JBM / 厳罰主義 2
Posted by guideboard on 2007/10/06/Sat
本記事の原典は、2006 年 3 月 17 日、http://sword.txt-nifty.com/guideboard/2006/03/_2_e1cb.html にアップされた。原典は削除された。
キーワード
医療、事故、過誤、調査、送検、罰則、刑事、処分、逮捕、勾留、起訴、裁判、過失、立証、有罪、免責
医師厳罰主義は世の中の流れ。日本人は、望んでか望まずしてか、自らの生命、健康を脅かしつつあるのだ。
小学館 子育ての医学情報の医療過誤に対する警察の積極的な踏み込みへの期待より
警察庁は、2004年度予算で、医療過誤事件の専従捜査員の増員要求などを図ることなどを検討しており、医療過誤に積極的に踏み込む姿勢を見せています。これは、非常に価値のある挑戦といえます。そして、私たち一般市民も、周辺で見聞きする事例の中に医療過誤がないか、注意深く見守る必要があります。医療を医師だけに任せていれば、医療過誤による犠牲者は後を絶たず、事件のもみ消しも、これまでどおり横行するからです。
政府は、法改正を進めつつ、並行して国策で医師の業務上の過失の摘発を進め、マスコミに報道させる。
慈恵医大青戸病院事件の未熟で無謀な手術、これには医師はだれも庇う声を上げない。今回の産婦人科医不当逮捕事件にはこれだけの反響が起こる。その違いは何か。
多分、ほとんどの医師は、いついかなるときも最善を尽くそうと努力する。
- 通常の業務中は当然である。
- 疲れているときは当然能力が落ちているが、それでも努力する。夜間救急で病院に受診したとき、疲れて不機嫌な医師が出てくるのは当たり前だ。それでもその医師は患者の命を軽んじたりはしない。
- 僻地で設備人員が乏しければ、乏しいなりに努力する。
- しかし、その結果は千差万別、一人として同じ状態で、同じ結果が得られることはない。
- その結果だけをあとからとらえて、最善でなかったから過失がある、と刑事訴追されたら、医療はどうなるか。
不幸な結果を検討して次に活かそう、再発を防止しようと思っても、
- 事故調査で真実が語られることは少なくなる。
- 裁判で得られた検討は、科学的検証として現場の医療に還元されることは少ない。
- 危険性を下げる努力は、医療行為の範囲を狭め、レベルを下げる方へ向く。
結果として、医療事故は隠蔽され、再発は防止されず、医学医療のレベルが向上することにつながらない。リスクの高い医療行為が行われる現場から医師はいなくなる。リスクとは、僻地、夜間時間外休日、救急、産科、小児科など、現在、既に医師が離れていったところだけではない。一般の外科、消化器内視鏡など、ありふれた医療の分野でも医師は離れつつある。高度先進医療や先端分野でも、外科系からいなくなりつつある ( 自分自身がそうだった )。
誰が好き好んで危険で報われないことをするだろうか。世のため人のためと頑張っても、いつか燃え尽きてしまう。
どうすれば安全で質のいい医療を、あまねく受けることができるようになるか。医療の不幸な結果を次に活かすためにはどうすればいいか。その答えを言葉で表せば、二言三言で済む。それを実現させるのは、今の日本では限りなく不可能に近いだろう。
今回の産婦人科医不当逮捕事件を契機に、国民や、政治家、マスコミがそれに気づいてくれたらと、淡い望みを抱いている。
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2001 年 4 月、東京地裁に 4 ヶ部、大阪地裁に 2 ヶ部の医療訴訟集中部が発足した。東京地検には、医療過誤を起こした医師は全員逮捕してやると発言している有名な検事がいるらしい。
民事だけでなく、さらに刑事でも責められたら、医師はどう行動するか、自明だろう。
参考資料