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医療崩壊 / 逃散 2 / 検証医師不足第 1 部 (1)

Posted by guideboard on 2007/10/09/Tue

» 医療崩壊 / 逃散 2 / デーリー東北新聞

デーリー東北新聞
(1) 初めての出産「どこで産めばいいの」 2006.1.1

初冬のある朝。野辺地町で食料品店を営む大原悟さん(36)・恵美さん(30)夫妻=仮名=は、自宅からマイカーに乗り込んだ。悟さんは青森市内の市場へ野菜を仕入れに、恵美さんは約三十五キロ離れた、同市内の県立中央病院に行くためだ。
まだ夜は明けない。暗闇が広がる国道4号をひた走る。

■地元で産めない

「おめでたです」
恵美さんの妊娠が分かったのは昨年六月。既に三カ月目で、初めての赤ちゃんだった。
喜びに浸った大原夫妻だが、一抹の不安もよぎった。地元の公立野辺地病院では昨年四月以降、産科医が不在となり、個人の開業医がいない町内では、子供を産めない状況となっていたからだ。
選択肢は七戸病院か青森市内の病院のいずれかに狭まった。「どこで赤ちゃんを産むべきか」。大原夫妻は悩んだ末、お産や産後の安心感、悟さんの仕事の都合を考えて同市内の総合病院を選んだ。
だが、二週間に一度の通院は予想以上にハードだった。午前六時に出発してから、悟さんが仕事を済ませるまで恵美さんは車で待ち、午前八時半にようやく病院に到着。店を開けなければならない悟さんは先に帰り、恵美さんは診察後、一人でJR青森駅までバスで行き、電車で帰宅する。
恵美さんは「最近はおなかが大きくなって駅の階段の上り下りがつらい。午前中の診察のため朝早く病院に行き、帰ってくるだけで疲れる」と現在の心境を明かす。

■日々募る不安

野辺地町出身の悟さん。当然、自分の子供も町内で産むものだと考えていた。しかし、生まれ育った町で子供が産めないという「想定外」の事態に見舞われた。
悟さんは「どうして医者がいないのか」と疑問を抱きながらも、「常駐が難しいなら週一回だけでも医師が来て診察するなど何か対策を考えてほしい」と切実に訴える。
出産予定日は今月十六日。「陣痛が始まってから病院に向かうまでに、赤ちゃんが生まれてしまわないか」。大原夫妻は初めての出産を前に不安を募らせる毎日だ。
町では、商工会議所青年部が中心となり、野辺地病院への産科医確保を求める署名運動を展開している。大原夫妻も署名したが、今のところ見通しは立ってない。

◇  ◇  ◇

地方の医師不足が深刻だ。病院や診療所から勤務医がいなくなり、特に不足する産婦人科などは、診療科の休診が相次いでいる。事態は住民の目に見える形で進行し、地域によっては日常生活にも影を落としている。医師不足問題の背景と、地域医療の在り方をシリーズで探る。第一部では、青森県南地方の産科医不足を追った。
(地域医療取材班)

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