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Archive for September 2nd, 2007

医療崩壊 / 公共財としての医療 / 地域医療を育てる会資料 2

Posted by guideboard on 2007/09/02/Sun

» 医療崩壊 / 公共財としての医療

読売新聞 千葉版
ルポ医療の現場 疲弊する医師
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/chiba/kikaku/103/
患者支える充実感
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/chiba/kikaku/103/5.htm

「お風呂に入れてよかったですね」「よくはない。体が動かんようになって」

匝瑳市民病院(匝瑳市)の内科病棟で、林仁美医師(27)が脳こうそくの患者(91)と会話を交わす。林さんは同病院の勤務医ではなく、旭中央病院(旭市)の3年目の研修医だ。

旭市出身の林さんは山形県の大学に進んだが、地域医療で成果を上げている旭中央病院で学びたいと地元に戻った。同病院には、1、2年目は病院内、3年目は匝瑳市民病院など周辺の病院で研修を受ける「地域医療医コース」があり、林さんは現在、このコースにいる。

林さんが地域医療のよさを実感したのは、本人の希望で自宅に戻った肺がん末期の80歳代男性を担当した時だった。自ら往診に出向き、最期をみとった。家族からは「先生のおかげで家に帰すことができた」と感謝されたという。「都市部の大病院は病気だけを診がちだけれど、地域の病院では患者さんの生活まで含めて支えることができる」と林さんは語る。

臨床教育委員会の委員長も務める吉田象二・旭中央病院長は、「都会から医師を連れてきても定着してくれるとは限らない。地域医療を支える人材を、若いうちから育成することは重要」と指摘する。

地域医療の危機に直面して、住民の中にも、自らできることをしていこうという機運が生まれている。

「病院や行政に要望するだけでなく、住民も病院と診療所を使い分けたり、病気の予防に努めたりすべきだと思います」。成東病院(山武市)の医師不足問題を話し合うため、NPO(非営利組織)法人「地域医療を育てる会」が3月、東金市内で開いた集会で、同会の藤本晴枝理事長がこう主張すると、会場の多くの人がうなずいた。藤本さんは「様々な立場の人が知恵と力を出し合う関係こそ、地域には必要」と話す。

地方病院の医師確保策のモデルケースもなくはない。長野県佐久市の佐久総合病院は、田園地帯の病院ながら821床の大規模病院。206人の医師を擁し、周辺自治体の5診療所に医師を派遣している。診療所の医師は患者を同病院に紹介し、紹介した患者を診に行くこともある。研修などで留守にする時などは、代わりの医師が派遣される。

同病院での研修や関連診療所での勤務を希望する医師も少なくない。同病院から派遣されている同県南相木村の国保直営診療所長、色平哲郎医師は3月の東金市での講演で、「医師が来てくれる動機を地域としてどう作るかが大事だ」と指摘した。

井上由美子・城西国際大教授(福祉学)も、「地域医療に関心を持つ医師を育てることが重要だ。医師不足に特効薬はなく、地道な対策を取っていくしかない」と話している。

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読売新聞 千葉版
特報スコープ・岐路の地域医療
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/chiba/kikaku/080/
知恵寄せ合い将来像探る
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/chiba/kikaku/080/5.htm

自ら守る命と健康

「地域医療を育てる会」の第1回定例会で会の意義を説明する藤本さん(右から2人目)

「3か月入院すると退院を迫られる。その後はどうしたらいいのか」「どうやったら健康が維持できるのか知りたい」

今月8日、東金市内の福祉施設に民生委員や主婦ら約20人が集まり、医療への疑問や考えを口々に語った。

耳を傾けたのは県立東金病院の平井愛山院長や山武郡市広域行政組合の職員ら。質問に答える形で、平井院長が訪問看護や病院主催の市民公開講座について説明した。

「病院や行政が情報発信していても、なかなか住民に届かないんだな」。会合を呼びかけた「地域医療を育てる会」代表の藤本晴枝さん(40)は、情報提供の難しさを感じていた。

「育てる会」は今年4月に発足したばかり。山武郡周辺の住民や医療、福祉、行政関係者らが意見を交わし、住民の声を医療、行政側に届けるほか、住民に情報を発信することを目指している。

会の設立に動いた藤本さんは東京都出身。1993年、江戸川区から夫の実家のある東金市に転居した際、“医療過疎”地域の状況に驚いた。

夜中に高熱を出した子供を、車で千葉市や旭市の救急病院まで運んだこともあった。幼稚園で知り合った母親に、「かかりつけ医の自宅まで行ってたたき起こすしかないわよ」と教わった。女性団体に加わり、情報誌に医療記事などを書いていたころ、地域に新しい医療センターを作る構想が持ち上がった。

計画は、県立東金病院、国保成東病院、国保大網病院の3病院の機能を集約し、約5年後に24時間対応できる救急機能を備えた中央病院と外来患者や症状が安定した入院患者を受け入れる2か所の支援病院を作るという内容。

役所に請われ、医療センター構想策定委員会に加わった藤本さんは、高齢者のニーズに焦点があたりがちな議論の中、小児科や周産期医療の充実などを訴えた。

現在、まとまりつつある医療センター計画の住民への説明が進んでいる。今年1月末に東金市内で開かれたシンポジウムの終了後、藤本さんの目には、主催者の行政担当者は満足げな表情に、住民は物足りなさそうに映った。

「苦情を申し立てたり、行政に頼ったりするだけでなく、住民も行政や医療提供者と一緒に知恵を絞らないといけない」との思いが会の結成に向かわせた。

こうした動きは医療側も歓迎している。会に加わる東金病院の平井院長は、「中央病院ができても患者が押し掛けたらパンクする。住民が病気を予防し、かかりつけ医から中核病院までを上手に受診するようにしないと問題は解決しない」と指摘する。

センター計画は今後、病院の設置場所や運営方法、医療サービスの内容などを詰める方針だ。会では、住民の声を計画に織り込むことも目指すという。「健康や命を守るためには、それぞれの立場から力を出し合わないと」。地域医療の将来像を心に描きながら、藤本さんはそう思っている。(おわり)

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asahi.com 2007.8.28

患者の立場で若手医師育成 東金の病院で

東金市台方の県立東金病院が市内のNPO法人「地域医療を育てる会」と一緒に、若手医師のコミュニケーション能力を高めるための「医師育成サポーター制度」を始めてまもなく半年を迎える。医師不足が深刻な山武地域。平井愛山院長は「住民とともに医師を育てることで、医師も地域医療への意識が高まる」と語る。

「サポーター」となる市民に、若手医師が生活習慣病についての講義をし、質問に答える。その様子を市民が評価する。患者とのやりとりに慣れていない若い医師にとって、市民にわかりやすく説明することが、診療のトレーニングとなる。

4回目となった20日、同病院の会議室には17人のサポーターと平井院長が集まった。今年度の講師を務めるのは阿部浩子医師(33)。8年目の内科医だ。

この日のテーマは「貧血」。貧血が起こる仕組みや予防法を、15分間で説明する。誰にでも分かるように専門用語はできるだけ避け、「経口薬」を「飲み薬」と言い換えるといった工夫をした。

テーマに対しての質疑応答(15分)では「鉄剤を飲んでいるが、ずっと飲んでいても大丈夫なのか」「検査は年1回程度でいいか」。矢継ぎ早にサポーターから質問が飛ぶ。

その後、「病院から『診療所を紹介します』と言われたら」を議題にして30分間の自由討論があった。状態が安定している患者に対して、主治医が近くの診療所を紹介するケースを想定して意見が交わされた。阿部さんには司会役として、白熱する議論の調整力も問われた。

すべてが終了すると、サポーターが阿部さんについて、声の大きさは十分だったか、質問に耳を傾けていたかといった約20項目を、5段階で評価した。

平井院長によると、診察や治療の場面で、患者とのコミュニケーションは、医師として最も必要な技能だが、大学ではほとんど教わることがないという。同時に複数に教えることによって、どのように話せば全員に理解してもらえるかが分かる。

「地域医療を育てる会」の藤本晴枝理事長は「患者はベテランの医師に診てもらいたいと思う。それでは、若い医師のやる気がなくなる。患者側は何ができるのか」と考えた。医療に詳しくない市民が、分からないことをぶつけることで医師を育てるという逆転の発想から、この取り組みは生まれた。

もともと人前で話すことが苦手だったという阿部さん。繰り返し市民に話すことで「理解度は人によってさまざま。患者が何を考えているのかが分かるようになった」。平井院長も「最初はマイクにしがみついていたのに、身ぶり手ぶりを交えて説明するようになった。自信の表れだろう」と評価する。

サポーターの登録は現在25人。40〜60代の人が多く、口コミで集まってきた。初めて参加した大網白里町の中尾栄子さん(68)は「医者と向き合って、市民が言えることは良いこと。病気をきちんと説明して、不安を取り除く先生になってほしい」と話した。

東金病院は、04年に始まった新医師臨床研修制度の導入に伴い、勤務医が大学病院に引き揚げられ、一時は内科医が2人となった。しかし、研修制度を充実させるなどして、今年の4月には6人に戻った。

サポーター制度は阿部さんが取得を目指す専門医のカリキュラムの一環として行われている。今年度は全12回行われるが、参加する市民も徐々に増えている。平井院長は「医師は孤立無援になったら辞めてしまう。とどまらせるために、住民が何かをしてくれているという力は大きい」と手応えを感じている。

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医療崩壊 / 公共財としての医療 / 県立柏原病院の小児科を守る会資料 2

Posted by guideboard on 2007/09/02/Sun

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神戸新聞 2007.4.26

母親ら「小児科を守る会」設立 県立柏原病院

丹波市内の母親ら十三人が、「県立柏原病院の小児科を守る会」(吉田綱和代表)を発足させた。勤務医不足で負担が重くなっている同病院医師への支援として、「かかりつけ医を持つ」など、母親としてできることを実践しようと呼びかける。二十五日には、辻重五郎市長らを訪問し、医師確保へ向けた取り組みについて説明を受けた。(小林良多)

柏原病院の小児科医は、昨年三人から二人に減った。四月にはそのうち一人が院長に就任し、診療体制の維持が難しくなった。このため、一般外来の受付は診療所からの紹介制に変更し、病院と診療所の役割分担に活路を求めた。

同会は二十代から三十代の母親十三人が集まり、「医師の過酷な勤務や、お産ができなくなる状況について、市民や近隣市の住民に関心を持ってほしい」と今月中旬に結成した。

辻市長との面談では、重症のぜんそくの子を持っていたり、三人目の出産を考えている母親の立場から、小児救急やお産が地域内で受けられることの重要性を訴えた。

市長は「県には何度も働きかけているが結果がみえない。若手医師の奨学金制度など、市としてできることをやらねばならない」などと答えた。

午後には石川憲幸県議と面会。勤務医不足の背景について説明を受け、「知事も状況はよく理解しているが、但馬などさらに深刻な地域がある。根本的には国の制度の見直しが必要で、厚労省にも要請している」とした。

医師の負担軽減に配慮

「病気の子どもの命を守れる地域に」との願いから、母親たちが動き出した。行政や病院に医師の増員を求めるだけの活動とは異なるものになりそうだ。

「賢い母親を目指したい」とメンバーの一人。子どもが急病になったときにも、病状を冷静に観察し、「かかりつけ医」か「総合病院」か、運び込む先を選択する判断力を養いたいと話す。病院と診療所との役割分担を、患者の側からも進めようと考える。

過酷な労働に耐えながら、丹波地域に残るわずかな医師たちが、親たちの安心を支えている。入院など、病院しか果たせない高度な医療を守るためにも、会は、今いる医師への過剰な要求を避け、できることを始めようとしている。

患者側の意識が、医師の負担を軽くする大切な一歩になる。(小林良多)

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医療崩壊 / 公共財としての医療 / 兵庫県立柏原病院上田康夫副院長産婦人科部長資料

Posted by guideboard on 2007/09/02/Sun

» 医療崩壊 / 公共財としての医療

「1児の母さん」へのお返事

こんにちは。

このたびは貴重なメールをいただいてありがとうございます。

先日丹波新聞の記者さんが現在の柏原病院を取り巻いている医療環境についての取材に来られました。記者さんにはいろいろ私たちが日頃から考えていることをお話ししました。その記事が掲載された後さまざまな反響の来る事を予想していましたが、4月16日現在「1児の母さん」様のメールが1通だけでした。「1児の母さん」様には当院の小児科医、産科医に対してありがたいお言葉を頂戴し感謝いたしております。

私たちはこれまで当地域の毋児医療のために微力ながらその一端の役目を果たしてきたつもりですが、実際にはもう私たちの努力だけではどうしようもないところへ来ている感が否めません。

ご存知かもしれませんが、今日本全国で医師不足から特に地域医療のこれまでの体制が大きく崩れようとしています。もともと毋児医療の主体である小児科や産科は時間外勤務の多い不安定な勤務時間と毋児双方への責任に対する重圧などのためか、医学生達の多くはなりたがらず、いつも医師不足がつきまとってきた歴史があります。それでも日本中の多くの小児科医、産科医は「1児の母さん」のような地域からのご期待に精一杯応えようとして努力してきました。

柏原病院のまわりでも、本年3月には隣の柏原日赤病院が産科診療を中断したのと同様に、これまで産科医が配置されていた多くの近隣の公立病院が次々と産科診療を断念しています。一方、小児科医も最近の豊岡病院の例を挙げるまでもなく、地域の基幹病院といえども小児科医の配置は思うにまかせなくなっています。

なぜこんな医師不足が次々と起こるのでしょうか?

こうした医療崩壊の原因の一つには、2年前に始まった「新臨床研修制度」が上げられています。「新臨床研修医制度」とはこれまでの大学医局が一手に行ってきた卒業仕立ての研修医教育を大学以外の多くの一般病院でも行おうとするもので、医師の病院間配置に良くも悪くも大きな変革をもたらしました。「白い巨塔」と揶揄され批判される事の多かった医局人事制度ですが、全てが悪かったというわけではなく、私どものような地方への医師配分については大学の人事責任者はそれなりに医師の事情、地域の事情を考え人材を配置してきたのです。しかし、「新臨床研修医制度」は私たちの派遣先であった大学病院を直撃し、大学の医局はもはや関連病院への人材派遣を担えなくなりました。この影響はもともと少人数で維持してきた小児科や産科といった診療科に危ぶまれてきたのですが、最近では柏原病院の内科にみられるように他の診療科にも現れ始めています。

しかし、私自身は今地方で次々に起こっている医師不足の原因は今の日本の医療制度に内包される根本的な問題に根ざすような気がしています。

産科を例にとりあげてみます。20世紀半ば1940年、当時の母体死亡率は出生10万あたり239.6人以上を数えており、『三(産)と四(死)は隣り合わせ』という言葉が実感を持っていた時代でした。しかし、その後母体死亡率は急速に低下、2003年には6.1人にまで減少、周産期死亡率に至っては現在出生千に対して5.3 (2003年) と世界中で飛び抜けて低い値を示すまでになっています。

そうした中で、大多数の国民の間には「お産安全神話」すなわち「お産で人命が失われる事はない」という認識が広がってしまったようです。しかし、現在の日本でもなお年間50名程度の母体死亡は存在するという厳然とした事実があります。もし不幸にして母体死亡、新生児死亡がいったん起これば、マスコミを先頭にした産科医パッシングが行われます。「助けられたはずだ」「助からなかったのは何か過誤があったからだ」という論調が新聞紙面を踊ります。

私達を含めて多くの産科医達は「一生懸命救命努力をしても、結果が悪ければ治療内容を誹謗され、逮捕すらされる国」で医療を行って行く事にもう疲れきっているのです。もう心の芯が折れかけているのです。

そしてこうした傾向は産科や小児科だけに留まらなくなっています。特にその影響が大きいのが救急医療とそれに主役を果たす内科、外科、麻酔科といった診療科です。

日本の多くの病院勤務医は労働基準法に守られることもなく、昼間、夜間の診療にこれまで献身的に携わってきたと思います。患者さんからは「いつでも看てあたりまえ」「夜間にも専門の医者を呼べ」などという言葉を受けながら、自身の専門以外の診療範囲でも全能を尽くして診療に当ってきたと思います。しかし、そうした要求は田舎町の動物園にパンダがいないといってクレームをつけるようなもので、そんな無理な体制をいつまでも続けるわけにはいかないのです。

こうした毎日のはてに、病院勤務医?特に地方自治体病院の医師の多くはだまって「立ち去る」ことを考え始めたのが現状なのです。これを識者は「立ち去り型サボタージュ」と呼び、「医者は不平をいわない、ただだまって辞職していく」と分析しています。いずれにしても日本の多くの地域で従来の医療体制がもう立ち行かなくなっていることは明確な事実なのです。

丹波地域での毋児医療は今存続のきわどいラインの上に立っています。いや、病院自体が機能存続のきわどい綱渡りを続けています。今日本中で産科施設の集約化が進められようとしています。

産科医は今後増えて行く要素はなく、今後もどんどん減り続けることは確実なようです。医学生の多くはこんな診療科にはなりたがらないのです。国家も、産科医の減少にあわてて産科医を増やす、あるいは保護する政策誘導をするよりは、むしろ通達によって開業診療所を閉鎖させ、一方で助産所を増設して分娩を産科医から助産師へシフトさせる事を目論んでいるようです。

こうした政策をいったい誰が主導しているのか私には及びもつきませんが、10数年後には産科医が多くの地域から消散し、助産所での分娩が当たり前になるかもしれません。それは毋児死亡率の高かった一世代前の毋児医療に戻ることを意味するのですが、為政者の誰もそれに気づかない、いや気づかぬふりをしているだけかもしれません。

現在、まだ私たちは精一杯日常の業務を続けています。しかし、崩壊の波は地震波のように急速な勢いで日本中に広がりかけています。私たちは関連大学や行政にも現状の医療情勢への対処を訴えました、がしかし、現実に本地域で働く小児科医を守る手だてを得る事はできていません。

同様の問題を抱えた日本の他の地域では、市民の皆さんが地域の市長などとともに医師確保に声を上げています。しかし、本地域では残念ながらそうした動きを見る事はできません。

現在の毋児医療や救急医療が実際に直面している問題点をご理解された上で、本地域の医療を最低限守るためにはどうすることが最善なのかを考えていくことは、いずれ、本地域にも押し寄せるであろう待ったなき集約化や統廃合の波に立ち向かう上でそれは必要不可欠な宿題です。その時になって、市民達が地域エゴの立場からしか医療を考えられなければ、本地域からは全く基幹病院が無くなってしまう可能性も大きいのです。

「1児の母さん」に一つお願いがあります。

もし、柏原病院の小児科や産科医の存在を少しでもご評価していただき、われわれがこの地でそれなりに満足できる医療を続ける事を許していただけるなら、どうか、現在の医師不足、医療崩壊について市民の声を上げて下さい。どうか、近所の方やお友達に、丹波市や篠山市における今の医療情勢について教えてあげて下さい。そして私たちのふるさとの未来を担う子供達やお母さんの健康を守るため地域の立場からどのような現実的な取組ができるのかを一緒に考えていただけるようお伝えください。

よろしくお願いします。

兵庫県立柏原病院
産婦人科 上田康夫

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医療崩壊 / 公共財としての医療 / 県立柏原病院の小児科を守る会資料

Posted by guideboard on 2007/09/02/Sun

» 医療崩壊 / 公共財としての医療

ちらしの画像へのリンク。
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丹波「未来」新聞 2007.4.5

柏原病院の小児科存続危機(上)
県の1日付け人事で、 県立柏原病院の院長に前副院長の酒井國安氏 (57) =小児科=が内部昇任したことにより、小児科の実働医が1人になり、 同科の診療が休診の瀬戸際に立たされている。 県に対し、 強く後任医師の派遣を求めているが、後任は決まっていない。 残る1人の医師 (41) は、 補充がない場合は5月末での退職を訴えており、 悪くすれば実働常勤医が 「0」 になる。小児科と密接な関係にある産科も、 小児科がなくなれば医師引き上げの対象になる。 異動がもたらした小児科、産科の危機的な局面を2回にわたり報告する。 (足立智和)

■  □  ■

同病院小児科は昨年、 3760人の入院患者と10266人の外来患者 (救急含む) を診た。 同科の医師は、 昨年4月に1人減った。 前院長らが、 3人体制に戻そうと1年間、 医師招へいに努めたが叶わず、 2人体制を余儀なくされている。

疲労が激しく、 2人でこれまで通りの診療体制を続けるのが難しくなったため、 小児科外来は4月から「開業医からの紹介を受けた予約患者のみ」 にした。 しかし、 外来予約制は、 酒井氏が院長就任の打診を受ける前に「医師2人で診療を続ける前提」 で実施を決めたもの。 1人で治療は続けられないという。 日中の外来、 入院患者のケア、 検査のみならず、 24時間体制で、 救患 入院患者の急変 いつ産まれるか知れない病的新生児への備え?があるからだ。

人事担当の県病院局管理課は、 「小児科医が不足しているからといって適任者を院長にしないという議論にはならない。酒井氏が院長になったからといって、 全く小児科を診ないというわけではない。 院長の職務のうち、 他の管理職で対応可能なものであれば、適当な分担の元でやっていける話だ」 と、 院長と実働医の一人二役を求めている。

現在、 同院長は小児科機能を低下させないため予約外来の診療に立ち、 輪番当番日の当直も、 ICU (集中治療室)の当直にも加わっているが、 院長の最大の任務である、 医師の招へい活動ができていない。 同院長は、小児科医の仕事にほぼ専念できた副院長時代から週に2、 3日は同病院に泊まっている。 院長職に就き、 仕事量が増えた今、副院長時代と同じだけ小児科医として勤務するのは、 事実上不可能だ。

院長同様に、 もう一人の医師もほぼ毎月、 時間外勤務が100時間以上に達しており、 オーバーワークで診療を続けている。「患者さんも医者も命の綱渡り状態だ。 もうこれ以上の負担増には耐えられない」 と悲痛な叫びを上げる。 交代要員がおらず、 1人が連休を取ると、もう1人が12日間連続勤務になるため、 互いに連休は月1度ずつに抑えている。 医師が3人いた時は、 年2回ずつ参加できていた大きな学会にも、昨年は1度も参加できなかったという。

柏原赤十字病院の産科休止の影響で、 柏原病院でのお産が増え、 小児科による新生児の治療が今後大幅に増加することが見込まれる。柏原赤十字病院の小児科が常勤医1人で診療を続けているが、 柏原病院の小児科が入院患者を受け入れなくなると、 小児科輪番制度が崩壊する。

県は今年1月の 「丹波地域医療確保対策圏域会議」 で、 今後の地域医療提供体制について 「小児、 産科の入院機能は県立柏原に集約」 とする将来方針を提案したが、 医師は増えず逆に減る方向で、 構想との整合性が保たれていない。

同院長は、 「精一杯やってもらっているもう1人の医師の負担を増やすことはできず、 できる限り診察に当たる。 この地域の母児医療を守りたい。 1日も早く後任を」 と、 一日千秋の思いで、 後任医師の着任を待ちわびている。

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丹波「未来」新聞 2007.4.16

柏原病院の小児科存続危機(下)

県立柏原病院産科は、 柏原赤十字病院の産科休止による影響分と合わせ、 3人の医師で、 今年度年間400前後の分娩を引き受ける予定をしていた。

しかし、 酒井國安前副院長 (小児科) を院長にする県の4月の人事異動で小児科の実働医が1人減り、 後任医師の補充がないことに端を発した同科の存続危機で、 産科が休診の瀬戸際に立たされている。

小児科医が減ったり休診になり、 新生児医療が担保されない病院からは、 産科が引きあげるのが一般的。 3医師が籍を置く神戸大の産婦人科医局からも、 「小児科機能がなくなれば、 産科引きあげ止むなし」 と伝えられているという。

■  □  ■

同病院産科は、 すでに受け付けたお産は対応するが、 「小児科の存続可否の状況を見て判断せざるを得ない」 と、 11月以降の予約受け付けの保留を検討している。

同病院でお産ができなくなると、 丹波市内にお産施設がなくなり、 11月下旬以降3月末までに、 少なくとも130人程度が他施設を探す必要に迫られる。

06年度に同病院で産まれた赤ちゃんは275人 (丹波市212人、 篠山市61人・里帰り出産含む)。 うち、 43%の117人が小児科にかかった。 帝王切開 (出産数の約20%を占める) の場合、 赤ちゃんが仮死状態や未熟児であることも多く、小児科医が全ての手術に立ち会っている。

普通分娩でも、 母親の5人に1人は、 赤ちゃんに髄膜炎や敗血症をもたらすB群溶連菌を膣や肛門周辺に持っており、 産道を通る際に赤ちゃんが感染する可能性がある。

このため、 同病院では、 帝王切開、 B群溶連菌保菌者の母親から生まれた赤ちゃんは、 産後すぐに小児科に入院させ、 「安全のベール」で包んでいる。 おう吐、 発熱、 黄だん、 元気がないなどの 「ちょっとしたトラブル」 もできるだけ小児科で担い、 危険の芽を摘み取っている。

20年ほど前、 小児科のない病院でお産に携わっていた同病院産婦人科の丸尾原義 (もとよし) 医師には、 忘れられない経験がある。帝王切開の手術中に急に母親が全身けいれんの発作を起こした。 取り出した赤ちゃんは呼吸をしておらず、他科の医師が応援に駆けつけたものの赤ちゃんの処置はできず、 「この子は助けられない」 という声が聞こえた。

丸尾医師は手術台を降り、 母親の処置を他の医師にゆだね、 赤ちゃんを抱え小児科がある西脇市民病院まで救急車で搬送した。 幸いに母子とも命を救えたが、 この時の恐ろしさが身に染みている。

「新生児には専門的な処置が必要。 母子双方の治療を産婦人科だけで行うことは、 極めて困難。 仮に小児科がなくなり、それでもお産を続けろと言われた場合、 医師のミスでなくとも、 不可抗力的な事故が増加し得る。 しかし、 それが許される時代ではないだろう」と話す。

例えば、 妊娠高血圧症 (中毒症) の場合、 赤ちゃんを取り出せば母親の血圧は下がるが、 以前は未熟児の対応ができず、取り出した赤ちゃんが死ぬことがあり、 早産では生死が知れぬと、 子を長くお腹に持って無理をした母親が命を落とすこともあった。未熟児医療の進歩で母児双方を救えるようになり、 日本を世界でも妊産婦、 新生児死亡率の低い国へ押し上げた。

同病院は小児科医が未熟児を診る体制を維持しており、 妊娠高血圧症や糖尿病などを持つハイリスクな母親も、 一定レベルまで引き受けている。小児科が未熟児を診れなくなれば、 ハイリスクな妊婦は、 済生会兵庫県病院、 神戸大学病院、 県立こども病院 (いずれも神戸市)などへ行かざるを得なくなる。

同病院の上田康夫副院長(産婦人科)は、「柏原病院で母児医療を続けるには、 小児科医の力が不可欠。地元で生みたいという人の思いにこたえたいが、 酒井先生が院長になられ、 小児科の実働医師が減るのは致命的。 ただ、 県病院局は、こういった小児・産科の現状は十分理解されていると思うので、 近々に後任医師の手配をしていただけるものと確信している」 と言う。

丹波小児科医会の松本好弘会長 (まつもと医院院長) は、 「病院の小児科医は最低限2人必要。 1人ではお産が入ったり、転院搬送が必要な患者が出ると外来がストップする。 都市部の病院も小児科患者を受け入れてくれにくくなっており、 紹介先を探すのに困っている。柏原病院に小児科医をとにかく1人、 緊急に招いてほしい。 心から祈っている」 と話している。

■  □  ■

最低限1人の小児科医を補充すれば、 差し迫った危機は回避できる。 県病院局は、 自らが震源地となり引き起こした柏原病院の母児医療崩壊危機に対する責任を、 医師補充という形で果たさねばならない。 (足立智和)

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丹波「未来」新聞 2007.4.19

「節度ある受診」啓発 「守る会」が活動再開

県立柏原病院の小児科を守る会が、 第2期の活動を始める。 軽症でコンビニを使うような感覚で病院を受診することを控え、 本当に必要な患者が必要な時に病院にかかれるよう、 「節度ある病院受診」 を改めて呼びかけていく。 再始動の第一歩として22日午前10時から、 神楽の郷 (青垣町文室) で開かれるフリーマーケットに出店する。 ベビー用品を格安販売し、 あわせて、 医師を大切にすることが、 ひいては、 患者を救うことにつながるという 「こどもを守ろう お医者さんを守ろう」 のメッセージを伝える。

フリーマーケットでは、 メンバーが持ち寄った、 こども服、 おもちゃ、 赤ちゃんが飲んだ母乳の量をはかるベビースケールなどを100円から販売する。 「こどもを守ろう お医者さんを守ろう」 と記した、 オリジナル値札を作り、 子育て世代へのメッセージの浸透をはかる。

また、 あわせて、 同会が集めた5万5366筆の 「県知事に、 県立柏原病院への小児科医の派遣を求める署名」 への協力に対する感謝を伝える、 自筆の 「ありがとう」 チラシを配布する。 8月5日には、 道の駅 「丹波おばあちゃんの里」 (春日町七日市) で開かれるフリーマーケットにも出店する。

今後、 自動車にはるマグネットステッカーの作成、 県立柏原病院医師や救急救命士に協力をあおぎ、 「こどものトラブルQ&A」 チラシか冊子の作成、 ホームページの開設などを計画しており、 バザーの収益は、 これら活動資金にあてる。

新しく代表に就任した丹生裕子さん (市島町) は、 「医師不足解決に向け、 住民のできることの一つが、 かかり方に気をつけること。 活動を続け、 会の主旨を浸透させていきたい」 と話している。
同会は、 丹波市内の20歳代、 30歳代の母親で作っている。 メンバーは15人程度。

問い合わせは、 電子メール( mamorusyounika@yahoo.co.jp) で。

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丹波「未来」新聞 2007.7.9 記者ノート

意見交換の集い

「医療問題について、 市民の立場から考え、 地域医療を守りたい」 という方々から電話やメールを頂いたり、 取材先で声をかけて頂くことが多々ある。 最近とみに、 その回数が増えた。 市内外で開かれる医療問題を考える集まりにも、 できるだけ顔を出し、 一市民として、 何ができるのかを考え続けている。

市民が正しい方向を向いて行動することの大切さを、 「県立柏原病院の小児科を守る会」 のお母さん方から教わった。 署名そのものは、 県に、 ものの見事に袖にされたが、 活動やメッセージは、 住民運動のあり方に一石を投じた。 波及効果で、 今すぐは無理でも、 近い将来、 医師に赴任して頂けるのではないか、 また、 医師が赴任したいと思われる地域に、 丹波地域はなれるのではという期待を持っている。

「会って話がしたい」と言って下さる方々と、 ざっくばらんに意見交換をする場を持つことになった。 8日午後7時から、 丹波市役所隣の氷上公民館で。 参加者数人のこぢんまりした集いになるだろう。 考え方や、 立ち位置が異なる人が集まる。 話がどう転がるのか楽しみだ。 参加は自由。 時間と興味がある方は、 のぞいて下さい。

(足立智和)

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医療崩壊 / 公共財としての医療 / 地域医療を育てる会資料

Posted by guideboard on 2007/09/02/Sun

» 医療崩壊 / 公共財としての医療

NPO 法人 地域医療を育てる会
http://www.geocities.jp/haruefjmt/

みんなの広場 地域の医療を育てるために・・・
http://9020.teacup.com/haruefjmt/bbs

サイト巻頭の挨拶文を参照する。

はじめまして、地域医療を育てる会の藤本と申します。私は、1996年に東京から東金に越してまいりました。当時幼い子どもが夜中に熱を出し、そのたびに旭市や千葉市にある救急病院に子どもを車で連れて行きました。そのころから、「近くに病院があるのに、なぜ診察をしてもらえないのだろう」と思っておりました。

病院から医師が減っていることをはっきりと知ったのは、2005年1月に開かれた「山武地域医療センター構想シンポジウム」のときです。そして、そのときの、会場から質問をする住民とそれに答える行政・医療関係者とのやり取りが印象に残りました。住民は「〜してほしい」「〜してくれない」と言い、行政や医療関係者は「理解とご協力をお願いします」を繰り返していました。

住民は「〜してくれ」と誰かに依存するだけでいいのでしょうか?行政や医療関係者だけが対策を考えなくてはならないのでしょうか?また、住民に「理解とご協力を」と言う専門機関は、はたして必要な情報を住民に伝えているのでしょうか?

住民、行政、医療、さらには福祉や保健など様々な立場の人たちが同じ土俵の上で互いに知恵と力を出し合う関係こそが、この地域には必要なのです。

そんな対話をする場を作ろうと、様々なお立場の方々とともに「地域医療を育てる会」を作りました。地域医療を育てる会は2005年4月に会として組織し、11月にNPO法人となりました。今は21名の会員が「対話する地域医療」を育てようと活動しています。

今、私たちの住む地域では病院の医師が激減し、他方では山武地域医療センター計画が協議されています。このような状況の中で、私たちはいったい何ができるのか、皆で知恵を出し合い、ともに考えてみませんか?

財団法人 あしたの日本を創る協会
http://www.ashita.or.jp/

「まち むら」91号に掲載された紹介文を参照する。
http://www.ashita.or.jp/publish/mm/mm91/mm91-2-4.htm

住民と医療、行政をつなぐ
千葉県東金市・地域医療を育てる会

房総半島の東岸、太平洋に臨む総延長約60キロの九十九里浜に面した山武郡市(東金市と山武郡7町1村)。東京都心への通勤も可能な地域でありながら、医師の減少による「医療過疎」が深刻な状況を迎えている。千葉県全体の人口10万人当たりの医師数は142人(2002年度)と全国ワースト3位。なかでも、山武郡は91人と危機的だ。そんな中、人の命と健康に直結する医療の問題に、行政、医療、福祉、住民の四者が一体となって知恵を絞ろうと、山武郡市の中心都市・東金市の住民が立ち上がり、「地域医療を育てる会」(会員17人)を結成した。4月に発足したばかりだが、四者間で交わされた意見や懇談の内容を情報紙にまとめ、地域住民に発信している。医療や行政サイドからの働きかけではなく、住民が主体的に情報発信していく県内でも珍しい取り組みだ。

地域医療のために何ができるのか

育てる会発足のきっかけは2003年に浮上した千葉県と山武郡市9市町村の「山武地域医療センター構想」だった。構想は、老朽化した県立東金病院の機能を引き継ぐ中央病院を新設し、国保成東病院、国保天網病院の郡内に三つある公立病院の機能を集約。約5年後に救急機能を備えた中央病院と入院・療養患者を受け入れる2か所の支援病院に再編するというもの。しかし、中央病院の建設地は決まったが、費用負担などの課題が山積しており先行き不透明なのが現状だ。

この構想の基本計画策定委員会でアドバイザーを務める育てる会代表の藤本晴枝さんは今年1月、この構想を住民に説明する県主催のシンポジウムに参加した。会場から「医師の数が減り、診療科目がなくなったものもある。明日の医療より今日の医療も考えてもらいたい」という意見が上がった。藤本さんは、病院から医師がいなくなることを知って大きな衝撃を受けた。

藤本さん自身、1996年に東京都内から東金市に移り住み医療過疎地域の状況を実感した。小学生3人の子どもを育てる母親として、幼児だった子どもが夜中に熱でうなされ、高速道路を自分で運転して千葉市や旭市の病院に向かったこともあった。

この地域の医療のために自分にはどんなことができるのか。自問を続けた藤本さんは「住民はサービスを受け、行政・医療が答えるという固定的な関係ではなく、それぞれの立場で力を出し合い一緒に考えなければこの地域の医療はますます先細る。みんなが立場を超えて話し合う場を作りたい」と一歩を踏み出し、今年4月に育てる会を立ち上げた。

「市民が動いても何も変わらない。それどころかリスクを背負わなくてはならなくなるかもしれない」と心配する友人もいる。だが、自分の子どもが急病になったとき、医療が受けられなかったらあきらめるのか。お母さんは何もしなかったと子どもに言えるのか。一生懸命やったけどうまくいかなくてごめんねというほうがよっぽどいい。そんな母親としての思いが藤本さんの原動力になっている。

懇談会と情報紙発行を柱に活動

「ちょっとした風邪でも近くの診療所では診てもらえない。重篤でも『ベッドがない』と断られ、域外の大病院に行っている」「良い病院の情報も親同士の口コミが頼り。医師に紹介してもらうことはあまりない」

4月上旬、東金市内の福祉施設に障害児を持つ親が集まり、医療への疑問や不満を口々に語った。藤本さんをはじめ、県立東金病院の平井愛山院長らが耳を傾けた。「少数の人々、声の小さい人々のニーズがほとんど把握できていない。もっと掘り起こす機会が必要だ」。藤本さんと平井院長は痛感した。

育てる会が主催するこうした懇談会は、地域住民から直接話しを聞く重要な機会だ。これまで「高齢者医療」「障害者医療」「小児・周産期医療」「糖尿病」などのテーマごとに地域の住民を集め、意見を吸い上げてきた。毎回2時間にわたって生の声を聞くなかで、学べることは計り知れない。

懇談会で得られたこうした肉声に、藤本さんが医療関係者らに取材した内容を加え、毎月1回のペースで情報紙「クローバー」を発行し、住民に配布している。「クローバー」は四つ葉になぞらえた医療、住民、行政、福祉の四者のつながりを大切に育てていこうという決意の象徴で、育てる会のシンボルマークにもなっている。

第1号は育てる会の発足から丸2か月が経過した6月20日、山武地域の救急体制の現状や山武地域医療センター構想をテーマにB4判1枚の両面刷りで2万部を発行した。表面では、山武地域の救急体制を取り上げたほか、救急車の出動状況を取材し山武郡の外に搬送される割合が年々増加していると報告。裏面では山武地域医療センター構想の担当者にインタビューし、構想の進捗状況をまとめた。

第1号は少ない予算を削って新聞折り込みの形で配布したが、東金市内自治会(区会)の区長会が会の活動に理解を示し、2号以降は回覧板で配布してもらえることになった。

すでに4号を数えた情報紙クローバーを通じて、いくつかの出会いも生まれた。8月に入って、山武地域での子育てを取り上げた3号を読んだという関西の医学生から連絡を受けた。直接会って話しをすると、育てる会のホー・ムページに掲載している懇談会の記録をプリントアウトし、所々にアンダーラインもしてあった。「とても勉強になります」と話す医学生は、将来は千葉県で研修したいという。また、ケアタクシーの運転手からは、移送サービスの難しさや制度などについてアドバイスを受けた。

「人と人がつながるとき、そこに大きな力が生まれ、すばらしいものができる」。藤本さんは確信するようになった。

NPO法人化でさらなる飛躍ヘ

反響が広がる一方で、課題も見えてきた。組織が未熟なため、せっかく懇談会で吸い上げた意見も具体化していく力が備わっていない。懇談会の手法も、ただ参加者に意見を求めるだけでは発言に尻込みしてしまう人もいる……。

課題の克服にはまだまだ時間はかかるが、行政や医療機関への参画がスムーズに行なえるよう、育てる会はNPO法人格の取得に向けて動き出した。「さまざまな機関に働きかけるには対外的に信用される組織でなければならない。この地域ではNPO法人格がないと会議の席に着くことができないのが現実」。各地の医療ニーズ調査や住民と行政を橋渡しする相談窓口の開設など今後の活動を展開していく上でも、NPO法人格は必要という。8月下旬に県に申請し、年内の取得を目指す。

育てる会の活動はようやく軌道に乗り始めたばかりだが、「自分の家族が万一の時、行くべき病院がない」というだれもが大きな不安を抱く問題だからこそ、行政や医療機関任せにせずにみんなで話し合おうという姿勢は、山武郡市にとどまらず、地域社会が抱えるさまざまな問題に求められる視点といえるだろう。

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医療崩壊 / 公共財としての医療

Posted by guideboard on 2007/09/02/Sun

本当に医療を公共財として大切に使ってくれるのだろうか。市民の草の根レベルの運動が実を結んでくれるのだろうか。現在の医療崩壊の元凶が、その多くの部分で人の心にあると思うので、いろいろと危惧してしまうところがある。

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『知ろう!小児医療 守ろう!子ども達』の会
http://plaza.rakuten.co.jp/iryo000/

ラーメン屋さん ( http://blog.livedoor.jp/gyogyon/ ) を経営していらっしゃる方が、小児科医療の危機を感じ取って立ち上げられたようだ。

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NPO 法人 地域医療を育てる会
http://www.geocities.jp/haruefjmt/
http://9020.teacup.com/haruefjmt/bbs

医師不足で話題になった千葉県立東金病院のあるところだ。

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県立柏原病院の小児科を守る会

城西大学経営学部伊関友伸准教授のブログでそのちらしとともに紹介されている。
http://iseki77.blog65.fc2.com/blog-entry-2192.html

そのちらしには、次のように書かれている。

本当に必要な人が、必要な時に受診できるよう、コンビニ感覚での病院受診を控えるようにしませんか
柏原病院から小児科医が1人もいなくなってしまうかもしれません

この団体にはバックがついているらしいという噂を聞いた。

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市民レベルの活動を、身銭切ってボランティアで頑張っていらっしゃる方々には敬意を表するが、単純に敬意を表するだけではなく、警戒もする。

これまで、医療は行政と市民 ( すなわち日本に住む多くの人々 ) によって使い潰されてきた。地域エゴは無くなるのだろうか。支配者が変わるだけになりはしないだろうか。

いわゆる市民活動家の方達の新たなネタになりはしないか。

公共財として地域全員で大切に使おうとしても、誰かが必ず抜け駆けをする。これまで、議員や官僚とその家族親族、救急外来に押し掛ける患者家族、さまざまな普通の方たちが、例えば救命ボートに我先にと群がっていた。同じことは無くならないだろう。北欧諸国での医療制度、社会福祉制度のように、みんなで我慢するという文化が日本には無い。

日本は、なまじ豊かになっただけに、お金のことで生命をあきらめるということが無い。宗教文化の違いからか、運命、天寿を受け入れるという概念も希薄になってしまった。

一言で言えば、民度というものだ。日本以外にもそういう人は多いだろうが。

参考資料

医療崩壊 / 公共財としての医療 / 地域医療を育てる会資料
医療崩壊 / 公共財としての医療 / 地域医療を育てる会資料 2
医療崩壊 / 公共財としての医療 / 県立柏原病院の小児科を守る会資料
医療崩壊 / 公共財としての医療 / 県立柏原病院の小児科を守る会資料 2
医療崩壊 / 公共財としての医療 / 兵庫県立柏原病院上田康夫副院長産婦人科部長資料

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