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国民皆保険 13 / 不正資料 5

Posted by guideboard on 2007/10/08/Mon

» 国民皆保険 13 / 不正

もう一つ、続報。

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歯科医療の資料室
シンポジウム『「過剰診療・不正請求」を考える』の報告
www.geocities.co.jp/WallStreet/3939/rece03.html

シンポジウム『「過剰診療・不正請求」を考える』の報告

ご注意:以下は、患者および一般市民としての立場から、管理人が個人的に感じたことをレポートするものです。公的な議事録ではありませんので、その点をお間違えないように。当日配布された資料や、その場でとったメモをもとにして、各発言者のコメントを再現していますが、一字一句完全に再現したものではなく、各発言の主旨を尊重しながらも、実際には管理人が理解した内容として再構成したものです。また、全ての論点をカバーするものでもありません。

シンポジウムの概要
1998/4/11に、『「過剰診療・不正請求」を考える』と題したシンポジウムがあり、話を聞きに行ってきました。このシンポジウムは、『医療「抜本改革」シンポジウム』の第1回と位置づけられていて、今後もいろいろなテーマを取り上げながら、シンポジウムが続けられるようです。会場は、港区の芝青年会館ホール。入場は無料でした。

主催者について

主催は、医療団体連絡会議。こういう会議体があるのをはじめて知りました。医療団体連絡会議は、次の団体によって構成されています。
・日本生活協同組合連合会医療部会
・全国保険医団体連合会 (以下、保団連と略)
・新医協
・全日本民主医療機関連合会
・日本医療労働組合連合会
・日本患者同盟
主催者の事務局が保団連にあるため、完全な公平中立性は期待できないと思いました。また、主催者がいったいどういう団体なのかを説明する資料は配布されませんでした。司会者がごく簡単に口頭で説明しただけです。いろいろな団体で構成されているからこそ、よけいに主催者のポリシーを明確にすべきだと思います。なにしろ、主催者の構成団体である保団連の副会長がシンポジストとして出席しているのですから。

開催案内の広報について

定員200名のホールですが、かなり座席は埋まっていました。聴衆は、個人としての参加はあまり多くなく、シンポジストあるいは主催団体に関係する人や、医療関係者が多いように感じました。こうしたシンポジウムの開催を知る手段が、一般の人にはほとんどないことが影響していると思います。管理人は、「払いすぎた医療費を取り戻せ!」の発行元・メディアワークス社のホームページにて、シンポジストのひとりである勝村久司氏(同書の著者のひとり)の掲示板への書き込みによって、このシンポジウムのことを知りました。今後は、医療人や内輪だけへの開催案内では意味がないので、患者および一般個人の参加をうながすため、広報活動をもっと積極的に行ってほしいものです。

シンポジストについて

シンポジストは次の5名(50音順)でした。
・宇佐美 宏氏(歯科医師、全国保険医団体連合会副会長)
・勝村 久司氏(医療情報の公開・開示を求める市民の会事務局長)
・田辺 功氏 (朝日新聞編集委員)
・西岡 幸泰氏(専修大学経済学部教授。専攻は社会保障政策)
・橋本 巌氏 (全国社会保険診療報酬支払基金労働組合副委員長)
下の写真では、左から順に司会、宇佐美氏、勝村氏、田辺氏、西岡氏、橋本氏の順に並んでいます。厚生省からの参加がありませんでしたが、厚生省が参加すると、厚生省攻撃一色になってしまって議論が進まない恐れがありますから、これはこれでいいのかとも思います。

議事進行について

司会は、桜井氏(日本生活協同組合連合会医療部会事務局長)。13:30に司会の挨拶からはじまり、各シンポジストが約15分ずつテーマについて話をし、そのあと質疑応答。17:00に終了しました。各発言の時間配分がきちんと管理されず、また質疑応答のときにテーマと無関係な質問・意見などを受け付けてしまったために、時間延長したものの、消化不良のままで幕切れとなりました。この運営不備は、司会のイニシアチブ不足に原因があると思います。主催者の他の構成団体の手前、司会者がずけずけと物申すのが難しいのであれば、外部から司会者を招くのもいいでしょう。

シンポジストの中で、残念ながら存在感に欠けたのは西岡氏(専修大学教授)です。それは同氏の力不足というよりも、医療問題があまりにも各自にとって切実かつ密接な問題なので、学者の理論・理屈を重視するよりも、それぞれの当事者の実際・実態が重視される雰囲気が強かったからだと思います。ただ、同氏のコメントの中で、「医療保障制度は、患者と医師との信頼関係を強める方向で作用するべきである」という一節が印象に残りました。

シンポジウムのテーマ

今回のシンポジウムで最大の議題となったのは、朝日新聞などでの「医療費不正・過剰請求の報道」に関するものでした。これは、匿名証言として「医療費の不正請求が9兆円ぐらいある」と報道したもので、これに対して宇佐美氏(保団連)、橋本氏(支払基金)が保険医および支払基金としての立場から反論しました。

ちなみに、不正請求というのは、架空請求などの明らかに不正な請求のことです。過剰請求とは、過剰診療などによる法規に反する請求、あるいは法規に反する恐れの強い請求のことですが、請求事務上の単純ミス、正当な医療行為の内容・範囲に関する見解の差違なども関係しているために、非常に複雑かつ広範囲にわたる問題といえます。

「不正請求」の議論について

このシンポジウムのテーマに含まれる「不正請求」と「過剰診療」には、このように大きな差違があるのですが、これをまず指摘したのは勝村氏(市民の会)でした。同氏は「不正請求の問題は独立した問題として論じるべきであり、他の問題と絡めるなどしてはいけない。この問題は今日の大きなテーマである」と指摘しました。ただし、残念ながら「不正請求」の議論はほとんど行われず、「過剰請求」の議論のほうに大きく傾いてしまいました。

「過剰請求」の議論に傾いた雰囲気を作ったのは、宇佐美氏(保団連)だと思います。同氏は「不正請求は断じて擁護しない。過剰請求については、何をもって過剰とみなすのか、その基準が不明確であり、またいろいろな理由(ここでは省略)から必ずしも過剰ではない。朝日新聞などの報道には根拠がなく、誤解を招くものだ」と主張しました。

宇佐美氏(保団連)は不正請求を「擁護しない」としていますが、それは単なる掛け声にすぎません。掛け声だけだったということは、保団連としては、不正請求を根絶するために何の方策もとっていないものと思われます。また、同氏は過剰請求の話題にばかり議論を誘導していて、不正請求の話題を避けています。勝村氏(市民の会)が宇佐美氏(保団連)に対して「不正請求根絶のために、例えば患者が窓口で支払う際に、レセプト相当の書類を医療機関側が患者に示し、患者が内容を確認してその書類にサインするようなことを保団連として進めてくれないか」と要望するという場面があったのですが、それに対して宇佐美氏(保団連)は「勝村さんは厳しいことをおっしゃる(笑)」としてお茶を濁し、話題をそらせてしまいました。

「不正請求9兆円」報道の妥当性について

宇佐美氏(保団連)は、「不正請求9兆円」という報道への抗議とそのための説明に時間を割きました。たしかに、これは詳細かつ具体的な根拠に欠ける報道だと思います。

しかし、この抗議に対しては、田辺氏(朝日新聞)がこう反論しました。同氏は朝日新聞の科学部に属するため、当の報道には直接関わっていませんが、保団連などから抗議を受けたマスコミ側の意見を述べるために出席しています。曰く、「医療費不正請求が9兆円にのぼるという報道の具体的な根拠はないが、それを示唆する断片的な事実(ここでは省略)がいくつかある。また医療関連に30年ほど携わってきた経験からも、9兆円という数字が正確かどうかという話ではないものの、現在の薬剤費の2分の1は無駄、検査の3分の1が無駄であると感じている。さらに、医師および医療機関、そして厚生省などが情報を開示しないことも、正確な報道を阻害している」。田辺氏(朝日新聞)は、当の報道に直接携わっていないために発言の責任がそれほど重くないということがあるのでしょうが、それでも予想以上に踏み込んだ発言をしていました。

勝村氏(市民の会)も情報公開を求めました。曰く、「医療裁判を行うときには、原告である患者が立証の責任を負っている。しかし、立証しようとしても、証拠物件であるレセプトやカルテは被告である医療機関が持っている。レセプトはようやく開示されるようになったが、カルテは開示されないか、あるいは開示されても改竄されていることがある。そもそも、患者側でそれだけの証拠を入手するのが大変である。医師および医療機関の情報公開を求める」。

医師および医療機関が十分な情報公開をしていない現状では、不正請求や過剰請求の規模を算出しようにも、そもそもデータが手に入らないわけですから、厳密な根拠を示すことはできません。だから、それが9兆円なのか、そんなにないのかという議論には、あまり意味がありません。9兆円というショッキングな数字は、その背後にある問題に注目を集めるためのきっかけにすぎなかったのだと思います。たしかにこれは、スキャンダル性を求めるマスコミの体質をあらわす報道手法でもあるのですが、患者および一般市民のためになる限りにおいては、許されるべき報道手法だと思います。

支払基金の存在意義について

過剰請求の話題においては、支払基金側からのコメントもありました。橋本氏(支払基金)は「過剰請求の内訳をチェックしたところ、大半は資格関係過誤によるもの。また診療報酬制度が複雑なため、事務上の単純ミスも意外に多い。さらに、医療機関が再審査を請求できるのだが、煩雑さからその請求権を放棄している場合も少なくない」とコメントしました。

資格関係過誤というのは、たとえば被保険者が転職したりすると、保険者も変更となるのですが、その手続きをしないままに保険診療を受けた場合に「過誤」として査定されることを指します。この場合は単に事務上の手違いなので、これを過剰請求として扱うのは不適切だというわけです。これについて田辺氏(朝日新聞)が「それは保険者がばらばらであるために起こること。昔から私が提言しているように、保険者を全国で一本化すれば、そんな問題は解消される」と指摘しましたが、これに対して、橋本氏(支払基金)のコメントはありませんでした。

橋本氏(支払基金)は、支払基金側の労働組合の副委員長です。同氏は、「支払基金側にも直すべきことはある」として、労働組合としての立場で支払基金側への要望をいくつか挙げていました。しかしまた、「支払基金には存在価値があり、しかもそれは公的な存在であるべきであり、だから現在の形のまま存続させることが妥当」とも言っていました。このように、労働組合としての主張と支払基金(の経営側)としての主張とをごちゃ混ぜにした発言が気になりました。本来は、支払基金の経営側の人が出席すべきところです。

橋本氏(支払基金)は、支払基金の存在の正当性を強調しました。しかし、同氏自身が「支払基金としては、レセプトの中身まではチェックできないので、不正請求をチェックすることはできない」と言ったことを考えると、ほんとうに支払基金の存在が妥当なのかどうか疑問に思えてきます。

つまり橋本氏(支払基金)の言葉を言い換えると「支払基金は事務上の単純点検を行うだけ。不正請求を点検するような仕事はできない」ということです。付加価値のない単純な作業を、なぜ特殊法人という形でぬくぬくと行う必要があるのでしょうか。民営化してもいいし、あるいは公的に行うにしても、もっと効率的に、競争原理が働くような形で行う体制にするべきでしょう。質疑応答のときにも、支払基金に勤務する人が、「支払基金は公的機関として必要であり、これは患者のためになることだ」と橋本氏(支払基金)と同じような趣旨の発言をしていました。シンポジストと同じ所属の人が、質疑応答のときにそのシンポジストと同主旨の発言をするとは、支払基金の民営化論議・不要論議をよほど恐れているのでしょう。なぜそれが患者のためになるのか、彼らの説明はあまりにも抽象的だったと思います。

まとめ

勝村氏(市民の会)と田辺氏(朝日新聞)は、医療の情報公開が必要という点で一致していました。また、そのための指摘や提言を行いました。もちろん、彼らの発言や行動にも限界があり、あるいは誤りがあるかもしれません。しかし、患者および国民のために情報公開が必要であるという認識を、はっきりと彼らは示しました。一方、宇佐美氏(保団連)、橋本氏(支払基金)は、「患者のために」という美しく聞こえる言葉を使うものの、そのための具体的な指摘や提言を行っていません。

私たち患者および一般市民は、「患者のために」という美しい言葉に満足するのではなく、そのためにどんな具体的行動・提言をしているのかということを、注視・監視していかなければならないと感じました。

最後になりますが、シンポジウムの議事録の公開を求めたいと思います。今回の議事録が公開されるかどうか、また公開されるとしてもどのような形で公開されるのか、シンポジウムの場では全く説明がありませんでした。もしも議事録が公開されたならば、それも合わせてお読みいただきたいと思います。

以上、長くなってしまいました。読者のみなさん、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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