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転送妊婦死産流産報道事件 10 / 胎内死亡

Posted by guideboard on 2007/09/15/Sat

本件の妊婦さんは、救急搬送される前日から既に腹痛と出血があった。

Sankei WEb 2007.9.6
「橿原市醍醐町のスーパーで急病」。同組合通信指令課から同署に搬送指令があったのは、8月29日午前2時47分。運転担当の中村さんは、救護隊長や救護員とともに1分後には救急車に乗り込み、4分後に現場へ。スーパー入り口前のベンチで横になっていた妊婦は「昨日の晩から出血しています。痛い…」と訴えた。

初報では、妊娠週数も不確かで、流産とされている。

毎日新聞 2007.8.29
女性が「下腹部が痛い」と訴えたのは、橿原市内の自宅近くの24時間営業スーパーで買い物をしていた29日午前2時44分ごろ。

毎日新聞 2007.8.29
高槻市消防本部によると、女性は妊娠20週目だったとみられるという。

YOMIURI ONLINE 2007.8.29
奈良→大阪9か所断られ、妊婦の搬送先決まらず流産

nikkansports.com 2007.8.29
受け入れ難航、救急車事故、妊婦流産
奈良県の中和広域消防組合によると、女性は出血を伴う腹痛を訴え、同日午前2時45分ごろ、知人の男性が119番。同2時55分ごろ救急車に運び込まれた。

最初に死産と報じたのはこれである。

東京新聞 2007.8.29
2007年8月29日 12時43分
受け入れ難航、救急車事故 大阪、打診10カ所で妊婦は死産

搬入先の病院の調査ではじめて妊娠週数が分かった。

読売新聞 2007.8.30
妊婦死産、かかりつけ産科医なく搬送先決定遅れる
女性は当初、妊娠3か月で事故直前に流産したとされていたが、病院の診断で妊娠7か月とわかったという。

年齢も定かではなかった。

毎日新聞 2007.8.30
なお、この女性の年齢は当初36歳とされたが、38歳だった。

死産として検案されて、警察もそのように把握した。

毎日新聞 2007.8.30
大阪府警高槻署の調べで、この妊婦は妊娠24週(7カ月)で、胎児は胎内で死亡していたことが分かった。流産は22週未満で胎児が死亡する場合を指し、このケースは死産に相当する。

いくつもの医療系ブログで既に検討されているが、本件の報道の問題点を挙げる。

1. 妊婦さんが前日から出血していたことを報道しなかった。

マスコミは、妊娠週数と年齢が定かでないまま報道していることから、
中和広域消防組合・橿原消防署の救急搬送の記録を基に報道したはずである。

であるなら、妊婦さんが前日から出血していたことは、搬送記録から、把握していたはずである。救急隊員が、このような大切な事実を搬送記録に記録せずに、取材に対して思い出して口頭で答えるということは考えられない。

妊婦健診も受けず、妊娠週数も分からず、年齢も正確に救急隊に伝えていなかった妊婦さん。その上前日から出血していたのに深夜のお買い物である。報道をある方向に向けるためには、妊婦さんの情報にマイナスポイントがあってはいけなかったのではないか。

2. 死産の検案結果がすぐに発表された。

天漢日乗という優れたブログで、病理医のコメントが紹介されている。
2007.9.6
「マスコミたらい回し」とは?(その101)奈良高槻妊婦搬送問題「昨夜から出血が」
でのコメント欄を参照のこと。以下、引用させて頂く。

当方,病理医ですが

>赤ちゃんは救急搬送を受ける以前に胎内で亡くなっていたのではないか、と思われるのだが。

のご指摘通りと考えます。
根拠は「子宮内胎児死亡」の診断の警察発表が,第一報の翌日(8月30日)には既に報道されていたことからも伺えます。これは,肉眼観察レベルで明らかに「子宮内で胎児が死んでいた」・・・つまり表皮の剥離や組織の融解などがあり(=浸軟児の状態)「死んで暫く経っている」と判別可能であったことを意味します。浸軟が進むと,死因の詳細な検索は不可能になります。羊膜索症候群,外表奇形,重篤な胎児水腫などといった,肉眼的に明らかな異常がない限り,「死因は不詳」とせざるを得ません。

一方で。

搬送中ないし直前にこの児が亡くなったのであれば,新鮮な死体である筈ですね。この場合,死因を調べるためには,病理組織学的な検索を行う必要が生じ,診断確定までには少なくとも1週間程度を要します。また胎児の死因として「分娩時の低酸素」などといった死亡時の状況が記載される筈であり,「死因は不詳」とはならない。

しかしこの件では【子宮内胎児死亡】【死因は不詳】の【確定診断】が【翌日発表】された。すなわち肉眼診断レベルで【なぜかはわからないが,一目瞭然,死んでいる】との判断がなされた状況からは,胎児の死亡は搬送直前の出来事ではなく,もっと前におこっていたと推察される。
というわけなのです。

投稿 hadzki | 2007-09-11 22:18

マスコミは、8 月 30 日の時点で既にこのことも知っていて、それ以後もあえて「救えたはずの命」と報道し、医療機関や医師をバッシングしたのではないか。

天漢日乗では、大淀事件の時から、さらに突っ込んだ考察をしていらっしゃるので、それも是非ともご覧頂きたい。

参考資料

転送妊婦死産流産報道事件 10 / 胎内死亡資料

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