医療崩壊 / 逃散 2 / 検証医師不足第 2 部 (5)
Posted by guideboard on 2007/10/09/Tue
デーリー東北新聞
(5) 派遣事情 大学に従前の力はなし 2006.3.28
二〇〇四年末に福島県立大野病院で帝王切開を受けた女性が死亡し、先ごろ医師が業務上過失致死罪などで逮捕、起訴された医療事故は、関係者に大きな衝撃を与えた。
日本産婦人科学会(武谷雄二理事長)は「医師個人が責任を問われたのは極めて遺憾」との声明を発表。この医師が年間約二百件の出産をほぼ一人でこなしていた実情を指摘し、「背景には全国的な産婦人科医不足がある」と訴えた。
この問題は、十八日に弘前市で開かれた青森県産婦人科医会でも取り上げられ、水沼英樹弘前大医学部教授は「産婦人科医を希望する学生がますます減るのではないか」と懸念した。
■3年連続入局ゼロ
実際、弘前大産婦人科教室(旧・医局)への〇六年四月の入局予定者はおらず、三年連続ゼロとなるのは確実な見通し。東北六県の大学医学部でみても、合計でわずか八人にとどまる。つまり、大学も医師不足なのだ。
県内の総合病院に産婦人科医を派遣しているのは主に弘前大と東北大。この二病院の人手不足で、最近では十和田市立市民病院と公立野辺地病院、青森労災病院が出産に対応できなくなった。
弘前大は産科医を集約し、将来的には十和田市立中央病院に配置する方針を決めたが、派遣時期は未定。中には「東北大が医師を派遣していた十和田に、弘前大がすぐ派遣できるはずがない」と“学閥問題”を指摘し、皮肉る医療関係者も。
必修となった臨床研修制度などの影響で、大学には従前通りの医師派遣ができる力は残っていなかった。
■住民に説明を
東北地方の医師不足は産婦人科だけではない。現状を打開するため、東北六県の大学医学部が一堂に会したシンポジウムが十八日、仙台市で初めて開かれ、各大学が枠を超えて意見交換し、地域医療の課題を探った。パネリストとして参加した新川秀一弘前大医学部教授は「各県の医師の置かれた状況など、大学間の情報共有が大切だ」と感想を述べた。
県健康福祉部の三浦康久部長も会場で各大学の発言に聞き入った。三浦部長は「市民は大学には潤沢に人材がいると思っている。大学は現状を説明する責任がある」とし、「これからも二回、三回と続けて、より良い方向に向かってほしい」と期待を込めた。