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JBM / 安全のためには 1 / 航空機事故調査委員会資料

Posted by guideboard on 2007/10/06/Sat

JBM / 安全のためには 1 / 航空機事故調査委員会

スポニチ 2001.2.3

ニアミス 管制官が単純ミス認める

おわびの一礼をし会見を終える日航首脳陣(右端は兼子勲社長)

日航機2機が異常接近し、羽田発那覇行き907便の計42人が重軽傷を負ったニアミス事故で2日、担当した男性管制官(26) が国土交通省の調査に対し、「降下させるべき958便に指示を出そうとして“907”と言い間違えた」と自身のミスを認めた。教官役の女性管制官(31)もこのミスに気付いていなかった。また警視庁はこの日、907便の渡辺誠機長(40)ら操縦室の乗員4人から、事故後初めて本格的に事情聴取を行った。

東京航空交通管制部(埼玉県所沢市)の訓練中の男性管制官は2日、「958便に対して降下を指示するところを“907”と呼び間違えた」と単純ともいえるミスを認めた。

この結果、上昇中の907便ジャンボ機が降下を開始したため両機が急接近。そのミスに気付かなかった女性管制官(32)がさらに便名を間違えるなどミスを重ね「約10メートル」(渡辺機長)で交差する事故が起きた。国土交通省航空局は「男性管制官の言い間違いがなければ、今回の事態は起きなかった」と深刻に受け止め、警視庁と千葉県警の合同捜査本部は、両管制官から近く事情聴取する。

男性管制官が便名を取り違えて指示を行ったのは、1月31日午後3時54分25秒。当時907便は上昇しながら西から南西に針路を変え、958便は東向きに水平飛行。高度は両機とも約1万1280フィートだった。

管制卓で接近警報が作動したため、男性管制官は958便の高度を下げて危険を回避しようとしたが、「907便、3万5000フィート(1万700メートル)に降下を」と言い間違った。同便から「907便、降下します」と返答があったのにも気付かず、958便に針路変更を指示。両機は次第に接近し、機長の判断で衝突の危機を回避した。

一方、警視庁は事故から3日目のこの日、約3時間にわたり渡辺機長への本格的な事情聴取を行った。聴取を受けたのは機長のほか副操縦士、訓練生2人で、操縦室にいた4人全員。3日には渡辺機長らに立ち会いを求め、事故機を再検証する予定。

問題の交信部分
1月31日の日航機ニアミス事故で、東京航空交通管制部が便名を間違えて交信した部分は次の通り。

【午後3時54分25秒】
訓練の男性管制官(958便のつもりで)907便、3万5000フィートに降下してください。関連(接近)航空機があります。今すぐ降下を開始してください。
907便 こちら907便。3万5000フィートに降下します。 関連航空機は既に視認しています。
男性管制官 958便、間隔設定のため、磁針路130度(南東寄り)の方向へ飛行してください。
(応答なし)
男性管制官 958便、間隔設定のため、磁針路140度(南東寄り)の方向へ飛行してください。
(応答なし)

【午後3時54分55秒】
教官の女性管制官(958便のつもりで)957便、今すぐ降下を開始してください。
(応答なし)
女性管制官 907便、3万9000フィートに上昇してください。
(応答なし)

【午後3時55分21秒】
907便 東京管制部、航空機衝突防止装置が作動しました。今降下を開始します。あー、再び上昇します。

【午後3時55分28秒】
女性管制官(907便のつもりで)908便、了解しました。
907便 こちら907便、関連航空機は解消しました。
女性管制官 907便、了解しました。

【午後3時55分58秒】
958便 東京管制部、こちら958便、今3万7000フィートまで上昇中です。航空機衝突防止装置が作動しています。3万7000フィートを飛行中に、当該装置により降下の指示が出ました。左方向からのボーイング747型機が降下したことを視認しました。そのためこちらは3万7000フィートへ上昇します。現在3万5500フィートを通過しました。

【午後3時56分18秒】
女性管制官(958便のつもりで)908便、了解しました。

▼鍛治壮一さん(航空評論家)
たったひと言の単純なミスがこれだけの大事故に発展してしまう航空管制の難しさと怖さを露呈している。恐らく状況の深刻さを理解する間もなく、瞬く間に2機が急接近してしまったのではないか。再発防止のためにも決して個人の責任だけで終わらせてほしくない。

▼諸星広夫さん(元日航機長)
自分も乗務中に管制官の誤った指示を受けた経験があるが、すぐに訂正されて事なきを得た。今回のケースも、すぐ取り消していればニアミスは防げた。どんなハイテクなレーダーを使っても最後は人間が判断する。パイロットと管制官はまさに人間同士の世界であり、1人が単純ミスを犯さぬよう、複数で判断するなどバックアップの重要性が再認識されると思う。

機長聴取、なぜ遅れた?

警視庁の渡辺機長への聴取が2日にずれ込んだ背景には、会社と組合の対立構造や、刑事責任追及を優先しがちな捜査当局の姿勢などがある。

日航は事故当日の記者会見で「機長の聴取がまだで、事実関係が把握できない」と繰り返し「機長らの所在が確認できない」としていた。一方「日本航空機長組合」は「聴取を拒否した事実はない」と主張。907便が羽田空港に到着直後、警視庁の捜査員が操縦室内に入り、事情聴取したことについても「けが人の搬送も済んでないうちに捜査員が機長を拘束した。やり方が強引だったので組合として弁護士に相談した」と説明した。

機長側が慎重になるのは、1997年6月に三重県上空で日航機が激しく揺れ、乗務員ら12人が死傷した事故で、愛知県警が機長を業務上過失致傷の疑いで書類送検する方針を固めている状況が影響しているという。

日航社長「責任痛感」

日航機同士のニアミス事故で2日午前、同社の兼子勲社長は事故後初めて記者会見し、事故原因や機長らの責任について「関係機関が調査中」として直接触れなかったが「機長らは結果としてけが人を出してしまったことに責任を痛感している」と語った。

当初、会社による機長らの聴取をめぐり混乱したことについて兼子社長は「警察が操縦室に入った後、さらに警察署への同行を機長に求めたため、機長が組合に相談した。組合が警察との交渉を弁護士を通すことにしたので、会社の聴取も同様に行えないものと勘違いしてしまった」などと述べた。

また事故後、機長が会社よりも組合を頼る結果となったことに「会社も機長を守るつもりだが、どちらを選ぶかは本人の判断」「組合とは通常から意思疎通を図っている」と繰り返した。一方、航空路を担当していた管制官や機長の責任などについては「まだ航空事故調査委員会で調査中なのでコメントは控えたい」とした。

≪「言い間違いが原因」≫
「言い間違いがなければ、今回のようなこと(ニアミス事故)は起こらなかったと思う」日航機同士のニアミス事故で、事故機の管制にあたっていた訓練中の管制官が指示ミスを認めたことについて、国土交通省の淡路均管制保安部長と平井整治管制課長は2日午後、省内で記者会見し、苦渋の表情でこう語った。管制官はニアミスした日航機に指示する際、便名を間違えていたが、淡路部長らは「教官役の女性管制官も言い間違いに気付いていなかった」「いつミスに気付いたかについては明確には把握していない」などと説明した。

≪石原知事「横田基地に問題」≫
石原慎太郎東京都知事は2日の会見で、日航機同士のニアミス事故に触れ「(在日米軍)横田基地の空港に対する航空管制のイニシアチブを日本がしっかり持つべきだとの認識を新たにした」と述べた。同知事は「横田基地は羽田以上の管制区域を占めている。みだりにそこに入ることができない。遠慮して飛ばざるを得ない制約があり、非常に狭い、限られた空域に頻繁に飛行機が行き交う状況をつくっている」と語った。さらに知事は「日本の空を飛びながら実は自在に飛べない状況が、目には見えにくいけれども、あるということを国民として知っておいていただきたい」と話した。

≪バンコク便が緊急着陸≫
2日午後0時55分ごろ、鹿児島市沖の上空を飛行中の成田発バンコク行き日本航空717便ジャンボ機(乗客乗員386人)から「乗客に急病人が出た」と関西空港事務所に緊急着陸の要請があった。717便は同1時38分、関西空港に着陸。急病人を降ろし、約1時間後に再びバンコクに向けて出発した。ほかの便に影響はなかった。急病になったのは米国人の女性(75)で、持病のぜんそくで呼吸困難に陥ったという。

≪フラップの一部脱落≫
2日午後4時56分ごろ、成田空港に到着したホノルル発日航73便ジャンボ機の左主翼の前縁フラップの一部(縦横約20センチ)がはがれ落ちているのを、点検していた整備士が見つけ、新東京国際空港公団に連絡した。同公団は着陸時に滑走路上に落とした可能性もあるとして午後6時から約6分間、滑走路を閉鎖して点検したが見つからなかった。なくなったのは主翼の前の部分に装着してあるリーディング・エッジ・フラップと呼ばれる部品の一部。着陸時などに失速を防ぐため使う装置で、飛行中に脱落したとみられ、日航が原因を調べている。

———-

日航機ニアミス事故から考える
飛行機事故の心理学
ヒューマンエラーと失敗の心理
〜人が原因、でも人を責めない〜

http://www.n-seiryo.ac.jp/~usui/news/2001/jal.html

事故の60〜80%は、人間のミスによって起る。
航空機事故の70%以上はヒューマン・エラー(人間のミス)だが、人間を事故の原因と考えても、事故は減らない

人は誰でも間違える。しかし間違いによる事故は防げる。

2001.1.31、日航機ジャンボジェットと、DC10が、ニアミス事故。あわやの大事故。わずか10メートルの差との報道も。管制官のミスか?

今回の事故は、管制官の混乱や両機の問題(管制官や空中衝突防止装置の指示に従わなかった? あるいは聞こえなかった?)といったことが「複合的に絡み合い」事故につながったようです(2.2現在の航空事故調査委員会の考え)。

たいていの事故は、いくつかの不幸な出来事(偶然)がかさなって、発生します。今回は特に、機械の故障ではなく、管制官のミス(ヒューマンエラー:人間の失敗)が注目されています。

人間はミスを犯します。飛行機事故についていえば、技術の進歩により、1950年代以降、飛行機事故はずっと減少してきました。次々とハイテク技術が取り入れられています。

しかしそれにも関らず、1970年代以降、飛行機事故はあまり減っていません。その中で、機械ではなく人間の失敗(ヒューマンエラー)を重視する考えが出てきました。

ヒューマンエラー

人間は失敗します。いろいろな失敗をします。心理学的に分類すると、
・オミッション・エラー(実行すべき行為をしない)
・コミッション・エラー(実行したが正しく行わない)
・入力エラー(聞き間違い、見間違いなど)
・媒介エラー(判断や記憶の間違いなど)
・出力エラー(言い間違い、ボタンの押し間違いなど)
・スリップ(意図していないことをしてしまった失敗)
・ミステイク( 目標形成、意図自体の失敗)
などに分類することができます(有斐閣『心理学辞典』)。

さて、事故の原因がヒューマンエラーだとしたら、世間はその人を責めるでしょう。しかし、繰り返しますが、人間は誰でもミスを犯すのです。その人だけに責任を押し付けても、今後の事故防止にはつながりません。

ヒューマンエラーは、「原因でなく結果であると位置づけることが重要」(有斐閣『心理学辞典』)なのです。

なぜ、そのような「結果」になってしまったのか、計器の形が悪いのか、オーバーワークだったのか、マニュアルが悪かったのか、人間関係に問題があったのかなど、様々な原因を考える必要があるのです。

人間としての長所と短所

人間は間違える存在だとするならば、それならば間違えない機械に全てやらせようという考えも出てくるでしょう。しかし、機械は故障する存在です。また、航空機の運行や原発などの巨大システムは、人と機械とさまざまな要因がひとつとなって動いています。

機械のミスを人間がフォローすることもあります。人間の直感力や、豊富な経験によって事故を防げることもあるのです。

人間の良さを発揮するためには、人間同士が協力しあわなければなりません。

事故と人間関係

ハイテク機の中で、人間関係という古くて新しい問題が原因となって事故が発生することもあります。
1982年の日本航空羽田沖墜落事故では、精神の異常を来していた機長が、着陸寸前に逆噴射してしまったための事故でした。機長の様子がおかしいことに、社内の人々は気づいていたようです。しかし、事故が発生するまで、適切な処置はなされませんでした。

1994年の名古屋空港中華航空機墜落事故では、着陸時に使われた最新型の自動操縦装置への不完熟と、機長、副機長間の勘違い(コミュニケーション不足?)が原因と考えられます(誤操作しやすい装置だったとの指摘もされました)。

航空機事故史上最大の事故は、2機のジャンボジェットが飛行場で衝突して起りました。JASのホームページの解説によると、事故の大きな原因のひとつが、「機関士の忠告を聞かなかった機長」だとしています。

どんな機長が良い機長?

機長と副機長を操縦シミュレーションにいれます。故障や悪天候の中、どんな機長なら飛行機を墜落させないかという実験です。

実験の結果、まず機長がきちんと指示を出すことの必要性がわかりました。ベテランである機長は、権威を持って、はっきりと指示を出さなくてはなりません。

しかし、同時にわかったことは、権威的すぎる機長も、緊急時には飛行機を墜落させてしまいということです。どんなに経験豊富で、有能な機長でも、ひとりの能力には限界があります。

人間ですから、誤りを犯すことはあります。

そんなとき、副機長の役割が重要です。しかし、機長があまりにも権威的すぎると、副機長はものが言えないのです。言っても、聞いてくれないのでは仕方ありません。

リーダーに権威は必要です。しかし、権威的すぎてはいけないのです。

アメリカの例

第二次世界大戦まで、軍用飛行機事故の原因はパイロット個人にあり、「安全第一」を心がけさせることが大切だとされていました。しかし、後に人間工学を応用したコクピットの改良や、人的要因を重視するプログラムが開始されています。

1970年代にアメリカ国内のジェット便での死亡リスクは、200万分の1でした。それが、1990年代には800万分の1にまで下がっています。

軍用機の成功例をもとに、民間航空会社もさまざまなプログラムを開発しています。1981年、ユナイテッド国空は人間のミスによる事故を防ぐためにCRM(Crew Resource Management)プログラムを始めました。

日本でも:CRM

日本の航空各社も同様の活動をしています。JASでは、1986年から取り入れ、JAS CRMを展開しています。同社のホームページにくわしいかいせつがあります(「JAC CRM 安全運行にかける男たち」)。日本航空にも1986年からCRMプログラムが開始されています。

飛行機が安全に飛ぶためには、パイロットやコクピットの中の人間だけではなく、飛行機に関る全てに人たちの力と協力が必要です。スタッフには、知識や技術が求められますが、それだけではなく、互いの人間関係を良くし、チーム全体の能力を向上させるためのトレーニングがCRMなのです。

———-

日本航空機長組合

http://www.jalcrew.jp/jca/accident/907-958/907_souken_kenkai.htm

2003年5月9日

日航907便事故関係者の書類送検に際して(見解)

はじめに、日本航空機長組合は、2001年1月31日に発生した日航907便のニアミス事故で負傷された方々には改めてお見舞い申し上げますと共に、今後も安全運航の維持・向上に邁進する決意であることを表明します。
5月7日、警視庁は、日航907便のニアミス事故に関し、管制官2名と機長1名を業務上過失傷害罪等の容疑で書類送検しました。

本件907便事故について、機長は最善を尽くし、衝突という最悪の事態を回避しました。JALの兼子社長(当時)も同様の認識を示しており、この点について、警視庁等の理解を得られなかった点は残念であり、書類送検されたことは極めて遺憾と言わざるを得ません。

航空・鉄道事故調査委員会が2002年7月12日に公表した「報告書」は、その冒頭に「本報告書の調査は、(中略)・・・事故の責任を問うために行われたものではない」と明記されている通り、国内法は勿論、国際民間航空条約(添付資料‐1)の同様の趣旨に基づいて作成されたものです。私たちは、IFALPA(国際定期操縦士会:約10万人)等と共に政府に対し、この条約の遵守を働きかけて来ましたが、警視庁等の捜査においては条約に反し「報告書」を利用した取調べが行われました。事故報告書の間違った利用は、直ちに改めるよう求めるものです。

事故調査委員会は、最終報告書をまとめるにあたり、2002年1月、意見聴取会を開催しましたが、その直前、今回の書類送検でポイントとされた項目について、組合が日航内乗員に対して行ったアンケート(添付資料-2)では、航空管制の指示とTCAS RAの指示が異なった場合の対処を示す明確な規程について、99%の乗員は知らなかったと回答しています。更に、高高度におけるエンジンの加速性の理解についても、アンケートの回答は警視庁の考える「予見性」とは異なる考えを示しています。私たち大多数の乗員は、907便の機長の判断・操作について「自分も同様の操作をしただろう」、「これで刑事責任を追及されるとなれば、今後の安全阻害要因になる」と考えています。

このような状況の中で、機長を初めとする関係者の刑事責任が追及されるのであれば、今後、運航の現場に心理的な悪影響を及ぼし、一瞬の判断が必要な緊急事態において、それを躊躇させ運航の安全に致命的な問題を惹起しかねないことを憂慮するものです。

今後、私たちは検察に於いて不起訴処分とされるよう全力で取り組む所存であります。広く利用者、国民の皆さまのご理解とご支援をお願い致します。

以上

日本航空機長組合

(資料−1)
国際民間航空条約 第13付属書(関連規定の抜粋)
調査の目的

3.1 事故またはインシデント調査の唯一の目的は、将来の事故またはインシデントの防止である。罪や責任を課するのが調査の目的ではない。
調査実施国の責任

5.4.1 勧告−罪や責任を課すためのいかなる司法上または行政上の手続きも、本付属書の規定に基づく調査とは分離されるべきである。
記録の非開示

5.12国の適切な司法当局が、記録の開示が当該調査または将来の調査に及ぼす国内的および国際的悪影響よりも重要であると決定した場合でなければ、調査実施国は、次の記録を事故またはインシデント調査以外の目的に利用してはならない。
a)事故調査当局が調査の過程で入手したすべての口述
b)航空機の運航に関与した者のすべての交信
c)事故またはインシデントに関係ある人の医学的または個人的情報
d)コックピット・ボイス・レコーダに記録された音声およびその読み取り記録
e)フライト・レコーダの情報を含めて情報の解析において述べられた意見

5.12.1これらの記録を最終報告書またはその付録に含めるのは、事故またはインシデントの解析に関係のある時のみでなければならない。解析に関係のない部分の記録は、これを開示してはならない。

注 事故またはインシデント調査の間に面接した者から自発的に提供されたものを含む上記の記録に含まれる情報は、その後の懲罰、民事、行政および刑事上の処分に不適切に利用される可能性がある。もしこのような情報が流布されると、それは将来、調査官に対して包み隠さず明らかにされるということがなくなるかもしれない。このような情報を入手できなくなると、調査の過程に支障を来し、航空の安全に著しい影響を及ぼすことになる。

(資料—2)
緊急アンケート集計結果(対象:日航内運航乗務員)
回答総数390部(2002年1月16日現在)
1. あなたは、RA発生時にTCAS表示上の脅威機シンボルマークに示される、相手機の上下の動きを示す矢印を、回避の参考にしますか。
[a.する b.回避操作中には見えないと思う c.分らない]
回答: a. 88(22.6%) b. 245(62.8%) c.52(13.3%)
*しない 7(1.8%)
2. 37000ftでのエンジンの追従性の検証として、事故調はシミュレーターを使って実験を行いましたが、アイドルから上昇推力まで約10秒であり、907便もTCASが RAを指示した後で上昇操作をすれば問題なく回避できたとの実験結果をグラフで示しています。高高度でのエンジン加速性とTCAS回避をどのようにお考えですか。
[a. TCAS回避時、10秒間のENG加速を待って操作する b. ENGの加速が遅いことも考慮して回避する c. 分らない]
回答: a. 10(2.6%) b. 189(48.5%) c. 176(45.1%)
3. 国際民間航空条約第10付属書の内容を、知らされていましたか。
[a.はい b.いいえ]
回答: a. 5(1.3%) b. 385(98.7%)
4. FAAアドバイザリーの内容を、知らされていましたか。
[a.はい b.いいえ]
回答: a. 1(0.3%) b. 388(99.5%)

(資料‐3)
日航機ニアミス事故(907便事故)報告書公表・行政指導について
機長組合見解
2002年8月29日
2001年1月31日に発生した日航機ニアミス事故(907便事故)の事故調査報告書が航空・鉄道事故調査委員会から7月12日に発表されました。本件事故で負傷された方々には改めてお見舞い申し上げます。
この報告書は、200ページを超える膨大なものであり、詳細な分析は今後、日乗連と共に進める予定ですが、現時点における見解を表明するものです。本来、事故調査の目的は、国際民間航空条約にもある通り「真の原因調査とそれに基づく再発防止」にありますが、今回の報告書は「犯人探し」の色合いが濃く、将来の航空安全と再発防止の視点から、以下の点を指摘せざるを得ません。

1. 事実認定について
管制指示⇒ 機長の操作⇒ RA発生⇒ 目視による降下継続の判断、と言う流れが、機長など乗員の証言と異なる。生存している乗員の証言を理由も示さず無視したこれらの時系列は作為的であり、当該乗員が「絶対にそう認識していない」という流れを、一方的に「事実」として認定したことは容認できない。また、その認定に基づいて導き出された推定原因も認められない部分が多い。

2. 航空交通管制体制の改善が急務
衝突コースに入るような管制承認が発出された原因を調査分析し、空域の問題等を含め、その対策と改善に関わる勧告が望まれる。また、万一衝突コースに入るような管制承認が発出された場合であっても、ニアミス回避のため十分な時間的余裕をもった管制指示により対処できるような航空交通管制体制の改善が急務である。

3. TCAS RAに頼る安全論議は筋違い
TCAS RAによる衝突回避は、最後の砦と考えるべきであり、安全確保はTCAS RAの発生を如何に防止するか論議されるべきである。また、現在のTCASは、その性能や信頼性の上で限界があり、またEMI等が関係していると思われる「真偽を疑う回避指示」などが日常的に発生する事を多くのパイロットが経験している。万一、RA指示に機械的に従うとすれば、それは新たな事故を招く危険性がある。従って、「最終的対応はパイロット判断に委ねる」との原則は変更すべきでない。

4. 法的整備・整合が急務
現行のTCAS運用を正式に導入する際、外国では周知されている「RAとの逆操作」の危険性につき、行政当局は情報を知り得たにもかかわらず、その周知を怠たり法的整備もなされていない。この実態を放置すべきでない。例えば、航空法施行規則第180条、181条、186条の進路権とTCASによる回避、また、管制指示とTCAS RAが異なる場合の対応などについて、現行法の整合は早急に必要である。
乗員は最善を尽くしており、その操作や判断は賞賛されることがあっても、如何なる処分もなされるべきではない。7月31日、国土交通省は当該事故の機長と副操縦士を航空局乗員課に呼び出し、機長には文書による「注意」を、操縦士には口頭注意の行政指導を行い、また8月6日に予定されていた機長の乗務復帰のための路線審査日程を取り消した。機長組合はこのような当局の対応に断固抗議する。
乗員の資格審査を司る当局が本件に対してこのような対応をすると、乗員に無言の圧力を与え、今後、運航現場における緊迫した危険回避が必要な局面で判断を躊躇させ、ひいては民間航空の安全運航に悪影響を及ぼす恐れがある。
本件に関しては、当局の責任が全く論議されていない。TCAS導入に際して進路権等に関する法的整備を怠り、規程の整合や管制現場での十分な対応準備を怠ったのは国土交通省自身である。その反省もなく、現場で必死に対応した乗員に「指導」を行なう資格があるのか。行政の怠慢は広く国民的な批判を受けるべきであろう。

5.刑事訴追があってはならない
日本も批准している国際民間航空条約の付属書には「事故調査に使用した各種データ等を事故調査以外の目的に使用してはならない」と規定されている。しかしながら、1997年6月8日に発生した日本航空706便事故の機長は、実質的に運輸省(当時)事故調査委員会が1999年12月に公表した問題の多い事故調査報告書を基にして2002年5月に起訴された。この事は、同条約の付属書に抵触するものであり、私達は、日航機ニアミス事故(907便事故)について、検察がこの様な暴挙を二度と繰り返えさないよう求める。

日本航空機長組合

One Response to “JBM / 安全のためには 1 / 航空機事故調査委員会資料”

  1. bamboo said

    >日本も批准している国際民間航空条約の付属書には「事故調査に使用した各種データ等を事故調査以外の目的に使用してはならない」と規定されている

    条約があり、批准していても無視して起訴するのですから、何もない医療では起訴し放題でしょうね。第3次試案を通すわけには行きません。まずは刑法改正が必要ですね。

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