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国民皆保険 4 / 医療費推計資料 3

Posted by guideboard on 2007/10/08/Mon

» 国民皆保険 4 / 医療費推計

将来の国民医療費、社会保障費の試算の報道など。

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日医ニュース 2006.5.20

中川常任理事
歳出改革に関する日医の基本的問題認識について見解を示す

中川俊男常任理事は,四月二十五日の定例記者会見で,「歳出改革に関する基本的問題認識」について説明した(写真).

はじめに,中川常任理事は,「医療制度構造改革試案」「医療制度改革大綱」,今国会に提出されている「医療制度改革関連法案」等いずれも“医療費の適正化”という名目で,医療費の抑制が図られ,最近では,自民党内に,「社会保障に関しても徹底的な歳出削減を検討せよ」との指示で,政調会長の下“歳出改革に関するプロジェクトチーム”が設置されている現状であると述べた.

日医では,昨年末,厚生労働省の医療費推計の問題点を指摘しているが,今回,日医・日医総研の最新データに基づき,改めて医療費推計の問題点を質したいとした.

まず,厚労省の二〇二五年度の国民医療費推計六十五兆円は,一人当たり医療費の伸びが一般二・一%,高齢者三・二%を前提条件としているが,それは平成七〜十一年の伸び率だと指摘.

実際は,最近の医療費動向(平成十三〜十七年)によれば,診療報酬マイナス改定があった平成十四年を除いても,平均で,一般,高齢者とも一%台の伸び率に過ぎないとした.

また,厚労省が,後期高齢者医療制度案の対象者を七十五歳以上としながら,七十歳区分の医療費推計を用いている点も,制度設計に乖離が生まれるとして問題視した.

そのうえで,最近の一人当たり医療費の伸び率(一般一・四%・高齢者一・三%)を基に,日医・日医総研が再推計を行ったところ,二〇二五年度の国民医療費は四十九兆円となったことを明らかにし,厚労省に六十五兆円という国民医療費の推計値の早急な再計算を求めた.

さらに,問題点として,(1)二〇二五年度の医療給付費が,昨年十月の厚労省「医療制度構造改革試案」では四十九兆円とされ,同十二月の政府・与党医療改革協議会「医療制度改革大綱」では四十八兆円と,わずか二カ月で一兆円(短期的方策効果に相当)も下方修正されていること(2)昨年問題になり,大反発を生じた“保険免責制”が復活すれば,自己負担割合が五割に迫り,若者を中心に公的保険離れが懸念されること(3)歳出削減に当たっては,限界である医療給付費のほかにも削減すべき余地(人件費・経費等)があること(4)日医・日医総研が示した国民医療費の推計値では,厚労省の医療給付費の目標額四十九兆円という数字をすでに達成しており,制度改革,中長期的・短期的方策を行う必要がないこと─等を挙げた.

また,国会で廃止・削減が審議されている療養病床再編による医療費抑制は,老人医療費の低い長野県のように介護費の増大をもたらし,在院日数の短縮化は,高齢者を介護保険へ追い出しかねないと指摘,「数値目標を一人歩きさせてはならない」と述べた.

最後に,中川常任理事は,社会保障費,医療給付費のこれ以上の削減は,医療の質・安全性の担保が危うくなると強調.日医は,これらについて各方面に十分に理解を求め,地域医療の崩壊,医療保険制度の形骸化に結び付くような施策が行われないよう働き掛けていきたいと意欲を示した.

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日医ニュース 2006.5.5

人口減少時代の社会保障改革
小塩隆士(神戸大学大学院経済学研究科教授)

わが国の出生率の低下は著しく,近い将来,人口減少時代に突入するといわれている.そのような時代に社会保障改革はどのように行われるべきなのか,小塩隆士氏に指摘してもらった.
(なお,感想などは広報課までお寄せください)

医療や年金,介護など社会保障のあり方を議論する場合,人口減少をどこまで意識するかで主張は大きく異なってくる.現行の社会保障の財源は,かなりの程度,現役世代からの所得移転によって成り立っている.この構造は,少子化が進み,財源の担い手が少なくなると機能しにくくなる.これはよく考えると当たり前のことなのだが,ではどのようにすればよいかということになると,高齢者向けの社会保障給付を減らすしかないという話が出てくるので,なかなか良い改革案が出てこない.社会保障改革は,すべての世代を同時にハッピーにせず,どこかにしわ寄せがくる,一種の「ゼロサム・ゲーム」である.

少子化の真の要因とは?

この「ゼロサム・ゲーム」的状況から抜け出そうとして,最近では少子化対策の重要性がさまざまなところで喧伝されている.確かに,子どもの数が増えれば社会保障の財政的な問題はかなり解決する.財源を調達する層が再び厚みを増せば,高齢者向けの社会保障給付はこれまでの水準を維持できる.政府は,一昔前までは子育て支援を「産めよ殖やせよ」的発想で議論することに消極的だったが,最近では出生率の回復を目指すというスタンスを明確に打ち出している.そこまで人口減少に対する危機感が高まったということだろう.

しかし,少子化という流れは,政策で簡単に反転できるものではない.少子化の原因の多くは,結婚後ではなく,むしろ結婚前にあると考えられるからだ.実際,既婚カップルの出生力はそれほど落ちていない.結婚後十五から十九年経過した夫婦の平均的な子ども数を完結出生児数というが,その値は一九七〇年代以降約二・二でほとんど変化していない.日本の男女は,結婚すれば平均で二人の子どもをしっかり産み育てているのである.

もちろん,最近では,夫婦が産み育てる子ども数に減少の兆しが見られる.厚生労働省の「出生動向基本調査」を見ても,結婚後しばらく経過した夫婦の子ども数に,緩やかながら減少傾向が認められる.一人目の子どもは結婚後すぐに産んでも,二人目がなかなか産まれないという状況になりつつある.しかし,これは既婚カップルの出生力の低下というより,晩婚化の影響が大きい.厚労省が今年三月に公表した「出生に関する統計」によると,女性の平均初婚年齢は,二〇〇四年で二十七・八歳,第一子を産む平均年齢は二十八・九歳に達している.結婚しない若者が増え,結婚しても第一子を産む妻の年齢が三十歳近くということになると,第二子を産もうと思っても体力的な問題が出てくるだろう.とにかく若者に早く結婚してもらわないと,出生率は回復できないということになる.

社会保障改革で注意すべき点

そう考えると,児童手当の対象年齢を引き上げたり,両立支援策を充実したりしても,あまり効果はないことが容易に予想される.それらは基本的に,既婚カップル向けの政策だからだ.子育て支援の充実で,若者は果たして結婚を早めるだろうか.早めるかも知れないが,それほど大きな効果は初めから期待できない.少子化対策はむしろ,国民が安心して,子どもを産み,育てられる社会の実現のためにこそ必要なのである.また,「社会の宝」である子どもを産み育てている世帯への社会的な支援としてこそ重要なのである.出生力の回復は,もちろんそれが実現できればすばらしいが,実は少子化対策の真の目的ではない.

そう考えると,話は振り出しに戻る.人口減少という深刻な制約下で,セーフティー・ネット(安全網)としての社会保障の持続可能性を高めるにはどうすればよいか.この問題からわれわれはやはり逃れられない.筆者が望ましいと考える社会保障改革の方針は,いたって単純である.つまり,社会保障給付のうち現役層からの財源に依存している部分を,現役層が無理なく支えられる範囲に縮小するというものである.もちろん,疾病リスクや要介護状態になるリスク,所得を稼げなくなるリスクなど,社会的なリスクにさらされやすい高齢者は,できるだけ社会的に手厚い支援が必要である.しかし,そのためには財源が必要である.その財源調達のために,現役層が「こんなにたくさん負担できません」と音を上げれば元も子もない.これまでは,将来世代に負担を先送りすることもできたが,人口減少が進むと,それも難しくなる.

「現役層が無理なく支えられるように」という発想は,政府による社会保障改革でもすでにかなり顔を出している.二〇〇四年の公的年金改革では,人口動態やマクロ経済の動向に応じて年金給付の水準を調整する「マクロ経済スライド」が導入された.これは,年金制度を現役層の「身の丈」に合わせることを狙うものである.昨年十二月に発表された医療制度改革大綱でも,高齢層の医療費自己負担の引き上げなどが盛り込まれている.現行の高齢者医療は,現役層にその財源のかなりを求めているのだから,これらの改革の方向は人口減少という要因を考慮するかぎり正しい.

ただし,医療については次の二点に注意が必要である.

第一に,同じ世代内で給付と負担が完結していれば,次の世代に迷惑がかからないから,給付規模が拡大してもすぐに問題が出てくるわけではない.ただし,これは高齢層の保険料負担の引き上げや消費税率の引き上げといった,あまり人気のない改革につながる.

第二に,医療の場合は,医療サービスの効率化が全体を大きく左右する.今回の大綱でも,二〇二五年度時点で推計される八兆円の改革効果のうち,高齢層の負担引き上げによる効果は一兆円強にとどまり,残りは医療サービスの効率化に期待されている分である.人口減少の下では,供給サイドの効率化への取り組みが,医療制度の持続可能性を高める上で大きなカギを握っている.

小塩隆士(おしお たかし)
1960年京都府生まれ.東京大学教養学部卒業後,経済企画庁(現内閣府)勤務等を経て,2005年4月より現職.大阪大学博士(国際公共政策).主な著書に『人口減少時代の社会保障改革』(日本経済新聞社)『社会保障の経済学』(第三版,日本評論社)など.

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asahi.com 2006.5.19

社会保障給付費「25年度に141兆円」 厚労省見通し

厚生労働省は、今国会で審議中の医療制度改革関連法案が成立した場合の医療費抑制効果を織り込み、社会保障の給付と負担の将来見通しをまとめた。2025年度の社会保障給付費を141兆円と試算。一方、給付をまかなうための社会保険料と税負担の総額は143兆円で、国民所得に占める割合は現在の22%から25年度には26.5%になるとしている。

政府の「社会保障の在り方に関する懇談会」(座長=宮島洋・社会保障審議会年金部会長)が26日にまとめる報告書に盛り込む。今後、消費税増税など、政府の歳出・歳入改革の議論にも影響を与えそうだ。

25年度の給付費の内訳は、年金が約65兆円でもっとも多く、医療約48兆円、介護を含む福祉などが約29兆円でこれに続く。

また試算では、今回の医療制度改革のほか、少子化や経済情勢に応じて年金の給付水準を引き下げる仕組みを導入した04年の年金制度改革、05年の介護保険改革を行わなかった場合の社会保障給付費を162兆円と推計。一連の改革により21兆円の給付費抑制効果があったことを強調している。

社会保障給付費は、06年度予算ベースで90兆円(年金47兆円、医療28兆円、福祉など15兆円)で、高齢化の進展に伴い、年金、医療、介護のいずれの分野でも給付は伸びる見通しとなっているが、一連の制度改革により、25年度の給付費の伸びは制度改革を行わなかった場合の1.8倍から1.57倍に抑えられる計算だ。

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毎日新聞 2006.5.19

社会保障給付費:25年度141兆円に 06年度比6割増

厚生労働省は19日、2025年度の社会保障給付費が06年度より6割増え、141兆円に達するとの推計をまとめた。内訳は▽年金約65兆円(06年度約47兆円)▽医療約48兆円(同約27兆円)▽介護など福祉約29兆円(同約15兆円)−−で、社会保障給付費削減の論争に火をつけそうだ。

同省は04年の推計で、25年度の給付費総額を152兆円と予測していたが、国会で審議中の医療制度改革関連法案の医療給付費削減効果などを織り込んで再試算した結果、10兆円強減った。それでも、社会保障給付を受けるために国民が負担する税、保険料の総額(06年度82兆8000億円)は、25年度に143兆円に達するという。厚労省は試算を3月中に示す予定だったが、政府・与党内で将来の経済成長率の見積もりを巡る対立が続いていたため、推計できずにいた。

【吉田啓志】
毎日新聞 2006年5月19日 18時39分

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