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国民皆保険 13 / 不正資料 6

Posted by guideboard on 2007/10/08/Mon

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会計検査院の資料

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会計検査研究
社会保障で日本は沈まない

第4号 

社会保障で日本は沈まない   飯塚 正史

飯塚 正史(会計検査院事務総長官房総務課総括副長)
1952年生まれ。77年会計検査院へ,建設省・農林水産省・労働省・文部省・厚生省の各検査課を経て,現職。

I はじめに

昨年のことである。国民医療費が平成二年度の推計で20兆円を超えたという報道があったとき,早速大手出版社系の週刊誌Sに大きく取り上げられ,「医療費亡国は確実に近づきつつある」と喧伝された。

それからしばらくしてある雑誌に帝京大学の江見康一教授が,「社会保障で日本は沈むか」と題してS誌の記事を取り上げ論評を加えておられる。

私はこれらの記事や論評を読んで,週刊誌にはその結論において,江見教授の論文には,医療費問題に対するアプローチの方法において,それぞれ首肯しがたいという感想をもった。以下,この点について述べてみたい。断わるまでもないが,これは私個人の全くの私見である。

私は会計検査院において4年間,医療費の検査を担当した。その間全国各地の病院が提出した医療費の請求書およびその明細書(明細書とは患者毎,月毎に作られた医療費の請求書の内訳であり,これをレセプトという。)に基づいて検査を実施した。私が検査した病院数はのべで約2,400にもなる。現在日本国内には約1万の病院があるから全国でおよそ4分の1の病院の請求について調査したことになる。これを,レセプトの枚数にすると一つの病院について少なくとも100〜200枚のレセプトを調査したから全部で約30万枚ぐらいのレセプトを見たことになる。おそらく霞が関の役人の中で,私は誰よりもレセプトを見ているといえると思う。以下に記すのは,この全国の4分の1に当たる医療機関の医療費の請求の実態を実際に見た者として,その体験に基づく意見である。

従来からの日本の医療費問題の論じ方をみると,大事な視点が欠落しているように思われる。それは,医療機関に対して現在支払われている20兆円という医療費の内訳について,現状を踏まえた内容分析が欠けているという点である。

一口に20兆円の医療費と言っても,

(1) いったい医療の中のどの部分にいくらかかっているのか?診察料はいくらなのか,投薬料は,検査料は,手術料は,看護料は,……13の診療報州の種類毎に見るとそれぞれいくらなのか?

(2) 次に仮に診察料として何百億円支払っているとして,では翻って考えてそれらは本当に全額支払ってもよいものだったのであろうか?つまり,診察料の支払いの対象となった各医療機関の行為は,実際のところは,本当に診察料として支出に値するものと,そうでないものと,あるいはその中間的なものとに分かれるのではないだろうか? もしも分かれるとして,それらは具体的にはどういう態様のものなのか? そして診察料として支出に値しない部分を除くと支出に値する正しい診察料というのは一体いくらになるのか?

(3) 投薬料,検査料,看護料,処置料,運動療法料,……あるいは現金給付としての付添看護料等においても,上記2)と同様に実際になされているそれぞれの行為の種類を分析するとどうなのか? 負担すべき範囲は実際にはどこからどこまでであるべきなのか?

このような観点からの「医療費の内容に関する分析」が従来ほとんどなされていなかったのである。

こういった費用に関する内容分析が欠けていることについては,公共事業費と医療費の取扱いの相違を比較すればより明白なものとなる。西暦2000年までに公共事業費として430兆円を投資するという計画の時の事業費の内訳としては,下水道事業費,住宅・教育施設等建設費,空港・港湾建設費等に分類されており,これらが実際に投資された場合は,担当する省庁も検査院も各工事費毎の内訳にまで遡った検討をし,それを積み上げるのである。たとえば個々に支払われた住宅建設費について,その計画,設計,積算,施工の当否という多方面からの検証が多数の機関の総意によって行われているのと比べて,診察料とか投薬料とかいうような診療報酬の個々の部分に対して今までこの公共事業費と同様のレベルにおける検討がなされたことが一度としてあるであろうか。

医療費について調べようとすると統計的な数表はなぜか数限りなく出てくる。年齢別受診率,地区別受診率,疾病別分類,1件当たり医療費,1人当たり医療費,国民医療費の推移,GNPと国民医療費との割合……。しかし,こういった山のような統計的数値をいくらめくっても,20兆円という医療費の内訳とその当否に関する資料は,逆にほとんどない。なぜか? 個々の医療行為の中味が開示されていないからである。さらに開示されていない理由は,医療行為は本来極めて専門的であること,医療行為の内容の開示はプライバシー保護の見地からできないこと等であり,さらにその背後にはこの世界特有の閉鎖性があるのである。しかし,分業化,専門化はそれこそ現代社会のいたるところで見られる現象であるし,プライバシーの見地からは患者名を伏せればよいだけである。

では次にこの個々の医療費の内訳について分析したものがないということは,どういう事態をもたらしているであろうか。

研究者の方も内外のジャーナリストの方も日本の医療費についてはこれを分析したものがないということから,いきおい単なる合計値でしかない国民医療費「20兆円」という値を,所