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国民皆保険 6 / 家を売ってでも資料

Posted by guideboard on 2007/10/08/Mon

» 国民皆保険 6 / 家を売ってでも

オリックス証券/Coffee Break>宮内義彦ジャーナルに掲載されていた週刊東洋経済/2002.1.26号の記事

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http://www.orix-sec.co.jp/brk_jour/mj_11.html
オリックス証券/Coffee Break>宮内義彦ジャーナル

規制改革と日本経済活性化
規制改革で日本を世界の負け組から勝ち組にしよう
週刊東洋経済/2002.1.26号

規制改革委員会は、2001年4月に内閣府に直結した「総合規制改革会議」に衣替えした。議長には委員会の委員長であった宮内氏が就任。01年12月11日には答申を小泉首相に提出した。規制改革は日本経済活性化の焦点である。宮内氏にその成否を聞いた。

——今回、総合規制改革会議は内閣府に直結して首相に諮問ができ、各省庁にも勧告する権限を法的に与えられました。新体制は、以前の規制改革委員会とは異なりますか。

規制改革に随分と長い間お付き合いしてきましたが、組織はいろいろと変わってきました。ただ、組織の変化よりも、その時々の政権の意欲のほうが、実態としての影響は大きいです。

——小泉首相は規制改革について意欲的に取り組むと公言していますが、実際にはどうなのでしょうか。

ちょうど山に登りかけて、もっと頑張らなければいかんという時期にあります。構造改革といえば、やはり規制改革をやらなければだめだという認識が深まってきました。今の「総合規制改革会議」を作ろうと言ったのは前内閣ですから、衣を作ったのが前内閣で、魂を入れようとしているのが現内閣です。

制度変更にも踏み込む

——改めて基本的なことをうかがうと、なぜ規制改革は日本の構造改革のために必要なのでしょうか。

経済活動の資源は有限ですから、効率を高めなければならない。一国というより、今や世界のなかで効率競争をするようになってきました。このなかで日本は負けてしまって、さらに負け続けるでしょう。日本の経済システムの効率が悪いからです。

それは何かと言えば、経済活動を官が担っている。ということは、これは旧ソ連と同様ですから、完全に負け組です。それから政府が非常に関与した経済活動——統制経済が日本にはあります。これもやはり市場経済には負けてしまいます。官による経済活動と統制色の強い経済は変えていかなければなりません。

特殊法人改革のように、民間にできるものは民間に任せるべきで、統制色の強いものを市場経済にするための手法が、規制改革です。経済の効率を高めて、GNPを上げ、再び成長路線に行こうということです。

特に今回(の答申で)は、重点六分野(医療、福祉保育等、人材(労働)、教育、環境、都市再生)を指摘し、官が関与する制度的なところに踏み込みました。そうした制度的なところにも、民間の知恵と活力を入れていかなければならない。過去の規制改革より、対象範囲が広がったことは事実です。

過去にも労働法規、情報通信ではNTTの組織問題といった極めて制度的なものに踏み込んだ経験もあります。そういう過去の蓄積があってもっと大きな壁に挑戦し始めたのですが、壁は厚ければ厚いほど、抵抗勢力が強いということになります。

——壁が薄くて早く実効をあげられるものはあるのでしょうか。

たとえば、金融ビッグバンはグローバル経済からの外圧もあり、やらざるをえないという面がある。これに対して、医療制度は「世界に冠たる国民皆保険」とだけ言えば、競争なしです(笑)。過去の委員会に対して、「やれることしかやっていないじゃないか」という批判がありますが、まさにやれることは必死でやってきたわけです。

保険医療一辺倒からの脱却を

——最も厚い壁は医療ですか。

医療、福祉には確固たる「鉄壁の城」ができています。それを崩しにかかるのですから、少々のことでは動きません。特に医療はGDPの七%という大マーケットです。

——医療ではどのような方法で改革への道筋を作れるのでしょうか。

医療は保険医療という日本独特のシステムが立ち行かなくなった。だから保険制度を、小さくしようということになります。医療イコール保険だけではなく「自由診療も認めよ」という考え方です。公は保険、民は自由診療で、公民ミックスで多様な要求に応じればよい。しかし医師会は反対です。制度変更と同時に既存制度でも、もっと合理的にやれるのではないか——既存制度の中身の透明度を高めようということです。

——具体的には。

既存の保険制度のなかにある無駄を排除しよう、たとえば、報酬の出し方が基本的に出来高払いですが、症状別の標準方式、定額払いという方向にもっていきたい。国民の医療費をGDPの七%に抑えるというのはとんでもない。一〇%でも何でもよいと思います。国民がもっとさまざまな医療を受けたければ、「健康保険はここまでですよ」、後は「自分でお払いください」というかたちです。

金持ち優遇だと批判されますが、金持ちでなくとも、高度医療を受けたければ、家を売ってでも受けるという選択をする人もいるでしょう。それを医師会が止めるというのはおかしいのです。医療サービス、病院経営には民間人の知恵を入れるべきでしょう。企業が病院を経営してもよい。利潤動機の株式会社に、人の命を預かる医療を担わせるとは何事かと言われるわけですが(笑)。

——学校給食についても、民間業者に任せるという話に対しては、利潤動機の企業は何をするかわからないという意見が根強くあります。

それは医師会御用達の思想で、それを言うなら、よく自動車に乗りますね、飛行機に乗りますね、ということになります。民間企業が利潤動機で作った車の四つの車輪の一つは絵が描いてあるだけだと思いますか。ばかばかしい議論です。そんなことを言っていれば、社会主義になってちょうだいということです。国のやるべきことは飛行機が何回着陸したならばタイヤを変えなさい、または点検しなさいというルールを決めることです。学校給食で言えば、栄養士の資格のある人を何人雇うかとか、衛生基準を守れということで、国営で給食を作ろうが、民間業者が作ろうが同じ話です。こういう単純なことがどうしてわからないのでしょうか。

経済活動のなかには、パブリックに多くの人にサービスする場合と、一個人にサービスするものがありますが、パブリックなサービスは、パブリック・イコール・パブリックにしなければいけないと思っているのです。とんでもない話で、パブリックの目的さえ達すれば、それは民間がやるほうがよっぽどうまくいくのです。霞が関がパブリックというとき、実は自分の省だったりするのです。

——重点六分野で、制度自身の変更は、他にどのようなことが考えられるでしょうか。

たとえば、教育をなぜ文部科学省にやってもらわなければならないのか。文部科学省が描いたとおりでないと、教育ではないというのはまことにおかしな話です。

——02年に規制改革はどのようなスケジュールで進めますか。

これはやはり政治のリーダーシップによります。規制改革もあるが、まずは景気が大事だとなれば、それで止まってしまう。

役所が嫌悪するバウチャー導入

——本番を迎える税制改革と規制改革との連動性は出てきませんか。

税金と補助金はイコールで市場メカニズムをつぶしています。たとえば補助金をもらっている特定の人は、他に対して競争力を強めてしまう。他が全部、自由でも、まともな競争にはなりません。

たとえば、保育園。認可保育園と無認可保育園があり、片方は補助金があり、片方は補助金がない。それなのに認可基準は同一ではおかしい。無認可に入らなければならない待機児童を救わなければならないのです。無認可に関しては最低基準を作ろうという考えです。既得権益と、そこからあぶれた側とで、大きな差があるからです。認可保育園の園長さんたちに囲まれたこともありますが、あの人たちにトータルにものを見ろと言っても殺生な話で、制度が悪いのです。

老人ホームでも同じです。施設ごとに補助したり、しなかったりというのがおかしいので、対象になる人に、一人ずつバウチャーを持たせる制度がよい。しかし厚生労働省も、バウチャーと聞いた途端に取り合わない。自分の聖域、自分の作った制度が全部、がたがたになるからです。学生に教育バウチャーを与えよという考え方もあり、私学助成などやめてしまえということです。それがいちばん合理的なのですが。

——都市再生と言ってもさまざまな規制があって、動きが取り難い。

邪魔をするわけで、すごい国だというのが私の結論です。

——規制改革の障害はどのような形であるのでしょうか。

具体論としては、法律を作ったり、変えてもらわなければならない。歴代総理は、みな改革を頑張ろうとは言われるが、(自民)党のほうが難しいので、ここまでにしておきましょうということになる。規制改革は自民党で熱心な反対議員が二〜三人いれば止められる。総務会で全会一致でないと法案をOKしないというのは逆民主主義です。閣議決定にならなければ、省庁は聞きません。日本では閣議決定になれば、それを役所は真面目に聞きますので、そこが肝心です。

総合規制改革会議の委員と役人が相対しますが、役人は間に立って、業界ともやらなければならない。業界とのやり取りに失敗すると、業界は族議員に働きかける。そして族議員がつぶしにかかるのです。

——日本をこういう姿にしたいというビジョンがあって、そこから逆算して規制改革に取り組まれているのでしょうか。

非常に簡単ですよ。世界のなかの負け組から勝ち組になることです。何が何でもなってほしいと思うわけです。経済的な勝ち組になれば、社会的な勝ち組にもなるんです。経済的な富がなければ、良い社会は作れません。豊かななかから世界をリードする文明、文化が生まれてくるのです。経済的に勝たない限りだめですよ。

インタビューを終えて
宮内さんは経営との二足のわらじで長年にわたって規制改革に取り組んできました。ムシロ旗が会社の前に立つような状況もあり「何で私がこんなことせにゃいかんのか」と言いながらも、激しい闘志を燃やしています。小泉首相を都会的な自主自立の人と評しますが、景気悪化で構造改革が崩れ政権崩壊なら、最悪の事態になると予言されていました。

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