Guideboard

大淀事件 21 / 溝 4 / 各社社説資料

Posted by guideboard on 2007/07/10/Tue

» 大淀事件 21 / 溝 4 ( 20061108 / 22:03 )

産經新聞主張 2006.10.24

【主張】病院たらい回し 患者本位の基本忘れるな

分娩(ぶんべん)中に意識不明に陥った妊婦が、19カ所もの病院に次々と転院を断られ、やっと収容された病院で脳内出血と帝王切開の緊急手術を受け、男児を出産した。だが、8日後に亡くなってしまう。問題は病院の「たらい回し」である。

残された夫は「妻の命をもっと大切にしてほしかった」「今後、同じことが起きないよう妊婦の搬送システムを改善してほしい」と訴えている。

妊婦は8月7日、奈良県大淀町立大淀病院に入院し、翌日午前0時過ぎ、頭痛を訴えて意識を失った。適切な処置ができないと判断した大淀病院は受け入れ先を探したが、満床や専門医不在を理由に断られ、6時間後、約60キロ離れた国立循環器病センター(大阪府吹田市)に運び込まれた。受け入れを打診した20カ所目の病院だった。

患者を医療設備と専門スタッフのそろった病院に搬送するシステムの欠如がまず問題だ。

奈良県では高度な医療や緊急治療の必要な妊婦の40%近くが県外に転送されている。厚生労働省が進めているお産を扱う周産期医療をネットワーク化するシステムの導入も他の自治体に比べ、遅れたままだ。

重体の患者を引き受け、面倒な医療訴訟を起こされる事態を避けたがる受け入れ側の病院の体質もあるだろう。厚労省によると、周産期医療は訴訟が多く、医療ミスや医療事故の12%は、産婦人科医が当事者だという。

妊婦が最初に入院した大淀病院の誤診の問題も、忘れてはならない。大淀病院は容体の急変後、妊娠中毒症の妊婦が分娩中に痙攣(けいれん)を引き起こす「子癇(しかん)発作」と判断し、痙攣を抑える薬を投与した。当直医が脳の異常の可能性を指摘し、CT(コンピューター断層撮影法)の必要性を主張したが、受け入れられなかった。

脳内出血と正確に診断されていれば、搬送先の幅が広がり、早く受け入れ先が決まっていた可能性は高い。

奈良県警は業務上過失致死の疑いもあるとみて捜査に乗り出した。

患者を救うのが、病院や医師の義務である。患者中心の医療の基本を忘れているから患者をたらい回しにし、患者不在となる。

もう一度、医療とは何かをしっかり、考えてほしい。

———-

神戸新聞 2006.10.20

妊婦死亡/医療の現実に目向けよう

出産中に重体に陥った妊婦が、病院のまずい対応や、転院先の受け入れ拒否などが重なり死亡していたことがわかった。

奈良県大淀町の町立病院で、八月に起きた。主治医が最初に症状を適切に判断していたら、転院がもう少し早ければ…と、いくつも悔いの残るケースだった。

背景に、産科医療の厳しい実態と、そのことを踏まえて医療機関が相互に連携していなかったことがある。なぜ、妊婦の死を防げなかったのか。検証と再発防止に向けた取り組みが欠かせない。

病院などの話によると、女性は出産中の夜中、頭痛を訴え、意識不明になった。主治医は、分(ぶん)娩(べん)中に時々みられる発作と判断し、けいれんを和らげる薬を投与した。その後、県立医大病院に受け入れを要請したが、満床を理由に断られた。

大阪府内の病院にも転送を打診した。それも拒まれ、やっと二十カ所目で国立循環器病センター(吹田市)が応じた。

女性が病院に到着したのは意識不明になって約六時間が経過した後だった。

女性は脳内出血と診断され、手術で男児を出産したが、約一週間後に亡くなった。男児は元気にしている。

町立病院はミスを認めている。妊婦の意識喪失を失神と判断した▽別の病気によるものと診断した結果、脳内出血と見抜けなかった▽そのため脳内の撮影をせず、脳外科治療を優先しなかった-などだ。

内科医が、脳に異常のある可能性を指摘していた。主治医が聞き入れて検査し、専門医の協力を仰いでおれば、あるいは最悪の事態は防げたかもしれない。

ただ、病院や主治医に責任を求めるだけでは問題の本質が見えなくなるだろう。

事故が起きたのは、深夜から未明にかけてという、病院の体制が最も手薄になる時間帯だった。夜間の不安は、現在の医療が等しく抱える問題である。

とりわけ、お産は待ったなしだ。全国で産科医不足が問題視されるのは、深夜の体制を確保できず、安全なお産を提供できなくなったことが大きな理由である。

特に奈良県は、症状が差し迫った妊婦への対応に課題を残してきたとされる。一方で母体・胎児の集中管理が必要なケースは少なくない。高度な医療機関を整備することと、そうした基幹施設を核に地域全体で協力体制を確立することが欠かせない。

同じことは医療全般にいえる。住民が求める医療と実際の医療が大きく開き始めている。その差を埋める努力を重ね、「安全・安心」につなげなければならない。

———-

中国新聞 2006.10.19

奈良妊婦死亡 お産の場整備に本腰を

何とも痛ましい。奈良県の妊婦が分娩(ぶんべん)中に意識を失い、受け入れを断られ続けた末に亡くなった。

法体系が想定しない最先端の生殖医療が論議になる一方で、お産の受け皿が不十分な現実を突きつけられた。国全体で少子化対策に取り組む中、産科医療現場の環境改善は最優先の課題である。

町立病院に入院していた妊婦は頭痛を訴え、意識不明となった。担当医はけいれんと判断し、拠点病院に受け入れを打診。拠点病院は満床だったため搬送先を探し、約二十病院に断られた。約六時間後に大阪府の国立医療施設に着いて脳内出血とわかり、緊急手術と帝王切開を実施。男児は生まれたが、母親は八日後に死亡した。

町立病院で別の医師がコンピューター断層撮影(CT)を勧めたのに、担当医は聞き入れなかったという。脳の異常を疑っていれば、他施設の対応も違っていたかもしれない。病院は判断ミスを認めた。奈良県警は業務上過失致死の疑いもあるとみて調べを始めた。

晩婚の影響などでリスクの高いお産は増えている。緊急で高度な治療に対応するため、国は各都道府県に来年度までに総合周産期母子医療センターを指定するよう通知している。奈良は未整備の八県の一つで、緊急治療が要る妊婦の三割以上を県外に委ねている。

中国五県は今年初めまでに体制を整えた。広島県の場合、センターである県立広島病院に加え、新生児集中治療室を持つ九つの地域センターがある。妊産婦の死亡数は二〇〇〇年から五年間で一人、妊娠二十二週以降の死産と生後一週未満の周産期死亡率も全国平均を下回り、優等生である。

だが実情は産科医師の献身的で過酷な努力があってこそという。

産科は二十四時間態勢のうえ、トラブルが訴訟につながる可能性も高い。全国の医師の年齢を見ると、六十歳以上は全体で20%に対し、産科は26%と高齢化は深刻だ。二十歳代に限ると七割が女性で、子育てのため職を離れる人も多い。「地元で産めない」は過疎地だけの問題ではない。

クリニックが健診、拠点病院がお産を役割分担するシステムを県立広島病院が導入するなど医療施設側の工夫も始まっている。多様な働き方の実現、医師の偏在を促した臨床研修制度の見直し…。現場だけに負担を強いない多角的な取り組みが必要だ。若い医師が志望しやすい職場であってこそ、妊婦も安心して出産できる。

Leave a Reply

Fill in your details below or click an icon to log in:

WordPress.com Logo

You are commenting using your WordPress.com account. Log Out / Change )

Twitter picture

You are commenting using your Twitter account. Log Out / Change )

Facebook photo

You are commenting using your Facebook account. Log Out / Change )

Connecting to %s

 
Follow

Get every new post delivered to your Inbox.