転送妊婦死産流産報道事件 4
Posted by guideboard on 2007/08/31/Fri
奈良県立医大が受け入れできなかった事情が漏れ伝わってきた。
まず、腹部痛の女性患者か妊婦か、どのように患者情報が伝わっていたか。女性の急性腹症を高次周産期救急医療施設が最初に受け入れるというシステムは元々ない。
妊婦と伝わっていても、最初の情報では妊娠週数が 20 週とか 3 ヶ月とかと伝わっていた。ならば妊娠初期の流産は、これも高次周産期救急医療の適応ではない。1 または 2 次レベルで対応すべきである。
そして当夜の奈良県立医大の様子である。以下、某所より ( 出典の情報源はあえて明らかにしない )。
午前2時55分に消防から連絡のあったのですが、その1分前に別の妊婦さんが搬送されたらしく、さらにその少し前に緊急帝切になった妊婦さんが病棟に上がってきた直後で、2人の当直の先生ではとても対応できる状態ではなかったようです。その後午前4時に再度要請があったのですが、このときは先の妊婦さんのオペ中で対応できなかったようです。さらに今度は高度救急救命センターに連絡があったそうなのですが、さすがに妊娠三ヶ月の切迫は3次救急である高度救急救命センターの適応ではなく、産科医もいない状態ではどうにもならないと返事したようです。
ベッドが 2 床あっても産科医は勝手には増えない。しかも当直である。夜間勤務ではない。
どうやったらこの事例を受け入れて産科医に働いてもらえたか。医師は、ほとんどの医師が、多分、答を知っている。答えは、もちろん、一つではない。
マスコミや評論家はそれを追求する能力もなく、ただ騒ぎ、誰かを非難するだけだ。これまでは医師個人を叩いていたが、これはさすがに叩けないらしい。病院をあるいは奈良県の行政を叩いている。
国レベル、ひいては自らの心の内にまで思いを馳せることはできないのだろう。
毎日新聞 2007.8.30
奈良県大淀町立大淀病院を経営する同町などに損害賠償を求める訴訟を起こしている高崎実香さんの夫の晋輔さん(25)は29日、大阪地裁での口頭弁論の閉廷後、再び起きた悲劇に、憤りを語った。
悲しいというよりも、怒りを覚える。(妻が亡くなった)1年前に、産婦人科医や病院の関係者はいろいろ考えたはずなのに、なぜ同じことを繰り返すのか腹が立つ。行政も、結局は先延ばしにしてきた結果だ。もういいかげんに分かってください、と言いたい。再発防止や産科医療の改善を求めて自分たちも、もっと社会に訴える活動をしないといけないと思う。
そして、奈良県南部の産科医療施設は無くなった。
毎日新聞 2007.8.30
出産ジャーナリストの河合蘭さんの話
産科医不足が背景にあるのは間違いないが、増える見込みがない今、システムの工夫で対応すべきだ。搬送を断った病院が、どうすれば受けられるのか、国は徹底的に調査し、前向きな対策を講じてほしい。産婦の入院に対応していたとか、一般の救急だからという病院の言い分はおかしい。
システムを工夫するなら集約化とアクセス制限しかない。一般の救急を高次周産期医療施設に即時に収容するシステムは実現可能だろうか。
毎日新聞 2007.8.30
来年1月に出産予定の五條市内の30代女性は「あんなに遠くに運ばれるのかと思うとショックだ。長い間車に揺られるのは赤ちゃんにとって良くない。なぜ県立医大付属病院が受け入れなかったのか。手術が終わってからでも処置すればよかったのに」と話した。
当直医のエンドレスの不法労働を求めて当然である。
毎日新聞 2007.8.30
市民の立場で医療の安全を求める活動を続け、生駒市新病院整備専門委員会の委員を務める高校教諭、勝村久司さんは「県内では10年以上前から、救急車はすぐに来ても、行き先がないということが指摘されていた。産科や小児科は市民が必要としている救急医療で、行政が責任を持ってやらないといけない。県立医大付属病院が受け入れなかったのは非常に大きな問題だ」と憤った。
これを言うなら、医療資源の一極集中化と空路陸路のアクセス整備だろうか。
全部毎日新聞で、しかも同じ方向からコメントが届いている。
参考資料