医療崩壊 / 逃散 2 / 検証医師不足第 2 部 (3)
Posted by guideboard on 2007/10/09/Tue
デーリー東北新聞
(3) 手術はまだか 麻酔科医は深刻な状況 2006.3.26
「今の勤務状態のままだと、医療事故にもつながりかねない」
こんな“最悪のケース”を危惧(きぐ)するのは、青森県内のある麻酔科医だ。自身を含め、過酷な労働環境下に置かれる勤務医の現状を憂える。
医師不足—と一言でくくられるが、産婦人科や小児科、麻酔科など、いわゆる特定診療科の勤務医不足が著しい。
麻酔科医は患者の状態を管理し、手術には欠かせない重要な役割を担う。にもかかわらず拘束時間の長さや執刀医の下支えのイメージが強く、全国的になり手が少ない。
しかも、ほかの診療科と比べ、患者からの認知度が高いとは言い難い。麻酔科医不足の影響はじわじわと広がっている。
■手術待ち増加
今年二月、青森市内のある病院で義父の看病をしていた女性は「やっと手術をしてもらえます」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。手術を待つこと一カ月。ようやく手術が可能になった。
県内の高度医療を担う病院では、このような「手術待ち患者」は珍しくない。県立中央病院は三百三十六人(一月末現在)、弘前大医学部付属病院は二百三十八人(三月一日現在)いる。
県病は「心臓や脳外科の専門医が不足するほか、麻酔科医も定員六人に対し五人しかおらず、かなりきつい」と強調。弘大付属病院も「急患が優先なので(比較的症状が軽い)患者には二、三カ月待ってもらう場合もある」と説明する。
■8年前と同水準
八戸市立市民病院では〇三年度末、五人いた常勤の麻酔科医が二人に減った。現在は常勤二人、非常勤四人の体制で臨む。外科系医師も手術時に麻酔を担当する「自科麻酔」で不足分を補う。
昨年十一月、国から公表された〇四年末現在の県内の麻酔科医数は六十一人。全国的には麻酔科医は増加しているが、県内では一九九六年末とほぼ同水準のままだ。
人口十万人当たりでも、全国平均の五・〇人に対し、県内は四・二人と、マンパワー不足は否めない。
県医療薬務課の石岡博文医師確保対策グループリーダーは「麻酔科医は救急医療に不可欠」と、現状打開のための対策を早急に講ずる必要性を訴える。「正直疲れているが、患者がいる以上は仕事量を減らせない」とは冒頭の麻酔科医。厳しい現実と向き合っている。