医療崩壊 / 公共財としての医療 / 地域医療を育てる会資料
Posted by guideboard on 2007/09/02/Sun
NPO 法人 地域医療を育てる会
http://www.geocities.jp/haruefjmt/
みんなの広場 地域の医療を育てるために・・・
http://9020.teacup.com/haruefjmt/bbs
サイト巻頭の挨拶文を参照する。
はじめまして、地域医療を育てる会の藤本と申します。私は、1996年に東京から東金に越してまいりました。当時幼い子どもが夜中に熱を出し、そのたびに旭市や千葉市にある救急病院に子どもを車で連れて行きました。そのころから、「近くに病院があるのに、なぜ診察をしてもらえないのだろう」と思っておりました。
病院から医師が減っていることをはっきりと知ったのは、2005年1月に開かれた「山武地域医療センター構想シンポジウム」のときです。そして、そのときの、会場から質問をする住民とそれに答える行政・医療関係者とのやり取りが印象に残りました。住民は「〜してほしい」「〜してくれない」と言い、行政や医療関係者は「理解とご協力をお願いします」を繰り返していました。
住民は「〜してくれ」と誰かに依存するだけでいいのでしょうか?行政や医療関係者だけが対策を考えなくてはならないのでしょうか?また、住民に「理解とご協力を」と言う専門機関は、はたして必要な情報を住民に伝えているのでしょうか?
住民、行政、医療、さらには福祉や保健など様々な立場の人たちが同じ土俵の上で互いに知恵と力を出し合う関係こそが、この地域には必要なのです。
そんな対話をする場を作ろうと、様々なお立場の方々とともに「地域医療を育てる会」を作りました。地域医療を育てる会は2005年4月に会として組織し、11月にNPO法人となりました。今は21名の会員が「対話する地域医療」を育てようと活動しています。
今、私たちの住む地域では病院の医師が激減し、他方では山武地域医療センター計画が協議されています。このような状況の中で、私たちはいったい何ができるのか、皆で知恵を出し合い、ともに考えてみませんか?
財団法人 あしたの日本を創る協会
http://www.ashita.or.jp/
「まち むら」91号に掲載された紹介文を参照する。
http://www.ashita.or.jp/publish/mm/mm91/mm91-2-4.htm
住民と医療、行政をつなぐ
千葉県東金市・地域医療を育てる会
房総半島の東岸、太平洋に臨む総延長約60キロの九十九里浜に面した山武郡市(東金市と山武郡7町1村)。東京都心への通勤も可能な地域でありながら、医師の減少による「医療過疎」が深刻な状況を迎えている。千葉県全体の人口10万人当たりの医師数は142人(2002年度)と全国ワースト3位。なかでも、山武郡は91人と危機的だ。そんな中、人の命と健康に直結する医療の問題に、行政、医療、福祉、住民の四者が一体となって知恵を絞ろうと、山武郡市の中心都市・東金市の住民が立ち上がり、「地域医療を育てる会」(会員17人)を結成した。4月に発足したばかりだが、四者間で交わされた意見や懇談の内容を情報紙にまとめ、地域住民に発信している。医療や行政サイドからの働きかけではなく、住民が主体的に情報発信していく県内でも珍しい取り組みだ。
地域医療のために何ができるのか
育てる会発足のきっかけは2003年に浮上した千葉県と山武郡市9市町村の「山武地域医療センター構想」だった。構想は、老朽化した県立東金病院の機能を引き継ぐ中央病院を新設し、国保成東病院、国保天網病院の郡内に三つある公立病院の機能を集約。約5年後に救急機能を備えた中央病院と入院・療養患者を受け入れる2か所の支援病院に再編するというもの。しかし、中央病院の建設地は決まったが、費用負担などの課題が山積しており先行き不透明なのが現状だ。
この構想の基本計画策定委員会でアドバイザーを務める育てる会代表の藤本晴枝さんは今年1月、この構想を住民に説明する県主催のシンポジウムに参加した。会場から「医師の数が減り、診療科目がなくなったものもある。明日の医療より今日の医療も考えてもらいたい」という意見が上がった。藤本さんは、病院から医師がいなくなることを知って大きな衝撃を受けた。
藤本さん自身、1996年に東京都内から東金市に移り住み医療過疎地域の状況を実感した。小学生3人の子どもを育てる母親として、幼児だった子どもが夜中に熱でうなされ、高速道路を自分で運転して千葉市や旭市の病院に向かったこともあった。
この地域の医療のために自分にはどんなことができるのか。自問を続けた藤本さんは「住民はサービスを受け、行政・医療が答えるという固定的な関係ではなく、それぞれの立場で力を出し合い一緒に考えなければこの地域の医療はますます先細る。みんなが立場を超えて話し合う場を作りたい」と一歩を踏み出し、今年4月に育てる会を立ち上げた。
「市民が動いても何も変わらない。それどころかリスクを背負わなくてはならなくなるかもしれない」と心配する友人もいる。だが、自分の子どもが急病になったとき、医療が受けられなかったらあきらめるのか。お母さんは何もしなかったと子どもに言えるのか。一生懸命やったけどうまくいかなくてごめんねというほうがよっぽどいい。そんな母親としての思いが藤本さんの原動力になっている。
懇談会と情報紙発行を柱に活動
「ちょっとした風邪でも近くの診療所では診てもらえない。重篤でも『ベッドがない』と断られ、域外の大病院に行っている」「良い病院の情報も親同士の口コミが頼り。医師に紹介してもらうことはあまりない」
4月上旬、東金市内の福祉施設に障害児を持つ親が集まり、医療への疑問や不満を口々に語った。藤本さんをはじめ、県立東金病院の平井愛山院長らが耳を傾けた。「少数の人々、声の小さい人々のニーズがほとんど把握できていない。もっと掘り起こす機会が必要だ」。藤本さんと平井院長は痛感した。
育てる会が主催するこうした懇談会は、地域住民から直接話しを聞く重要な機会だ。これまで「高齢者医療」「障害者医療」「小児・周産期医療」「糖尿病」などのテーマごとに地域の住民を集め、意見を吸い上げてきた。毎回2時間にわたって生の声を聞くなかで、学べることは計り知れない。
懇談会で得られたこうした肉声に、藤本さんが医療関係者らに取材した内容を加え、毎月1回のペースで情報紙「クローバー」を発行し、住民に配布している。「クローバー」は四つ葉になぞらえた医療、住民、行政、福祉の四者のつながりを大切に育てていこうという決意の象徴で、育てる会のシンボルマークにもなっている。
第1号は育てる会の発足から丸2か月が経過した6月20日、山武地域の救急体制の現状や山武地域医療センター構想をテーマにB4判1枚の両面刷りで2万部を発行した。表面では、山武地域の救急体制を取り上げたほか、救急車の出動状況を取材し山武郡の外に搬送される割合が年々増加していると報告。裏面では山武地域医療センター構想の担当者にインタビューし、構想の進捗状況をまとめた。
第1号は少ない予算を削って新聞折り込みの形で配布したが、東金市内自治会(区会)の区長会が会の活動に理解を示し、2号以降は回覧板で配布してもらえることになった。
すでに4号を数えた情報紙クローバーを通じて、いくつかの出会いも生まれた。8月に入って、山武地域での子育てを取り上げた3号を読んだという関西の医学生から連絡を受けた。直接会って話しをすると、育てる会のホー・ムページに掲載している懇談会の記録をプリントアウトし、所々にアンダーラインもしてあった。「とても勉強になります」と話す医学生は、将来は千葉県で研修したいという。また、ケアタクシーの運転手からは、移送サービスの難しさや制度などについてアドバイスを受けた。
「人と人がつながるとき、そこに大きな力が生まれ、すばらしいものができる」。藤本さんは確信するようになった。
NPO法人化でさらなる飛躍ヘ
反響が広がる一方で、課題も見えてきた。組織が未熟なため、せっかく懇談会で吸い上げた意見も具体化していく力が備わっていない。懇談会の手法も、ただ参加者に意見を求めるだけでは発言に尻込みしてしまう人もいる……。
課題の克服にはまだまだ時間はかかるが、行政や医療機関への参画がスムーズに行なえるよう、育てる会はNPO法人格の取得に向けて動き出した。「さまざまな機関に働きかけるには対外的に信用される組織でなければならない。この地域ではNPO法人格がないと会議の席に着くことができないのが現実」。各地の医療ニーズ調査や住民と行政を橋渡しする相談窓口の開設など今後の活動を展開していく上でも、NPO法人格は必要という。8月下旬に県に申請し、年内の取得を目指す。
育てる会の活動はようやく軌道に乗り始めたばかりだが、「自分の家族が万一の時、行くべき病院がない」というだれもが大きな不安を抱く問題だからこそ、行政や医療機関任せにせずにみんなで話し合おうという姿勢は、山武郡市にとどまらず、地域社会が抱えるさまざまな問題に求められる視点といえるだろう。