医療崩壊 / 逃散 2 / 検証医師不足第 2 部 (8)
Posted by guideboard on 2007/10/09/Tue
デーリー東北新聞
(8) 支援体制 確保優先 孤立する現場 2006.3.31
赤字が積み重なり、財政的に行き詰まる病院。激務が続き、働くには魅力を欠く環境。
田子町立田子病院の葛西智徳院長は、これまでに四つの自治体病院や診療所で勤務し、地域医療の現状を見てきた。
何より、医師が根付く環境の整備がなされていない点に疑問を感じた。「地域の病院に出た医師には全責任がのし掛かり、支援体制が不十分だ。医師は勉強できず、レベルアップしたくてもできない」。
自身も田子病院に赴任したばかりの十年ほど前、医師二人が引き揚げたため、二人で当直をこなす激務に追われた。行政からの支援はなく、自分の足で非常勤医を探さなければならなかった。
■現状に憤り
現在、県内の過疎地域の診療所に一人で勤務するある医師は、支援のない現状に憤りを感じている。「県は医師不足解消には取り組んでいるが、医師を確保したらそれっきり。フォローが良くない」。
地域医療を志す医師はいる。しかし、医師を支える環境を行政や病院、大学は十分に整えられず、自治体病院の医師不足を招く一因にもなった。
勤務医を確保する策として、青森県の多くの自治体病院は手当を高くするなどで対応。これに対して葛西院長は「お金で連れて来ても、右から左に医者が動くだけ。抜本的な解決にはならない。『働きがいのある』職場環境にしないと医師は根付かない」と訴える。
地域医療に携わりたいとの志を抱く医師が、魅力を感じる環境整備が大前提だと言う。
■病診連携の行方
田子病院は二〇〇七年度から診療所となる。人口減と医師不足に対応しながら地域医療を存続させるための選択である。今後は近隣の病院との連携が不可欠で、三戸中央病院との協議は始まっている。
県医療薬務課は「田子の医師を孤立させないよう、人事交流の仕掛けをつくる」と支援体制を整備する方針を掲げる。
新年度からは、慢性的な医師不足を解消するため初めての体系的な基本構想となる県の「グランドデザイン」も動きだす。
葛西院長は「地域全体を見て、今いる医師を活用するシステムを整えてもらいたい。われわれ現場も努力するが、調整・統括する行政の役割が必要だ」と強調する。
(第2部終わり=工藤洋平、細越一美、工藤文一、斎藤桂が担当しました)