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大淀事件 19 資料 / 神戸新聞・共同通信 20061030

Posted by guideboard on 2007/07/08/Sun

» 大淀事件 19 ( 20061030 / 20:49 )


神戸新聞 2006.10.30 朝刊
この下に紹介する共同通信のものとほぼ同じ。この記事は共同通信配信のものであることが分かる。

危うい「安全な出産」
奈良の妊婦転送拒否、死亡
病院連携や情報に不備

奈良県の大淀町立大淀病院で分娩中に意識不明になった高崎実香さん ( 32 ) が、約 20 の病院に受け入れを断られ、その後死亡した。産科医不足の中、病院のネットワークが不十分で、安全な出産を支える仕組みが危うい現実を浮き彫
りにしている。

「バイタル安定」

「頭痛と血圧上昇。子癇発作がある。バイタルサインは安定」。八月八日午前二時半ごろ、大淀病院からの依頼を受けた奈良県の中核病院、県立医大病院から、大阪府立母子保健総合医療センターに患者受け入れ打診の電話が入った。

子癇発作は、けいれんが起き高血圧などの症状がある重い妊娠中毒症。

大阪の基幹病院で百床のベッドがある同センターも満床のため受け入れられなかった。最終的に国立循環器病センターに転送されたのは午前六時すぎ。高崎さんは「脳内出血」と診断され、手術を受けて男児を出産したが、意識不明のまま八月十六日に死亡した。

ベッドとスタッフ

問い合わせを受けた病院のうち、少なくとも八病院は満床だった。

大阪市立総合医療センターは、九床の新生児集中治療室 ( NICU ) が満床で、重症の新生児がいたため、さらに予備ベッドも使っていた。「常に七、八床埋まっている状態」という。

堺市のベルランド総合病院は高リスクの一人を含む三人が分娩予定で、さらに帝王切開の妊婦も入院したため、当直医のほか産科部長も呼び出されていた。「医療スタッフにこれ以上余裕はなかった」。ベッド、スタッフ。対応できる病院はなかなか、なかった。

重複して打診

大淀病院の担当医は脳内出血を疑わず、CT 検査をしていなかった。脳内出血をうかがわせる情報はなく、「容体は安定」という情報が伝わっていた。

ある病院の医師は、満床を理由に断ったが「子癇発作なのに容体が安定しているという情報は不自然だった。意識消失と聞いたが、一時間以上続いているとは分からず、状態が具体的ではなかった」と指摘する。

同時に病院を探した県立医大病院は十九、府立母子保健総合医療センターは八の病院に患者受け入れを打診、どちらも「最終的に循環器病センターから了解を得た」と説明する。重複して打診があった病院もある。受け入れ先をもっと早く見つけることはできなかったのか。奈良県が調査する予定はない。

遺族「真実知りたい」

死亡した高崎奥書さんの遺影の前で長男を抱く夫の晋輔さん = 奈良県三郷町

「死が無駄にならないよう、こうしたことが二度と起きないようにしてほしい」。高崎実香さん(三ニ)が産んだ奏太ちゃんを抱いて、夫晋輔さんは ( 二四 ) 訴える。

八月十六日に実香さんが亡くなった直後から大淀病院に説明を求めたが、応じたのは約一カ月後。二回目に病院側弁護士は「百パーセント過失はない」と断言した。問題が報道された十月十七日、病院は「結果的に判断ミスだった」と記者会見で認めたが、その二日後、奈良県産婦人科医会は「判断に問題はなかった」と発表した。

晋輔さんの父憲治きん ( 五二 ) は「補償や誰かの処罰を望んでいるわけではない。本当のことを知りたいだけ」と話す。

施設なく、過酷労働 奈良の母子医療

奈良県は妊婦の救急患者の約四割を大阪府の病院に搬送している。リスクの高い母親と新生児の両方をケアできる施設として厚生労働省が都道府県に整備を求めている「総合周産期母子医療センター」は八県で未整備。奈良はその一つだ。

三月現在で、県内の新生児集中治療室 ( NICU ) は計四十床だが、県医療審議会作業部会の試算では百十九床必要。だが「医師や看護師の確保は容易でない」(県医務課)。

県立奈良病院は産科医六人で当直は月五回。手術待機も多く、労働条件が過酷すぎ一時は分娩の予約を大幅に減らした。

大阪側も余裕はない。二〇〇五年の救急搬送は〇二年の一・五倍の約千八百件。他県から受け入れも多い。四十三の病院が参加、空きベッドなどの状況を公開したシステムを導入しているが、搬送先が見つからない場合もある。


共同通信 2006.10.30

出産支える仕組みに危うさ 病院連携、情報伝達に課題 「特集」奈良の妊婦転送拒否 -1-

奈良県の大淀町立大淀病院で分娩(ぶんべん)中に意識不明になった高崎実香(たかさき・みか)さん(32)が約20の病院に受け入れを断られ、その後死亡した問題は、産科医不足の中、病院のネットワークが不十分で、安全な出産を支える仕組みが危うい現実を浮き彫りにした。

▽「バイタル安定」

「頭痛と血圧上昇。子癇発作がある。バイタルサインは安定」。8月8日午前2時半ごろ、大淀病院からの依頼を受けた奈良県の中核病院、県立医大病院から、大阪府立母子保健総合医療センターに患者受け入れ打診の電話が入った。

子癇発作は、けいれんが起き高血圧などの症状がある重い妊娠中毒症。

大阪の基幹病院で100床のベッドがある同センターも満床のため受け入れられなかった。最終的に国立循環器病センターに転送されたのは午前6時すぎ。高崎さんは「脳内出血」と診断され、手術を受けて男児を出産したが、意識不明のまま8月16日に死亡した。

▽ベッドとスタッフ

問い合わせを受けた病院のうち、少なくとも8病院は満床だった。

大阪市立総合医療センターは、9床の新生児集中治療室(NICU)が満床で、重症の新生児がいたため、さらに予備ベッドも使っていた。「常に7、8床埋まっている状態」という。

堺市のベルランド総合病院は高リスクの1人を含む3人が分娩予定で、さらに帝王切開の妊婦も入院したため、当直医のほか産科部長も呼び出されていた。「医療スタッフにこれ以上余裕はなかった」。ベッド、スタッフ。対応できる病院はなかなか、なかった。

▽情報伝達不備

大淀病院の担当医は脳内出血を疑わず、CT検査をしていなかった。脳内出血をうかがわせる情報はなく、「容体は安定」という情報が伝わっていた。

ある病院の医師は、満床を理由に断ったが「子癇発作なのに容体が安定しているという情報は不自然だった。意識消失と聞いたが、1時間以上続いているとは分からず、状態が具体的ではなかった」と指摘する。

別の病院の医師は「脳内出血を疑う情報があれば、救命救急センターで対応するなど別の方法を探したかもしれない」と話す。

同時に病院を探した県立医大病院は19、府立母子保健総合医療センターは8の病院に患者受け入れを打診、どちらも「最終的に循環器病センターから了解を得た」と説明する。重複して打診があった病院もあるが、奈良県が調査する予定はなく、受け入れ先をもっと早く見つけられなかったかは不明だ。

体制未整備、過酷勤務 奈良の母子医療、大阪依存 「特集」奈良の妊婦転送拒否 -2-

奈良県は妊婦の救急患者の約4割を大阪府の病院に搬送している。リスクの高い母親と新生児の両方をケアできる施設として厚生労働省が都道府県に整備を求めている「総合周産期母子医療センター」は8県で未整備。奈良はその1つだ。

3月現在で、県内の新生児集中治療室(NICU)は計40床だが、県医療審議会作業部会の試算では119床必要という。だが「医師や看護師の確保は容易でない」(県医務課)と実現には課題がある。

県立奈良病院は産科医6人で当直は月5回。手術待機も多く、労働条件が過酷すぎミスしないようにと、一時は分娩(ぶんべん)の予約数を大幅に減らした。

頼みの大阪側も余裕はない。2005年の救急搬送は02年の1.5倍の約1800件。他県から受け入れも多い。43の病院が参加、空きベッドなどの状況を公開したシステムを導入しているが、搬送先がなかなか見つからない場合もある。

基幹病院の府立母子保健総合医療センターの末原則幸(すえはら・のりゆき)産科部長は「奈良県内で受け入れる施設を整備し、搬送をコーディネートする人がいないと今回のような患者は救えないのではないか」と話している。

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