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高知医療センター PFI 10 / 辞職資料

Posted by guideboard on 2007/09/19/Wed

» 高知医療センター PFI 10 / 辞職

高知新聞 2006.1.13

旅行が辞職の一端
医療センター瀬戸山院長が会見

高知医療センター(高知市池)の瀬戸山元一院長は12日、同センターで記者会見し、3月末での辞職を正式に表明した。自身の健康状態を第一の理由に挙げながらも、同センターへ手術器具などを納入する業者がメンバーに加わっていた昨秋の私的な海外旅行が「一つのキーになっている」と述べ、辞職を決意する一端となったことを明らかにした。

瀬戸山院長は、旅行先で「コーヒー1杯の接待も受けていない」と業者との不適切な関係を否定したが、利害関係にある業者の同行を「好ましいことではなく、けじめをつけた」と説明。

方向付けに尽力した高知医療センターについては、目指す急性期医療が救命救急センターを中心に進んでいるとの自負をのぞかせながらも、「この病院はまだまだ発展しなくてはいけない使命を帯びている。中途での退任は、職員のみならず県民市民に申し訳ない」と頭を下げた。

同席した県・高知市病院企業団の吉岡諄一企業長は、瀬戸山院長の辞職を重く受け止める姿勢を示す一方、民間のノウハウを活用するPFI(プライベート・ファイナンス・イニシアチブ)事業で病院運営に携わる特定目的会社(SPC)との関係について言及。

「対等の関係で緊密な連携を保たないといけないが、疑惑を抱かれる手法は戒めなければならない」と述べ、PFI事業の特性を踏まえた職員と業者の接し方について独自の基準を確立する考えを示した。

【写真説明】記者会見で辞職を表明する瀬戸山院長=右=と吉岡企業長(高知医療センター)

新たな波紋を危惧思い半ばの“カリスマ院長”

病院運営では全国初のPFI事業に、電子カルテシステムをはじめとする統合情報システムの導入。さらには大学の医局にこだわらない医師の確保や診療科の壁を越えたチーム医療の展開—。

全国が注視する公立病院の統合に際し、院長予定者、院長として次々に新機軸を打ち立ててきた瀬戸山元一氏を、その足跡から「カリスマ的」と形容する向きがある。

宮崎県出身ながら小学2年から7年間、高知市で過ごした縁もあって平成12年春、旧県・市病院組合理事に就任。舞鶴市民病院の経営再建や島根県立中央病院の運営で発揮した手腕が買われ、それが統合新病院づくりでは「患者が主人公」という理念に集約された。

強いリーダーシップを発揮しようとする手法から自治体や医療関係者とのあつれきを生むこともあったが、高度医療に特化した新病院を構築するためには必要不可欠な人材だったとも言える。知名度の高い瀬戸山氏の存在が、地域外から医療スタッフを呼び寄せる原動力ともなった。

しかし一方では、民間業者との「付き合い方」が早くから疑問視されてきた。PFI事業の優先交渉権者を選定する直前に参入希望業者と米国に視察旅行に出掛けるなど、その“脇の甘さ”は県・市病院組合議会でも厳しくただされた。

そうした業者との距離感覚の危うさは院長就任後もささやかれ、今回発覚したイタリア旅行での業者同行にしても同様。民間病院なら許容範囲内でも公的病院の医療トップにはそれが許されず、厳しい目が向けられる。その目がいったん張り付けば、今後の医療センターの運営や瀬戸山氏が理想とする病院像にも暗い影を落としかねない。 橋本大二郎知事、岡崎誠也高知市長らは早い段階で、旅行の件について報告を受けていた。辞職表明まで1カ月以上の時間は「功労者の円満退社」に向けた調整期間だったと言えなくもない。

院長自身は医療センターの開院前後から体調不良を訴え、精彩を欠くようになった。信を置いていた医療スタッフも一人二人と距離を置き、はた目にも理想と現実のギャップに悩んでいたようにも映ったが、思い半ばにしての“カリスマ院長”の辞職劇には、内外へ新たな波紋を広げることへの危惧(きぐ)と今後をにらんだ状況判断が見え隠れしている。(政治部・岡林直裕)

———-

高知新聞 2005.2.6

◆6
高知版PFI
官民協働につまずき

県・高知市病院組合の瀬戸山元一理事(院長予定者)が導入を提案したPFI(プライベート・ファイナンス・イニシアチブ)事業は、公的施設などの整備・運営に民間の資金やノウハウを活用する手法。
平成11年に法制化されたが、初発のPFI事業は多くが施設整備の資金調達を目的とする「箱物PFI」。だが瀬戸山理事は整備だけでなく、その後のサービスに民間手法を生かす「運営PFI」を重視。専門性が要求される医療施設を官民協働で運営するという、前例のない「高知版PFI」を目指した。

構想は前任の島根県立中央病院でも描いていた。瀬戸山理事とともに同病院の運営に携わった沖一・県市病院組合事務局次長は「医事業務や検体検査を民間の幹事会社に一括委託する手法を導入していた」という。

大きく違ったのは契約期間。島根中央では単年度契約だったが、PFIでは30年の長期契約が可能だ。沖次長は「設備投資の法定償却期間ですら5年。単年度だと企業側と不安定な関係しか築けない。PFIは病院・企業双方にメリットがある」と考えた。

【写真説明】統合病院PFI事業の説明会。約200社が集まり、予想を上回る反響があったが…(13年3月、高知市内)

ジレンマ

病院組合は13年2月、PFIの実施方針を公表。市場の反応を探るための説明会を開いた。

想定した事業は、施設の整備▽維持管理▽医療関連サービス▽医事事務や物品管理▽食堂売店など一般サービスの運営—など広範囲。企業の提案を審査し、選定したSPC(特定目的会社)と交渉する考えだった。

説明会は東京と高知市で開いたが、市内の説明会には約200社が詰め掛けた。「これほど反応があるとは」。瀬戸山理事は手応えを感じたが、県市から病院組合に派遣された事務職員には不安があった。PFIの実務を担った吉岡和夫・病院組合事務局長は「行政マンは良くも悪くも、前例は、議会や県民の理解は、手続きは…と考える。それらをすべて走りながらやらねばならなかった」と振り返る。

そうした不安から県市は専門家を交えた委員会を立ち上げ、事業化の課題を検討。ブレーキをかけながらゴーサインを出すという状態に加え、県市両議会や病院組合議会では地域経済への貢献度が焦点化する。

「SPCには資本や競争力のある大企業がなり、県内企業にメリットがない」。強い批判は、市場原理重視でコスト削減を図るPFI自体のジレンマとも言えた。

病院組合は費用対効果の試算や県内業者の登録制度を提示し、議会の理解を何とか取り付けて募集を開始。オリックスを代表企業とするグループ(9社)を含む4グループが提案書を提出した。

視察旅行

4グループから優先交渉権者を選ぶ最終審査を控えた14年6月、病院組合が組合議会に行った報告が波乱を呼んだ。

〈瀬戸山理事は同年3月、公務出張で大手旅行会社が主催する海外視察旅行の団長として米国を訪問。そこにPFI事業に参入を希望する4グループの構成企業も参加。しかもその旅費は全額旅行会社が負担していた〉

たちまち審査委員会の委員だった瀬戸山理事に議会筋や市民団体から批判の矢が飛んだ。「審査の公正さに疑念をぬぐい去れない。委員から外れることが望ましい」

組合議会の申し入れに、瀬戸山理事は「配慮が足らなかった」と旅費を返還し、審査委員を辞任。病院組合は瀬戸山理事を減給に処した。官民協働を目指すPFIは思わぬつまずきを見せた。

統合病院取材班=2005年2月6日付・朝刊

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