医療事故調 / 事故調査と医療資料
Posted by guideboard on 2007/09/05/Wed
asahi.com 2007.9.3
無罪確定の元機長、再調査を要求 日航機乱高下事故
2007年09月03日18時30分
三重県上空で97年、日本航空706便が大きく揺れて乗員1人が死亡、乗客・乗員13人がけがをした事故で、業務上過失致死傷罪に問われながら無罪が確定した高本孝一元機長(57)が3日、検察側主張の根拠となった報告書を作成した国土交通省航空・鉄道事故調査委員会に、再調査などを求める質問状を提出した。
提出後に記者会見した高本さんは「調査委の結論を否定した判決は妥当だ。真の原因究明がなされなければ再発防止はできない」と述べた。また調査委の報告書が刑事裁判に証拠として用いられることについて、「国際的な取り決めに反する。調査への協力が得られにくくなる」などと主張した。
調査委は「内容を検討したうえで対応を決めたい」としている。
この事故では、高本さんが意図的に操縦桿(かん)を強く引き、それが原因となったかどうかが争点だった。検察側は、「機長が機首上げのために操縦桿を引いた」などとした報告書を根拠に、高本さんに操縦ミスがあったとして起訴した。これに対し、二審・名古屋高裁は「操作は意図的ではなく、過失はない」と結論づけた。
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YOMIURI ONLINE 2007.9.3
無罪確定の機長、事故調に質問状…日航機乱高下事故
三重県志摩半島上空で1997年6月、日本航空機が乱高下し客室乗務員1人が死亡、乗客ら13人が負傷した事故で、業務上過失致死傷罪に問われ、今年1月に無罪が確定した同機機長の高本孝一さん(57)は3日、「操縦ミスが一因とした事故調査報告書の事実認定を否定する司法判断が確定した」として、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会に再調査を求める質問状を提出した。
質問状では、99年12月に公表された調査報告書が、その後の刑事裁判で明らかになった操縦に関する事実に触れていないことなどを指摘。高本さんは「空の安全のためにも再調査をお願いしたい。事故調が全く対応しないのであれば提訴も検討する」としている。
事故を起こした香港発名古屋行きのMD—11型機の機長だった高本さんは、2002年5月に在宅起訴されたが、1、2審とも無罪となり、今年1月に確定した。
(2007年9月3日22時39分 読売新聞)
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東京新聞 2007.9.3
事故調に再調査の有無質問 乱高下事故の機長代理人
2007年9月3日 21時05分
1997年6月、日航機が乱高下して客室乗務員1人が死亡、乗客ら13人が重軽傷を負った事故について、事故機の機長だった高本孝一さん(57)の代理人弁護士が3日、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会に「再調査の考えはないか」とする質問状を提出した。
事故調委の最終報告は原因を「機長の操縦と機体特性の複合」としたが、業務上過失致死傷罪に問われた高本さんは1、2審とも無罪判決を受け確定。2審の名古屋高裁判決は高本さんの操縦ミスを否定した。
弁護士は「2審判決では機長の過失を認めておらず、機長の操縦かん操作を原因の一つとする事故調委の結論と反している」として、再調査をするかどうか質問した。
記者会見した高本さんは「事故調委にはきちんとした情報を出してほしい。質問状への対応がなければ次の手段を考えたい」と話している。
(共同)
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中國新聞 2006.3.20
ニアミス事故の判決要旨 東京地裁
日航機同士のニアミス事故で、東京地裁が20日、業務上過失傷害罪に問われた管制官2人を無罪とした判決の要旨は次の通り。
【過失検討の注意点】
検察側は、907便と958便の管制間隔(安全のため管制官が確保すべき最小の航空機間の空間)を欠如させた蜂谷秀樹、籾井康子両被告に過失があると主張するが、管制間隔維持という管制方式基準上の義務と業務上過失傷害罪の注意義務は必ずしも一致しない。
また蜂谷被告が便名を言い間違えて907便に降下の管制指示をし、籾井被告が気付かなかった点も、結果的に安全な間隔が保たれていれば、刑法上の注意義務違反を構成しない。言い間違え自体の重視は相当でなく、管制指示の内容の適否で過失を検討すべきだ。
【実質的危険性の有無】
両機は2万9000フィート(約8845メートル)を超える高度を航行し、異常接近警報の表示直後に便名を言い間違えずに958便に降下指示をしていれば所定の2000フィート(約610メートル)の垂直間隔を確保できた。907便への降下指示が、管制基準を満たさず不適切だったことは明らかだ。
しかし両機が指示に従い907便が降下し、958便は巡航を続ければ、最接近の時点でも約1000フィートの垂直間隔は確保された。この点については(1)管制間隔はある程度の許容範囲を見込んで設定、それより接近しても直ちに接触、衝突の危険はない(2)2005年9月からこの空域での垂直間隔は1000フィートに縮小(3)公判で証言した機長らは1000フィートの高度差で他の航空機と交差しても危険は感じないと供述−などを指摘できる。
以上によれば、1000フィート差が確保されていた場合、両機の間には危険性のない間隔が保たれていたというべきだ。その場合は、急激な上昇、降下を伴う無理な操縦を行う恐れはなく、乗客らが負傷する可能性もない。
過失行為とされる蜂谷被告の907便への降下指示は、その段階では危険性のある行為とはいえず、907便乗客らの負傷という結果を発生させる実質的な危険性のある行為とも認められない。是正しなかった籾井被告の対応にも実質的危険性は認められない。
【因果関係の有無】
しかし降下指示が契機となって両機が異常接近し、907便の乗客らが負傷したことは動かしがたい事実。異常接近の原因を検討し、この面からも両被告に過失がなかったことを明らかにする。
航空機衝突防止装置(TCAS)によるレゾリューション・アドバイザリー(RA)と呼ばれる上下方向の回避指示が発せられたことが重要だ。そうでなければ約1000フィートの垂直間隔が保たれ、危険性は生じなかった。
(1)RAは管制指示とは無関係に発せられ、内容が矛盾することもある(2)管制卓の画面にRAの表示はされず、航空機の乗員から報告がないと発せられたことが分からない(3)TCASがどのような時期にどのような内容のRAを出すかという具体的な情報は知らされていなかった−などの事情が管制官に認められる。
また機長はRAに直ちに従うこととされ、管制指示高度から逸脱しても航空法違反には問われないとされていた(ただし本件当時は管制指示との優劣関係は必ずしも十分に明確ではなかった)。907便機長は上昇RAに従うべきだったが、機長は危険と判断、RAに従わず降下させた。
機長は上昇させると失速の危険があったことなどを挙げている。機長の懸念は理由のないものだったが、本件当時は機長らにエンジン性能に関する技術情報が十分伝えられておらず、判断はやむを得ない面もあった。
これらの事情を踏まえると、両被告には異常接近とこれに起因する907便乗客らの負傷という結果の発生に予見可能性や予見義務があったとはいえず、降下指示と結果の間に相当因果関係があったともいえない(これまでみてきた諸事情を考慮すると、異常接近が生じ乗客らが負傷したことの刑事責任を管制官や機長という個人に追及することは相当ではない)。
【結論】
両被告に過失は認められず、相当因果関係があったともいえない。犯罪の証明がないことになるから、無罪を言い渡す。
(初版:3月20日19時14分)
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神戸新聞 2006.3.21
日航機ニアミス
管制官 2 人に無罪
誤指示と因果関係なし
東京地裁
個人の責任否定
二〇〇一年一月に静岡県沖上空で起きた日航機同士のニアミス事故で、便名を呼び間違え乗客五十七人にけがをさせたとして、業務上過失傷害罪に問われた管制官の籾井康子(三七)、蜂谷秀樹(三一)両被告の判決公判で、東京地裁は二十日、二人にいずれも無罪(求刑禁固二年六月 – 一年)を言い渡した。
判決理由で安井久治裁判長は、訓練中だった蜂谷被告の誤った管制指示を「不適切で事故の契機となったが、それだけで接触や衝突を招く危険な行為だったとは言えない」と述べ、監督者の籾井被告とともに刑法上の
過失責任を否定した。ニアミス事故で管制官の個人責任が初めて問われた裁判だったが、検察側主張がすべて退けられる結果となった。
判決はまず「便名間違いがあったとしても、その結果、航空機同士に安全な間隔が保たれていれば、刑法上の注意義務違反ではない」と指摘。「両機の機長が管制指示にだけ従っていれば、垂直で約三百五メートルの距離が確保されていた」として注意義務違反には当たらないとした。
さらに (1) 誤った指示の後、航空機衝突防止装置(TCAS)が機長に逆の指示を出したことを、両被告は知らなかった (2) 食い違った指示を受けて機長が自らの判断でTCASに従わなかった−と認定。「両被告には事故への予見可能性はなく、便名聞違いと事故との間に因果関係もなかった」と述べた。
さらに判決は、管制官とTCASの指示が食い違った場合の規定が不備だったことを挙げ「管制官や機長個人に、刑事責任を追及することは相当でない」とした。
判決によると、蜂谷被告は〇一年一月三十一日、907便と958便の異常接近を避けようとして便名を呼び間違えて907便に降下を指示。907便はその後のTCASの上昇指示に反して降下、958便はTCASの降下指示に従ったため両横はさらに接近し、衝突を避けようと急降下した907便の乗客五十七人がけがをした。
蜂谷被告と、誤った指示に気付かなかった籾井被告が〇四年三月、在宅起訴された。一緒に書類送検された機長は不起訴処分になった。この事故では乗客乗員計百人が重軽傷を負ったが、うち乗客五十七人が起訴の対象とされた。
過失認めるべき
土本武司・白鴎大法科大学院教授(刑法)の話
航空法上、機長は管制官の指示に従う強い義務を負っており、事故の根本原因をつくったのが便名取り違えである以上、管制官の過失責任は認めるべきだ。また、判決が管制指示にのみ焦点を合わせて判断したのは、航空機の運航が陸上交通などと違い、一連の有機的、総合的なシステムの中で行われるという実態や特質を無視している。百名の負傷者を出した事故に誰も責任を負わないという結論で国民は納得するだろうか。判決が個人の責任追及に疑問を投げ掛けている点は示唆に富むが、具体的事件の刑事過失責任を問うこととは別次元の問題だ。
日航機ニアミス
言い間違いは頻発
管制官ら「緊張感、限界超える」
一日一回は言い間違える -。管制官二人の刑事責任が追及された二〇〇一年の日航機ニアミス事故以降も、管制ミスは発生している。国土交通省は「人間が行う以上、エラーはあり得る」との前提で、同一時間帯の類似便名をなくすなどの対策を進めている。(1面参照)
昨年四月には羽田空港で、五十一人が乗った日航機が閉鎖中の滑走路に着陸。一管制官が閉鎖を忘れて着陸指示を出したためだった。
同年十一月は大阪空港で、管制官が着陸許可を出し忘れ、三百十人乗りの日航機が着陸直前の高度約十五メートルで回避した。八月と九月には新潟、宮崎両空港で、飛行計画の承認を忘れたまま離陸を許可するミスが相次いだ。
便名や滑走路番号などの言い間違いは頻繁に起きている。東京航空交通管制部の現役管制官は「一日一回は何らかの言い間違いをする」と話す。
一方で、別の三十歳代の管制官は「他の管制官が訂正するなどのセーフティーネット(安全網)は整っている。言い間違いで事故が起きるなら、日本の空は毎日事故だらけだ」と指摘する。
この管制官は、一日七百機前後の航空機が飛び交う南関東の空域を受け持つ。「一、二秒で判断して何機もの機長に指示を出さねばならず、緊張感は限界を超えている。この上、刑事責任が問われるなら現場は萎縮して
しまう」と話した。
羽田空港のある管制官は「緊張感で逃げ出したくなることもある。ミスは恥ずかしい思いもあり、なかなか表に出てこないが、情報を共有して専門的な研究を行うことが必要だ」と訴えた。
解説図
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Sankei Web 産經新聞社 2006.3.20
管制官2人に無罪 日航ニアミス事故で東京地裁
2001年1月に静岡県沖上空で起きた日航機同士のニアミス事故で、便名を言い間違え乗客57人にけがをさせたとして、業務上過失傷害罪に問われた管制官の籾井康子(もみい・やすこ)(37)、蜂谷秀樹(はちたに・ひでき)(31)両被告の判決公判で、東京地裁は20日、2人にいずれも無罪(求刑禁固1年6月—1年)を言い渡した。
判決理由で安井久治(やすい・ひさはる)裁判長は、訓練中だった蜂谷被告の便名言い間違いを「それだけで航空機の接触や衝突を招く危険な行為だったとは言えない」と指摘。「両被告には事故への予見可能性はなく、便名間違いと事故の間に因果関係もなかった」と述べた。
さらに判決は「管制官や機長個人に、刑事責任を追及することは相当でない」と付言した。
判決によると、蜂谷被告は01年1月31日、907便と958便の異常接近を避けようとして便名を言い間違えて907便に降下を指示。907便はその後の航空機衝突防止装置(TCAS)の上昇指示に反して降下、958便はTCASの降下指示に従ったため両機はさらに接近し、衝突を避けようと急降下した907便の乗客57人がけがをした。
蜂谷被告と、誤った指示に気付かなかった監督者の籾井被告が04年3月、在宅起訴された。
≪日航機ニアミス事故の経過≫
2001年1月31日 静岡県沖で日航機同士がニアミス。乗客乗員100人が重軽傷(起訴対象は57人)
02.7.12 国交省航空・鉄道事故調査委員会が報告書をまとめ、衝突防止装置をめぐる規定の整備などを国交相に勧告。国際民間航空機関にも規定改正を勧告
7.31 国交省が監督者の籾井康子(もみい・やすこ)被告を減給、便名を言い間違えた蜂谷秀樹(はちたに・ひでき)被告を訓告の処分
03.5.7 警視庁が業務上過失傷害容疑などで、管制官2人と機長を書類送検
04.3.30 東京地検が管制官2人を業務上過失傷害罪で在宅起訴、機長は不起訴
9.9 東京地裁で管制官2人の初公判。弁護側が無罪を主張。管制官は認否を留保
05.1.20 管制官2人が無罪主張
06.1.25 検察側が禁固1年6月—1年を求刑し結審
3.20 管制官2人に無罪判決
(03/20 15:46)
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asahi.com 2006.3.20
日航機ニアミス事故、管制官2人に無罪判決 東京地裁
2006年03月20日20時36分
静岡県焼津市の上空で01年1月、日本航空の2機が異常接近(ニアミス)し、多くの乗客・乗員がけがをした事故で、業務上過失傷害の罪で在宅起訴され、無罪を主張した管制官・蜂谷(はちたに)秀樹被告(31)、指導役の管制官・籾井(もみい)康子被告(37)の判決が20日、東京地裁であった。安井久治裁判長は便名を言い間違えた降下指示について「それ自体は危険性のある行為ではなく、この指示が直接事故につながったとはいえない」として両管制官を無罪とした。判決は、事故は複合的な要因によると認定し、個人の刑事責任を追及するのは適切ではないとの立場をとった。
ニアミス事故をめぐり管制官が起訴された初のケース。事実関係に争いはなく、主な争点は両管制官が事故を予見できたかどうかだった。
事故は(1)蜂谷管制官が韓国・釜山発成田行きの958便に出すべき降下指示を、間違えて羽田発那覇行きの907便に出し、籾井管制官も気づかなかった(2)両機の空中衝突防止警報装置(TCAS)の回避指示(RA)が作動。RAは907便に上昇、958便に下降を指示した(3)907便は管制官指示を優先し、958便はRAに従った(4)その結果、両機とも降下して接近、衝突を避けるため907便が急降下。機内で計100人が重軽傷を負った。検察側は57人のけがについて両被告を起訴。蜂谷被告に禁固1年、籾井被告に同1年6カ月を求刑していた。
判決はまず「蜂谷管制官の指示は不適切だったが、907便が指示通り下降を続け、958便もそのまま水平飛行していれば間隔は十分あいていた」と述べ、「指示だけではニアミスを招く実質的危険性はなかった」と判断した。
また「RAが発せられなければ危険は生じなかった」と指摘。「RAがいつどのように作動するか、管制官は具体的にはわからなかった」と述べ、両管制官が事故を予見することはできなかったと結論づけた。
判決は事故当時、管制官の指示とRAの優劣が明確にされていなかった点を指摘。907便の機長が「RAに従うと失速の危険がある」と判断したのも「航空機の性能について情報が十分伝えられておらず、やむを得ない面もあった」と判断した。機長は業務上過失傷害容疑で書類送検され、不起訴となった。
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中日新聞 2006.3.21
管制官2人に無罪 日航機ニアミスで東京地裁
二〇〇一年に静岡県沖上空で起きた日航機同士のニアミス事故で、便名を呼び間違え乗客五十七人にけがをさせたとして、業務上過失傷害罪に問われた管制官の籾井(もみい)康子(37)、蜂谷秀樹(31)両被告の判決公判で、東京地裁は二十日、二人にいずれも無罪(求刑禁固一年六月−一年)を言い渡した。
判決理由で安井久治裁判長は、訓練中だった蜂谷被告の誤った管制指示を「不適切で事故の契機となったが、それだけで接触や衝突を招く危険な行為だったとは言えない」と述べ、監督者の籾井被告とともに刑法上の過失や事故との因果関係を否定した。
ニアミス事故で管制官の個人責任が初めて問われた裁判だったが、検察側主張がすべて退けられる結果となった。
判決によると、羽田発那覇行き907便と釜山発成田行き958便が接近した際、蜂谷被告は便名を言い間違えて907便に下降指示を出した。その直後、両機の衝突防止装置(TCAS)が907便に上昇を、958便に下降を指示。907便はTCASの指示に反し管制官の指示通り下降、958便はTCASの指示に従い下降し、ニアミスが起こった。
安井裁判長は「TCASが指示を出さなければ、両機は千フィート(約三百五メートル)の垂直間隔が確保され、接触・衝突する危険性は生じなかった。管制官には、TCASの指示を踏まえて管制指示することまでは求められていない」と述べた。
さらに(1)誤った指示の後、TCASが機長に逆の指示を出したことを、両被告は知らなかった(2)食い違った指示を受けて機長が自らの判断でTCASに従わなかった−と認定。
「両被告には事故への予見可能性はなく、便名間違いと事故との間に因果関係もなかった」と述べた。
また判決は、管制官とTCASの指示が食い違った場合の規定が不備だったことを挙げ「管制官や機長個人に、刑事責任を追及することは相当でない」とした。
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毎日新聞 2006.3.21
日航機ニアミス:2管制官に無罪 東京地裁「過失なし」と
01年に静岡県上空で日本航空機同士が異常接近(ニアミス)して乗客57人が重軽傷を負った事故で、便名を間違えて指示したとして業務上過失傷害罪に問われた国土交通省東京航空交通管制部管制官の籾井(もみい)康子(37)、蜂谷(はちたに)秀樹(31)両被告に対し、東京地裁は20日、無罪を言い渡した。安井久治裁判長は「指示が不適切だったのは明らかだが、危険性のある行為とは言えず、過失は認められない」と判断。さらに「刑事責任を管制官や機長という個人に追及することは相当でない」と付言した。
ニアミス事故で管制官の刑事責任が問われた初めての裁判で、検察側は籾井管制官に禁固1年6月、蜂谷管制官に同1年を求刑していた。
蜂谷管制官は訓練中の01年1月31日、羽田発那覇行き907便と韓国・釜山発成田行き958便が接近した際、958便に出すべき降下指示を間違って907便に出し、指導役の籾井管制官も誤りに気付かなかった。その後、両機の航空機衝突防止装置(TCAS)が907便に「上昇」、958便に「降下」の回避指示(RA)を出し、958便はRAに従ったが、907便は管制指示通りに降下を継続。このため、両機は異常接近し、衝突回避のため急降下した907便の乗客57人が重軽傷を負ったとして、2人は起訴された。
判決は、仮に管制の指示が間違っていても、両機が管制に従っていれば、結果的に両機が危険性のない間隔を確保することができたとして「指示は、異常接近を招く実質的な危険性のある行為と言えない」と指摘。間違った指示を出した907便がRAでなく管制通りに降下する一方、上昇や下降の指示を出さなかった958便がRAに従って降下したことについて「管制官が予見することは不可能だった」と述べ、指示と事故の因果関係を否定した。
当時、管制指示とRAのどちらに従うかは機長の判断で、RAの具体的内容は管制官には分からないシステムだった。
事故では907便の機長も書類送検されたが、嫌疑不十分で不起訴とされた。
【佐藤敬一】
【航空機衝突防止装置(TCAS)】異常接近の検知・防止のため航空機に設置された装置。接近距離により「TA」(接近警報)、「RA」(回避操作指示警報)が作動する。回避指示は、一方の航空機に「上昇」、もう一方に「降下」を指示する。事故をきっかけに、管制官の指示よりTCASを優先すると決められた。
毎日新聞 2006年3月20日 19時28分 (最終更新時間 3月20日 21時11分)