト業者に打撃を与えるべく、自分たちにも影響出るのを覚悟の上でコンタクト診療は定額の上、半額なんてむちゃな要求をのんだわけです。

施行後には、少しだけコンタクト販売所が減ったものの、ほとんどは非合法すれすれの院長ローテートや不正請求で生き残りました。

それを叩くべく、今年の11月まで個別指導して少しだけ締め上げましたが、コンタクト販売所はびびる所か院長使い捨て戦法にまで出てきて効果は上がっていません。

さて、今は診療報酬改定真っ只中ですが、今回の騒動は、眼科の更なる引き下げ要求に対して眼科医会側から引き下げ要求の前にまずは効果の上がっていないコンタクト診療所をなんとかしろ言われて、厚生省が「実態調査」なんて温いことし出したのだと思ってます。

眼科医会側は引き下げ要求の引き伸ばし、厚生省は働いている所をデモできるので両者思惑一致しての実態調査でしょうが、こんな事してもコンタクト販売所は痛くも痒くもないでしょうね。さらなる戦法はコンタクトを保険診療から外す事ですが、これは2年前の改正時に限定的に施行したところ、患者からのクレームが厚生省に上がって3カ月で方針転換した経緯がありますので難しいでしょう。

コンタクト販売所との戦いはまだまだ続きそうですが、医療の分野に小規模資本主義が入るとどうなるか、良い見本だと思います

また、こういう論説もある。某所より入手した、2006 年中頃に書かれた、眼科専門医の手によるものである。

コンタクトレンズ以下 ( CL ) にまつわる諸問題について、眼科以外の先生方にはあまり知られていない ( であろう )、ここ何年かの制度の変遷をご紹介する。思い出す度に憤懣やる方なく、若干の私見も含まれることをお許し願いたい。

CL 安売り店に併設する、いわゆる「CL 診療所」が○○県で始めて開設されたのが平成の初めの頃である。○○でコンタクトレンズ量販店に隣接して、卒後研修 1 年目の内科医師が眼科診療所を開設し、新聞ネタにもなったことを記憶にとどめておられる先生もおられるかもしれない。この時の顛末は、市民の目の健康を守る立場で異を唱えた○○眼科医会が、逆に公正取引委員会より勧告を受けたことにより終結した。それを機に ( お墨付きということではないであろうが ) 今は○○近辺に数え切れないほどの CL 診療所が乱立している。

○○○ ( 某地方都市名 ) も例外ではなく、ここ 2 年の間に JR ○○駅北側、○○駅南側に相次いで CL 診療所が開設された ( もちろん医師会には非入会 )。この手の診療所は「地域医療」とは当然のごとく全く無縁で、利益を得る為に保険制度を利用して医療費をむさぼり食う、という構図で成り立っている。CL の仕入れの量が圧倒的に多いために、仕入れ値も安くなる。さらに、その仕入れ値以下という一般眼科医院では考えられないような破格の値段で売りさばいても、1 カ月に 1400 件 ( 全国平均 ) は下らないと言われている診療報酬で充分儲けが出るのである。なぜならば、そのレセプト内容がスゴイのである。初診率が 80% 以上もあり、画一的な検査がずらりと行われている。一部では、CL を買いに来る患者さんの年齢層を考えると、到底考えにくいような「緑内障」等のための高点数の検査を行うために、それに見合った ( 架空の ) 病名をつけている所もあると聞く。ひとつひとつのレセプトとしては、何ら問題はないかもしれないが、これが大量に出てくると、指導・監査の対象になってもおかしくない。しかし、そういう診療所に監査が入ったとか、保険医取消しになった ( 閉院した )、という話は一向に聞かない。

全国では、眼科標梼の診療所 6475 施設中、いわゆる CL 診療所と判断されている所が 1337 施設を数える。CL 診療所から請求される医療費は 1400 億円に上ると ( 別資料によると 2000 億円とも ) 言われている。柔整に関してもそうであるが、「医療費が増大している」と叫ばれる中、「正当に使われていない医療費」等についても並列に言及したマスコミは全くない。そして医療費抑制政策で、いつも割を食うのは国民と「真面目な」医師なのである。日本眼科医会は CL 診療所対策を国に訴え続けた。しかし厚労省は聞く耳を持たなかった。国民が CL を購入する場合、自己責任を強調することで国の責任を転嫁していたのである。それでも CL 健康被害は絶えず報告され続け、無駄な医療費も増大し続けていった。

そこで、ようやく厚労省が出した答えは、とんでもない見当違いの施策であった。それが昨年 4 月からの改正薬事法「高度管理医療機器等販売に係る申請」であった。「CL 販売時の品質管理を厳重にする」ために、診療所と CL 販売・管理部分は公道を挟んで別棟にしなければならない、等という内容であった。もともと「原則として診療所と CL 部門は入口を別にする」という非現実的な法律が存在していた。しかし、その法律に準拠して開設しているのは、いわゆる CL 診療所の方であり、ほとんどがそのような無駄な法律に添った形体にはしていなかった一般眼科医院は、無用のコストと労力を強いられたのである。この件で、診療所の改築が不可能と判断し、CL の取扱いを諦めた眼科医もあり ( 閉院された所もあった )、そこの患者さんが仕方なく CL 診療所へ流れてしまい、ますます健康被害を増大させてしまう、という全く逆の結果を招いてしまった。実際の医療現場を少しでも把握していれば、こういった事態は簡単に予測できたはずである。そういった意味でも、頭の良い人が集まっているであろう厚労省が何もかも充分承知の上で、一般眼科医に対する嫌がらせでやったとしか思えないような改正であった。

そして、声高に医療費削減が叫ばれる中、国民の健康という観点からではなく、財政面からせっつかれた厚労省が、ようやく CL 診療所対策に本腰を入れてきたと思われたのが、今年の 4 月からの保険改正である。申請 6 ケ月前の外来件数の内、CL 関連の診療件数の割合を社会保険事務局に届け、その割合によって、包括化される CL 診療にかかわる検査点数が変わる、というものである。その割合が 70% 以上 ( 一般眼科医院は 7 ∼ 10% 程度)になるであろう、いわゆる CL 診療所は、この 4 月から初診・再診ともに、かなり圧縮された点数しか請求できなくなった ( はずである )。

果たして、CL 診療所は経営を諦め、次々に撤退しているのであろうか。今の所、そういった話は聞いていない。しかも、今回の改正に伴って様々な保険の縛りや解釈の情報が錯綜したため、一般眼科医院の現場の方に混乱をもたらしている。真面目に考えると、どこまでが CL 診療で、どこから一般診療なのか非常に判断しづらいのである。これも少し考えてみると予想されたことであるが、もともと医の倫理を持ち合わせていない者 ( CL 診療所 ) が正直に今回の改正に従うわけもなく、包括化を避ける目的で屈折病名以外の病名を追加すれば、不必要な検査や投薬がこれまでと同様に行える(と考えられる)ので、全く抑止力にならず、医療費削減も期待できないのではないだろうか。社会保険事務局を疑うわけではないが、そもそも CL 診療件数の割合届出の受理も正当に判断されたかどうかも、我々には確認できないのである。

もうしばらくは静観、ということになりそうであるが、まだまだ我々下々の者には計り知れぬ世界があるのかもしれない。

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