Guideboard

医療崩壊 / 的外れ資料

Posted by guideboard on 2007/10/08/Mon

» 医療崩壊 / 的外れ

東日新聞 2006.3.21

新城市民病院改革委が経営縮小提言 救急受け入れ制限も

新城市民病院改革委員会(委員長・長隆総務省地方公営企業経営アドバイザー)は20日午後4時から、同市民病院で第3回改革委員会を開き、最終報告書を発表した。それによると4月から産婦人科は休診、小児科は外来だけ診療、向こう1年間の救急受け入れ制限—など経営縮小を提言、市民にとっても厳しい内容になった。

しかし、全国でも初めての試みとして、不足する医師確保のためドクターヘリを医師通勤用に運用することを提言、地元医師会との協力体制を確立、院内開業も視野に改革を進めるとの新提案も。

また、経営の透明性を確保して豊橋、豊川、蒲郡市民病院、東栄病院との連携や安定した医療体制確保のため「地域医療システム改革協議会」を速やかに設置し、東三河北部医療圏の基幹病院としての役割を再構築する—とした。

医師の確保では、通勤用ヘリ利用で年間7000万円弱の予算を使うが、それほど医師確保がひっ迫していることをPRする意味もある。院内体制では「日本一働きやすい病院」を目指して改革を行う—など。

長委員長は「各自治体病院も同様に苦しんでおり、医師通勤用ヘリ導入は政府に窮状を知ってもらうのも狙い。これは、医師のアクセス改善になり、周辺公立病院にとっても不足する医師を確保できる」と全国初の試みを積極的に検討してほしいと強く要望した。

(2006-03-21)

———-

週刊新潮 2006.3.23 p. 72 – 73
あとの祭り 連載 93
渡辺淳一

データだけ見て患者を診ない

さる二月、埼玉県に住む女性が、医師の手違いで、甲状腺を摘出されるという事件が起きた。
いったい、どうしてこんなことがおきたのか、以下、理由をおってみると。

甲状腺を取り違える

この事件の舞台は、埼玉県毛呂山町にある埼玉医大病院。

ここにAさん(六十九歳)が昨年十二月、甲状腺機能低下で、甲状腺の細胞を調べる検査を受けた。

ところが同じ日に、甲状腺ガンの患者さんのBさん(七十歳)も検査を受けた。

そこで、検査技師が二人の検体を取り違えたまま、名前のラベルを貼ってしまった。

おかげでAさんはガンと診断され、二月に甲状腺を摘出する手術を受けたが、ガンは確認できず、取り違えが判明したという。

ミスに気付いた病院側は、副院長らがAさんを訪問して謝罪し、医療事故報告書を提出したという。

さらに横手病院長は、「患者さんとご家族に多大な肉体的、精神的苦痛を与えたことを深くお詫びします」とのコメントを発表した。

まったくそのとおり。なんでもない甲状腺を誤って摘出された患者さんの苦痛は、いかばかりか。

これに対して、「深くお詫びする」のありきたりな言葉だけでいいのか。

患者さん側の出方にもよるが、金銭的な賠償も考えるぺきではないか。

さらに、病院側は今後、このようなミスを絶対おこさぬよう、対策を講じるのは当然だが、はたして取りかかっているのか。

そのあたりを含めて、県や医療事故調査委員会は、徹底的に調べるべきである。

検査は大丈夫か

それにしても、このような事故はなぜおこるのか。

この場合、第一に考えられるのが、検査技師によるうっかりミスである。

本来のガンの検体のほうに「異常なし」 のラベルを、そしてなんでもない人のほうに「ガン細胞あり」 のラベルを ……

むろんそこに悪意があったとは思われないが、考えてみると怖い。

鼻歌まじりではなかったにせよ、緊張感のないまま軽い気持ちでいつものように貼りつけた。

それが、Aさんの運命を根底から変えることになってしまった。いやAさんだけでなく、Bさんの運命も変えたかもしれない。

医療事故というと、普通、医師のミスと考えるが、医師の背後には多くの檎査技師がいる。この技師の技術と判断が、患者さんの運命を握っている。

このことはあまり知られていないが、医師は検査技師からのデータを見て病名をつけ、治療方針を決めていくのである。その基本となるところが狂っていては、その先すべてが狂うことになる。

大きな病院では毎日、何百件、何千件という検体が検査されている。それはガン細胞の病理的な診断から、血液型の判定まで、まさに千差万別。

これらがすべて正確におこなわれて、さらに判定された結果がすべて正しく分けられ、ラベリングされているのか。

そのなかには乳ガンや子宮ガンの検査結果もあるかもしれない。それらがもし取り違えられたら、と思うと、怖くて病院に行けなくなる人もでてくるかもしれない。

訴訟が怖い?

今回の事件は表面だけみると、柏査技師の誤りのようである。

それを受けて、間違った検査結果が送られてきたら俺たちはそれに従うよりないではないか、とうそぶく医師もいるかもしれない。

しかし医師も責任を逃れることはできない。

なぜなら、医師は職務上、検査技師の上に位置しているからである。技師が間違ったとしても、医師はそこを統括し、監督する責任がある。

さらに、医師なら検査結果だけでなく、その患者の全身情報を熟知し、そこから判断するぺきである。

今回の事件についても、たとえ「ガン」という棉査結果がでても、まわりの状態やこれまでの検査データなどから、「本当なのか」と疑うことはできたはずである。

どうしてこんなに一気にガン細胞が増えたのか。注意深い医師なら考え、検査結果について、逆に技師に尋ねたかもしれない。

察するところ、この外科医は検査結果だけを鵜呑みにして、あっさり手術に踏み切ったのだろう。

いわゆる、最近はやりのデータばかり見て患者を診ない、データ医師だったのかもしれない。

しかし、医師の基本はまず、人を診ることである。患者さんを自分の目で診て、自分の言葉で話し、これまでの、そして現在の患者さんの様子をいろいろな点から分析する。

そのうえで、さまざまな検査データを重ねて、最後に総合的に判断する。

それさえしていれば、こんな誤りは犯さなかったはずである。

最近、外科系にすすむ医師が減りつつある、といわれている。その理由は、なにかというと訴訟をおこされ、面倒なことに巻き込まれるから、だとか。

なにを、つまらぬことをいっているのか。

訴訟が怖いという以前に、そういう問題を引き起こさぬ医師になるぺきではないか。内科なら訴訟沙汰にならないということは、内科なら間違っても隠せる、というわけか。

医学教育も、根本から改めるときにきているようである。

Leave a Reply

XHTML: You can use these tags: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <pre> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>