転送妊婦死産流産報道事件 2 資料 / 毎日新聞
Posted by guideboard on 2007/08/31/Fri
毎日新聞 2007.8.30
救急車流産:受け入れ不可能の病院産科医、分娩に追われ
奈良県橿原市の妊婦(38)が大阪府高槻市の病院へ搬送中に救急車内で流産した問題で、受け入れを不可能とした9施設のうち、4病院が当時、わずかな人数の産科医で分娩(ぶんべん)などに追われている状況だったことが29日、毎日新聞の調べで分かった。全国的に問題とされている産科医療の体制不備には、分娩の取り扱いをやめたり、制限する産科が相次ぎ、分娩を続ける病院に負担が集中しているという実態が背景にあることが改めて浮き彫りになった。
受け入れの要請は、午前3〜4時の間で、4病院が、医師が足りず、受け入れの余裕がなかった。最初に要請を受けた奈良県立医科大付属病院は、2人の当直医が陣痛の患者の診察に当たっており、受付の職員を通じて、受け入れ不可能と回答。同病院には、3時半と4時ごろにも要請の電話があったが、大量出血の患者の搬送が予定されているなどの理由で受け入れられなかった。
このほかは、「当直1人と、呼び出した医師1人の計2人で、4件のリスクの高い分娩に対応していた」(大阪市の千船病院)▽「当直が1人で、入院患者の分娩が始まっていた」(寝屋川市の藤本病院)などの理由だった。これらの病院では、分娩の取り扱い数が近年急増している。
9施設のうち7施設が受け入れ不可能と回答していたが、残る2施設は「(搬送した橿原消防署から)連絡はなかった」とし、消防署の説明と食い違った。
一方、今回は消防隊が一般の救急を原則的に受け付けない高次救急病院に要請したという不備もあった。大阪府和泉市の府立母子保健総合医療センターは「事務レベルで断った。通院患者や病院からの転送だったら受け入れていた」と明かす。
毎日新聞 2007年8月30日 3時00分
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与謝野官房長官、早急な対応促す 奈良・妊婦搬送中流産
奈良・妊婦搬送中流産:与謝野官房長官、早急な対応促す
与謝野馨官房長官は30日午前の記者会見で、奈良県橿原市の妊婦の受け入れ施設がないまま、救急車内で流産した問題について「大変残念な、悲しい結果になった。舛添(要一)厚生労働相もきちんと対応するとおっしゃっている。まず厚労省の対応がきちんとなされることをみていきたい」と述べ、厚労省の早急な対応を促した。
また、与謝野長官は「せっかく母胎の中で子供が育っていよいよ出産という時になって、出産できる場所が見つからない、あるいは流産を食い止めるところが見つからないというのは日本の医療制度として欠けているところがある」と指摘した。【西田進一郎】
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消防の搬送依頼「想定外」 周産期ネットに不備 奈良・妊婦搬送中流産
奈良・妊婦搬送中流産:消防の搬送依頼「想定外」 周産期ネットに不備
◇弱者が救えない、悲しい社会です
奈良県橿原市の妊娠中の女性(38)が大阪府高槻市の病院へ搬送中に救急車内で流産した問題で、同県は29日午後、3回にわたり緊急記者会見。ハイリスク妊婦・新生児の搬送先を探すネットワークを構築していながら、実態として機能しておらず、消防から直接、搬送依頼を受ける場合を「想定していなかった」ということが明らかになった。大淀町立大淀病院の妊婦死亡問題から1年、産科医療の救急体制の不備が再び浮かび上がった。【中村敦茂】
会見した米田雅博健康安全局次長らの説明によると、96年以降、同県では、橿原市の県立医科大付属病院など2病院が、医院などからの転院依頼を受け付け、県内の産科専門病床の空きなどをオンラインで確認して、迅速な転送につなげる周産期医療ネットワークを運用してきた。
しかし、この仕組みは医院などからの転送が前提で、今回のように、かかりつけ医がおらず、消防から直接搬送依頼を受ける場合は「想定していなかった」という。このため消防は、緊急度の低い一般の医療情報システムだけで県内の搬送先を探したが見つからず、大阪府内の病院に連絡を繰り返す事態になった。
消防は県の医療の中枢施設で、距離も近い橿原市内にある県立医科大付属病院に3度、受け入れを要請しながら、いずれも断られた。1度目は、同病院が直前にリスクの低い通常分娩(ぶんべん)の妊婦を収容したのが理由で、危険度に応じた病院の機能分担が不十分な実態も明るみに出た。
米田次長は「分娩施設が減り、高次病院でも通常分娩を受けざるを得なくなっている」と釈明。二つに分かれている搬送先探しのシステムについても「改善を早急に検討し、県内で受け入れることができなかったかを検証したい」と話した。
同県は、昨年8月の大淀病院の妊婦死亡問題以降、産科医療体制の整備を進めてきた。しかし、総合周産期母子医療センターの開設は来年5月に持ち越しに。県は民間の主要病院にも受け入れ協力を要請したが、余力が少ない。近畿など2府7県の担当者は、昨秋以降、産科救急搬送の広域連携の検討を始めたが、いまだ結論は出ていない。
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なお、この女性の年齢は当初36歳とされたが、38歳だった。大阪府警は事故と流産に因果関係はないとみている。
◇この1年何を…怒り覚える–大淀の遺族
奈良県大淀町立大淀病院を経営する同町などに損害賠償を求める訴訟を起こしている高崎実香さんの夫の晋輔さん(25)は29日、大阪地裁での口頭弁論の閉廷後、再び起きた悲劇に、憤りを語った。
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悲しいというよりも、怒りを覚える。(妻が亡くなった)1年前に、産婦人科医や病院の関係者はいろいろ考えたはずなのに、なぜ同じことを繰り返すのか腹が立つ。行政も、結局は先延ばしにしてきた結果だ。もういいかげんに分かってください、と言いたい。再発防止や産科医療の改善を求めて自分たちも、もっと社会に訴える活動をしないといけないと思う。
今回流産した女性が住んでいる橿原市内には県立医大付属病院がある。なぜ受け入れられなかったのか。全国どこでも、同じような治療を受けられるようになってほしい。
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4病院、医師足りず 9施設調査、分娩続ける産科に負担 奈良・妊婦搬送中流産
奈良・妊婦搬送中流産:4病院、医師足りず 9施設調査、分娩続ける産科に負担
奈良県橿原市の妊婦(38)が大阪府高槻市の病院へ搬送中に救急車内で流産した問題で、受け入れを不可能とした9施設のうち、4病院が当時、わずかな人数の産科医で分娩(ぶんべん)などに追われる状況だったことが29日、毎日新聞の調べで分かった。全国的に問題とされている産科医療の体制不備には、分娩の取り扱いをやめたり制限する産科が相次ぎ、分娩を続ける病院に負担が集中しているという実態が背景にあることが改めて浮き彫りになった。(31面に関連記事)
受け入れの要請は、午前3-4時の間で、4病院が、医師が足りず、受け入れの余裕がなかった。最初に要請を受けた奈良県立医科大付属病院は、2人の当直医が陣痛の患者の診察に当たっており、受付の職員を通じて、受け入れ不可能と回答。同病院には、3時半と4時ごろにも要請の電話があったが、大量出血の患者の搬送が予定されているなどの理由で受け入れられなかった。
このほかは、「当直1人と、呼び出した医師1人の計2人で、4件のリスクの高い分娩に対応していた」(大阪市の千船病院)▽「当直が1人で、入院患者の分娩が始まっていた」(大阪府寝屋川市の藤本病院)などの理由だった。これらの病院では、分娩の取扱数が近年急増している。9施設のうち7施設が受け入れ不可能と回答していたが、残る2施設は「(搬送した橿原消防署から)連絡はなかった」とし、消防署の説明と食い違った。
一方、今回は消防隊が一般の救急を原則的に受け付けない高次救急病院に要請したという不備もあった。大阪府和泉市の府立母子保健総合医療センターは「事務レベルで断った。通院患者や病院からの転送だったら受け入れていた」と話した。
◇出産ジャーナリストの河合蘭さんの話
産科医不足が背景にあるのは間違いないが、増える見込みがない今、システムの工夫で対応すべきだ。搬送を断った病院が、どうすれば受けられるのか、国は徹底的に調査し、前向きな対策を講じてほしい。産婦の入院に対応していたとか、一般の救急だからという病院の言い分はおかしい。
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奈良県立医大に余力 要請直後、2人受け入れ 奈良・妊婦搬送中流産
奈良・妊婦搬送中流産:県立医大に余力 要請直後、2人受け入れ
奈良県橿原市の妊婦(38)の胎児が救急搬送中に死亡した問題で、橿原消防署(中和広域消防組合)から最初に妊婦の受け入れを要請された県立医科大学付属病院(同市四条町)が、要請から約2時間のうちに、他の2人の妊婦を救急搬送で受け入れていたことが県の調べで分かった。病院に受け入れの余力がありながら、消防とのコミュニケーションの不備などで結果的にこの妊婦の受け入れができなかった。
(11面に関連記事)
一方、大阪府警高槻署の調べで、この妊婦は妊娠24週(7カ月)で、胎児は胎内で死亡していたことが分かった。流産は22週未満で胎児が死亡する場合を指し、このケースは死産に相当する。
県によると、28日夜の同病院の産婦人科当直医は2人。1人は帝王切開手術後の患者の経過観察でつきっきりとなっていた。受け入れは、もう1人の当直医が対応した。
消防から死産した妊婦の受け入れ要請がきた1分前の29日午前2時54分に別の妊婦が来院。通常分娩(ぶんべん)の患者で、同医大をかかりつけにしていた。要請の連絡を病院の事務から受けた医師は「診察中のため後にしてほしい」と回答。事務員は「患者が入り、手術になるかもしれない」と消防に伝え、消防側は「断られた」と認識した。県の調査に、医師は「断るつもりではなかった」と話している。
一方、午前3時32分。新たに同医大をかかりつけにしていた妊婦が、破水。産婦人科の病床は一つ空いていたため、入院した。さらに午前4時ごろ、近くの医院から、分娩後、大量出血した妊婦を搬送したいと要請があり、受け入れを決めた。
この連絡の直後、橿原消防から2度目の要請があった。事務員が「別の医院からの電話を医師につないだところ」と答えると、電話が切れた。出血した妊婦は午前5時ごろ医大病院に到着。産科の病床が満床だったため、他の科で受け入れた。
橿原消防からの3度目の要請は、同医大の救命救急センターに寄せられた。時刻は不明。センターの医師が症状を聞き取り、「全身状態が悪くない」と判断、2次医療機関で対応してほしいと断ったという。センターには一般病床で4床の空きがあった。
結果的に、死産した妊婦は大阪府高槻市に搬送されることになり、その途中の午前5時9分、軽乗用車との接触事故に巻き込まれた。【中村敦茂】
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「また」揺らぐ搬送体制への信頼 救急車行き先なく 妊婦搬送中流産
妊婦搬送中流産:「また」揺らぐ搬送体制への信頼 救急車行き先なく /奈良
◇「行政は何をしていたのか」 出産控えた女性、不安の声
妊娠3カ月だった橿原市の女性(38)が橿原消防署(中和広域消防組合)の救急車で救急搬送中、大阪府高槻市内で交通事故に巻き込まれ、流産した問題で、出産を控えた女性らからは「ショックだ」「行政は何をしていたのか」と不安や批判の声が上がった。大淀町立大淀病院で昨年8月、五條市の高崎実香さん(当時32歳)が分娩(ぶんべん)中に意識不明となり、転送先探しが難航した末に死亡した問題が起きたばかり。県内の救急搬送システムへの信頼が揺らいでいる。【高瀬浩平】
来年1月に出産予定の五條市内の30代女性は「あんなに遠くに運ばれるのかと思うとショックだ。長い間車に揺られるのは赤ちゃんにとって良くない。なぜ県立医大付属病院が受け入れなかったのか。手術が終わってからでも処置すればよかったのに」と話した。
今年11月に出産予定の五條市内の20代女性は「自分にも同じようなことが起きたらと思うと不安。急な破水や出血など異常があったら、十分に対応してくれるだろうか。今後も起こらないとは限らない」と話した。
高崎実香さんの夫晋輔さん(25)と義父憲治さん(53)が奈良市の奈良女子大で講演した際、体験談を聞いた同大学の学生は「ニュースを見て、またかと思った。県内にも大きな病院が複数あるのに、なぜ搬送できなかったのだろうか」と疑問を投げかけた。
市民の立場で医療の安全を求める活動を続け、生駒市新病院整備専門委員会の委員を務める高校教諭、勝村久司さんは「県内では10年以上前から、救急車はすぐに来ても、行き先がないということが指摘されていた。産科や小児科は市民が必要としている救急医療で、行政が責任を持ってやらないといけない。県立医大付属病院が受け入れなかったのは非常に大きな問題だ」と憤った。