国民皆保険 18 / 理想的な日本の保険制度資料
Posted by guideboard on 2007/10/08/Mon
神戸新聞 Web News くらしあんしん 2003.6.30
http://www.kobe-np.co.jp/kurashi/kaigo208.html
医療分野の規制緩和 石原・愛媛大教授に聞く
2003/06/30
「アメリカに倣い、競争原理の導入を」—。株式会社の病院参入や混合診療の解禁など、医療分野の規制緩和をめぐり、よく米国の例が引き合いに出される。アメリカの医療は日本のお手本になるのか。海外の事情に詳しい愛媛大学医学部の石原謙教授に聞いた。(竹内 章)
理想的な日本の保険制度/「抑制」より公費投入を
世界保健機関が治療費の平等性や施設面で各国の医療を調べたところ、日本は一位、アメリカは十五位(二〇〇〇年)。
「日本のように国民全体を対象にした公的な医療保障制度がないアメリカは、民間保険が中心。このシステムでは、保険会社が指定する医療機関以外を受診した場合、保険は適用されない」
米国医療の影の部分を切り取った映画「ジョンQ/最後の決断」(二〇〇二年・米)。加入した民間保険が安いため、わが子が移植手術を受けられない現実に直面する父親が描かれる。
「米国の民間保険は数百種類もあり、安い保険だと医師を選べないなど、医療サービスに制約がかかる。医療は社会保障ではなく、有料の民間サービスという解釈だ」
正常分娩(ぶんべん)を例にとると、日本では一週間ほど入院して三十—四十万円ほど。アメリカは百五十万円もかかり、普通の保険では出産翌日には退院しなければならない。
イギリスは家庭医(登録医)という制度をもつ。患者は初期医療を担う家庭医をあらかじめ登録し、登録医以外の診察は全額自費。専門医を紹介されても数カ月待ちという状況が社会問題になっている。
「待たずに専門医の診断を受けられるのは交通事故など緊急時のみ。自国での医療を嫌ってフランスで治療を受ける人も珍しくない。健康保険証があれば、誰でも、どこでも、何の制限もなく受診できる日本は、他国から見たら理想的といえるのだが」
三十兆円に上る国民医療費。この額をどうみるか。公的年金は四十兆円、建設投資額、いわゆる公共事業費は五十兆円。
「先進国の中で公共事業が社会保障より多いのは日本だけ。日本の公共事業費は米独仏などサミットG7の他の六カ国の合計額よりも多い。規制緩和派が唱える医療費亡国論は誤り」
日本では医療ミスが起きると、個人の資質に置き換えられがち。だが一方で、日本の医師はアメリカの医師の約八倍の外来患者を診察しているという過酷な数字がある。
「日本の医療現場は慢性的な人手不足で、これが『三時間待ちの三分診察』といった批判を呼んでいる。株式会社参入などの規制緩和は決して医療の質を高めはしない。取り組まねばならないのは、医療費抑制をやめ公費投入を増やすことだ」