医療崩壊 / 逃散 2 / 検証医師不足第 1 部 (7)
Posted by guideboard on 2007/10/09/Tue
デーリー東北新聞
(7) 下北に暮らす むつ除いて ” 空白地帯 ” 2006.1.8
本州最北端の地・下北半島。昨年十二月に営業運転を開始した東通村の東通原発のほか、むつ市の使用済み核燃料中間貯蔵施設などの立地で、近年は“原子力半島”化が進む。周辺自治体は電源三法交付金による地域振興を見込む。
一方で、将来が期待される若者は都会に流出し、過疎化が進行している。お産ができる医療機関は、むつ市内の二カ所だけ。下北半島のほとんどは産婦人科医の“空白地帯”だ。
■もっと近ければ
昨年十二月上旬のむつ総合病院。お産を終えた大間町の小沢美沙子さん(37)=仮名=は、退院の準備に追われていた。
「おかげさまで無事退院できるみたいです」。糖尿病というリスクを抱えての出産だったが、元気に生まれた長女に目を細めた。
地元には公立の国保大間病院があるが、産婦人科はない。船で函館市の病院に行く手段もあったが、車で片道一時間のむつ総合病院に決めた。
「もっと近ければいいんだけど…」。路線バスは一時間に一本。電車は通ってない。大間町に生まれ育った小沢さんは、「仕方がない」と割り切っている。
自治体病院から産婦人科医がいなくなった十和田市や野辺地町の状況について「他の病院との距離は近いし、交通網も発達している。下北と違って恵まれている」と、違う見方をする。
■地域の知恵
佐井村からむつ総合病院に通う妊娠十カ月の藤沢美紀さん(29)=仮名=の場合、やはり通院には一時間半かかる。雪が降ると路面は凍結し、車はスピードが出せない。冬場は二時間以上の長いドライブだが、「夫が運転してくれるのでちょっと安心」と笑顔をみせる。
「最初からむつ市で産むのが当たり前だと思っていた」と藤沢さん。「早めの対応がこの地域でお産するときの知恵なんでしょうね」と話す。
自らも産婦人科医として同病院で腕を振るう小川克弘院長は「下北地域の一般的な医療はここで完結しなければならない。住民の期待はあると思っている」と自負する。
半島という地理的なハンディを埋めようと、同病院では医師確保のために研修医受け入れに積極的だ。
小川院長は「『へき地』『寒い』『遠い』という悪いイメージを逆に利用して、やる気がある医師を呼び込みたい」と断固たる決意だ。