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医療崩壊 / 公共財としての医療 / 県立柏原病院の小児科を守る会資料

Posted by guideboard on 2007/09/02/Sun

» 医療崩壊 / 公共財としての医療

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丹波「未来」新聞 2007.4.5

柏原病院の小児科存続危機(上)
県の1日付け人事で、 県立柏原病院の院長に前副院長の酒井國安氏 (57) =小児科=が内部昇任したことにより、小児科の実働医が1人になり、 同科の診療が休診の瀬戸際に立たされている。 県に対し、 強く後任医師の派遣を求めているが、後任は決まっていない。 残る1人の医師 (41) は、 補充がない場合は5月末での退職を訴えており、 悪くすれば実働常勤医が 「0」 になる。小児科と密接な関係にある産科も、 小児科がなくなれば医師引き上げの対象になる。 異動がもたらした小児科、産科の危機的な局面を2回にわたり報告する。 (足立智和)

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同病院小児科は昨年、 3760人の入院患者と10266人の外来患者 (救急含む) を診た。 同科の医師は、 昨年4月に1人減った。 前院長らが、 3人体制に戻そうと1年間、 医師招へいに努めたが叶わず、 2人体制を余儀なくされている。

疲労が激しく、 2人でこれまで通りの診療体制を続けるのが難しくなったため、 小児科外来は4月から「開業医からの紹介を受けた予約患者のみ」 にした。 しかし、 外来予約制は、 酒井氏が院長就任の打診を受ける前に「医師2人で診療を続ける前提」 で実施を決めたもの。 1人で治療は続けられないという。 日中の外来、 入院患者のケア、 検査のみならず、 24時間体制で、 救患 入院患者の急変 いつ産まれるか知れない病的新生児への備え?があるからだ。

人事担当の県病院局管理課は、 「小児科医が不足しているからといって適任者を院長にしないという議論にはならない。酒井氏が院長になったからといって、 全く小児科を診ないというわけではない。 院長の職務のうち、 他の管理職で対応可能なものであれば、適当な分担の元でやっていける話だ」 と、 院長と実働医の一人二役を求めている。

現在、 同院長は小児科機能を低下させないため予約外来の診療に立ち、 輪番当番日の当直も、 ICU (集中治療室)の当直にも加わっているが、 院長の最大の任務である、 医師の招へい活動ができていない。 同院長は、小児科医の仕事にほぼ専念できた副院長時代から週に2、 3日は同病院に泊まっている。 院長職に就き、 仕事量が増えた今、副院長時代と同じだけ小児科医として勤務するのは、 事実上不可能だ。

院長同様に、 もう一人の医師もほぼ毎月、 時間外勤務が100時間以上に達しており、 オーバーワークで診療を続けている。「患者さんも医者も命の綱渡り状態だ。 もうこれ以上の負担増には耐えられない」 と悲痛な叫びを上げる。 交代要員がおらず、 1人が連休を取ると、もう1人が12日間連続勤務になるため、 互いに連休は月1度ずつに抑えている。 医師が3人いた時は、 年2回ずつ参加できていた大きな学会にも、昨年は1度も参加できなかったという。

柏原赤十字病院の産科休止の影響で、 柏原病院でのお産が増え、 小児科による新生児の治療が今後大幅に増加することが見込まれる。柏原赤十字病院の小児科が常勤医1人で診療を続けているが、 柏原病院の小児科が入院患者を受け入れなくなると、 小児科輪番制度が崩壊する。

県は今年1月の 「丹波地域医療確保対策圏域会議」 で、 今後の地域医療提供体制について 「小児、 産科の入院機能は県立柏原に集約」 とする将来方針を提案したが、 医師は増えず逆に減る方向で、 構想との整合性が保たれていない。

同院長は、 「精一杯やってもらっているもう1人の医師の負担を増やすことはできず、 できる限り診察に当たる。 この地域の母児医療を守りたい。 1日も早く後任を」 と、 一日千秋の思いで、 後任医師の着任を待ちわびている。

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丹波「未来」新聞 2007.4.16

柏原病院の小児科存続危機(下)

県立柏原病院産科は、 柏原赤十字病院の産科休止による影響分と合わせ、 3人の医師で、 今年度年間400前後の分娩を引き受ける予定をしていた。

しかし、 酒井國安前副院長 (小児科) を院長にする県の4月の人事異動で小児科の実働医が1人減り、 後任医師の補充がないことに端を発した同科の存続危機で、 産科が休診の瀬戸際に立たされている。

小児科医が減ったり休診になり、 新生児医療が担保されない病院からは、 産科が引きあげるのが一般的。 3医師が籍を置く神戸大の産婦人科医局からも、 「小児科機能がなくなれば、 産科引きあげ止むなし」 と伝えられているという。

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同病院産科は、 すでに受け付けたお産は対応するが、 「小児科の存続可否の状況を見て判断せざるを得ない」 と、 11月以降の予約受け付けの保留を検討している。

同病院でお産ができなくなると、 丹波市内にお産施設がなくなり、 11月下旬以降3月末までに、 少なくとも130人程度が他施設を探す必要に迫られる。

06年度に同病院で産まれた赤ちゃんは275人 (丹波市212人、 篠山市61人・里帰り出産含む)。 うち、 43%の117人が小児科にかかった。 帝王切開 (出産数の約20%を占める) の場合、 赤ちゃんが仮死状態や未熟児であることも多く、小児科医が全ての手術に立ち会っている。

普通分娩でも、 母親の5人に1人は、 赤ちゃんに髄膜炎や敗血症をもたらすB群溶連菌を膣や肛門周辺に持っており、 産道を通る際に赤ちゃんが感染する可能性がある。

このため、 同病院では、 帝王切開、 B群溶連菌保菌者の母親から生まれた赤ちゃんは、 産後すぐに小児科に入院させ、 「安全のベール」で包んでいる。 おう吐、 発熱、 黄だん、 元気がないなどの 「ちょっとしたトラブル」 もできるだけ小児科で担い、 危険の芽を摘み取っている。

20年ほど前、 小児科のない病院でお産に携わっていた同病院産婦人科の丸尾原義 (もとよし) 医師には、 忘れられない経験がある。帝王切開の手術中に急に母親が全身けいれんの発作を起こした。 取り出した赤ちゃんは呼吸をしておらず、他科の医師が応援に駆けつけたものの赤ちゃんの処置はできず、 「この子は助けられない」 という声が聞こえた。

丸尾医師は手術台を降り、 母親の処置を他の医師にゆだね、 赤ちゃんを抱え小児科がある西脇市民病院まで救急車で搬送した。 幸いに母子とも命を救えたが、 この時の恐ろしさが身に染みている。

「新生児には専門的な処置が必要。 母子双方の治療を産婦人科だけで行うことは、 極めて困難。 仮に小児科がなくなり、それでもお産を続けろと言われた場合、 医師のミスでなくとも、 不可抗力的な事故が増加し得る。 しかし、 それが許される時代ではないだろう」と話す。

例えば、 妊娠高血圧症 (中毒症) の場合、 赤ちゃんを取り出せば母親の血圧は下がるが、 以前は未熟児の対応ができず、取り出した赤ちゃんが死ぬことがあり、 早産では生死が知れぬと、 子を長くお腹に持って無理をした母親が命を落とすこともあった。未熟児医療の進歩で母児双方を救えるようになり、 日本を世界でも妊産婦、 新生児死亡率の低い国へ押し上げた。

同病院は小児科医が未熟児を診る体制を維持しており、 妊娠高血圧症や糖尿病などを持つハイリスクな母親も、 一定レベルまで引き受けている。小児科が未熟児を診れなくなれば、 ハイリスクな妊婦は、 済生会兵庫県病院、 神戸大学病院、 県立こども病院 (いずれも神戸市)などへ行かざるを得なくなる。

同病院の上田康夫副院長(産婦人科)は、「柏原病院で母児医療を続けるには、 小児科医の力が不可欠。地元で生みたいという人の思いにこたえたいが、 酒井先生が院長になられ、 小児科の実働医師が減るのは致命的。 ただ、 県病院局は、こういった小児・産科の現状は十分理解されていると思うので、 近々に後任医師の手配をしていただけるものと確信している」 と言う。

丹波小児科医会の松本好弘会長 (まつもと医院院長) は、 「病院の小児科医は最低限2人必要。 1人ではお産が入ったり、転院搬送が必要な患者が出ると外来がストップする。 都市部の病院も小児科患者を受け入れてくれにくくなっており、 紹介先を探すのに困っている。柏原病院に小児科医をとにかく1人、 緊急に招いてほしい。 心から祈っている」 と話している。

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最低限1人の小児科医を補充すれば、 差し迫った危機は回避できる。 県病院局は、 自らが震源地となり引き起こした柏原病院の母児医療崩壊危機に対する責任を、 医師補充という形で果たさねばならない。 (足立智和)

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丹波「未来」新聞 2007.4.19

「節度ある受診」啓発 「守る会」が活動再開

県立柏原病院の小児科を守る会が、 第2期の活動を始める。 軽症でコンビニを使うような感覚で病院を受診することを控え、 本当に必要な患者が必要な時に病院にかかれるよう、 「節度ある病院受診」 を改めて呼びかけていく。 再始動の第一歩として22日午前10時から、 神楽の郷 (青垣町文室) で開かれるフリーマーケットに出店する。 ベビー用品を格安販売し、 あわせて、 医師を大切にすることが、 ひいては、 患者を救うことにつながるという 「こどもを守ろう お医者さんを守ろう」 のメッセージを伝える。

フリーマーケットでは、 メンバーが持ち寄った、 こども服、 おもちゃ、 赤ちゃんが飲んだ母乳の量をはかるベビースケールなどを100円から販売する。 「こどもを守ろう お医者さんを守ろう」 と記した、 オリジナル値札を作り、 子育て世代へのメッセージの浸透をはかる。

また、 あわせて、 同会が集めた5万5366筆の 「県知事に、 県立柏原病院への小児科医の派遣を求める署名」 への協力に対する感謝を伝える、 自筆の 「ありがとう」 チラシを配布する。 8月5日には、 道の駅 「丹波おばあちゃんの里」 (春日町七日市) で開かれるフリーマーケットにも出店する。

今後、 自動車にはるマグネットステッカーの作成、 県立柏原病院医師や救急救命士に協力をあおぎ、 「こどものトラブルQ&A」 チラシか冊子の作成、 ホームページの開設などを計画しており、 バザーの収益は、 これら活動資金にあてる。

新しく代表に就任した丹生裕子さん (市島町) は、 「医師不足解決に向け、 住民のできることの一つが、 かかり方に気をつけること。 活動を続け、 会の主旨を浸透させていきたい」 と話している。
同会は、 丹波市内の20歳代、 30歳代の母親で作っている。 メンバーは15人程度。

問い合わせは、 電子メール( mamorusyounika@yahoo.co.jp) で。

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丹波「未来」新聞 2007.7.9 記者ノート

意見交換の集い

「医療問題について、 市民の立場から考え、 地域医療を守りたい」 という方々から電話やメールを頂いたり、 取材先で声をかけて頂くことが多々ある。 最近とみに、 その回数が増えた。 市内外で開かれる医療問題を考える集まりにも、 できるだけ顔を出し、 一市民として、 何ができるのかを考え続けている。

市民が正しい方向を向いて行動することの大切さを、 「県立柏原病院の小児科を守る会」 のお母さん方から教わった。 署名そのものは、 県に、 ものの見事に袖にされたが、 活動やメッセージは、 住民運動のあり方に一石を投じた。 波及効果で、 今すぐは無理でも、 近い将来、 医師に赴任して頂けるのではないか、 また、 医師が赴任したいと思われる地域に、 丹波地域はなれるのではという期待を持っている。

「会って話がしたい」と言って下さる方々と、 ざっくばらんに意見交換をする場を持つことになった。 8日午後7時から、 丹波市役所隣の氷上公民館で。 参加者数人のこぢんまりした集いになるだろう。 考え方や、 立ち位置が異なる人が集まる。 話がどう転がるのか楽しみだ。 参加は自由。 時間と興味がある方は、 のぞいて下さい。

(足立智和)

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