小泉改革 12 / 失われた 6 年資料
Posted by guideboard on 2007/09/28/Fri
朝日新聞 2006.10.8
年72万円の負担増 「小泉政権の6年間」政府が試算
お年寄り世帯の税や社会保障の負担は小泉政権発足以降どう変わったのか、政府が試算した内容が明らかになった。年収300万円前後の夫婦世帯で、夫が特別養護老人ホーム(特養)や長期入院の療養病床に入っている場合、07年度の負担額は01年度より年に約60万〜70万円も増える。高齢者向け控除を縮小した税制改革と、介護・医療保険の改革による「二重の負担増」が原因だ。一連の小泉改革で高齢者の暮らしが圧迫されている実態を、政府自らのデータが裏付けたかたちだ。(太田啓之)
試算は、臨時国会での質疑に対応するための資料として、厚生労働省と財務省が作成した。
(1)夫婦とも基礎年金(国民年金)だけで年収158万円の世帯(2)厚生年金と基礎年金合わせて279万円の標準的なモデル年金世帯(3)年収304万円世帯(4)年収379万円世帯−を想定。税や社会保険料負担だけのケースのほか、それに夫が特養に入所した場合と、夫が長期入院した場合の負担を加えたケースも試算した。小泉政権時代の制度改正が一段落する07年度を01年度と比べ、両年度の収入は同じとした。
それによると、(1)は介護・医療保険の改革で低所得者の負担軽減措置がとられたため唯一負担が減った。(2)は介護・医療保険料だけなら負担増は年4万円だが、夫が特養や療養病床に入っている場合は、居住費や食費が自己負担になり一気に20万円以上増える。
もっと深刻なのは、(2)より年収が25万円多いだけの(3)の世帯だ。01年度の所得税や住民税はゼロだったが、07年度は各種の控除の縮小、廃止で税金を負担するようになった。住民税が非課税の世帯は特養などの自己負担が軽減されるが、この対象から外れるため、特養の自己負担は49万円、療養病床は64万円の増。保険料や税の支払いも合わせると年57万〜72万円の負担増となる。
(4)の世帯では、税控除の縮小や定率減税の廃止で、税や保険料の負担だけで年18万円増える。
政府は05年1月、「税制で高齢者を優遇しすぎ」との理由で50万円の老年者控除を廃止、公的年金控除を140万円から120万円に縮小。同年10月からは「自宅で療養、介護している人とのバランスをとる必要がある」として、特養など介護施設の食住費徴収を開始。06年10月には療養病床もこれに続いた。
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高齢者世帯の税や社会保障の負担の変化 ( 01 年度 → 07 年度、単位は円 )
(1) 年収 158 万 / (2) 年収 279 万 / (3) 年収 304 万 / (4) 年収 379 万
税・保険料負担のみ 9 万 ↓ 8 万 / 12 万 ↑ 16 万 / 15 万 ↑ 24 万 / 25 万 ↑ 43 万
夫が特別養護老人ホームに入所 56 万 ↓ 52 万 / 59 万 ↑ 81 万 / 63 万 ↑ 120 万 / 92 万 ↑ 140 万
夫が療養病床に入院 56 万 ↓ 52 万 / 59 万 ↑ 80 万 / 63 万 ↑ 135 万 / 98 万 ↑ 155 万
厚労省、財務省調べ。いずれも、ともに 65 歳以上の夫婦のみのケース。妻は基礎年金だけを受給。介護、医療の保険料は全国の平均的な額
( 原典の表では増額を示す右上矢印なのを ↑ で、減額を示す右下矢印なのを ↓ で、実体参照で表記する。 )
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◆財源確保避けた
慶応大商学部・権丈善一教授(社会保障論)の話
介護と医療は本来「必要に応じて所得に関係なく誰もが利用できる共有地のようなサービス」であることが望ましい。それなのに今は、心身に問題が生じていざ特養や療養病床を利用するときに高額の自己負担を要求される。これでは「保険」の名に値しない。小泉政権は社会保障のサービス充実に必要な財源を消費税率や保険料の引き上げで確保することを避け、逆に高齢者の自己負担増を進めてきた。その当然の帰結であり、前政権を支持した国民はそれを選択したとも言える。