Guideboard

JBM / 厳罰主義

Posted by guideboard on 2007/10/06/Sat

本記事の原典は、2006 年 3 月 11 日、http://sword.txt-nifty.com/guideboard/2006/03/post_4714.html にアップされた。原典は削除された。


キーワード
医療、事故、過誤、調査、罰則、刑事、処分、逮捕、勾留、裁判、過失、立証、有罪

医療事故に対しては、まず医師を逮捕、勾留して取り調べ、起訴して裁判で医師の過失を立証して刑に処す。これが日本の司法、厚生行政のやり方である。

医療の過程で、時々刻々と変化する患者を前にして、医師は常にベストを尽くそうとする。患者を殺してしまおう、患者の不幸なんてどうでもいい、などと考えて医療に携わる医師はいないであろう。しかし医療は、個々の事例において一つとして同じケースはなく、同じ疾患でも多様で、一定の結果を保証することはできない。

結果を見て、後から考えて、あのときこうしていればもっとよい結果になったかもしれない、ならば次はどうすればいいか、と考えるのである。

そういう事例を集積して分析するのが科学としての医学である。こういう手続きを積み重ねることで、医学は人類に福音をもたらしてきた。

ところが、同じように結果を見て、後から考えて、あのときこうしていればもっとよい結果になったかもしれない、ならばそこに過失があったはずだ、過失があるなら刑に処す、と考えるのが司法らしい。

厚生労働省は、法務省 ( 裁判所、検察 ) と手を組んだか、昨年、医師厳罰主義を打ち出してきた。以前の記事「安全のためには」で触れたが、特定の分野のプロのみがなし得る分野に厳罰主義を取り入れたなら、最も被害を被るのは、パイロットの場合の乗客、医師の場合の患者である。

厚生労働省が考えている「医療事故調査委員会」は、諸外国での同様の調査機関や航空機事故調査委員会のような、真相究明と再発防止のためのものではない。日本の航空機鉄道事故調査委員会とて、警察の捜査の後を追っているだけである。

日本のお役人様がお考えになられることは、誰かに罪を着せてトカゲのしっぽを切る、といった程度のものなのだ。

厚生労働省は 2002 年ごろには既にこの考えを抱いていたらしい。診療報酬本体が史上初めてカットされた年だった。2003 年には、日医と厚生労働省とで、事故報告の範囲について、一応の調整は行った。しかし 2005 年になって、急に医師法改正と医師厳罰主義を鮮明にした。

現在開かれている ( 2006 春 ) 国会での法改正を目指すといい、それとともに福島県での医師逮捕である。

なるほど、いろいろな事例の背景がつながる。

Japan Press Net 2003.8.5
事故報告範囲検討委の検討内容で確認書

読売新聞 2005.7.16
医療事故を強制調査、医師を迅速処分 … 厚労省、法改正へ
事情聴取・立ち入り権限

毎日新聞東京朝刊 2006.3.11
医療事故:再発防止、病院の強制調査も
医師法改正、行政処分を強化 — 厚労省方針

参考資料

JBM / 厳罰主義資料

Leave a Reply

Fill in your details below or click an icon to log in:

WordPress.com Logo

You are commenting using your WordPress.com account. Log Out / Change )

Twitter picture

You are commenting using your Twitter account. Log Out / Change )

Facebook photo

You are commenting using your Facebook account. Log Out / Change )

Connecting to %s

 
Follow

Get every new post delivered to your Inbox.