医療崩壊 / 逃散 2 / 検証医師不足第 2 部 (6)
Posted by guideboard on 2007/10/09/Tue
デーリー東北新聞
(6) 若手の決断 県内とどまる学生 4 割 2006.3.29
「入試の面接で受験生のほとんどが“青森県の地域医療に貢献したい”と志願理由を語る。でも、卒業後に県内に残るのはほんのわずか」
こう話すのは兼子直・前弘前大医学部長。それだけ弘前大の卒業生の県外流出は深刻だ。毎年約百人の卒業生を輩出するが、県内に残るのは約四割と半数を下回る。
兼子前学部長は、学生の志が変化することに理解を示しながらも「証拠として面接の様子をビデオに撮って、卒業のときに見せようかな」と苦笑いを浮かべた。
■県内も悪くない
八戸市出身の高橋祐輔さん(23)=五年生=は、中学時代にアメリカの救命救急病棟のテレビドラマを見て医師に興味を持ち、高校二年のときに本格的に志した。
「県内の医療技術が他県よりも劣るとは思わない。プライマリーケア(一次医療)を学ぶには、多くの経験を積むことができる」と高橋さん。
卒業後の進路はまだ決まっていないが「自分がレベルアップできる場所であれば、勤務先はどこでも構わない。県内に残るのも悪くはない」と話す。
大阪府出身の横山拓史さん(23)=同=は、祖父から三代続く典型的な医師の家系。卒業後は函館市内の病院での勤務を考える。「最新設備もないし、有名な医師がいるわけでもない。ただ、熱心な指導医が多い」と首都圏ではなく、あえて地方で勤務することを決めた理由を打ち明ける。
横山さんは「医師不足でかわいそうだから県内に残る—という考えを持った学生はほとんどいないはず。もっと自分の腕を磨き、医師として成長するため必死だ」と強調する。
■ギアは“トップ”へ
県が本年度作成した医師確保の基本構想となる「グランドデザイン」では、特に人材育成を重視した。
海外と連携した臨床教育の検討や、県外から招いた経験豊富な専門医の中核病院への派遣、へき地で実習を希望する医学生の卒前教育など医療環境整備に向け、ギアを“トップ”に入れた。
三浦康久県健康福祉部長は「他県と同じことをやっても駄目だ。医師確保の全国競争に勝つために独自色を出したい」と強い決意を示す。
果たして青森県に医師は定着すことができるのか。グランドデザインではそれができるかが試されている。