高知医療センター PFI 7 / 失敗資料
Posted by guideboard on 2007/09/19/Wed
朝日新聞「医を創る」2007.5.5
民間委託でも赤字―高知の基幹自治体病院統合
高知市の高知医療センターは、県内全域からヘリで急患が運ばれる高度医療施設だ。県立、市立の基幹病院を統合して2年前に設立。病院建設から運営までを民間委託する「PFI」を全国に先駆けて実施し、経営効率化も図った。それでも赤字が止まらない。そこには、病院経営の厳しさと共に、あすの処方箋も見えてくる。
手術・急患に対応力
高度医療集約・ヘリ設備も
高知医療センターは、632床の入院ベッドをもつ地上12階建て。その屋上にに3月中旬のある午後、高知県の消防防災ヘリが着陸した。職員が駆け寄り、同乗してきた医師とともに患者を大急ぎでエレベーターに運ぶ。
大動脈瘤破裂。すぐに手術が必要で、車なら片道約3時間かかる県立幡多けんみん病院(宿毛市)から25分で飛んできた。けんみん病院は県南西部の中核病院だが心臓血管外科がなく、大動脈手術はできなかった。
東西に長い高知県は、病院も医師も県中央部の高知市などに集まり、ほかの地域は医師不足に悩んできた。救命救急センターも高知市の高知赤十字病院にしかなかった。
老朽化していた高知市立市民病院と県立中央病院が統合し、高知医療センターが出来たのは05年3月。ここに県内2番目の救命救急センターを新設し、県内全域から急患を24時間受け入れられるよう、夜間も使えるヘリポートを設けた。
県の消防防災ヘリによる患者搬送は、04年に旧県立・市立合わせて25件だったが、06年は178件に急増した。
また、旧市立病院は循環器病の治療が得意だったが、手術室不足で心臓手術も順番待ちだったため、他院や県外に行く患者もいた。しかし現在は心臓外科専用の手術室があり、すぐ対応できる。心臓・大血管手術の実施数は、統合前の年210例から284例に。四国でもトップレベルの多さになった。
堀見忠司院長は「手術数が旧県立・市立の合計の1.5倍になるなど、規模拡大で相乗効果が出ている。医師確保にもプラス」と評価する。
人件費や薬・器具代が圧迫
ノウハウ不足 誤算
高知医療センターは、運営に民間の資金やノウハウを活用する「PFI」を本格導入した。建物だけで220億円かかった建設費の調達と、経営効率化が目的だった。
だが、収支は赤字続きだ。初年度の05年度は約17億5千万円、06年度は約22億3千万円の赤字。07年度予算も、約16億7千間年の赤字を見込んでいる。
病院の運営主体である高知県・高知市病院企業団は、オリックスが代表企業をつとめる特定目的会社(SPC)「高知医療ピーエフアイ」と02年に30年の事業契約を結んだ。約2132億円で病院建設のほか清掃や給食、診療報酬請求事務、薬や医療材料の調達などを委託する内容で、自治体が直接事業をするより約55億円の経費を削減できると見込んだ。
しかし、病院経営の現実は厳しい。
医師や看護師らの給与費が05年度の医業収益に占めた割合は59.6%で、500床以上の全国の公立一般病院の平均50・6%を上回った。薬や器具などの材料費も医業収益の30.9%を占め、当初目標(23.4%)を金額にして約8億円超えた。
このSPCには病院運営のノウハウが不足していた。実際の業務は医療事務などの専門業者に下請けに出しているが、その管理の甘さが高コストの要因として指摘されている。SPCは06年度の「マネジメント料」約2億4千万円の請求を辞退せざるをえなかった。
08年度からは病院建設費の借金返済も始まり、新たに年約8億円が必要になる。こうした現状に、高知県で初の地域医療支援病院に認定された近森病院の近森正行院長は「人件費を減らさないと経営は改善しない。医療機能の絞り込みや病床数の大幅削減なども必要だ」と警鐘を鳴らす。
これに対して高知県の畠中伸介・健康副支部長は「PFIだからこそ設備を充実できた。赤字は想定の範囲」とし、財政支援を続けるという。
(解説「読むナビ」)先進例の教訓生かそう
病院の建設・運営にPFIを導入する例は全国に広がっていて、内閣府によると11件ある。うち8件は計画・建設中だが、いずれも地域の基幹病院で、高度医療を実現する資金や知恵を民間に期待して、PFIを導入している。
高知医療センターは、その先駆けだ。へき地の救急患者も重症患者も受け入れる「最後のとりで」をつくるためPFIを選んだが、発注者の県・市も、受けるSPCも手探りで、それが管理運営の甘さにつながった。
大事なのは、後に続く自治体や大学病院がその経験をどう生かすかだ。
東京都は多摩広域基幹病院・小児総合医療センター(ともに仮称)をPFI方式で10年に開院させる。担当者は何度も高知を訪ね、運営を委託する事業者には、経営能力や医療機器や薬を安く調達する能力などが重要だと判断。入札価格よりも能力評価を重視して企業グループを選定した。
手厚い医療を効率的にと、住民は自治体病院に期待する。自治体病院のマネジメント能力がますます問われている。
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2006年12月06日 高知新聞
受託料2億4000万円辞退 高知医療ピーエフアイ
高知医療センター(高知市池)の医療行為以外のサービスを一括して担っている特定目的会社(SPC)「高知医療ピーエフアイ」(西名弘明社長)は、平成18年度の受託料のうち同社の収益であるマネジメント料2億4000万円の請求を辞退する。
同センターを運営する県・高知市病院企業団(吉岡諄一企業長・・2007年3月退任)が5日、県・市病院企業団議会に報告。
同社は手術器具などの材料調達の見通しの甘さや相次いだ事務ミスを「マネジメント力不足」として請求辞退を決めた。
同センターは、民間のノウハウや資金を活用する病院PFI事業を導入。
企業団とPFI事業契約を締結しているSPCは、材料調達や医事業務などを担う協力企業約20社と委託契約を結び、業務のマネジメントを行っている。
しかし、昨年3月の開院直後から診療報酬の請求漏れが続いた上、17年度は材料費が当初予算を約10億円上回って病院会計を圧迫したため、企業団がSPCと協議。SPCは18年度に企業団から委託された約29億3400万円のうち、マネジメント料を実質的に放棄する方針を固めた。
同日の企業団議会では、企業団が18年度の監査結果を報告。
監査ではSPCが診療材料の一部の使用記録を残しておらず、1700万円分が帳簿上、使途不明になっていると指摘。不明金については、SPCが辞退するマネジメント料で補てんする考えを示した。
また企業団は、第三者機関「経営改善推進委員会」(今年5月発足)の中間提言でも、5年程度の改善計画をSPCと策定し、早急に材料費縮減に取り組むよう求められていることを説明。
質疑で議員は、SPCのずさんな事務や材料費の高騰などを引き合いに「PFI事業の導入効果が表れていない」「SPCは契約書の要求水準の初歩的な段階にも到達していない」などと厳しく指摘。高知医療ピーエフアイの間渕豊副社長は「期待通りの効果が出ていない協力企業の変更も検討している」と述べ、経費削減に取り組む考えを示した。
高知医療センター昨年度決算を認定 企業団議会
県・高知市病院企業団議会は5日、高知医療センターの17年度病院事業会計決算を賛成多数で、個人情報保護条例の改正議案を全会一致で認定、可決。12月末で退職する大脇嶺副院長が退任のあいさつをした。
決算は、開院前に見込んでいた約21億円の赤字は回避したが、約17億5300万円の収支不足。支出の中には医療機器の減価償却費など現金支出を伴わない費用があり、内部留保金は約6億9000万円となった。
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医療経営財務協会
『高知医療センター資金繰りは?』
http://www.izai.net/kouti2.html
2006年3月決算が漸く公表された。医業外収入が33億円もある。これは税金投入であろう。税金投入してなお18億円の赤字である。税金投入がなければ合計で51億円の収入不足ということか?
PFI以前に公務員経営のまま豪華病院を新築したのであるから経費圧縮などできるわけがない。戦艦大和は帰りの燃料無く悲劇的な出撃をした。命令を下した参謀は誰も責任取らなかった。高知医療センターの新築の参謀は戦果を見届けず轟沈前に次々と下船している。黒字になったら名誉ある転進もあろうが。高知県は年々増加する資金需要に際限なく負担を続ける財政力があるのか?全職員が一丸となって頑張ると企業長は言っているが日限と金額を明確にした繰り損解消の決意を表明すべきである。下船した参謀がPFIを反省無く今でも自画自賛するので東京都始め多くの自治体が愚かにも高知詣でして真似しようとしている。PFIは豪華病院の建設に都合の良い魔法の仕組みである。この付けは住民負担になる。夕張の住民の本当の悲惨さがわからない新し物好きの無責任公務員がPFI推進者である。税金投入することなく黒字に出来るならPFIに反対しない。
(参考)2
高知医療センター赤字 議員「PFIの利点ない」=高知
2006.12.06 大阪朝刊
◆県・高知市病院企業団
全国に先駆けて経営を民間委託するPFI方式を導入した「高知医療センター」(高知市池)は5日、運営母体の県・高知市病院企業団の議会定例会で、2005年度決算を報告した。収支は約17億2000万円の赤字で、05年10月に示した決算見込みよりも4億円ほど圧縮されたが、議員からは「PFI事業のメリットである経費圧縮の効果が出ていない」などと厳しい意見が出た。
医業収益で約120億8700万円、医業外収益で約33億5200万円の収入があったが、人件費や材料費などがかさんで支出は約173億1300万円に達し、経常損失は約17億7900万円となった。
質疑では、議員から「経費は当初の予定よりも8億円くらいオーバーしているのでは」といった指摘もあったが、企業団の吉岡諄(じゅん)一企業長は「業務全般について徐々に改善されてきている。収支の増加と費用の縮減に向け、全職員が一丸となって取り組む」と述べた。
定例会後に行われた議員協議会では、10月30日に発覚した旧高知市民病院の患者データ流出問題が報告されたほか、すべての医療事故を包括的に公表することなどを盛り込んだ基準を07年1月1日から実施する計画案も提示された
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東日本税理士法人グループ
2007.5.7 『高知医療センター TOP人事に見る先行き不安』(長隆)
http://www.higashinihon-group.com/jichitai_topics/000282.html
最高責任者の吉岡企業長が決算(2007年3月31日)前に異例の辞任は責任放棄と厳しく批判させていただいた。
吉岡企業長の辞任の弁は実に見苦しかった。誰が考えても決算確定後6月以降に辞任すべきだったと思う。PFI とSPCが完全に失敗であったことを公然と認めたと同じと言われても仕方があるまい。
八尾・近江八幡のPFIも豪華病院で経営は著しく厳しいようだが、都合悪いのか情報公開が不十分である。PFIで計画中・又建設中のつくば付属・多摩医療センター・大阪精神医療センター・神戸中央・島根こころ・愛媛中央なども軒並み赤字垂れ流しの最悪の経営になっていく可能性が高い。
ところで 吉岡企業長の後任に高知県・高知市病院組合事務局長 山崎 隆章史が就任した。山崎氏が最高責任者のはずなのに権限がないと思われる。高知県 畠中伸介健康福祉部長が「PFIだからこそ設備を充実できた。赤字は想定の範囲」として赤字補填の財政支援を続けるといっている。高知県の財政が豊かなことと県議会の鷹揚さに驚かされる。
民間病院なら1床1500万で出来たことに橋本知事の所見を改めてお聞きしたい。事業費は年間医療収入以下でなければ、民間病院は資金調達できないことをご存じないのですか?自治体病院を破綻に追い込む元凶はPFIと言う魔法ではないのか。建設費が安く済むと言うなら、1床1500万以下でなければ大言壮語は止めてくれ。税金泥棒と断ずることにする!
高知医療センターに先んじて、地域医療支援病院に認定された急性期病院(高知医療センターよりレベルが高いと言われている?勿論税金投入なし?)の近森病院の近森正幸院長が「人件費を減らさないと経営は改善しない。医療機能の絞込みや病床数の大幅削減なども必要だ」と警鐘を鳴らしている。高知医療センターの人件費率、同規模公立病院の50・6%まで下げられるか。委託費抜きでも60%で10%も高い。民間比15%も高い!
極めて当然の正論だが、この人事では破綻への道を歩み続けることになろう。高知医療センターにはつける薬はない。看護部長など幹部が見限って退職なのだろうか?
医療局長級3人?事務局長高知市出身など経営の一体化できるのだろうか?企業長は県を事務局長は市を向いているのか?そうでなければ骨をうずめる人事なのか?
県・市から完全に独立する山形県立日本海・酒田市民の統合?独法非公務員型?を目指すか、公設民営・指定管理者に経営を任せない限り、県・市の財政はもたないであろう。
高知医療センター 職員人事を発表 県・市病院企業団
県・高知市病院企業団は二十八日、高知医療センターの職員人事(四月一日付)を発表した。三月末で退職する吉岡諄一企業長の後任となる山崎隆章・新企業長や堀見忠司院長を支える組織づくりを進めるため、これまで副院長が兼務していた医療局長を単独配置とし、武田明雄医療局次長が昇任。事務局長には田村昌己氏(高知市派遣)を充てた。
異動総数は百四十八人で、医療局三十一人、看護局九十一人など。
◆県・高知市病院企業団(4月1日付・課長級以上)
企業長(県理事)山崎隆章
【局長】医療局長兼救急診療部長(医療局次長兼救急診療部長)武田明雄▽医療局長待遇がんセンター長(がんセンター長兼医療局次長)森田荘二郎▽医療局長待遇循環器病センター長(循環器病センター長)岡部学▽事務局長(高知市)田村昌己
【次長】医療局救命救急センター長補佐兼同局次長(医療局次長)森本雅徳▽同局次長兼病理診断科長(同局検査診療部長兼病理診断科長)沼本敏▽同局次長兼腹部疾患診療部消化器外科長(同局皮膚・骨格系診療部長兼一般外科長)西岡豊▽薬剤局次長兼臨床薬剤部長兼医薬品管理部長(薬剤局次長兼臨床薬剤部長)服部暁昌▽栄養局次長心得(新採)渡辺慶子▽事務局次長兼総務管理課長(事務局経営推進課長)村岡晃
【部長】医療局集学診療部長兼放射線科長(医療局検査診療部放射線科長)松坂聡▽同局検査診療部長兼画像診断科長(同部画像診断科長)山本克人▽同局皮膚・骨格系診療部長兼一般外科・乳腺内分泌外科長(同局胸部疾患診療部乳腺外科主任科長)岡林孝弘
【主任科長・課長】事務局企画財政課長(事務局企画財政課長心得)大野正貴
退職(3月31日)=吉岡諄一(企業長)▽黒岩啓祐(薬剤局次長)▽橋村夏世(栄養局次長)▽佐竹厚子(看護局看護部長)
(県 ホームページより)
平成19年4月1日付けの組織改正により、電気事業・工業用水道事業を経営する企業局と病院事業を経営する病院局を再編し、新たに公営企業局となりました。これからも地方公営企業として、独立採算による県民に開かれた経営を行い、安全な施設の維持管理、また、県民のみなさまに良質な医療のサービスを提供をするために地域の皆様と共に歩む組織を目指してまいります。
病院事業
3病院を設置・運営し、地域医療の確保、高度・特殊医療の実施、医療水準の向上等に努めています。
【安芸病院】【芸陽病院】、【幡多けんみん病院】