飲酒しての医療業務は、自動車の運転の例を出すまでもなく、絶対やってはいけません。人の生命健康を扱う医療の現場では、絶対にやってはいけせん。
飲んだら診るな
Posted by guideboard on 2009/04/22/Wed
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全国医師連盟設立集会 2008.6.8
Posted by guideboard on 2008/06/01/Sun
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2.18
Posted by guideboard on 2008/02/18/Mon
今年もこの日が来ました。
医療破壊の最後の引き金を引いたかもしれないあの事件から 2 年が経ちました。医師がこの日を忘れることはないでしょう。加藤医師の無罪を信じ、支援します。
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全国医師連盟設立準備委員会総決起集会 20080113
Posted by guideboard on 2008/01/13/Sun
全国医師連盟設立準備委員会総決起集会 20080113
医療崩壊の瀬戸際で踏みとどまれるか、日本。医師たちは医療の最前線から立ち上がる。
つくろう ! 医療 新時代
今日、東京ビッグサイトで設立準備委員会の決起集会が開かれた。医療系以外のマスコミ報道もあった。しかも敵視するような報道ではない、珍しいことだ。マスコミが新しいものを求めているのか、その背後にいる大衆が求めているのか。
CB ニュース 2008.1.13
全国医師連盟の創設に向け決起集会
医師の労働環境改善などを目指す新たな団体を立ち上げようと、「全国医師連盟設立準備委員会」(黒川衛代表世話人)は1月13日、東京都内で総決起集会を開いた。全国医師連盟(仮称)の設立は、医師不足による病院閉鎖など医療崩壊が叫ばれる中、医師が誇りを持てる労働環境を創設して医療の質向上につなげることが狙い。当日の集会には全国から約110人の関係者が駆けつけた。
全国医師連盟設立準備委員会は、代表世話人の黒川さんらが中心になり、昨年8月に発足させた。ことし1月時点で全国の勤務医や研究医、開業医ら約420人が会員登録しているという。日本医師会に比べて勤務医が全体の15~16%と多く、平均年齢も43歳と若いのが特徴だ。設立準備委員会は、早ければ5月ごろにも連盟を発足させたい考え。
連盟の設立後は、医師の労働環境改善を目指して労働組合(ドクターズユニオン)を創設させるとともに、医療費抑制策への反対キャンペーンを実施するなど厚生行政へも働きかける方針。さらに、啓発活動の一環として医療事案に関する無料解説を担う部署を立ち上げたり、医療過誤冤罪の発生を防ぐため支援活動を展開するなどの構想もある。詳しくは設立準備委員会のホームページで。
13日に会見した黒川さんは、「人を助けたいという初心を医師が発揮できて、誇りを持って働ける環境を取り戻したい」「医師、患者、国民が連携して新時代を迎えたい」などと意気込みを語った。
また日本医師会との関係について同委員会は、「見習うべきことは見習い、批判すべきことは批判する。基本的には是々非々」と説明した。
総決起集会では埼玉県済生会栗橋病院副院長の本田宏さんが講演し「日本では60歳を超えた病院の院長が当直している。こんな状況を放置していいのか」などと問題提起した。会場からは、問題解決に向けてすぐにも連盟を発足させるよう求める声も挙がった。
更新:2008/01/13
キャリアブレイン
東京新聞 共同 2008.1.13
勤務医ら新団体設立を計画 労働環境改善求め集会
2008年1月13日 19時39分
医師不足の深刻化などによる医療の崩壊を食い止めるためには医師の労働環境改善などが必要だとして、全国の勤務医を中心としたグループが新たな医師団体の設立を計画し、13日、東京都内で総決起集会を開いた。
グループは「全国医師連盟設立準備委員会」(黒川衛代表世話人)。会員は現在約420人。勤務医が中心だが、一部開業医もいるという。今年5-7月ごろに1000人規模での設立を目指す。
集会には100人余りが参加。「医療崩壊」の著書がある小松秀樹医師が「医療費抑制政策や医療安全を求める声の高まりの中、勤務医の労働環境は限界に達している。勤務医の利害を代弁する組織が必要だ」とあいさつした。
長崎県西海市の勤務医でもある黒川代表世話人は「医師は疲弊し、病気の人を助けたいというモチベーションが低下している。医療を再生するため、医師が現場から声を上げていかなければならない」と、新団体への参加を呼び掛けた。
(共同)
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コンタクトレンズ診療所 / 検査料改訂
Posted by guideboard on 2007/12/16/Sun
不正を取り締まることができず、金の流れを締めるという政策だが、不正を不正として取り締まるのが本筋であり、検査料を減らしても、不正を働く者は不正の技を編み出すだけだ。
頻回の立ち入り調査、監査で名義貸し、不要検査や過剰請求等を一掃する、という正攻法が何故とれないのか。今回の全国一斉監査は約 100 軒。氷山の一角でしかない。
前回の引き下げ改定で、最も影響を受けたのは小規模診療所でコンタクトレンズも扱っていた良心的な一般眼科開業医だった。多くの小規模眼科診療所でコンタクトレンズ扱いをあきらめさせられた。
一般眼科診療所でコンタクトレンズの扱いを続けられたのは、建物敷地の余裕があったり、設備投資の余裕があったり、患者数が多く経営規模が大きいところだけだった。
コンタクトレンズだけに限って言えば、一般眼科診療所より、コンタクトレンズ診療所の方が、不正も駆使し、有利に闘える。一般眼科診療所は、ますますコンタクトレンズの扱いを手放し、まともにコンタクトレンズを求めようと思っても、なかなか眼科専門医によるコンタクトレンズ処方までたどり着けない事態になる。
1 – 2 年後には、健全な通常の眼科診療所が、さらにコンタクトレンズの処方を止め、不正を働くコンタクトレンズ診療所は減らないという結果になる恐れが高い。
前記事
コンタクトレンズ診療所 / 不正の温床からアンダーグラウンドへ
以下、参照記事
コンタクトレンズ検査、不正請求防止へ基準厳格化
asahi.com 2007.12.12
コンタクトレンズ(CL)の購入希望者を主に検査する眼科診療所で、診療報酬の水増し請求が相次いでいることを受け、厚生労働省は12日、中央社会保険医療協議会(中医協)に、CLの検査料の報酬に格差をつける施設の基準を現行よりも厳しくするなど、不正防止のための診療報酬の改定案を示した。大筋了承され、来年4月から実施される。
厚労省は06年度に、CLの患者が7割以上を占める診療所を「CL専門の診療所」とみなして一般の眼科と区別。支払うCL検査料を一般の診療所の約半分とする改定をした。厚労省が昨年末からCL診療所を調査した結果、CLの患者を一般の眼科患者と偽り、診療報酬を水増し請求するなど不正をしていた診療所が60カ所以上あることがわかった。
このため、改定案ではCL専門診療所とみなす際のCL患者の割合を、現行から「3割以上」に引き下げ、病名を偽った水増し請求を実質的にできないようにした。
また、再診の患者を「初診」と偽った水増し請求も多発しているため、現行では約3倍以上の価格差がある初診時と再診時の検査料を一本化する。
———-
コンタクト検査、診療報酬を見直し
CB ニュース 2007.12.12
「診療報酬で稼いでコンタクトレンズを安く売るようなことは許しがたい」――。コンタクトレンズ販売店に併設された眼科診療所などで診療報酬の不正請求が横行しているため厚生労働省は12月12日、コンタクトレンズ検査料を2008年度の診療報酬改定で見直す方針を中央社会保険医療協議会(中医協)基本問題小委員会(会長=土田武史・早稲田大商学部教授)に提示した。診療側の委員などから「善良な眼科医が迷惑するので、診療報酬以外の対応も考えるべき」との意見も出たが、大筋で了承された。
現在、コンタクトレンズの検査をした診療所が受け取る診療報酬(コンタクト検査料)は、コンタクトを初めて使用する人(初回装用者)に対する検査の点数が高く設定されており(387点)、既に使用している人(既装用者)に対する検査の点数は112点になっている(検査料1)。
また、外来患者の70%以上をコンタクト検査の患者が占めると検査料の点数が半分に引き下げられ、初回装用者193点、既装用者56点となる(検査料2)。
| 初回装用者 | 既装用者 | |
|---|---|---|
| コンタクトレンズ検査料 1 | 387 点 | 112 点 |
| コンタクトレンズ検査料 2 | 193 点 | 56 点 |
厚労省が示した見直し案は、検査料1について初回装用者と既装用者の区別をなくして点数を一本化するほか、検査の点数が半分にならない「検査料1の施設基準」を厳格化。コンタクト検査の患者が「70%未満」という要件を「30%未満」とする。
この見直し案によると、コンタクト検査料の点数が一般眼科の半分に引き下げられる診療所の範囲が広がることが予想されるため、全体的に診療報酬が引き下げられることになる。
このほか、検査料1と検査料2に共通の要件として、コンタクト検査を受けた患者が支払う費用について説明する院内ポスターなどの掲示や、受診費用を患者に説明することを新たに求める。
2 コンタクトレンズ検査料 1 の施設基準
次のいずれかに該当していること。
イ コンタクトレンズに係る診療を行う診療科において、初診料、再診料又は外来診療料を算定した患者のうち、コンタクトレンズに係る検査 ( コンタクトレンズ処方のための眼科的検査及びコンタクトレンズの既装用者に対する眼科的検査 ) を実施した患者の割合が 30% 未満であること。
ロ 眼科診療を専ら担当する常勤の医師 ( 専ら眼科診療を担当した経験を 10 年以上有するものに限る。) が 1 名以上勤務する保険医療機関においては、コンタクトレンズに係る診療を行う診療科において、初診料、再診料又は外来診療料を算定した患者のうち、コンタクトレンズに係る検査 ( コンタクトレンズ処方のための眼科的検査及びコンタクトレンズの既装用者に対する眼科的検査 ) を実施した患者の割合が 40% 未満であること。
この日、厚労省はコンタクトレンズの不適切な診療報酬の事例を報告。今年1月から3月にかけて実施した個別指導で判明した不正事例をまとめた報告書によると、「医師の資格がない者が検査を行っていた」という医師法違反の事例や、「継続的な診療中であるのに来院の都度、初診として扱い(高い)初診料を算定していた」という事例、70%未満の要件をクリアするために虚偽の病名を付けるという悪質な事例などがあった。
厚労省保険局の阿部重一医療指導監査室長は「不正請求をしている医療機関に対しては指導から監査に切り替えて厳正に対処する。健康保険法以外の法令順守に疑義がある医療機関も多いため、医師法や医療法を所轄する積極的に情報提供して、行政的に厳正に対処したい。詐欺同然の悪質なケースは告発し、1.4倍の返還金も求める」と述べた。
また、同局の原徳壽医療課長は「憶測を含めて言えば、診療報酬で稼いでコンタクトレンズを安く売るようなことは許しがたい」と述べた。
■ 委員の反応
質疑で、診療報酬の支払い側である対馬忠明委員(健康保険組合連合会専務理事)は「ありとあらゆる不正事例があり、強い憤りを感じる」と厳正な対処を求めた。
また、対馬委員は「医療雑誌の求人情報などを見るとコンタクト診療の医師は2,000万、3,000万となっている。コンタクトの診療報酬は前回の改定で厳しくしたので下がると期待したが変わっていない。法令違反をする医師に対して、どのような指導をしているのか」と診療側の委員に投げかけた。
鈴木満委員(日本医師会常任理事)は「この問題は10年以上も前から指摘されている。眼科の専門医の先生方が『看過できない』と懸念して、前回の改定でようやく取り上げられた」と述べ、コンタクトレンズ販売店に併設された眼科診療所と眼科専門の診療所との区別を強調。
「初回の診察に2時間半かかることもある。今回の見直しは緊急避難措置として受け入れるが実態と離れた措置なので、この問題が一掃されたら適正な再評価をお願いしたい」と求めた。
西澤寛俊委員(全日本病院協会会長)は「知人や子どもには『きちんとした眼科で診てもらえ、コンタクトレンズ併設のところには行くな』と言っている。診療報酬とは別の形で対応していただかないと、専門の眼科医が迷惑する」と述べた。
これらの意見には支払い側の松浦稔明委員(香川県坂出市長)も「善良な眼科の医者が迷惑する」と同調。松浦委員は「今回の事例はどろぼう、詐欺、盗人のようなものなので、診療報酬だけでは善良な眼科が衰退する」として、診療報酬以外の対応も求めた。
これに対して、対馬委員は「内情は知っているはずだ。コンタクトの求人のところには、わざわざ『法令順守』と書いてある。ほかの求人には書いていないのに、かっこ書きで『法令順守』とある。今回の問題は、医師としてのモラルが問われることなので、『医師は別ですよね』と割り切らないでいただきたい」と反論した。
西澤委員は「医師だけを甘くという意味ではなく、医師だけを処分しても駄目だという意味だ。医師法などをよく知らないで就職する医師も多い。今後は、医師が法律を理解して行動できるように日本医師会と協力して進めていきたい」と述べた。
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JBM / 医療事故について荒木駿二先生の論説
Posted by guideboard on 2007/12/15/Sat
科学の進歩に、人の意識も、法制度も、遅れつつあるのだろう。科学者が社会をリードする一翼を担えるように、科学者を重用し、科学者の発言に耳を傾けるべきだ。特に、自然科学の中で医学は最も人の身近にある。
日本は主に文系の人材によって、科学までも含め、コントロールされている。
医学、医療行政には、医師がもっとリーダーシップをとるべく、活動し、行政にも入り込み、医学と法制度を繋ぐべきなのだ。
以下、大変参考になる論説であるので、参照する。
全国自治体病院協議会雑誌
協議会雑誌(平成14年6月号)
窓 MEDICINE
医療事故について思うこと
公立昭和病院院長
全自病協常務理事 荒 木 駿 二
1999年1月の横浜市立大学医学部附属病院における患者取り違え事故と,同年2月に起きた東京都立広尾病院での消毒薬静脈内誤注入による患者死亡事故という2つの大きな医療事故をきっかけとして,医療事故は連日大きく報道されるようになった。この2つの事故は,地域における高度先進医療を担うべき基幹病院で発生したことで,世の中に一層大きな波紋を投げ掛けたと言える。すべての医療関係者はこれらの報道に心を痛め,大きな危機感を抱いている。しかし,一方で医師・ナースをはじめとしたほとんどの医療従事者は,日夜患者さんの診療に全力を傾注し,献身的な努力を重ね,患者さん達の信頼も得ていると自負している。
医療事故報道は以前から数多くなされてきたが,最近の取り上げ方はきわめて興味本位でセンセーショナルであり,医療に対する不信感の増大を煽る傾向にあるのは残念である。医療事故には明らかな医療過誤を含め,医療の全過程で発生したすべての人身事故が含まれるとされるが,過失が存在しなくても多発する医療上のクレームを含めた医事紛争や,アクシデント/インシデント・レポートまで包括して「医療ミス」という言葉で報道されることもある。もう少し冷静で客観的な報道のスタイルが望ましいと思うのである。しかし,こうした報道は私達医療関係者の事故防止へ向けた努力を,従来にも増して喚起してくれた効果も認めなければならないであろう。
米国では,すでに1970〜80年代に,医療事故による損害賠償訴訟の急増から,医療の危機が大きな関心を集め,保険料の高騰や民間保険会社の撤退,保身的医療の広がりなど,深刻な問題に直面していた。当初,医療事故防止対策は民事上の損害賠償対策の色彩が濃厚であった。しかし,1990年代に入ってから,そうした損害賠償の視点だけでなく,医療事故の発生そのものを減少させるための科学的検討が行われるようになったことは注目に値する。1999年11月に公表された米国のIOM(Institute of Medicine)報告は衝撃的であった。この報告では,入院患者の2.9〜3.7%に医療事故が発生し,そのうちの6.6〜13.6 %が死亡し,米国全体では年間44,000〜98,000人が医療事故で死亡していると報告されたのである。この数字には米国でも種々批判があるようであるが,他の先進諸国でもこれに近い数字が報告されており,わが国における研究が待たれるところである。
このように,1999年はまさに医療事故防止対策元年と言ってもよい年となった。それは過去の民事訴訟・損害賠償対策とは違って,私達医療人が医療事故に正面から科学的に立ち向かう決意を新たにした年であった。わが国でも,その前年の1998年には,日本医師会医療安全対策委員会で,「医療におけるリスクマネジメントについて」という答申が出されている。ここでは,いくつかの過程が関与して医療事故が起こることを指摘し,そのシステムや組織の欠陥を是正することの重要性が強調されている。このことは,IOM報告の表題が『To Err is Human』とされ,「人は過ちを犯すもの」という前提のもとに,システム上の組織的な事故防止策を主張している内容と合致する。
厚生労働省でも,2001年9月には医療安全対策検討会議で「医療安全に関する10の要点」という標語を作成したり,2001年度を「患者安全推進年」と位置付けるなど,その対策に懸命である。現在ではほとんどの病院に医療安全対策委員会が設置され,インシデント/アクシデントの集積が行われている。今後はこれらのデータの科学的分析により,原因を究明し,対策を講じ,現場にフィードバックする作業が重要である。しかし,これらの事例をSHELモデルや4M−4E方式を用いて分析するなどの作業はようやく緒に就いたばかりで,今後の成果が期待されるところである。航空機事故や労災事故の分析から導かれたハインリッヒの法則によれば,重大事故1件に対して軽い事故が約30あり,その背後には約300のインシデントがあるという。1990年代以降は,他産業における対策を参考にしながら,TQM(Total Quality Management)の手法で対策が立てられようとしている。しかし,医療は本質的に大きなリスクを伴ったものであり,医学が進歩すればする程リスクも増大する現実がある。しかも,医療は心理面も含めて個々に異なった病状と経過を示す患者を対象としていることから,他産業のTQMを単純に導入することは困難であろう。複雑高度で不確定要素の多い医療の分野では,これをひとつの学問分野として発展させる必要があり,医療安全学の確立が急務と考えられる。
事故防止のためには,個人の責任追及よりもシステム上の欠陥を正すことの方が重要であることについては,一般のコンセンサスも得られてきたようである。しかし,ヒューマンエラーを減少させるためには,医療従事者(とくに医師)の資質を向上させることも大切である。2004年度より新卒医師に対して2年間の臨床研修が必修化されることになった。学部教育でもクリニカルクラークシップの導入が図られるなど改善の兆しも見られる。しかし,それだけでは不十分で,大学入学・卒前教育・卒後教育・生涯教育などを含めて,医師養成のための抜本的改革が必要である。現在進められている国立大学医学部の大学院大学化は,研究者の養成を目指すもので,必ずしも優れた臨床医の養成に役立つものではない。米国式のメディカルスクール構想などへの転換が必要なのではなかろうか。医療の質を高めるための専門医の養成は非常に重要であるが,現在各学会で行っている専門医・認定医制度については,その実効性に疑問がある。むしろ医師免許更新制も念頭においた生涯教育の確立の方が優先されるべきと考える。
医療安全対策を考える場合,常に気になることは,現在の急性期病院における医療従事者数の少なさである。欧米に比し数分の1の医師やナースで,安全で良質な医療が提供できるのであろうか。現状のあまりに苛酷な労働条件では医療従事者に対する厳しい注文も控え目にならざるを得ない。安全にはコストがかかることをもっと強調すべきである。最近,この「安全のためのコスト」に関して,これを「病院管理者や医療従事者が負うべき構造的,精神的,労力的な負担」にすり替えようとする意見があり,警戒を要する。最も安全であるべき病院が,実は最も危険の多い施設であることを認識し,ここにもっと人や資金を投入すべきであると思う。
最近気になることがもうひとつある。それは医療事故における「警察の介入」である。医療は18世紀に欧州で医師に対する裁量権が与えられてから発達普及してきたものである。欧米では故意によるものなど特殊な事例を除いて,刑事罰を念頭においた警察の介入はないとされている。これに対してわが国では,医師法21条でいう異状死体の届出と刑法211条の業務上過失に対する刑事罰のための届出とが渾然一体となって,医療事故による死亡や重大な障害が生じた事例では,警察への届出が義務付けられようとしている。異型輸血や消毒薬の静脈内注入など,現実に警察の捜査に委ねざるをえない事例も存在し,これらが大きく報道されるために,医療事故全般について警察の捜査を優先させようという考え方が広まっている。こうした流れは,報復的な感情を満足させることにはなっても,「起こりうる」医療事故をできるだけ減少させ,高度で複雑な医療行為に内在するリスクを科学的に検証して,安全な医療の発展に役立たせようとする考え方とは相容れない。刑事罰に相当する事件を警察が捜査することは当然であるが,医師法21条の活用と刑法211条の業務上過失致死傷罪のみで現在の医療事故の刑事責任を追及することは現実的でないと思う。このような風潮は,医療従事者を保身的な萎縮診療に向かわせるのではないかと危惧されるのである。20世紀の医療は長足の進歩を遂げ,人類に大きな福音をもたらした。一方で,医療に対する社会の見方も大きく変化し,医師のパターナリズムに任せることなく,情報開示と自己責任のもとにインフォームドコンセントが重視される時代となっている。医療の提供側とこれを受ける側との関係は大きく変化しており,これは医療の社会化と表現できるものであろう。このような時代の変化に対して,医療をめぐる法律は旧態依然としており,甚だ不備である。十分なインフォームドコンセントのもとに,医師も患者側も一定の危険性を認識した上で行われた医療行為の過程で,何らかの被害が患者側に生じた場合,これが警察に報告すべき医療過誤にあたるかどうかを直ちに判断することは困難な場合が多いのではないか。既存の刑事・民事の一般法規の適用のみでは処理不可能な時代が到来したように思う。他方,「医療だけは特別である」として,医療を法規制の枠外に置くことも不可能である。従来の一般法規の直接適用ではなく,特別法の制定も視野に入れるべき時代を迎えたのではなかろうか。
以上,さまざまな視点から医療事故について思うところを述べてきた。わが国の安全神話は,社会の各方面で崩壊していると言われている。医療においても,その信頼が大きく揺らいでいることが残念でならない。事故の原因を科学的に検証し,その発生率をできるだけ減少させるための医療安全学を確立し,医師の資質を高め,医療現場に必要なコストについては,これを惜しむべきではないと思う。医師をはじめとした医療従事者が,安心して良質で最新の医療を提供し,受療する患者側も,それを信頼できるような社会的基盤の確立も必要である。そのような,信頼関係に基づく医療を構築することは,私達医療関係者だけでなく,国や社会をリードする指導者層にも課せられた大きな責務であると思う。
公立昭和病院院長
全自病協常務理事
あらきしゅんじ
■参考文献
1)安達秀雄:医療危機管理.東京,メディカル・サイエンス・インターナショナル,2001
2)小島恭子ほか:リスクマネジメントとリーダーシップNo3.東京,テクノコミュニケーションズ,2002
3)竹中郁夫:医療事故訴訟の判決からみた医療事故の傾向 病院 60(2):112−116,2001
4)長谷川敏彦:「医療事故」と「医療の質」をめぐる新たな国際的潮流−米国医学院報告書の衝撃− 病院 60(2):117−123,2001
5)村上陽一郎:「安全学の薦め」.新医療 2000年11月号:38−40
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JBM / ガリレオ裁判 4 / 亀田事件東京高裁判決
Posted by guideboard on 2007/12/14/Fri
2003 年 1 月 1 日、元日の亀田総合病院は、戦場のような修羅場だっただろう。2006 年 9 月、東京地裁で原告患者側勝訴の判決が下った。
前記事
JBM / ガリレオ裁判
JBM / ガリレオ裁判資料
JBM / ガリレオ裁判 / 草加事件資料
毎日新聞 2006.9.12
医療過誤:病院に慰謝料8100万円支払い命令
千葉地裁 判決によると、男子生徒にはぜんそくの持病があり、治療のため同病院に入通院していた。01年1月1日午前4時半ごろ吐き気を訴えて受診したところ、ぜんそく薬による中毒と診断され、胃洗浄、薬物投与などの治療を受けたが、けいれんなどを起こした。医師が血管にカテーテルを挿入した数分後、血尿が止まらなくなり、午後9時半ごろ死亡した。 病院側は「死因はぜんそく薬による中毒だった」などと主張したが、小磯裁判長は「病院側に過失があったと言わざるを得ない」と退けた。
平成18年9月11日判決言渡 平成15年(ワ)第202号損害賠償請求事件
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20061106163942.pdf ( 保存 pdf 52KB )
参考リンク
http://blog.m3.com/TL/20060912/1
http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20061218
http://www.yabelab.net/blog/2006/09/12-005947.php
http://www.yabelab.net/blog/2007/02/07-152146.php#c40200
———-
そして、2007 年 12 月 14 日、東京高裁判決で、またも患者側勝訴 ( 賠償額 7300 万円 ) の判決が出た。
http://lohasmedical.jp/blog/2007/12/post_976.php
詳細が判明したら、また検討したい。
その他の過去関連記事
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JBM / ガリレオ裁判 2
JBM / ガリレオ裁判 2 資料
JBM / ガリレオ裁判 3
JBM / ガリレオ裁判 3 資料
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コンタクトレンズ診療所 / 不正の温床からアンダーグラウンドへ
Posted by guideboard on 2007/12/09/Sun
コンタクトレンズの処方を主に扱い、近隣にコンタクトレンズショップを併設している眼科診療所を、コンタクトレンズ診療所という。通常の眼科一般の診療は、建前上は扱うとしている。
それらの多くは、眼科専門医が眼科一般の診療を行う通常の眼科診療所とは異なり、眼科専門医でない医師が診療所開設者としての名義を貸し、アルバイト医師がコンタクトレンズの処方だけをしていたりする。
眼科専門医がいて、通常の眼科診療も行っているところも、もちろんある。
こういうコンタクトレンズ処方を主に行う眼科診療所をチェーン展開して傘下に持つ、コンタクトレンズ販売業者がいる。全国的に名を知られたところも、各地方にも、たくさんある。
少なくないコンタクトレンズ診療所では、保険診療の網の目をかいくぐって不正の限りを尽くし、それで処分を受けるのは院長という名義を貸した医師だけ。経営母体のコンタクトレンズ販売業者は何の痛みも感じない。
院長が監査を受けて保険医停止処分を受けたら、さっさと医院を閉めて、新しい院長を連れて来て、そのまま看板の文字だけ変えて、開業させる。
それでその院長に不正をさせて、売り上げをかすめ取って、また院長だけ処分されて,を繰り返している。
そういうコンタクトレンズ販売業者の中には、当然、アンダーグラウンドに金を流す奴がいる。大きくチェーン展開をして、何件ものコンタクトレンズ診療所とコンタクトレンズショップを開いていて、その経営者はフロント企業。
今回、厚生労働省は行政処分だけでなく、詐欺罪による刑事告発も武器として手に臨んでいる。警察のバックアップもある。なんせ相手が某勢力の資金源な訳である。
頑張れよ、厚労省。
ところで、薬事法を改正して、コンタクトレンズの医療機器区分と取り扱いを厳しくして、コンタクトレンズ販売業者を閉め出そうとしたのに、実際には良心的な眼科医院がコンタクトレンズの扱いを辞めてしまうだけの結果になった、何とも皮肉な事になってしまったのも、厚労省の失政である。
asahi.com 2007.11.17
診療報酬水増し横行 コンタクトレンズ診療所
2006年11月18日08時35分
コンタクトレンズ(CL)の購入希望者を専門的に検査する眼科診療所(CL診療所)が、診療報酬を水増し請求する例が全国で相次いでいることが、日本眼科医会の内部調査でわかった。4月の診療報酬改定でCL診療の検査料が大幅に引き下げられて以降、急増しており、このままでは水増しの合計額は年間で600億円規模になるとみられる。医会は調査結果を厚生労働省に提出、診療所への指導・監査の強化を要請した。
CL診療所をめぐっては、報酬を過剰請求しているという指摘が以前からあった。今春の改定は「CL診療にかかわる不適切な請求をなくすことも狙いのひとつ」(厚労省)だったが、改定が骨抜きにされた形だ。
全国約6500の眼科診療所のうち、CL診療所は約1300で、大半がCL量販店と患者紹介などの協力関係を結んでいる。
医会は、各都道府県で社会保険などの審査委員を務めている医会の会員を通じ、全国のCL診療所について医師名や診療報酬明細書(レセプト)の内容について継続的に調査を続けてきた。それによると、CL診療所が1カ月に提出するレセプトは平均約1400件で、一般の眼科診療所の約1.5〜十数倍。大半の診療所が約8割を初診患者として扱い、1診療所あたりの月間保険請求額は約870万円に上っていた。
4月の改定では、さまざまな検査料について出来高方式で加算していた保険点数を一本化した上、CL患者の割合が70%以上を占める眼科診療所の点数が大幅に引き下げられた。大半のCL診療所が引き下げの対象になるため、一つの診療所あたりの請求額が月間約250万円の請求に減るとみられていた。
しかし、全国の審査委員からは「改定後も、CL診療所は以前と同レベルの件数や金額で保険請求を続けている」という報告が相次いでおり、今回の集計で、1300のうち約1000カ所の診療所で、水増し請求が行われている可能性が高いことが判明したという。
水増しは、CLの利用者を未経験者に偽装するほか、全患者数に占めるCL患者の割合を70%未満にしたり、CL検査以外の目の病気を治療して一般の眼科患者を装ったりしている。この結果、改定前と同程度の保険点数を請求している例が大半という。医会の関係者によると、水増し額は1カ月あたり約50億円で年600億円にのぼる可能性が高いという。実際、九州地方のある県で、社会保険事務局が調べたところ、大半の診療所で不正が認められたという。
不正請求が明らかになった場合、診療所は保険支払機関から返還を求められたり、医師の保険医登録が取り消されたりすることもある。
日本眼科医会の吉田博副会長は「大半のCL診療所で水増し請求が行われている可能性が極めて高い。量販店系列の複数の診療所で同じ手口が使われるなど組織的と思われる例もある。診療報酬の改定の効果を上げるためにも、行政による一斉立ち入りなど積極的な指導・監査が不可欠だ」と話している。
◇
〈コンタクトレンズの診療報酬〉
日本眼科医会によると国内の眼科の総医療費は約1兆円で、このうちCL診療所の医療費が約1400億円を占めていた。ただ、1人の患者に何度も初診料を算定している例などもあった。このため保険給付範囲を明確にしてCLの医療費を約1000億円削減することを目的に、診療報酬改定で、従来は精密眼底検査など個別検査の保険点数を加算していたのを、一括した点数に統一した。CL診療所のように患者全体に占めるCL利用者の割合が70%以上の場合、70%未満の一般眼科に比べて保険点数が約半分に減った。またCL利用者に対する定期検査は保険給付の対象外▽初診料は1人につき最初の1回などとなった。
YOMIURI ONLINE 2007.12.5
コンタクトレンズ診療所、医師の名義貸し横行
コンタクトレンズ購入者の目の検査などをする眼科診療所(コンタクトレンズ診療所)で、勤務実態のない医師が管理医師として名前を貸して報酬を得る「名義貸し」が頻繁に行われている疑いが強まり、厚生労働省は実態調査を行うことを決めた。
診療所の管理医師は常勤が原則で、勤務実態がないと医療法などに抵触する可能性がある。
コンタクトレンズ診療所をめぐっては、診療報酬の不正請求が相次いでいるとして、同省が全国約100か所の監査・指導を進めており、名義貸し問題もその中で調べ、実態を解明する方針だ。
コンタクトレンズ診療所の大半は、販売店に隣接して作られ、全国に約1300ある。
医療法や同省の通知などによると、診療所には常勤の管理医師を置くのが原則で、同じ人が二つの施設の管理医師を兼務することも原則としてできない。このため、他の医療機関で働く医師が管理医師を兼ねるのは難しいのが現実だ。
仲介業者に医師の募集を委託しているコンタクトレンズ診療所も少なくないと言われる。医療専門誌の募集広告には、「管理医師 経験不問 在住地問わず 登録のみ」と、名義貸しの医師を募るとも取れる内容を堂々と掲載しているケースもある。
最近まで東京都内のコンタクトレンズ診療所に名義を貸していた神奈川県内の総合病院の勤務医(男性)は読売新聞の取材に「後ろめたい。長く続けてはいけないと思っていたが、金にひかれてしまった」と重い口を開いた。半年以上も前、管理医師となったが、診療所に行ったのは2回だけ。それでも毎月20万円が管理料として振り込まれてくる。
名義貸しをしていた先輩医師から「いい副業がある」と紹介されて始めた。精神科が専門で眼科の診療経験はなかった。「目の治療が必要な人がきたらどうしよう」と不安になったが、「管理料をもらうだけで、診察はしないから大丈夫」と言われたという。
管理医師になった直後、たまたま診療所に行った時、「点眼薬をほしい」という患者がきた。「目薬のことはわからなくて、急いでほかの診療所へ行ってくださいと答えた」と振り返る。
自分の代わりのアルバイト医師の派遣も、先輩医師から紹介された人に任せた。診療所で誰が働いているかも知らない。医師以外の人が処方せんを書くと医師法違反になるだけに、「今思うと怖い。事故が起きたら責任があるし、早く辞めたいと思った」と話す。
別の埼玉県の診療所で管理医師を務める都内の外科の勤務医(男性)も、最近は月1回しか行かない。普段診療所に勤務している医師のことを知らないといい、「それは管理医師としてまずいことだとは思う」と認める。
コンタクトレンズ診療所を巡っては、必要のない検査を行うなどの不正があったことから、昨年4月、レンズの処方に関する診療報酬が大幅に切り下げられた。
しかし、昨年末に、「水増し請求などの不正を行っている診療所が多数」と日本眼科医会が調査結果を公表。厚労省が今春、指導を行った。だが、改善がみられない診療所が多数あるとして、今月から指導、監査に乗り出した。
日本眼科医会の吉田博副会長は「名義貸しの話はかなり聞いている。無資格者が検査をし、たまにしか来ない医師の名前を使って処方せんを書いているところもあるようだ。コンタクトレンズによる目の障害も起きかねないだけに、医師としてのモラルも問題だ。厚労省は厳しく対応してほしい」と話している。
(2007年12月5日14時31分 読売新聞)
毎日 jp 2007.12.4
コンタクトレンズ:厚労省が診療所を指導・監査へ
コンタクトレンズの購入希望者を専門的に検査する眼科診療所で診療報酬の不正請求が相次いでいるとして、厚生労働省と各地の社会保険事務局は悪質な診療所の指導・監査に乗り出した。昨年度からコンタクトレンズ診療所の診療報酬が大幅に引き下げられたにもかかわらず、請求額が減っていない状況を受けた措置で、対象は100カ所以上になるとみられる。
コンタクトレンズ診療所は全国に約1200施設あり、大半は販売店と提携して患者の紹介を受けている。必要のない検査や何度も初診料を請求するケースが多く、厚労省は昨年4月の診療報酬改定で出来高加算だった検査の保険点数を包括化し、コンタクト使用者が外来患者の70%を超える場合は点数を一般眼科の半分にした。
しかし、日本眼科医会の調査によると、コンタクトレンズ診療所からの保険請求は05年度から06年度にかけ約400億円しか減らず、約1000億円の圧縮を見込んだ厚労省の試算と大きな隔たりがあった。収入を維持するため、割高な検査料を不正請求したり、コンタクトレンズの購入者を別の病気のようにカルテに記載し、コンタクトの処方を70%以下に装う診療所が多いという。
監査で不正が発覚した場合、診療報酬の水増し分の返還や、保険医療機関取り消しの処分がある。処分逃れのための廃院や返還拒否が分かれば、刑事告発が検討される。
コンタクトレンズ診療所を巡っては、実際は勤務していない医師による管理者の名義貸しも問題になっており、日本眼科医会などは実質的に診療所を経営する販売店の取り締まりも求めている。【清水健二】
毎日新聞 2007年12月3日 19時19分
こういう論説を見ることができる。
勤務医 開業つれづれ日記
■悪いやつほどよく眠る 「コンタクトレンズ診療所、医師の名義貸し横行」のコメント欄より。
もともと、2年前の削減時に、眼科の削減分はコンタクトを差し出した格好で決着をつけたと思います。
眼科医会は長年の敵対相手であるコンタクト業者に打撃を与えるべく、自分たちにも影響出るのを覚悟の上でコンタクト診療は定額の上、半額なんてむちゃな要求をのんだわけです。
施行後には、少しだけコンタクト販売所が減ったものの、ほとんどは非合法すれすれの院長ローテートや不正請求で生き残りました。
それを叩くべく、今年の11月まで個別指導して少しだけ締め上げましたが、コンタクト販売所はびびる所か院長使い捨て戦法にまで出てきて効果は上がっていません。
さて、今は診療報酬改定真っ只中ですが、今回の騒動は、眼科の更なる引き下げ要求に対して眼科医会側から引き下げ要求の前にまずは効果の上がっていないコンタクト診療所をなんとかしろ言われて、厚生省が「実態調査」なんて温いことし出したのだと思ってます。
眼科医会側は引き下げ要求の引き伸ばし、厚生省は働いている所をデモできるので両者思惑一致しての実態調査でしょうが、こんな事してもコンタクト販売所は痛くも痒くもないでしょうね。さらなる戦法はコンタクトを保険診療から外す事ですが、これは2年前の改正時に限定的に施行したところ、患者からのクレームが厚生省に上がって3カ月で方針転換した経緯がありますので難しいでしょう。
コンタクト販売所との戦いはまだまだ続きそうですが、医療の分野に小規模資本主義が入るとどうなるか、良い見本だと思います
また、こういう論説もある。某所より入手した、2006 年中頃に書かれた、眼科専門医の手によるものである。
コンタクトレンズ以下 ( CL ) にまつわる諸問題について、眼科以外の先生方にはあまり知られていない ( であろう )、ここ何年かの制度の変遷をご紹介する。思い出す度に憤懣やる方なく、若干の私見も含まれることをお許し願いたい。
CL 安売り店に併設する、いわゆる「CL 診療所」が○○県で始めて開設されたのが平成の初めの頃である。○○でコンタクトレンズ量販店に隣接して、卒後研修 1 年目の内科医師が眼科診療所を開設し、新聞ネタにもなったことを記憶にとどめておられる先生もおられるかもしれない。この時の顛末は、市民の目の健康を守る立場で異を唱えた○○眼科医会が、逆に公正取引委員会より勧告を受けたことにより終結した。それを機に ( お墨付きということではないであろうが ) 今は○○近辺に数え切れないほどの CL 診療所が乱立している。
○○○ ( 某地方都市名 ) も例外ではなく、ここ 2 年の間に JR ○○駅北側、○○駅南側に相次いで CL 診療所が開設された ( もちろん医師会には非入会 )。この手の診療所は「地域医療」とは当然のごとく全く無縁で、利益を得る為に保険制度を利用して医療費をむさぼり食う、という構図で成り立っている。CL の仕入れの量が圧倒的に多いために、仕入れ値も安くなる。さらに、その仕入れ値以下という一般眼科医院では考えられないような破格の値段で売りさばいても、1 カ月に 1400 件 ( 全国平均 ) は下らないと言われている診療報酬で充分儲けが出るのである。なぜならば、そのレセプト内容がスゴイのである。初診率が 80% 以上もあり、画一的な検査がずらりと行われている。一部では、CL を買いに来る患者さんの年齢層を考えると、到底考えにくいような「緑内障」等のための高点数の検査を行うために、それに見合った ( 架空の ) 病名をつけている所もあると聞く。ひとつひとつのレセプトとしては、何ら問題はないかもしれないが、これが大量に出てくると、指導・監査の対象になってもおかしくない。しかし、そういう診療所に監査が入ったとか、保険医取消しになった ( 閉院した )、という話は一向に聞かない。
全国では、眼科標梼の診療所 6475 施設中、いわゆる CL 診療所と判断されている所が 1337 施設を数える。CL 診療所から請求される医療費は 1400 億円に上ると ( 別資料によると 2000 億円とも ) 言われている。柔整に関してもそうであるが、「医療費が増大している」と叫ばれる中、「正当に使われていない医療費」等についても並列に言及したマスコミは全くない。そして医療費抑制政策で、いつも割を食うのは国民と「真面目な」医師なのである。日本眼科医会は CL 診療所対策を国に訴え続けた。しかし厚労省は聞く耳を持たなかった。国民が CL を購入する場合、自己責任を強調することで国の責任を転嫁していたのである。それでも CL 健康被害は絶えず報告され続け、無駄な医療費も増大し続けていった。
そこで、ようやく厚労省が出した答えは、とんでもない見当違いの施策であった。それが昨年 4 月からの改正薬事法「高度管理医療機器等販売に係る申請」であった。「CL 販売時の品質管理を厳重にする」ために、診療所と CL 販売・管理部分は公道を挟んで別棟にしなければならない、等という内容であった。もともと「原則として診療所と CL 部門は入口を別にする」という非現実的な法律が存在していた。しかし、その法律に準拠して開設しているのは、いわゆる CL 診療所の方であり、ほとんどがそのような無駄な法律に添った形体にはしていなかった一般眼科医院は、無用のコストと労力を強いられたのである。この件で、診療所の改築が不可能と判断し、CL の取扱いを諦めた眼科医もあり ( 閉院された所もあった )、そこの患者さんが仕方なく CL 診療所へ流れてしまい、ますます健康被害を増大させてしまう、という全く逆の結果を招いてしまった。実際の医療現場を少しでも把握していれば、こういった事態は簡単に予測できたはずである。そういった意味でも、頭の良い人が集まっているであろう厚労省が何もかも充分承知の上で、一般眼科医に対する嫌がらせでやったとしか思えないような改正であった。
そして、声高に医療費削減が叫ばれる中、国民の健康という観点からではなく、財政面からせっつかれた厚労省が、ようやく CL 診療所対策に本腰を入れてきたと思われたのが、今年の 4 月からの保険改正である。申請 6 ケ月前の外来件数の内、CL 関連の診療件数の割合を社会保険事務局に届け、その割合によって、包括化される CL 診療にかかわる検査点数が変わる、というものである。その割合が 70% 以上 ( 一般眼科医院は 7 ∼ 10% 程度)になるであろう、いわゆる CL 診療所は、この 4 月から初診・再診ともに、かなり圧縮された点数しか請求できなくなった ( はずである )。
果たして、CL 診療所は経営を諦め、次々に撤退しているのであろうか。今の所、そういった話は聞いていない。しかも、今回の改正に伴って様々な保険の縛りや解釈の情報が錯綜したため、一般眼科医院の現場の方に混乱をもたらしている。真面目に考えると、どこまでが CL 診療で、どこから一般診療なのか非常に判断しづらいのである。これも少し考えてみると予想されたことであるが、もともと医の倫理を持ち合わせていない者 ( CL 診療所 ) が正直に今回の改正に従うわけもなく、包括化を避ける目的で屈折病名以外の病名を追加すれば、不必要な検査や投薬がこれまでと同様に行える(と考えられる)ので、全く抑止力にならず、医療費削減も期待できないのではないだろうか。社会保険事務局を疑うわけではないが、そもそも CL 診療件数の割合届出の受理も正当に判断されたかどうかも、我々には確認できないのである。
もうしばらくは静観、ということになりそうであるが、まだまだ我々下々の者には計り知れぬ世界があるのかもしれない。
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医療系ブログの認知 / 新小児科医のつぶやき
Posted by guideboard on 2007/11/25/Sun
『新小児科医のつぶやき』が CNET Japan http://japan.cnet.com/ の記事中に取り上げられている。
日本は、世界のブログの何割かが日本語で書かれていると言われるほどの、いわばブログ大国である。その中で医療、特に医師が書くブログなど、書き手の絶対数が少ない事、一般の人の興味を引くような事の少ない、専門的な世界が展開される事から、認知度は低いと思われる。
大淀事件のとき、医師が書くブログは反社会的な印象を持って報道されたが、その実態は、専門家による専門的な検討の場としてのものであった。
悪名報道として始まった医師の手によるブログの認知は、ここにきて、急速に社会の中で評価される方向に変わり始めたようだ。公平で専門的な考察が積み重なったブログは、医師の手によるブログの中でも数を増やしつつあり、その最先端に位置すると衆目が認めるものが『新小児科医のつぶやき』である。
———-
ブログ界の Nature ともいえるアルファブロガー・アワードに、医療問題を扱ったブログ 2 件がノミネートされ、中間集計で上位に来ている。
一つが、上記『新小児科医のつぶやき』、もう一つ、中間集計で上位に天漢日乗が来ている。
掘り下げた考察と充実したコメント陣の新小児科医のつぶやき、情報収集力と鋭い考察の天漢日乗、いずれも必読のブログである。
医療問題が社会に周知されるためにも、2007 年 12 月 2 日の投票締切までに、ランクアップして、ぜひとも受章の栄誉に輝いて頂きたい。
『新小児科医のつぶやき』が取り上げられた CNET Japan の記事を参照して頂きたい。ブログは、新しい価値観が社会に登場して少し日にちが経ち、一部の伝道師 ( evangelist ) だけのものから多くの人が当たり前に使うものになった時点での現象、以下の記事でいうところの浸透と拡散、そういうフェーズに入った。すなわち、これまでの単なる個人の日記ではなく、新しい知の共有手段となっているのだ。
以下、
http://japan.cnet.com/blog/sasaki/2007/11/25/entry_25002161/
より引用
佐々木俊尚 ジャーナリストの視点
ブログの「浸透と拡散」
公開日時:2007/11/25 11:50
著者:佐々木俊尚
11月23日、「ブログ限界論」をテーマにしたRTCカンファレンスに出席した。このテーマについてはご存じの通り、上原仁さんの事前アジェンダ設定がかなりの波紋を巻き起こし、さまざまなブログでさまざまな意見が書かれた。議論がどう広がっていったのかについては、徳力基彦さんのブログに詳しく書かれている。
当日、会場で話したことや話し足りなかったことなどを、この場で捕捉しておきたい。
昨年ごろから、ブログの世界に地殻変動が少しずつ起きてきているように思う。その地殻変動をシンボリックに体現しているのが、今年のアルファブロガー・アワードだ。アルファブロガーたちが選んだノミネートブログのリストを見ると、これまでのようなIT系や経済社会論壇系から外れて、より幅の広い分野に広がってきていることがわかる。たとえば、このノミネートリストの中でかなりの票を集めているらしい『会社法で遊ぼ。』。診療所勤務の医師の方が書かれている『新小児科医のつぶやき』など、従来なら「アルファ」と呼ばれなかったであろう専門性の高いブログが数多く候補に挙がっている。言ってみればこれは、ジェネラルなブログから、エキスパートなブログへの普及・拡散が起きていることの証明でもある。
ほんの二年ほど前までは、ブログの世界はおそらくとても小さかった。書いている側も、読んでいる側も、それぞれインターネットの先端的ユーザーで、ネットの世界の空気感を共有していた。つまりは同じ価値観という基盤の中で生きていて、他のブロガーたちに仲間意識を感じ、だからこそブロゴスフィアから派生したリアルの人間関係を培うこともてきたのだった。
ところがいまや、ブログの普及と拡散とともに、その共通の価値観は失われつつある。いや、失われてはいないのだが、その価値観を共有するコミュニティの規模をはるかに超える速度で、ブロゴスフィアは広がりつつある。
この状況は、1970年代にSF小説の世界が迎えた「浸透と拡散」フェーズと酷似している。もともと日本のSFはごく少数の書き手たち--星新一や筒井康隆、小松左京、福島正美といった先駆的な作家たちによって切りひらかれ、しかし1960年代までは世間にはほとんど認知されていなかった。文壇のメインストリームからも無視され、SFというのはごく一部の人たちだけが楽しむ小さなコミュニティ内文学だったのだ。
ところが1970年代にはいると、状況が変わる。1973年に小松左京の『日本沈没』がベストセラーとなり、1977年には『スターウォーズ』第一作が公開された。『宇宙戦艦ヤマト』も登場し、少し遅れて『機動戦士ガンダム』もやってきた。この結果、SF的なものは世間に受け入れられるようになり、市民権を得た。これまでSFを無視していた純文学、大衆文学の作家たちも、SF小説的な設定を取り入れるようになった。
この状況はSF業界にとっては喜ばしいことではあったのだが、しかし一方で、こうしてSFが普及していくことを「SFが拡散してしまおうとしている」と嘆く人も少なくなかった。1960年代まで日本SFの世界が持っていた先端性が薄れ、毒が消え、大衆文化に堕していく。スピリット・オブ・ワンダーが失われていく。そういう「SF的精神」が徐々に消失していくと考えられたのだ。さらに加えて、それまでの日本SF業界が持っていた小コミュニティ的な気持ちよさが失われ、一般化してしまうことに対する寂しさもあったのだろう。
そしてこの状況を指して、SF業界の人たちは「SFの浸透と拡散」という言葉で呼んだのだった。
当時私は地方の高校生で、早川書房の『SFマガジン』を愛読していたから、このような論争が中央で起きていたことは何となく理解していたけれども、しかしそういう古いSFの変質なんかよりもずっと、新しいSFの世界の強い興奮を抱いていた。つまりは『日本沈没』や『スターウォーズ』、『宇宙戦艦ヤマト』に対するときめきの方が、古いSF世界への郷愁に勝っていたのである。古いものよりも新しいものにときめきを感じるのは、高校生なのだから当然といえば当然だった。
いまのブロゴスフィアをめぐる状況は、1970年代のSFとまったく同じように思える。ブログは普及し、浸透し、拡散しつつある。いまやかつてのあたたかいブログ共同体は、現在のブログ圏域とイコールではなくなっている。失われた共同体を懐かしんでもしかたないし、日々面白いブログは日本のあちこちで生まれてきているし、それを一生懸命発掘して必死で読まなければならない。
たぶん私がいま高校生だったら、「へー、ブログの限界とか議論している人たちがいるんだ」と感心しながら、しかし新しいブログを読んだり、モバゲータウンで誰かと会ったり、魔法のiらんどでケータイ小説を読んだりするのにときめきを感じているかもしれない。時代は後戻りしないのだ。
次のエントリーも、この話を少し続ける予定です。
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医療崩壊 / 殉職
Posted by guideboard on 2007/11/24/Sat
まずここをご覧頂きたい。
犠牲 http://blog.m3.com/nana/20071120/1
若い医師が勤務中に亡くなられた。心身をすり減らす職務の行き着いた先だった。
また、少し以前になるが、私の同級生が浴槽に沈んでいるところを発見された。
倫理観、使命感、それが至上命題として現場の医師の背中に乗りかかっている。これまでコスト、アクセス、クォリティを奇跡的に並立させて来た日本の医療制度は、現場の医師と医療従事者たちの献身によって支えられて来た。
日本の医療は、これまで成し遂げて来た奇跡の基盤が崩れつつある。これらの尊い犠牲をもってしても防げない。それでもなお、日本人は現場に献身を求める。赤ひげだの、ヒポクラテスだの、医療で社会保障費を削るだの、僻地勤務義務化だの、さらなる犠牲者の山を築こうというのか。
今は、殉職と言ってよいだろうこれらの方々の冥福を祈るのみだが、このままでは済ませられない。
関連のリンク
- http://plaza.rakuten.co.jp/otohkmd/diary/200711210000/
- http://d.hatena.ne.jp/takuzo1213/20071121/p1
- http://blogs.yahoo.co.jp/taddy442000/18898537.html
- http://tsukinohikarini.blog41.fc2.com/blog-entry-359.html
- http://himahimadoc.blog95.fc2.com/blog-entry-137.html
- http://azukinattou1009.blog114.fc2.com/blog-entry-54.html
- http://blog.livedoor.jp/nsman/archives/51385869.html
- http://drkame.at.webry.info/200711/article_21.html
- http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20071124
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医療崩壊 / 僻地医療崩壊の歌
Posted by guideboard on 2007/11/24/Sat
僻地医療が崩壊する要因を取り上げて歌にしたものが YouTube にあった。2007 年、医療崩壊が決定的となったこの時期の記憶に残すべきものである。
僻地医療崩壊を歌う
http://jp.youtube.com/watch?v=hmd7wCkjV3Q
またビデオに保存してあるものもある。
QuickTime movie, MPEG-4, 480 × 480 pixels, 33.8MB
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JBM / 死因究明機関 / 日本医師会の大罪
Posted by guideboard on 2007/11/17/Sat
虎ノ門病院泌尿器科部長、小松秀樹先生が、2007 年 11 月 17 日、九州医師会総会で講演した内容である。転送可ということである。
——————–
2007年11月17日
日本医師会の大罪
虎の門病院 泌尿器科 小松秀樹
- 国民と患者のため、医療の改善と向上のため、現場の医師による自律的な集団が必要である
- 厚生労働省は医師に対する全体主義的な統制を行う強大な力を手に入れつつある
- 過剰な統制は自律性を奪い、医療システムを破壊する
- 日本医師会の役員の一部は全ての現場の医師を裏切り、厚労省に加担した
- いま、日本医師会に対し、現場の医師は自らの意見を明確に主張しなければならない
- 国民と患者には、自分達自身と家族のために、現場の医師を支援していただきたい
07年10月17日、厚労省は診療行為に関連した死亡に係る死因究明等の在り方に関する第二次試案を発表した。
その骨子は以下のようなものである。
1) 委員会(厚労省に所属する八条委員会)は「医療従事者、法律関係者、遺族の立場を代表する者」により構成される。
2) 「診療関連死の届出を義務化」して「怠った場合には何らかのペナルティを科す」。
3) 「行政処分、民事紛争及び刑事手続における判断が適切に行われるよう、」「調査報告書を活用できることとする」。
4) 「行政処分は、委員会の調査報告書を活用し、医道審議会等の既存の仕組みに基づいて行う」。
第二次試案は、この制度の検討会の座長で刑法学者である前田雅英氏の主張「法的責任追及に活用」(讀賣新聞07年8月14日)に一致している。法的責任追及という理念の実現が目的であり、これが現実に人々に何をもたらすのかを、多様な視点から考えた形跡がない。日本の刑法学はマルキシズムと同様、ドイツ観念論の系譜にある。理念が走り始めるとブレーキがかかりにくい。ここまでの統制が、医療に対して求められなければならないとすれば、他の社会システム、例えば、裁判所、検察、行政、政党、株式会社、市民団体などにも、相応の水準の統制が求められることになる。理解しやすくするためにこの状況をメディアに置き換えてみる。
1) 報道被害調査委員会を総務省に八条委員会として設置する。事務は総務省が所管する。
2) 委員会は「報道関係者、法律関係者、被害者の立場を代表する者」により構成される。
3) 「報道関連被害」の届出を「加害者側」の報道機関に対して義務化し、怠った場合にはペナルティを科す。
4) 行政処分、民事紛争及び刑事手続における判断が適切に行われるよう、調査報告書を活用できることとする。
5) ジャーナリストの行政処分のための報道懲罰委員会を八条委員会として総務省に設置する。報道被害調査委員会の調査報告書を活用して、ジャーナリストとして不適切な行動があった者を処分する。
厚労省医政局の幹部には歴史的視点と判断のバックボーンとなる哲学が欠如している。そもそもわが国の死亡時医学検索制度の貧弱さこそが問題なのだという現状認識すらない。このような異様な制度は、独裁国家以外には存在しない。独裁国家ではジャーナリズムが圧殺されたばかりでなく、医療の進歩も止まった。
私は、自由とか人間性というような主義主張のために、過剰な統制に反対しているのではない。この制度が結果として適切な医療の提供を阻害する方向に働くからである。
システムの自律性が保たなければそのシステムが破壊され、機能しなくなる。「システムの作動の閉鎖性」(ニクラス・ルーマン)は、社会システム理論の事実認識であり、価値判断とは無関係にある。機能分化した個々のシステムの中枢に、外部が入り込んで支配するようになると、もはやシステムとして成立しない。
例えば、自民党の総務会で市民団体、社民党、共産党の関係者が多数を占めると、自民党は成立しない。内部の統制は内部で行うべきであり、外部からの統制は裁判のように、システムの外で実施されるべきである。
そもそも厚労省は、医療を完全に支配するような強大な権力を持つことの責任を引き受けられるような状況にあるのだろうか。当否はべつにして、厚労省はメディア、政治から絶え間ない攻撃を受け続けてきた。政府の抱える深刻な紛争の多くが厚労省の所管事項である。
憲法上、政治が上位にあるため、厚労省は攻撃にひたすら耐えるしかない。しばしば、攻撃側の論理を受け入れて、ときに身内を切り、現場に無理な要求をしてきた。
現在の厚労省に、社会全体の利益を配慮したブレのない判断を求めることは無理であり、強大な権限を集中させることは、どう考えても危険である。
第二次試案発表から15日目の07年11月1日、ほとんど報道されなかったが、日本の医療の歴史を大きく変えかねないような重要な会議があった。自民党が、医療関係者をよんで、厚労省の第二次試案についてヒアリングを行った。厚労省、法務省、警察庁の担当者も出席した。日本医師会副会長の竹嶋康弘氏、日本病院団体協議会副議長の山本修三氏、診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業事務局長の山口徹虎の門病院院長(立場としては学会代表)が意見を述べた。
私はめったなことでは驚かないが、この会議の第一報を聞いたときには、びっくりした。全員、第二次試案に賛成したのである。
なぜ驚いたか。07年4月以来、この制度について検討会で議論されてきた。ヒアリングに出席した山口徹モデル事業事務局長、日本医師会の木下勝之理事、日本病院団体協議会の堺秀人氏、の三氏は検討会の委員として、この間、議論に加わってきた。私自身、第二回検討会で意見を述べる機会を得たが、検討会では猛スピードで議論がすすめられた。議論はかみ合わず、かみ合わせようとする努力もなしに、多様な意見が言いっぱなしになった。
8月24日に発表された「これまでの議論の整理」も、多様な意見が併記されていただけだった。
自民党の働きかけが、モデル事業、日本医師会、日本病院団体協議会の三者に、第二次試案に対し賛成か反対か態度を鮮明にすることを迫った。自民党の迫力に背中を押されて、三つの団体が賛成の機関決定をした。結果として、自民党に対し、大半の医師が第二次試案に賛成しているというメッセージを送った。
日本医師会はなぜ賛成したのか。前会長は、小泉自民党と対立した。現会長になって、自民党につきしたがうようになったが、
それでも邪険にされつづけている。
日本医師会の最大の関心事は診療報酬改定である。現在、診療報酬の改定作業が進行中である。厚労省の第二次試案に賛成することが、自民党を支えることになり、診療報酬改定で自分たちが有利になるとの期待があると考えるしか、日本医師会の行動を合理的には解釈できない。だとすれば、目先の利益を、今後数十年の医療の将来に優先させたと非難されるべきである。
よく考えると、日本医師会の行動が、目先の利益につながるのかどうかも疑わしい。
自民党内にも、第二次試案に対する疑問の声はある。第二次試案の真の姿が、社会に広く理解されるようになったとき、第二次試案でよいとする説得力のある理由が用意できていなければ、日本医師会の信頼性が更に低下する。実際、一部の医師会役員は、執行部が第二次試案に賛成したことを知って激怒したときく。
私には、日本医師会が時代から取り残されているように思える。現場で働く開業医と議論すると、日本医師会の中枢を占める老人たちとの間に、越え難い溝があることがよく分かる。この危うい状況を本気で検証して、対策を講じないと日本医師会に将来はない。
現場の医師はどうすべきか。このままだと、医療制度の中心部に行政と司法と「被害者代表」が入り込み、医師は監視され、処罰が日常的に検討されることになる。この案に反対なら、それを示さないといけない。
自民党の理解では、医師がこの案に賛成していることになってしまったからだ。モデル事業運営委員会、日本医師会の指導者、病院団体に意見を撤回させて、それと同時に、多くの医師がこの案に反対していることを自民党にも分かるようにしなければならない。
学者は無視して、ここは、行動の対象を最大の政治力を持つ日本医師会の一部役員に絞るべきである。
第二次試案では、勤務医のみならず、開業医も厚労省のご機嫌を伺いながら、常に処分を気にしつつ診療することになろう。積極的な医療は実施しにくくなる。開業医と勤務医の共通の問題と捉えるなら、日本医師会内部で執行部に抗議をして撤回を迫るべきである。
しかし、第二次試案は開業医より、勤務医にとってはるかに深刻な問題である。第二次試案は主として勤務医の問題といってよい。産科開業医等を除くと、日本の診療所開業医は高いリスクを積極的に冒すことによって生死を乗り越えるような医療にあまり関与しない。
勤務医の多くは、目の前の患者のため、リスクの高い医療を放棄できない。日本医師会には多くの勤務医が加入している。勤務医と日本医師会の関係が問題になる。端的にいうと、日本医師会が勤務医の意見を代弁してきたのかということである。
勤務医は収入が少ないので、会費が安く設定されている。このためかどうか知らないが、代議員の投票権がない。発言権がないといってよい。それでも、日本医師会は医師を代表する団体であるとして振舞いたいので、勤務医の加入を推進してきた。
「勤務医と開業医が対立すると、厚労省のいいように分割統治されるので、勤務医も日本医師会に加入すべきだ」という論理が使われてきたが、日本医師会は、常に、開業医の利害を代弁し、勤務医の利害には一貫して冷淡だった。
最近、日本医師会の役員が、勤務医の利害を配慮してこなかったと反省を表明するようになったが、今回の問題でそれがリップサービスに過ぎないことが明白になった。どうみても、勤務医は「だしにつかわれてきた」と考えるのが自然である。
そこで勤務医のとるべき態度である。これは、日本医師会に抗議すれば済むような生易しい利害の抵触ではない。第二次試案に賛成か、反対かを確認するだけで、抗議する必要はない。生命を救うためにぎりぎりまで努力する医師を苦しめ、今後数十年の医療の混迷を決定づける案に日本医師会が賛成していることが確かならば、すべての勤務医は日本医師会を脱退して、勤務医の団体を創設すべきである。
開業医と勤務医の大同団結を説く声をよく聞く。従来、その立場をとってきた友人が、今回の日本医師会の行動をみて、医師会に期待することの限界を感じたと連絡してきた。そもそも、勤務医が医師会の第二身分に据え置かれるような形が続く限り、人間の性質上、勤務医が本気で医師会と協調することはありえない。
勤務医の組織ができて初めて、協調の基盤ができる。今では医師会の理不尽なルールそのものが、医師会の正当性を阻害し、開業医の利益を損ねている。
まず実施すべきことは、勤務医医師会の創設と、患者により安全な医療を提供するための、勤務環境改善を含めた体制整備である。
この中には、再教育を主体とした医師の自浄のための努力も含まれる。自浄作用がないような団体が、自分の利益を言い募っても、周囲には醜く映るだけで説得力はない。
臨床医として活動する医師の登録制度を自律的処分制度として活用している国が多い。全ての勤務医と一部の開業医だけでも、なんとか工夫をして、国の力を借りずに自浄のための制度を立ち上げたい。
これは国民に提供する医療の水準を向上させ、かつ、医師が誇りを持って働くことにつながる。
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JBM / 死因究明機関 / 医療の内部に司法を持ち込むことのリスク
Posted by guideboard on 2007/11/17/Sat
虎ノ門病院泌尿器科部長、小松秀樹先生が、2007 年 11 月 17 日、九州医師会総会で講演した内容である。転送しまくって欲しいということである。
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医療の内部に司法を持ち込むことのリスク
医療と司法の齟齬の解決は多段階で時間をかけて
虎の門病院 泌尿器科 小松秀樹
厚生労働省の「診療行為に関連した死亡に係る死因究明等の在り方に関する検討会」が07年4月に発足した。いわゆる「医療事故調」の設立のための検討会である。私は、第2回の会合で意見を述べる機会を得たが、各委員がキーワードの「医療関連死」という言葉さえ異なるニュアンスで使っているような状態で、議論が全くかみ合っていなかった。
驚いたのは、議論をかみ合わせようとする努力なしに、猛スピードで議論が進められたことだ。議論をしたという実績を残そうとしているとの強い印象を受けた。
その後漏れ聞く情報によれば、「医療事故調」に、社会保険庁解体に伴って生じた余剰人員を吸収したいという意図があるとのことだった。本当かどうか知る立場にないが、これが本当なら、厚労省は、省益のために、将来の日本の基本設計の議論をないがしろにしたと非難されても仕方がない。
07年8月末に公表された「これまでの議論の整理」も何の方向性も見いだせておらず、成果はないに等しい。私は検討会の座長である刑法学者の前田雅英氏と07年8月14日の讀賣新聞朝刊で誌上討論を行った。
前田氏との主張には「法的責任追及に活用」、私の主張には「紛争解決で『医療』守る」の見出しがつけられた。この議論から、厚労省の狙いが、法的責任追及に向いていることが強く懸念された。
07年10月17日、厚労省は検討会の議論とは別に、独自の第二次試案を発表した。案の定、「行政処分、民事紛争及び刑事手続における判断が適切に行えるようこれらにおいて委員会の調査報告書を活用できることとする」と明記されていた。
「医療関係者の中に悪いことをしている奴がいる。そいつらを見付け出して罰してやろう」というスタンスである。罰則で報告を義務付け、医療事故を広い範囲で収集して、罰をあたえるかどうか網羅的に検討しようとするものである。医療について十分理解していない法律家が評価を下し、政治の支配をうける行政官が事務方を担当することになれば、医師は逃げ出さざるを得なくなる。
法律家は医療がどのようなものかほとんど知らない。通常の患者と同じく、しばしば、医療は無謬でなければならないという前提に立っている。現代医学は万能であり、医療行為が適切であれば、有害なことは起こり得えないと信じているふしがある。有害なことが起きれば、それは善悪の問題であり、システムや費用のかけ方の問題ではないと思っているし、なによりも、医療が不確実で限界があることを理解していない。
さらに、本邦特有の問題がある。行政官、とりわけ、厚労省の行政官は政治とメディアから、正当なもの不当なものを問わず、激しい攻撃を受け続けている。このため、攻撃をかわすこと、すなわち、自己責任の回避が行動の基本原理の一つにならざるをえず、しばしば大衆メディア道徳とでもいうべき現実無視の論理に同調して、同僚を切り、あるいは、現場に無理な要求をしてきた。
司法、政治、メディアはものごとがうまくいかないとき、規範や制裁を振りかざして、相手を変えようとする。これに対し、医療、工学、航空運輸など専門家の世界では、うまくいかないことがあると、研究や試行錯誤を繰り返して、自らの知識・技術を進歩させようとする。あるいは、規範そのものを変更しようとする。
社会学者ニクラス・ルーマンは、司法・政治・メディアなどを規範的予期類型、医療・工学・航空運輸などを認知的予期類型に大別し、両者の考え方の違いを整理した。
「(違背にあって)学習するかしないか それが違いだ」とルーマンは表現している。地動説に対する宗教裁判は、
規範的予期類型が認知的予期類型を押しつぶした歴史的一例であるが、結果としてこの事件は、神学の権威を大きく失墜させる方向に働いた。
このことは演繹と帰納という観点からも理解できる。法律家は規範を絶対視し、規範から演繹的に物事を判断することを当然とする。科学者は、仮説を証明するために、一定条件の対象を適切な方法で検討し、帰納的に仮説が真かどうかを検証する。
科学的真理とは、対象と方法に依存した仮説的真理である。真理の表現方法、精度、限界は方法に依存している。
司法は、この仮説的真理という醒めた見方を共有できないため、白か黒かを無理やり決めようとする性癖がある。
さらに規範が適切かどうかを、現実からの帰納で検証する方法と習慣を持たない。このため規範が落ち着いたものにならない。
「医療事故調」が議論されるようになった背景には、医療崩壊の危機がある。医師が患者の無理な要求や、それを支持するマスコミ、警察、司法から不当に攻撃されていると感じるようになり、士気を失い病院を離れ始めた。崩壊を食い止めるための方策の一つとして、患者と医師の軋轢を小さくするという文脈で「医療事故調」の議論は始まった。このような状況で、なぜ、医師を処罰の対象として考え、何かあれば取り締まってやろうという立場で調査制度を設けようとするのか。
私は、医療事故に関する調査機関を設けること自体には賛成である。科学的調査を行い、事故原因を究明することは医療の安全向上に不可欠である。調査結果を患者側に説明をすることは紛争解決に不可欠である。
過去に医療がこのような仕組みを組み込んでこなかったことを、われわれは真摯に反省しなければならない。
しかし、調査機関への事故報告を義務付けて、報告しなかった場合には罰則を科すというやり方には賛成できない。このようなことをすれば、激しい軋轢の原因となる。
今の日本社会は大きな欠陥を持っている。何か不都合が生じたとき、「悪いやつを探し出して罰しろ」と主張する「被害者感情」が、制御なしに一人歩きをしている。
人間の感情は個人の心の中に限定された現象である。攻撃を受ける側にも感情がある。感情をそのまま社会的コミュニケーションに持ち込むと、当然ながらコミュニケーションそのものが成立しなくなる。社会的コミュニケーションに感情を持ち込むためには、感情を社会で扱えるような形にする必要がある。
社会で扱えるように整理された感情はたぶん感情というようなものではなくなるが、このような作業がないと社会は成立しない。日本のメディア、司法、政治は感情の社会化ということをもっと意識して考える必要があるのではないか。感情面の軋轢を小さくして事故を冷静に検討するためにも、事故調査と医師の処分は制度として分離すべきだと思う。
医療、工学、航空運輸など専門領域は、内向きの世界として、国家横断的に大きく発展している。航空運輸の分野では事故をシステムの問題と捉え、将来の安全向上のために調査を行う。航空運輸は国際的な分野であり、国際民間航空条約(ICAO条約)の第13付属書に、事故調査についての取り決めが記載されている。
付属書は「調査の唯一の目的は、将来の事故又は重大なインシデントの防止である。罪や責任を課するのが調査活動の目的ではない」とする。また「罪や責任を課するためのいかなる司法上又は行政上の手続も、本付属書の規定に基づく調査とは分離されるべきである」と明記している。ところが、日本では警察が法的責任追及のために事故調査を行い、検察は航空・鉄道事故調査委員会の報告書を刑事裁判の証拠として使用してきた。
システムの問題を直接事故にかかわった個人の罪として追及してきた。警察が収集した情報は警察内にとどめられ、事故防止に利用できない。ICAO条約に抜け道の条項があったのも確かだが、日本の司法が条約の基本思想を受け入れていないことは間違いない。
日本学術会議の工学系を中心とする専門家はこの状況を憂慮し、05年6月23日「事故調査体制の在り方に関する提言」(日本学術会議のホームページで入手可能)をまとめた。この提言ではシステム性事故を科学的に扱うこと、そのために各種事故を対象とする独立性を持った常設の機関(3条委員会)を設置することを提案している。
報告書ではこの機関が扱うべき事故の種類を広くとり、医療事故も含めている。機関そのものに専門性を持たせるのではなく、各種専門知識を持つ機関を動員して結びつける役割を想定している。故意や重過失に対する刑事処分は容認しているが、関与者の過失については、人間工学的な背景分析も含めて当該事案の分析を十分に行い、被害結果の重大性のみで、短絡的に過失責任が問われることがないよう配慮することを求めている。処罰を目的とする調査は当事者からの証言を得にくくし、真相究明の阻害要因となる。
また、事故の引き金を引いた直近の当事者を処罰してもなんら問題解決にならないと刑事司法の欠点を指摘する。調査報告書については、民事裁判での証拠としての使用は容認しているものの、事故当事者の証言に対応する部分については、刑事裁判の証拠としての使用を認めていない。
日本学術会議の提言は事故調査の目的を安全においている。航空機事故は、件数が少ないため事故ごとに対応策を考えることが可能であるが、医療事故は発生件数が桁違いに多い。事故なのか、本来の病気のためなのか分からないようなものも少なくない。
先に述べた厚労省の第二次試案では、委員会に「遺族の立場を代表する者」が参加し、「個別事例の分析に加え、集積された事例の分析を行い、全国の医療機関に向けた再発防止策の提言を行う」としている。個別性を持った情報を元に、遺族の立場を代表する者が参加する委員会が安全対策を策定すると、膨大なものになりかねない。これを現場に押し付けると現場は疲弊する。
責任を伴わない権限で、整合性のない安全対策を強要されると、病院は経済的に破綻する。
事故情報は匿名化して、既存の医療事故防止センターの専門家の下に集め、重み付けをして、総合的に対策を考えるべきである。航空機事故の調査は安全向上が第一目標になるが、医療事故の調査は、安全のみならず、医療の保全を常に考える必要がある。
医療について議論する刑法学者には、刑法の狭い枠にとらわれずに、航空機事故調査をめぐる議論の蓄積を学んで欲しい。検察官と裁判官の一部が医療現場を見学していることを知っているが、法律学者、弁護士(病院側の弁護士も)が医療現場を自分の眼でみて認識を広めているという例を聞いたことがない。認識が広ければ、狭いことの良し悪しを判断できるが、狭いままだと、広いことの必要性は判断できない。
私は、死生観を含めて、医療とはどのようなもので、医療に何を期待できるのか、できないのか、共生のための行動の制御はどうあるべきかなど医療に関わる根源的問題について、認識を一致させる努力を「医療臨調」のような場を設定して、国民に見えるように演出することを提案してきた。
認識の違いを埋める努力なしに、医療制度の内部に司法を取り込むと、取り返しのつかないことになる可能性がある。医療事故調の調査報告書を刑事処分、行政処分の追及に使うことは、現在の業務上過失致死傷罪の医療への適用より危ない。
責任追及の在り方についての司法と医療の齟齬は、双方の考え方が異なる以上、考え方の変更なしに、一気に解決することは不可能である。互いの認識の変更を確認しつつ、一段ずつステップを重ねていくべきである。システム間の齟齬は、多段階で時間をかけて解決していくしかない。業務上過失致死傷は医療だけの問題ではない。多くの分野を巻き込んだ議論が必要である。
法律が存在する以上、当面、医療事故調と関係なく、用すればよい。個々の事例で認識の違いが生じれば、その都度、社会に見えるところで議論すればよい。
医療の問題は、ステークホールダー間の利害調整や、合理的判断を超えた権力の行使で無理に解決すべきではない。医療は、そのような危うい決定方法に委ねるには、重要すぎる。医療を良くすることは社会の共通利益である。互いに双方の立場を理解しつつ、多段階で時間をかけて解決していくべきである。
医療サイドがすべきことは、医師の自律的処分制度を作ることだろう。厚労省の第二次試案では、医療事故調の報告書を活用して、医道審議会の処分を拡充しようとしている。医道審議会は厚労省に所属する8条委員会であり、厚労省の支配を受ける。厚労省が医師を処分することには多くの問題がある。
第一に、厚労省の行政官は日本国憲法の下では、政治の支配を受ける。政治はメディアの影響を受ける。日本のメディアの感情論が処分に影響を与えるようになると医療の安定供給は困難になる。
第二に、日本やドイツでは政治の命令で医師が国家犯罪に加担した歴史がある。
第三に、行政官は現行法に反対できない。ハンセン病患者の隔離政策に対し、一部の医師は科学と良心に基づいて、身を挺して反対した。しかし、行政官は法令に基づいていたが故に反対できなかった。
第四に処分機関をもつことで厚労省と医師の関係が変化して、行政に支障を来たしかねない。世界的に、医師の行動の制御は、政府ではなく、医師の知識と良心に委ねるべきであるとされている。
処分の端緒は、事故ではなく、医師の不適切な行動とする。当然、事故がきっかけで不適切な行動が判明したものも含まれる。申し立ては患者・家族、医療従事者、病院など広くする。事故調査と処分制度と完全に切り離す。
未来の医療の質を高めるためのものなので、処分には教育的意味が大きくなる。被害がなくても、同僚の目から見て明らかに不適切な行動を取った医師は、処分の対象にする。
こうした制度は国が行うのではなく、医師というプロフェッションの団体として自律的に行う必要がある。そして、その方が適切なものになると思う。
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JBM / 死因究明機関
Posted by guideboard on 2007/11/02/Fri
厚生労働省は、かねてから医師の処分の迅速化を計画していた。それが一つの形になろうとしている。医療事故による死亡について死因を究明する機関の設置とそれの調査による医師の処分の迅速化、厳罰化である。
この機関による死因調査の結果は、行政処分、民事提訴、さらには刑事訴追にも用いられる。この機関への届出は、現在 ( 2007 年 10 月時点 )、全例義務化という線で話が進められている。
厚生労働省は、診療行為に関連した死亡の死因究明等の在り方に関する試案をまとめ、パフリックコメントを募集した ( 2007.10.17 – 2007.11.2 )。
案件番号 495070148
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1010&BID=495070148&OBJCD=&GROUP=
日本の沈み行く医療をさらに深淵へと叩き落とすような危険を感じたので、以下のコメントを厚生労働省に送った。パブリックコメントを募集する段階では、既に事態は先へと進んでいて、この制度の設立は既定路線なのだが、現場の危惧を記録に残しておく。
なお、参考資料としてロハス・メディカルブログの以下の記事を拝見させて頂いた。川口氏のご尽力に敬意を表するとともに深謝申し上げたい。
死因究明検討会8
虚報
死因究明検討会7
死因究明検討会6
続・死因究明検討会5
死因究明検討会5
死因究明検討会4
死因究明検討会3(その2)
死因究明検討会3
死因究明機関検討会2
検討会
「診療行為に関連した死亡の死因究明等の在り方に関する試案について」に関して意見を提出いたします。
本試案に基づいて調査機関を拙速に設立することには反対します。
反対する理由
1.
社会保険庁が解体されることによって生じる余剰公務員の受け皿のために、今のうちに組織機関を作りたいという貴省内部の意向は、既に知られています。
単なる余剰公務員の受け皿づくりなどには反対です。
必要なものは、まず第一に、膨大な数の調査に必要な多数の解剖医、臨床医というマンパワーです。
年金の処理すらおぼつかない社保庁職員など、医学的真実の究明の場にふさわしくありません。
2.
本試案を基に、設立された調査機関に対して全例の報告義務を課すことへ議論が進んでいると伺っております。
貴省では、かねてより医師に対する処分を迅速化するべく議論がなされていたと聞き及んでいます。
しかも本試案で示されますように、調査結果は行政上のみならず、民事訴訟、さらには刑事訴追にも用いられるとのことです。
諸外国の同様の制度では、航空機事故などとともに医療事故でも、医学医療の発展と医療安全の向上、再発防止のための調査では、個人の責任追及がなされないことが必須条件です。
個人の行政上、民事、刑事での責任追及を大前提に掲げる本制度は真実究明の場とはならず、届出も滞り、医療の現場はリスクを遠ざける努力が優先してしまうでしょう。
よって処分を前提とした調査機関の設立には反対です。
3.
死亡事例の場合、解剖に基づく詳細な法医学的、病理学的検索が必要ですが、全国の法医学、病理学の医師を総動員しても、全例届出に続く全例解剖にはとてもマンパワーが足りません。
設備も、その他の必要な職員や検査技師も、財源も足りません。しかも調査検討には、一例一例、複数の解剖医と臨床の専門家の数を重ねた合議が必要です。
とてもそれだけの人員と時間とお金をかけられる計画には見えません。
不充分な調査しかなされない場で、真実とはほど遠い調査結果を基に、行政処分、民事提訴、刑事訴追を受けるような事態が危惧されますので、上記の理由とともに、拙速な調査機関の設立につながる本試案の実現には反対です。
厚生労働省の資料を保存
- 診療行為に関連した死亡の死因究明等の在り方のイメージ(案) s49507014801.pdf 96KB
- 診療行為に関連した死亡の死因究明等の在り方に関する試案 ― 第二次試案 ― 平成19年10月厚生労働省 s49507014803.pdf 144KB
- 「診療行為に関連した死亡の死因究明等の在り方に関する試案」に対する意見募集について s49507014805.pdf 108KB
- 意見書提出様式 s49507014807.pdf 112KB
法医学者の悩み事 の記事が大変参考になるので、リンクさせて頂く。
http://blogs.yahoo.co.jp/momohan_1/29537568.html
http://blogs.yahoo.co.jp/momohan_1/30509181.html
http://blogs.yahoo.co.jp/momohan_1/30552589.html
http://blogs.yahoo.co.jp/momohan_1/31449563.html
http://blogs.yahoo.co.jp/momohan_1/37234541.html
http://blogs.yahoo.co.jp/momohan_1/37327223.html
http://blogs.yahoo.co.jp/momohan_1/37420101.html
http://blogs.yahoo.co.jp/momohan_1/37679276.html
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JBM / 死亡時になお生存の可能性資料
Posted by guideboard on 2007/10/25/Thu
広島県に330万賠償命令 県立病院の過失認定
共同通信 2007.10.25
出産の際に脳内出血を起こし、転送先の病院で死亡したのは医師が適切な措置を怠ったためとして、広島市の女性=当時(32)=の家族が、県立広島病院(広島市)を運営する県などに約7800万円の損害賠償を求めた訴訟で、広島地裁は24日、県に330万円の支払いを命じた。
判決理由で野々上友之(ののうえ・ともゆき)裁判長は、出産した病院の過失は認めなかったが、女性が転送された県立病院について「適切に治療していれば、死亡した時点で、なお生存していた可能性は認められる」と述べた。
判決によると、女性は2002年2月、島根県邑南町の病院で帝王切開により出産。その際に脳内出血を起こしたため、県立広島病院に転送され血腫を取り除く手術を受けたが、翌3月に死亡した。
———-
広島県が敗訴、330万円支払い命じる 県立広島病院の医療過誤訴訟
毎日新聞 2007.10.25
県立広島病院の医療過誤訴訟:県が敗訴、330万円支払い命じる—-地裁 /広島
妊娠中毒症だった女性(当時32歳)が島根県の公立邑智病院で適切な処置を受けられず、出産後に転院した県立広島病院でも術後の管理が不十分で死亡したなどとして、夫の会社員の男性(36)=広島市南区=らが、邑智病院と広島県に計約7800万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が24日、広島地裁であった。野々上友之裁判長は「県立広島病院で適切な身体管理や治療が施されれば救命できた」などとして県に330万円の支払いを命じた。邑智病院については、産婦人科医師が脳出血の原因診断を専門医のいる病院に委ねたのは十分な措置として、訴えを退けた。
判決などによると、女性は02年2月1日、陣痛が始まり通院先の邑智病院で外来診察を受け、そのまま入院。軽度の妊娠中毒症で高血圧症状が半日以上続き脳内出血を起こした。帝王切開で出産後、脳出血の血腫を取るために転院した県立広島病院で手術を受けたが、身体管理がなされずに同3月1日に死亡した。
三宅静香広島県県立病院室長は「主張が認められず残念。判決内容を精査し、対応を検討したい」とした。【井上梢】
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JBM / 死亡時になお生存の可能性
Posted by guideboard on 2007/10/25/Thu
医療における不幸な結果を巡る民事訴訟。医療側に過失を見出し難い場合、原告患者側に、お見舞金、あるいは裁判費用程度の金額の勝訴判決が出る傾向がある。
1. 民事訴訟は、どうしても弱者救済に傾き易い性格を有している。
2. 被告医療側敗訴としないと、医療事故損害賠償保険からの保険金が出ない。
こういった理由が挙げられる。
その原告勝訴とするための理由付けが、説明不十分であったり期待権の侵害であったりした。
説明については、昨今、医師の診療技術を発揮する時間を削ってまで、説明に費やされ、説明が医療資源のかなりを食いつぶしている。私の乏しい経験からでも、勤務医時代、1 日 15 時間の労働のうち、何らかの患者さんへの説明というものには、外来診療以外に毎日 1 – 2 時間は取られていた。土曜日曜にもである。医療資源の数 % 以上は説明に取られるわけだ。それだけ説明して、文書にして渡して、一晩二晩よく読んで、その後に納得したなら署名していただいて、としても、あとからやっぱり分からなかった、聞いていなかった、理解できなかった、もっと異なる治療法の説明も時間を費やしてするべきだった、標準とはかけ離れた治療法についても充分な説明をして選択の機会を確保すべきだ、など、いろんな理由がついて、結局説明不足ということで原告勝訴とする。
期待権の侵害というのは、法律家の世界ででも問題があるのだそうだ。あのときの担当医がもっと良い結果を出すはずと期待していたのにそれが裏切られたなど、そのときの医療の現実以上のものを患者さんが期待してよい、その水準は当時の医療水準であるというものらしい。医療水準とは、学会で発表され、多くの医師が知るところくらいになっていればよいというものである ( 未熟児網膜症訴訟 )。現実と、それよりはいくらかでも上の方を望む、すなわち期待との乖離が、期待権の侵害となるのだろうか。
そして三つ目の原告側の武器として、死亡時になお生存していた可能性というものが出て来た。手を尽くしてもダメだったかもしれない、それは争わないが、でも担当医がもっと何とかしてくれていたら、死亡したときにはまだ生きていたかもしれないというものらしい。そのあと何時間後にお亡くなりになる運命だったとしても、それは問題にしない。裁判の勝ち負けを過失の有無、生死に置くと勝てない場合の逆転技とも言えるだろうか。
広島県に330万賠償命令 県立病院の過失認定
共同通信 2007.10.25
出産した病院の過失は認めなかったが、女性が転送された県立病院について「適切に治療していれば、死亡した時点で、なお生存していた可能性は認められる」
参考資料
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奈良県妊婦救急搬送事案調査委員会
Posted by guideboard on 2007/10/25/Thu
現場の最前線の医師たちの苦しみも知らず、厚生労働省と奈良県の役人は、机上の空論どころか、妄言を放つ。
テキスト全文その他の資料や解説は以下に詳しい。
http://ameblo.jp/med/entry-10052331865.html
http://kenkoubyoukinashi.blog36.fc2.com/blog-entry-252.html
http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20071025
———-
ネタ元へのリンクと資料保存
2007年8月奈良県妊婦救急搬送事案調査委員会(第3回)の概要
http://www.pref.nara.jp/imu/2007-8ninpukyukyu/dai3kai/index.html
2007年8月奈良県妊婦救急搬送事案調査委員会(第3回)の概要. ( 3kaigaiyou.pdf 280KB )
出席者名簿 ( 3kaisyussekisya.pdf 48KB )
資料1 対応策の進捗状況 ( 3kaisiryou1.pdf 44KB )
資料2 消防機関への救急要請における産科・周産期傷病者搬送状況について
( 3kaisiryou2.pdf 72KB )
資料3 奈良県の産婦人科一次救急体制の検討 ( 3kaisiryou3.pdf 92KB )
資料4 妊婦搬送事案調査委員会報告書フレーム ( 3kaisiryou4.pdf 40KB )
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大和高田市立病院事件 3 資料
Posted by guideboard on 2007/10/24/Wed
asahi.com 2007.10.24
奈良検察審「産婦人科医の不起訴不当」 出産後妊婦死亡
奈良県大和高田市の市立病院で04年10月、入院中の妊婦が出産直後、子宮内に大量出血して死亡した事故で、業務上過失致死容疑で書類送検された産婦人科の男性医師が不起訴処分(嫌疑不十分)となったことについて、奈良検察審査会が24日までに不起訴は不当として再捜査を求める議決をしていたことがわかった。妊婦の夫が審査を申し立てていた。
議決書は今月14日付で、ショック状態だった被害者の出血を疑い、出血個所の発見に努めなければならないのに、薬を投与して死期を早めたなどと指摘。医師に過失があったとした。
事故は当時30代の妊婦が、出産中に破裂した子宮の大量出血で死亡したもので、県警は06年3月、医師が容体急変の原因究明を怠ったなどとして書類送検。地検は「予見させる症状はなかった」として不起訴処分にした。
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元医師の不起訴不当 検察審議決 大和高田市立病院の妊婦死亡事故
毎日新聞 2007.10.25
大和高田市立病院の妊婦死亡事故:元医師の不起訴不当—-検察審議決 /奈良
◇「処置に重大な過失」
大和高田市立病院で04年、出産した30歳代の妊婦が死亡する事故があり、業務上過失致死容疑で書類送検された同病院の元産婦人科医(34)を奈良地検が不起訴処分(嫌疑不十分)としたことに対し、奈良検察審査会が不起訴不当を議決したことが24日、分かった。
議決書などによると、04年10月、入院中の女性は出産中に血圧が急激に上昇。医師は投薬で数値を下げたが、女性は大量に出血し死亡した。
県警は昨年3月、医師を業務上過失致死容疑で書類送検、奈良地検は今年3月に不起訴処分にしていた。審査会は「医師は出血を疑い、速やかに救命処置をするべきで、女性を出血性ショックで死亡させたことに重大な過失がある」と判断した。
奈良地検の野島光博次席検事は「議決内容を踏まえ、再捜査する」とコメントした。【阿部亮介】
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大和高田市立病院事件 3 / 検察審査会
Posted by guideboard on 2007/10/24/Wed
検察審査会は起訴相当と議決した。申し立ては亡くなった方のご主人。この議決の理由は、頻回にエコーを行って出血源が見つけなければならなかったというものだ。
奈良検察審「産婦人科医の不起訴不当」 出産後妊婦死亡
asahi.com 2007.10.24
奈良県大和高田市の市立病院で04年10月、入院中の妊婦が出産直後、子宮内に大量出血して死亡した事故で、業務上過失致死容疑で書類送検された産婦人科の男性医師が不起訴処分(嫌疑不十分)となったことについて、奈良検察審査会が24日までに不起訴は不当として再捜査を求める議決をしていたことがわかった。妊婦の夫が審査を申し立てていた。
当初の不起訴理由はこうだった。
予測不可能と医師不起訴 奈良の妊婦死亡で地検
共同通信 2007.4.19
奈良地検は18日までに、出産時の処置のミスで女性を死亡させたとして業務上過失致死容疑で書類送検された奈良県大和高田市の市立病院の30代の男性産婦人科医を、嫌疑不十分で不起訴処分にした。
地検は、子宮破裂による出血が超音波検査で確認できず、死因の出血性ショックを予測できなかったと判断した。
超音波検査の限界。検査を頻回にすれば限界を引き上げることができたはず、という主張のようだ。
これまでは、検査をせずにいて異常の発見が遅れたり発見できなかったから敗訴という司法判断はあった。だから防衛医療として、医学的な適切さを超えて量、質ともより多くの医療資源が必要になった。あとから何か言われる前に、無駄かもしれないがやっておこう、ということだ。
これからは、検査結果が陰性であっても、繰り返し行えば陽性に出るかもしれないから、陽性が出るかどうか頻回に繰り返さないといけないというのだろうか。
———-
検察審査会は、一般の庶民感情が入り込むところである。奈良県の人たちの一般的な考えは、警察、検察が捜査して不起訴としたものでも、もっと追求すべしであった。
医師集団は、この事件の医療側に明らかな過失はないと、この件について報道、ネット上あるいは医師間のコミュニケーションによる情報を基に、判断していた。
それを訴追せよと言った。起訴不起訴という結果がどうなるかは未定だが、捜査がもう一回なされる。その結果が何を引き起こすかまでは想像できない。何人かの産科医が大和高田市、奈良県、あるいは産科を去るだろう。
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今回の奈良の検察審査会では、不起訴不当と考えた審査員が 6 – 7 名いたということになる。
検察審査会法
第 4 条
検察審査会は、当該検察審査会の管轄区域内の衆議院議員の選挙権を有する者の中からくじで選定した11人の検察審査員を以てこれを組織する。
第 27 条
検察審査会議の議事は、過半数でこれを決する。但し、起訴を相当とする議決をするには、8 人以上の多数によらなければならない。
現在の検察審査会の議決には拘束力はないが、司法制度改革の一環として、検察審査会法を改正するための法律が 2004 年 5 月 28 日に公布され、今後は「同一の事件について起訴相当と 2 回議決された場合には必ず起訴される」こととなり、法的拘束力を持つことになった ( 2009 年 5 月 27 日までに施行するよう定められているが、期日は未定、裁判員制度開始に合わせる予定 )。
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今後、庶民感情は法廷に流れ込むようになる。
- 刑事裁判への被害者参加が実現すると、医療事故の患者さんの遺族が法廷で医師を責めることになる。
- 刑事裁判で裁判員が出てくる時代になると、それはもうすぐだが、こういう一般庶民の目線を取り入れた判決が下される。
- 附帯私訴が取り入れられると、刑事裁判の証拠や判断で民事訴訟も裁かれる。
裁判員、遺族という一般の感情を前に、患者さんのためと思って努力した医師は、何を反論しても無駄になるのだろうか。医師という立場では、患者さん、遺族側を攻撃することなどできない。防戦するしかない、刑事も民事も大変不利な戦いとなる。
私刑と収奪にも似た生き地獄。
参考資料
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大和高田市立病院事件 2
Posted by guideboard on 2007/10/24/Wed
本記事の原典は、2007 年 4 月 19 日、http://sword.txt-nifty.com/guideboard/2007/04/2_b976.html にアップされた。原典は削除された。
キーワード
産科、産婦人科、医療、事故、送検、奈良県、不起訴処分
昨年目にしたこの事件、不起訴処分となった。
予測不可能と医師不起訴 奈良の妊婦死亡で地検
共同通信 2007.4.19
奈良地検は18日までに、出産時の処置のミスで女性を死亡させたとして業務上過失致死容疑で書類送検された奈良県大和高田市の市立病院の30代の男性産婦人科医を、嫌疑不十分で不起訴処分にした。
地検は、子宮破裂による出血が超音波検査で確認できず、死因の出血性ショックを予測できなかったと判断した。
2004年10月、30代の女性が病院で出産中、心拍数が上昇するなど容体が急変し死亡。医師は心拍数を安定させる投薬をしたが原因を特定せず、適切な治療をしなかったとして書類送検されていた。
コメント
まずは不起訴おめでとう、と叫びたい。
死んだら何でも医者のせい、というDQN家族を何とかしろ!
不起訴になった医師は、遺族と警察を誣告罪と名誉毀損で訴えてくれ!
投稿 鬼瓦権三 | 2007/05/05 9:08:25
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大和高田市立病院事件資料
Posted by guideboard on 2007/10/24/Wed
asahi.com 2006.6.6
妊婦死亡、医師を書類送検 大和高田市立病院
奈良県大和高田市の同市立病院(松村忠史院長)に入院中の妊婦が出産直後に死亡する事故があり、県警が処置に判断ミスがあったとして、産婦人科の30代の男性医師を業務上過失致死の疑いで奈良地検に書類送検していたことがわかった。病院側はこのケースについて医療過誤とは認めていないが、医師の負担が限界に達し、医療事故を招きかねないとして、7日から分娩(ぶんべん)予約を制限することを決めた。
調べなどによると、事故があったのは04年10月。同病院の産婦人科に入院していた当時30代の女性が出産の途中、脈拍や呼吸状態、血圧が異常に高い数値を示した。このため、医師は投薬によって数値を降下させ、胎児は無事に生まれたが、女性は出産後に子宮内の多量出血で死亡。死因は出血性ショックまたは失血死と診断された。
病院から届け出を受けた県警が処置に問題がなかったか捜査した結果、投薬が一時的に数値を下げるだけの効果しかなかった可能性が浮上。県警は、妊婦の体内に出血など何らかの異常が生じていた恐れがあったのに、対症療法にとどめ、容体が急変した原因の特定も怠るなど、漫然と放置して死亡させたとして今年3月、書類送検に踏み切った。同地検は処分を検討している。
同病院に勤務する産婦人科医師は3人で、ベッド数は40床。年間の分娩取扱数は900件余りで、県内最多という。近隣の複数の病院が産科を休診するなどしたため、分娩予約がさらに増える傾向にあり、病院側は新規の予約を大和高田市など周辺4市1町の住民に限定することを決めた。
同病院幹部は「患者の死亡原因が解明されておらず、処置にミスがあったとは考えていない。分娩制限は、医療事故で訴訟などがあった場合に、病院の管理責任が問われるのを未然に防ぐ意味もある」と話す。
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YOMIURI ONLINE 関西 2006.6.2
出産受け付け、周辺市町に限定…奈良・大和高田市立病院
◆産婦人科医減少で予約急増
少子化などで産婦人科医が減少したうえ、近隣病院の産科の休診で予約が急増したとして、奈良県大和高田市立病院(松村忠史院長)は1日、新たな出産の受け付けを、同市と周辺3市1町の住民に制限する措置を始めた。公立病院が出産の受け付けを地域で限定するのは珍しいという。
同病院では昨年度、924人が出産、うち65%の605人は同市と周辺4市町の住民だった。一方、周辺の五條市などでは、今年に入って中核病院の産科が休診したため、大和高田市立病院への予約が増加、5月の出産者数は昨年より26人増の105人となった。
こうした出産者数に比べ、同病院の産婦人科医は3人と少ない。制限措置に伴い、昨年度のデータで300人程度が利用できない計算となる。
また、親元での「里帰り出産」も、親が大和高田市在住の場合に限るという。
(2006年06月02日 読売新聞)
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大和高田市立病院事件
Posted by guideboard on 2007/10/24/Wed
本記事の原典は、2006 年 6 月 7 日、http://sword.txt-nifty.com/guideboard/2006/06/__31ea.html にアップされた。原典は削除された。
キーワード
産科、産婦人科、医療、事故、送検
また、産科での医療事故が、送検され、ミスと報道された。
asahi.com 2006.6.6
妊婦死亡、医師を書類送検 大和高田市立病院
奈良県大和高田市の同市立病院(松村忠史院長)に入院中の妊婦が出産直後に死亡する事故があり、県警が処置に判断ミスがあったとして、産婦人科の30代の男性医師を業務上過失致死の疑いで奈良地検に書類送検していたことがわかった。
記事からだけでは、整形外科医である私には、どこがミスなのか、事故なのかは分からないが、産婦人科医の某所でのコメントでは、羊水塞栓ではないか、という。血圧の異常な上昇と頻呼吸が符合するという。降圧剤は当然、血圧を一時下げるだけの薬だ。対症的に使われて不思議でない。
羊水塞栓は、簡単確実に救命できる病態だっただろうか。本当の病態は何だったのか。解剖されていないと何も分からない。
何でもミスで刑事訴追。やはり国策はこちらの方へ流れているようだ。
参考資料
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米国自動車会社のヘルスコスト資料
Posted by guideboard on 2007/10/22/Mon
NIKKEI NET 2007.10.15
http://car.nikkei.co.jp/news/business/index2.cfm?i=2007101510148c0
GM、医療費債務を分離・5兆5000億円、低賃金体系も導入
【ニューヨーク=武類雅典】米ゼネラル・モーターズ(GM)は15日、467億ドル(約5兆5000億円)の医療費債務を分離すると発表した。全米自動車労組(UAW)との合意に基づき、賃金水準を現在の半分程度にした低賃金体系も導入する。高コスト体質を招いた労務費を引き下げ、競争力回復を急ぐ。
GMは退職者らの医療費債務を労組主導の信託基金に2010年1月に移管する。信託基金への拠出は約320億ドルの見込み。基金への債務移管で09年までに合計約40億ドルのキャッシュフロー(現金収支)の赤字が発生するが、10年以降はコスト削減効果が出てくるとみている。
新規採用者向けに導入する低賃金体系では、1時間当たり賃金が14—15.3ドル(現在は約28ドル)にする。医療費など福利厚生を含む従業員1人あたりの労務費は約78ドル(1時間換算)だったが、新賃金体系では3分の1にあたる約26ドルに減る。車両組み立てなど重要な作業にかかわらない約1万6000人を順次、低賃金の新規採用者に入れ替えていくとみられている。
—–
NIKKEI NET 2007.10.5
http://car.nikkei.co.jp/news/business/index2.cfm?i=2007100501624c0
米GM、08年にも早期退職勧奨か・米紙報道
【ニューヨーク=武類雅典】米ゼネラル・モーターズ(GM)が2008年1—3月をめどに勤続年数の長い工場従業員を対象にした早期退職勧奨の実施を検討していることが4日、明らかになった。早期退職の実施で生まれる欠員分は、新たに導入が決まった低賃金体系で働く新規雇用者で補い、高賃金のベテラン社員との入れ替えを進める。日本勢に対抗するため、労務コストの構造を見直す。
米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)が報じた。GMは9月下旬に終えた労使交渉で、新規雇用者向けに時間給が今までの半額の賃金制度を導入することで全米自動車労組(UAW)と合意。新規雇用者の年金制度も確定拠出型にするなど、現在のUAW組合員より福利厚生面の待遇も引き下げている。
GMは労務制度見直しと引き換えに、一定水準の米国内生産を維持するほか、約3000人の臨時工を正社員として雇用することをUAWに確約している。今回の早期退職勧奨は、臨時工の正社員採用の余地を広げる狙いもある。
[10月5日]
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NIKKEI NET 2007.9.29
http://car.nikkei.co.jp/news/business/index2.cfm?i=2007092902892c0
低賃金体系も受け入れ・全米自動車労組、GMと合意
全米自動車労組(UAW)は28日、米ゼネラル・モーターズ(GM)との労働協約改定交渉で、低賃金の給与体系導入で合意したことを明らかにした。労使合意を公表していた医療保険制度の見直しでは、GMが2010年までに退職者向けの支払い義務をUAWの基金に完全移管する。
UAWがまとめた資料によると、資材搬送などにあたる新規雇用者の時給は現行水準の半分近くで、最低金額は14ドル(約1600円)。GMは退職者を低賃金の従業員で補う。また、GMはUAWの医療保険基金に08年1月に241億ドルを拠出。それ以外の負担も含め、移管手続き完了までに総額353億ドルの資金を負担する。
UAWが求めた雇用保証では、UAW加盟の完成車17工場のうち16工場の操業継続を会社側が確約した。改定案承認の組合員投票は10月10日をめどに終える方針。(ニューヨーク=武類雅典)
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NIKKEI NET 2007.9.28
http://car.nikkei.co.jp/news/business/index2.cfm?i=2007092808739c0
GM、医療費基金に353億ドル拠出——米紙報道
【ニューヨーク=武類雅典】米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は28日、米ゼネラル・モーターズ(GM)の改定労働協約案の内容を報じた。GMは会社側の医療費債務を引き継ぐ労組基金に353億ドル(約4兆円)を拠出、医療費負担を削減する。全米自動車労組(UAW)加盟従業員の3分の1にあたる最大2万4000人を低賃金の新規雇用者と入れ替えられるようにもなるという。
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米国自動車会社のヘルスコスト
Posted by guideboard on 2007/10/22/Mon
米国では、企業による社員の医療保険への福利厚生費の支出は、従業員の定年後の面倒を生涯見るという制度をとっているところが多いという。米国の自動車会社もこれによる多額の福利厚生費でコストがかさみ、トヨタの前に敗れ去ろうとしている。
その危機感からか、全米自動車労組も大幅な労働コストのカットに同意した。
しかし、そのカットされる労働コストを見てみると、賃金以外の部分がものすごく多いことに気付く ( 一人当たり賃金が $28 / 時間、労務費全体が $78 / 時間 )。米国では,所得税は源泉徴収などではなく、申告納税なので、賃金以外の労務コストの大部分が福利厚生費なのだろう。
また GM が抱えている福利厚生費の債務の大きさにも驚く。米国での福利厚生のコストは、国庫からのも企業からのも多額であるのに、社会保障としては日本の方がまだましのようだ。医療にしても、これだけのコストをかけた医療保険で受けることができる医療は、所得水準が高くない階層向けのものでしかないだろう。
NIKKEI NET 2007.10.15
http://car.nikkei.co.jp/news/business/index2.cfm?i=2007101510148c0
GM、医療費債務を分離・5兆5000億円、低賃金体系も導入米ゼネラル・モーターズ(GM)は15日、467億ドル(約5兆5000億円)の医療費債務を分離すると発表した。
…..
新規採用者向けに導入する低賃金体系では、1時間当たり賃金が14—15.3ドル(現在は約28ドル)にする。医療費など福利厚生を含む従業員1人あたりの労務費は約78ドル(1時間換算)だったが、新賃金体系では3分の1にあたる約26ドルに減る。
関連記事
TIME 2007.5
GM $ 1,600
フォード $ 1,200
クライスラー $ 1,500
トヨタ $ 350
日産 $ 250
本田 $ 350
参考資料
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医療崩壊 / 心の僻地
Posted by guideboard on 2007/10/10/Wed
本記事の原典は、2006 年 4 月 17 日、http://sword.txt-nifty.com/guideboard/2006/04/post_7ee7.html にアップされた。原典は削除された。
キーワード
地方、分権、僻地、農村、医療、崩壊、逃散、無医村、強制、小泉、改革
小泉改革を無邪気に信じている人たちは、まだたくさんいるのだろうか。
村社会で生きてきた日本人が、戦後日本の政治体制のもとでもそのメンタリティを持ち続け、いやむしろさらに拡大させた。これが僻地医療の問題の一端を生み、小泉改革がそれを加速した。
農業は、江戸時代までは日本の基幹産業だった。戦前までは、富国強兵、鉱工業重視政策であっても、日本はまだ貧しい国だった。日本人の栄養状態は今とは較べられないほど悪く、農業はやはり重要な産業だった。
( おおよそ、江戸時代の日本人男子の平均身長は 155cm、第二次世界大戦のころは 160cm、2000 年には 170cm )
戦後、日本の政治制度は、( 社会主義、共産主義の国のものとは違う ) 農村重視政策、農村が票田、農村に税金を配分し、農村から有力政治家が出るという図式であった ( 小泉首相は都市から出たこれまでにないタイプの政治家と言えよう )。
ここでの農村は地方、僻地とほぼ同義である。
1. 農村 ( 地方 ) は、小泉首相が誕生するまでは、自民党政治の原動力であった。
2. 農村 ( 地方 ) は、都市と異なったメンタリティを人々にもたらした。
1. 政治的なレペルの話
小泉改革は、世のため人のため日本のためではない。小泉の政敵潰しの権力闘争である。それと外国資本やそれに乗っかって儲けを企む財界勢力の利害が一致しているのだ。
地方分権改革は三位一体の改革などと美辞麗句を並べた所で、本質は地方を切り捨て小泉の政敵の政治基盤を弱体化させ、税すなわち国民の所得の都市への配分、財界へ利益を誘導するものである。
当然、農村 ( 地方 ) 社会のインフラは荒廃していく。道路はかろうじて作られていくが、医療は切り捨てられつつある。
医療は箱ものだけではできない。労働集約型産業であり、経費には人件費が大きなウェイトを占める ( 逆にそれだけ医療に多くの労働力を吸収できるともいえる )。ところが日本国政府は、国民皆保険制度を導入した 1950 年代以来、ずっと医療にかける費用、特に人件費を抑圧し続けてきた。医師以外の人々には理解できないことだろうが、1980 年代初めより、医師が手にできるサラリーはほとんど増えていない。開業医でも勤務医でもだ ( 診療報酬とは医師個人のサラリーではない )。農村に立派な病院を作っても、そこで働く医師をはじめとした医療スタッフの人件費はケチる ( 医師の技術料の評価は、欧米諸国の半分以下である )。
2002 年、初めて医療費本体を削減した診療報酬改定も小泉のなせる技だ。それがどういう結果を生んだか。たとえば、ここ ( 医療崩壊リンク集 ) を見てみるがよい。
2. 人の心のレベルの話
戦後 50 年以上にわたり、補助金で養われた農村 ( 地方 )。農家は豊かであり続けたはずなのに、若者は都市へ出て行く。なぜなのか。
私は農村から都市へ出た若者ではなかったので、想像するしかできないが、狭いコミュニティーの中で、様々な因習にとらわれ、村中が相互監視の日々。安定していても発展しない、将来が見えてしまった生活。
そういう所で、何の見返りもなく、安いサラリー、劣悪な労働条件で働こうという医師はいるのだろうか。自発的に農村 ( 地方 ) で働きたいというものもいるが、大多数は、これまでは医局人事という強制力で赴任させられていた。一定期間の辛抱のかわりに将来に少し希望を持つことができた農村 ( 地方 ) 勤務だったのだ。
医療制度改革の端緒の一つが医師研修制度であり、それと医局制度解体は表裏一体なのだが、これが「強制的医師農村 ( 地方 ) 赴任制度」を崩壊させた。
僻地医療の問題を端的に述べているウェブページがあった。無医地区問題と医療費についての歴史の意見は刮目に値する。以下に引用する。
—– 以下引用 —–
無医地区の、無医地区たる理由は、診療所の個人経営が成り立たない地域だからでは無く、医師の子弟の教育が困難なわけでも有りません。 そこの地域住民が悪い、殊に、自分が有力者だと思い込んでいる首長、議員、町内会長、大地主、資産家等が、馬鹿な要求や他所者扱いや三流医師扱いをするから、医師が嫌がって地区を出て行くだけの事なのです。 本質的には、その地区出身の若者がいなくなるのと全く同じ理由なのです。
—– 以上引用 —–
人間は住みたい所に住む。住み慣れた所がどんなに生活に不便であっても、住めば都という言葉がある。例えば、年寄りだけで農作業が辛くなっても農家を続ける、また例えば、豪雪地帯、無医村などでも、人間は住み慣れた所を離れられない。これは人間が基本的に持っている習性、とでも言うしかないのだろうか。
農村 ( 地方 ) は、人の心に農村 ( 地方 ) のメンタリティーを産む。
農村 ( 地方 ) は、人がそこに住みたくて住んでいる。たとえ豪雪地帯でも無医村でも、そんな所に住むのは自己責任だと言われても、そこがいいのだ。
でも、医師にはいて欲しいと思うのだろう。せっかく来た医師が 1 ヶ月で辞めてしまったりするような仕打ちをしたり、何年も一人で奮闘して人々に貢献した医師を逮捕させてしまっても、医師に来て欲しいと望む。
こういうメンタリティーを何と呼ぼうか。ウェブ上にぴったりの言葉が見つかった。「心の僻地」。
———-
自称ジャーナリストの勘違い記事があった。需要と供給のアンバランス〜無医村の増加 ( 2006.4.10 ) という記事を見てみる。
—– 以下引用 —–
金銭的には保護されることは間違いがないので医師という職業全体のモラルの低下と言うことが出来る。しかし強制的に移住などは出来るはずもない。医師という高い尊敬を有する人々のモラルにしか期待できないのが現状である。
—– 以上引用 —–
僻地医療、無医村の問題に医師のモラルを持ち出している。その土地から逃げ出す若者よりも高いモラルを持った医師が喜んでやってくるはずだというわけだ。この著者から見れば、日本中の医師がモラルを失っているのだろう。
その土地の人のため、その土地から人が逃げ出すような所で、自分も自分の家族も犠牲にして、少々高い報酬と言ってもそんなに高いわけではない、しかも有形無形の仕打ちがくる。それに耐えてこそモラルある医師というわけだ。こういう考えは、何かおかしいと思わないか。
———-
モラルがなければ強制と来た。医師の派遣 「説得と強制」がカギ ( 2005.11.20 ) という片桐由喜小樽商大助教授が北海道新聞に寄せたコラムを見る。
—– 以下引用 —–
地方への医師派遣に際し、医局統制の弊害が指摘されて久しい。しかし、自発的な過疎地域への移動を個々の医師に期待できない以上、医局であれ国家権力であれ権威と強制力を盾に彼らを地方へ送り出すシステムは欠かせない。公立小中学校の教師は公務員であるため、転勤命令が出ればどんなへき地であれ行かなければならないのである。いやなら教員を辞めるしかない。
イギリス社会保障の父、ウイリアム・べヴァリジ卿は人を動かすのは「説得と強制」であると断じた。地域医療対策のキーワードであろう。
—– 以上引用 —–
教員も会社員も配置転換を拒否している事例があるが。医師には居所や職場を選ぶ自由は不要というのか。
———-
以下、参考リンク
KALEIDOSCOPE WORLD ( 医療崩壊リンク集 )
マスコミウォッチ ( 無医地区問題と医療費についての歴史 )
くらし専科 ( 医師の派遣 「説得と強制」がカギ )
Letter from Yochomachi ( NHK:豪雪の被害がたいへん……でも、なんであんなところに人が住む? )
Aquarian’s Memorandum ( 散人先生の「でも、なんであんなところに人が住む?」を考える )
社団法人 日本酪農乳業協会 ( 骨からみた日本人 )
Die Kriegs Wirtschaft 戦争経済 ( 平均身長について )
いやしのつえ ( 泉崎村立病院の「無責任な院長」と「僻地医療」の未来予想図 )
参考資料
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医療崩壊 / 逃散 2 / 検証医師不足第 2 部 (8)
Posted by guideboard on 2007/10/09/Tue
デーリー東北新聞
(8) 支援体制 確保優先 孤立する現場 2006.3.31
赤字が積み重なり、財政的に行き詰まる病院。激務が続き、働くには魅力を欠く環境。
田子町立田子病院の葛西智徳院長は、これまでに四つの自治体病院や診療所で勤務し、地域医療の現状を見てきた。
何より、医師が根付く環境の整備がなされていない点に疑問を感じた。「地域の病院に出た医師には全責任がのし掛かり、支援体制が不十分だ。医師は勉強できず、レベルアップしたくてもできない」。
自身も田子病院に赴任したばかりの十年ほど前、医師二人が引き揚げたため、二人で当直をこなす激務に追われた。行政からの支援はなく、自分の足で非常勤医を探さなければならなかった。
■現状に憤り
現在、県内の過疎地域の診療所に一人で勤務するある医師は、支援のない現状に憤りを感じている。「県は医師不足解消には取り組んでいるが、医師を確保したらそれっきり。フォローが良くない」。
地域医療を志す医師はいる。しかし、医師を支える環境を行政や病院、大学は十分に整えられず、自治体病院の医師不足を招く一因にもなった。
勤務医を確保する策として、青森県の多くの自治体病院は手当を高くするなどで対応。これに対して葛西院長は「お金で連れて来ても、右から左に医者が動くだけ。抜本的な解決にはならない。『働きがいのある』職場環境にしないと医師は根付かない」と訴える。
地域医療に携わりたいとの志を抱く医師が、魅力を感じる環境整備が大前提だと言う。
■病診連携の行方
田子病院は二〇〇七年度から診療所となる。人口減と医師不足に対応しながら地域医療を存続させるための選択である。今後は近隣の病院との連携が不可欠で、三戸中央病院との協議は始まっている。
県医療薬務課は「田子の医師を孤立させないよう、人事交流の仕掛けをつくる」と支援体制を整備する方針を掲げる。
新年度からは、慢性的な医師不足を解消するため初めての体系的な基本構想となる県の「グランドデザイン」も動きだす。
葛西院長は「地域全体を見て、今いる医師を活用するシステムを整えてもらいたい。われわれ現場も努力するが、調整・統括する行政の役割が必要だ」と強調する。
(第2部終わり=工藤洋平、細越一美、工藤文一、斎藤桂が担当しました)
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医療崩壊 / 逃散 2 / 検証医師不足第 2 部 (7)
Posted by guideboard on 2007/10/09/Tue
デーリー東北新聞
(7) 岩手の試み 県と 14 病院 連携を強化 2006.3.30
医師が病院を選択できる新しい臨床研修制度は、医師確保を目指す医療現場に自由競争をもたらした。
東北厚生局の佐久間敦医事課長は「東北地方では岩手が成功しているようだ。他県より一歩リードしている」と評価する。
制度改正を機に、岩手県内の十四の県立病院は、いち早く研修指導医講習会を開くなどして連携を強化。取り組みが功を奏し、研修医一人に対して指導医二人が確保できるという環境が整った。
■危機感を共有
岩手県立中央病院の高橋弘明医師(医療研修科長兼神経内科長)は「各病院に危機感があり、県全体で医師を集めよう、という熱意がある」と語る。
岩手医大や県立中央病院、県立久慈病院など六病院の指導医は二〇〇三年にワーキンググループを編成し、勉強会などを通じ結束を深めた。カリキュラムの充実や医師へのPRなども積極的に推進。この結果、研修医の数は〇四年度が五十五人、〇五年度は六十五人、〇六年度(見込み)は七十四人に上っている。
■地域偏在
県土が広大な岩手の場合、医師の数だけでなく地域偏在も深刻な問題だ。〇四年十二月末現在の県のまとめによると、人口十万人あたりの医師数は県全体で一七九・一人。全国平均の二一一・七人を下回りながらも、人数は一九八三年以降、増え続けている。
ただ、地域間での格差が大きい。県内九地域に分けた「医療圏」ごとにみると、盛岡の二七三・三人に対し、久慈が一〇五・九人、二戸は一〇七・五人。盛岡一極集中と県北の〝過疎化〟が顕著だ。
背景には、「都市部で経験を積んで技量を高めたい」(高橋医師)という医師の都会志向などがあるといわれる。即効策はなかなか見つからないが、高橋医師は「研修制度の取り組みは十年先を見据えたもの。地方でも実力がつくと研修医に認めてもらえれば残ってもらえる」と力を込める。
県も、研修病院ごとに取得可能な専門医や認定医資格を整理、広報するなど積極的にバックアップ体制を整える。県医療国保課の金田学医療担当課長は「現場の医師の意見を踏まえ、できるところから支援している」と、県と医療現場が一体となった取り組みを強調する。
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医療崩壊 / 逃散 2 / 検証医師不足第 2 部 (6)
Posted by guideboard on 2007/10/09/Tue
デーリー東北新聞
(6) 若手の決断 県内とどまる学生 4 割 2006.3.29
「入試の面接で受験生のほとんどが“青森県の地域医療に貢献したい”と志願理由を語る。でも、卒業後に県内に残るのはほんのわずか」
こう話すのは兼子直・前弘前大医学部長。それだけ弘前大の卒業生の県外流出は深刻だ。毎年約百人の卒業生を輩出するが、県内に残るのは約四割と半数を下回る。
兼子前学部長は、学生の志が変化することに理解を示しながらも「証拠として面接の様子をビデオに撮って、卒業のときに見せようかな」と苦笑いを浮かべた。
■県内も悪くない
八戸市出身の高橋祐輔さん(23)=五年生=は、中学時代にアメリカの救命救急病棟のテレビドラマを見て医師に興味を持ち、高校二年のときに本格的に志した。
「県内の医療技術が他県よりも劣るとは思わない。プライマリーケア(一次医療)を学ぶには、多くの経験を積むことができる」と高橋さん。
卒業後の進路はまだ決まっていないが「自分がレベルアップできる場所であれば、勤務先はどこでも構わない。県内に残るのも悪くはない」と話す。
大阪府出身の横山拓史さん(23)=同=は、祖父から三代続く典型的な医師の家系。卒業後は函館市内の病院での勤務を考える。「最新設備もないし、有名な医師がいるわけでもない。ただ、熱心な指導医が多い」と首都圏ではなく、あえて地方で勤務することを決めた理由を打ち明ける。
横山さんは「医師不足でかわいそうだから県内に残る—という考えを持った学生はほとんどいないはず。もっと自分の腕を磨き、医師として成長するため必死だ」と強調する。
■ギアは“トップ”へ
県が本年度作成した医師確保の基本構想となる「グランドデザイン」では、特に人材育成を重視した。
海外と連携した臨床教育の検討や、県外から招いた経験豊富な専門医の中核病院への派遣、へき地で実習を希望する医学生の卒前教育など医療環境整備に向け、ギアを“トップ”に入れた。
三浦康久県健康福祉部長は「他県と同じことをやっても駄目だ。医師確保の全国競争に勝つために独自色を出したい」と強い決意を示す。
果たして青森県に医師は定着すことができるのか。グランドデザインではそれができるかが試されている。
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医療崩壊 / 逃散 2 / 検証医師不足第 2 部 (5)
Posted by guideboard on 2007/10/09/Tue
デーリー東北新聞
(5) 派遣事情 大学に従前の力はなし 2006.3.28
二〇〇四年末に福島県立大野病院で帝王切開を受けた女性が死亡し、先ごろ医師が業務上過失致死罪などで逮捕、起訴された医療事故は、関係者に大きな衝撃を与えた。
日本産婦人科学会(武谷雄二理事長)は「医師個人が責任を問われたのは極めて遺憾」との声明を発表。この医師が年間約二百件の出産をほぼ一人でこなしていた実情を指摘し、「背景には全国的な産婦人科医不足がある」と訴えた。
この問題は、十八日に弘前市で開かれた青森県産婦人科医会でも取り上げられ、水沼英樹弘前大医学部教授は「産婦人科医を希望する学生がますます減るのではないか」と懸念した。
■3年連続入局ゼロ
実際、弘前大産婦人科教室(旧・医局)への〇六年四月の入局予定者はおらず、三年連続ゼロとなるのは確実な見通し。東北六県の大学医学部でみても、合計でわずか八人にとどまる。つまり、大学も医師不足なのだ。
県内の総合病院に産婦人科医を派遣しているのは主に弘前大と東北大。この二病院の人手不足で、最近では十和田市立市民病院と公立野辺地病院、青森労災病院が出産に対応できなくなった。
弘前大は産科医を集約し、将来的には十和田市立中央病院に配置する方針を決めたが、派遣時期は未定。中には「東北大が医師を派遣していた十和田に、弘前大がすぐ派遣できるはずがない」と“学閥問題”を指摘し、皮肉る医療関係者も。
必修となった臨床研修制度などの影響で、大学には従前通りの医師派遣ができる力は残っていなかった。
■住民に説明を
東北地方の医師不足は産婦人科だけではない。現状を打開するため、東北六県の大学医学部が一堂に会したシンポジウムが十八日、仙台市で初めて開かれ、各大学が枠を超えて意見交換し、地域医療の課題を探った。パネリストとして参加した新川秀一弘前大医学部教授は「各県の医師の置かれた状況など、大学間の情報共有が大切だ」と感想を述べた。
県健康福祉部の三浦康久部長も会場で各大学の発言に聞き入った。三浦部長は「市民は大学には潤沢に人材がいると思っている。大学は現状を説明する責任がある」とし、「これからも二回、三回と続けて、より良い方向に向かってほしい」と期待を込めた。
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医療崩壊 / 逃散 2 / 検証医師不足第 2 部 (4)
Posted by guideboard on 2007/10/09/Tue
デーリー東北新聞
(4) 必修化の功罪 研修医取り込みに躍起 2006.3.27
三月五日、仙台市で開かれた東北地方の臨床研修指定病院の合同説明会。
八十七病院のうち、実に八十一病院が参加する盛況ぶりで、担当者は来場した医学生を自分の病院に呼び込むため、熱烈な“ラブコール”を送った。
二〇〇四年度から必修化となった医師臨床研修制度。大学卒業後の新人医師に総合医療が可能な基本的診察能力を備えるため、研修病院で二年間の勤務を義務付けた。
これにより医師は自由に勤務先を選択できるようなったが、病院間、地域間の“格差”が拡大。以前から問題視された「大学離れ」にも拍車が掛かった。
■さらば大学病院
六十、四十九、五十三—。
この数字は過去三年間の医学生と県内研修病院のマッチング(組み合わせ)結果だ。再募集や国家試験の合否などの関係で、実際の研修医数とは多少異なるが、初年度以降は県全体の募集定員の半数を下回る厳しい状況だ。
特に深刻なのは東北地方の大学病院。〇五年は全六病院でマッチ率が五割を切った。
弘前大医学部付属病院も例外ではなく、募集定員四十七人に対し、〇四年は十人、〇五年の九人と、結果は“お寒い”状況。
同病院総務課は「残念だが、大学以外の違う環境、特に都会で働きたいと考える医学生が多いことを示している」と指摘する。
佐藤敬医学部長は「弘大付属病院は高度医療も行うが、広範囲の診療はほかの研修病院に引けを取らない」とアピール。「制度が存在する以上はその中で努力していく」との決意を示す。
■地方にも勝機
先述の合同説明会に参加したむつ総合病院の小川克弘院長は「来年から研修医の受け入れを六人から八人に拡大する。下北全体をカバーする病院として、今後も力を入れる」と強調する。
医学生は「一人前の医師となるために、しっかりと指導してもらえる病院に行きたい」と病院選びには慎重だ。
主催した東北厚生局の佐久間敦医事課長は「指導医の充実や症例数の豊富さなどの環境で地方にも勝機がある」と話し、魅力ある病院づくりの必要性を訴える。
今月で必修化後の“一期生”が二年間の臨床研修を終える。
県内にとどまるか、県外に流出してしまうのか。動向が注目される。
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医療崩壊 / 逃散 2 / 検証医師不足第 2 部 (3)
Posted by guideboard on 2007/10/09/Tue
デーリー東北新聞
(3) 手術はまだか 麻酔科医は深刻な状況 2006.3.26
「今の勤務状態のままだと、医療事故にもつながりかねない」
こんな“最悪のケース”を危惧(きぐ)するのは、青森県内のある麻酔科医だ。自身を含め、過酷な労働環境下に置かれる勤務医の現状を憂える。
医師不足—と一言でくくられるが、産婦人科や小児科、麻酔科など、いわゆる特定診療科の勤務医不足が著しい。
麻酔科医は患者の状態を管理し、手術には欠かせない重要な役割を担う。にもかかわらず拘束時間の長さや執刀医の下支えのイメージが強く、全国的になり手が少ない。
しかも、ほかの診療科と比べ、患者からの認知度が高いとは言い難い。麻酔科医不足の影響はじわじわと広がっている。
■手術待ち増加
今年二月、青森市内のある病院で義父の看病をしていた女性は「やっと手術をしてもらえます」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。手術を待つこと一カ月。ようやく手術が可能になった。
県内の高度医療を担う病院では、このような「手術待ち患者」は珍しくない。県立中央病院は三百三十六人(一月末現在)、弘前大医学部付属病院は二百三十八人(三月一日現在)いる。
県病は「心臓や脳外科の専門医が不足するほか、麻酔科医も定員六人に対し五人しかおらず、かなりきつい」と強調。弘大付属病院も「急患が優先なので(比較的症状が軽い)患者には二、三カ月待ってもらう場合もある」と説明する。
■8年前と同水準
八戸市立市民病院では〇三年度末、五人いた常勤の麻酔科医が二人に減った。現在は常勤二人、非常勤四人の体制で臨む。外科系医師も手術時に麻酔を担当する「自科麻酔」で不足分を補う。
昨年十一月、国から公表された〇四年末現在の県内の麻酔科医数は六十一人。全国的には麻酔科医は増加しているが、県内では一九九六年末とほぼ同水準のままだ。
人口十万人当たりでも、全国平均の五・〇人に対し、県内は四・二人と、マンパワー不足は否めない。
県医療薬務課の石岡博文医師確保対策グループリーダーは「麻酔科医は救急医療に不可欠」と、現状打開のための対策を早急に講ずる必要性を訴える。「正直疲れているが、患者がいる以上は仕事量を減らせない」とは冒頭の麻酔科医。厳しい現実と向き合っている。
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医療崩壊 / 逃散 2 / 検証医師不足第 2 部 (2)
Posted by guideboard on 2007/10/09/Tue
デーリー東北新聞
(2) 重い負担 役割と機能ばかり増す 2006.3.25
「役割と機能ばかりが増していく。県立病院や弘大並みの役割が求められているが、医師確保などのサポートは不十分」。八戸市民病院の澤直哉副院長は、同病院が抱える問題を訴える。
■辞めたくなる
青森県が進める自治体病院の機能再編。同市民病院は三八地区の高度医療を担う拠点病院に位置付けられる。地域がん診療拠点病院や臨床研修指定病院、感染症指定病院—。役割を果たすため、多くの指定や認証を受けてきた。
澤副院長は「拠点病院に求められる仕事量は多い。しかし、対応するにはまずはマンパワーを増やす必要がある」。医師の労働環境を改善しようと、同病院は循環器内科や小児科など十科と救命救急センターで働く医師十九人を募集している。
だが、全県的な医師不足により補充は難しい。問題は一向に改善されず、現場の勤務医だけに負担が大きくのしかかる。
同病院の中でも、入院患者の回転が早い循環器内科。同科の菊池文孝科長は「今の仕事量だと、本来は三年以上の経験を持つ医師が六人は必要」と話す。
これに対し、現在の常勤医は四人。「激務と疲労が慢性化している。現状では、誰もが一度は辞めたくなるんじゃないかな」
多量の業務をこなし、さらに「ミスをしないように」とのプレッシャーにもさらされる医師。数年で心身ともに疲弊し、勤務医を辞めて開業する医師も出ている。
■現場の限界
高度医療を担う同病院ではあるが、その多忙さが専門の医師の腕を磨く時間を奪っていく。「設備のそろった所で高度な専門医療の腕を磨けるのが公立病院、大病院だった。魅力が失われつつある」と澤副院長は言う。
勤務医は電子カルテや入院承諾書の作成など、“ペーパーワーク”に膨大な時間を割いている。赤字経営で十分な設備投資も困難になってきた。「医師が地域の病院から離れるのを防ぐため、専門の知識や技術を身に付けてもらう環境を整えることが病院側の役割」と澤副院長は考える。
「今のままでは、医師にやる気や熱意を持ち続けてもらうことが難しい」。現場でカバーするには限界があると感じている。「病院も努力はするが、医師不足はわれわれの努力だけではどうにもならない」—。
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医療崩壊 / 逃散 2 / 検証医師不足第 2 部 (1)
Posted by guideboard on 2007/10/09/Tue
デーリー東北新聞
(1) ルポ 40 時間 「仮眠は 1 時間くらい」 2006.3.24
三月のある日午後三時半。八戸市民病院の血管撮影室で循環器内科の長谷川一志医師(34)は、他の医師らと心臓カテーテルの手術に当たっていた。細い血管を傷付けないよう細心の注意を払う。高度な技術が必要だ。長時間の手術から、目は既に充血していた。
■ぎりぎりの人手
「高度医療に携わることができ、やりがいがある。しかし、勤務内容は厳しい」。医師になって九年目の長谷川医師は弘前大学医学部からの派遣医。同病院に来てもうすぐ一年。同診療科一番の若手で、体力的に最も無理のきく年齢だ。
同病院は八戸広域圏の高度医療を担う拠点病院に位置付けられる。心臓カテーテル手術ができる医療機器と技術を持つ医師を備えることから、市外や県外からも患者が集中する。
「先週は二、三回呼ばれたかな」。緊急性が高く、迅速な処置が必要な患者も運ばれて来る。帰宅後でも、時間を問わず呼び出しがかかる。
当直は月に二回ほど。日勤から当直、当直明けですぐに日勤。年中このローテーションが続く。「土日関係なく毎日病院に来ていて、十分に休みも取れない」。
循環器内科の常勤医は四人いるが、広域圏の来院患者に対応するには絶対数が足りない。増員したいが、全県的な医師不足で確保は困難。ぎりぎりの人数での過酷な労働が恒常的になっている。
手術後、長谷川医師は休む間もなく午後五時から当直勤務に突入。「容体が急変することがあるから」。救命救急センターの急患室と入院患者らの間を何度も往復する。
急患が途切れた午後九時四十分ごろ、診察室で長谷川医師はいすにもたれ、ひと息ついていた。「あ、遠い目してる。先生は明日も普通に仕事なんですよね」。看護師が少し離れた場所から気遣う。朝から働き続け、夕食を取る間もなく夜が更けていく。
時計の針はもうすぐ午前零時。電子カルテの作成中、疲労のたまった目元を手のひらで軽く押さえた。「仮眠は三時間取れたらいい方。たいてい一時間くらい」。午前四時、ようやく仮眠室で眠ることができた。
■一日でげっそり
外来診療に備え、午前七時すぎに起き、朝食を取らずに同センターの入院患者の元へ直行。容体を確認し、必要な処置を看護師に指示する。
午前九時半には外来診療が始まった。待合室では既に大勢の患者が順番待ち。「先生はいつ食事をしているんでしょうね」。看護師が、ふと口にした。
やっと外来診療を終えたのは、午後零時半すぎ。昼食もそこそこに一時からカテーテル手術へ。約五時間ぶっ通しで四件の手術をこなす。夕方、マスクを外すと、ほおはげっそり。「脱水症状だ」。すぐに水分補給に向かった。まだまだ勤務は終わらない。
■患者への思い
前日から連続約四十時間の勤務。少しでも気を抜くと体に力が入らなくなる。「自分を必要としてくれる人がいる」。年中無休の激務に耐えられるのは、患者への思いがあるからだ。
理想は「患者さんの立場に立った仕事」。しかし現実は「時間が限られていて、患者とじっくり向き合う余裕がない」。ジレンマを抱えている。
◇ ◇ ◇
“待ったなし”となっている公立病院の勤務医不足問題への対応。人手が足りずに過重勤務となる悪循環を生み出し、結果的に開業を選択する医師も多い。なぜこのような状況に陥ってしまったのか。第二部では勤務医の実態に迫る。
(地域医療取材班)
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医療崩壊 / 逃散 2 / 検証医師不足第 1 部 (8)
Posted by guideboard on 2007/10/09/Tue
デーリー東北新聞
(8) 将来ビジョン 複数配置の方向を検討 2006.1.9
一月四日、三村申吾青森県知事は年頭の記者会見で、昨年策定した「医師確保のためのグランドデザイン」の事業内容を明らかにした。深刻な県内の医師不足を解消するために、二〇〇三年七月の知事就任以降、自ら全国を飛び回って医師や有識者の意見を聞いてまとめた—との自負がある。
三村知事は「医師不足は(過剰勤務や研修機会の不足など)負のスパイラル構造にあり、プラスに転換させたい」と意欲を語った。
■産科医集約に着手
県は二〇〇六年度、県内の産科医集約に着手する方針だ。県や市町村、県医師会、大学などで構成する会議を設置して、複数勤務を基本とした将来的な配置方針を検討。加えて、助産師の活用や女医の就労支援など総合的な対策を講じる。
医師集約の必要性はグランドデザインにも盛り込まれている。大学医学部も現状の苦しい“お家事情”を背景に、集約の方向には前向きだ。
ある関係者は「集約により医師の過剰勤務は解消される。だが、病院側の思惑や地元で産みたいと思う妊婦の希望もあり、すんなりと集約先の病院が決まるとは思えない」と指摘する。各病院の同意と住民の理解を得る作業は難航しそうだ。
■全国競争に突入
医師不足には、医師が都市部に集中する「地域偏在」と、産科や小児科、麻酔科などの全国的になり手が少ない「診療科偏在」が大きな要因となっている。県内の医師分布状況も例外ではなく、大学医学部がある弘前市を筆頭に、青森、八戸の旧三市に全体の約75%が集中する。
県はグランドデザインに基づき、医学生への修学資金貸与や専門医の招聘(しょうへい)、海外研修の充実など、さまざまな施策を展開する予定だ。
ただ、パイの奪い合いになりつつある産科など診療科偏在の対策について、三浦康久県健康福祉部長は「抜本的な対策は難しいが、グランドデザインでは医者を育てる良い環境整備など構造転換から始めていく」と強調。「“絵に描いたもち”にならないように、しっかり取り組む」と述べ、全国競争に打ち勝つ強い姿勢をみせる。
県は十年後の医師不足解消を目指す。地域医療を守るため、将来的なビジョンづくりは始まったばかりだ。
(第1部終わり。田中秀知、工藤洋平が担当しました)
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医療崩壊 / 逃散 2 / 検証医師不足第 1 部 (7)
Posted by guideboard on 2007/10/09/Tue
デーリー東北新聞
(7) 下北に暮らす むつ除いて ” 空白地帯 ” 2006.1.8
本州最北端の地・下北半島。昨年十二月に営業運転を開始した東通村の東通原発のほか、むつ市の使用済み核燃料中間貯蔵施設などの立地で、近年は“原子力半島”化が進む。周辺自治体は電源三法交付金による地域振興を見込む。
一方で、将来が期待される若者は都会に流出し、過疎化が進行している。お産ができる医療機関は、むつ市内の二カ所だけ。下北半島のほとんどは産婦人科医の“空白地帯”だ。
■もっと近ければ
昨年十二月上旬のむつ総合病院。お産を終えた大間町の小沢美沙子さん(37)=仮名=は、退院の準備に追われていた。
「おかげさまで無事退院できるみたいです」。糖尿病というリスクを抱えての出産だったが、元気に生まれた長女に目を細めた。
地元には公立の国保大間病院があるが、産婦人科はない。船で函館市の病院に行く手段もあったが、車で片道一時間のむつ総合病院に決めた。
「もっと近ければいいんだけど…」。路線バスは一時間に一本。電車は通ってない。大間町に生まれ育った小沢さんは、「仕方がない」と割り切っている。
自治体病院から産婦人科医がいなくなった十和田市や野辺地町の状況について「他の病院との距離は近いし、交通網も発達している。下北と違って恵まれている」と、違う見方をする。
■地域の知恵
佐井村からむつ総合病院に通う妊娠十カ月の藤沢美紀さん(29)=仮名=の場合、やはり通院には一時間半かかる。雪が降ると路面は凍結し、車はスピードが出せない。冬場は二時間以上の長いドライブだが、「夫が運転してくれるのでちょっと安心」と笑顔をみせる。
「最初からむつ市で産むのが当たり前だと思っていた」と藤沢さん。「早めの対応がこの地域でお産するときの知恵なんでしょうね」と話す。
自らも産婦人科医として同病院で腕を振るう小川克弘院長は「下北地域の一般的な医療はここで完結しなければならない。住民の期待はあると思っている」と自負する。
半島という地理的なハンディを埋めようと、同病院では医師確保のために研修医受け入れに積極的だ。
小川院長は「『へき地』『寒い』『遠い』という悪いイメージを逆に利用して、やる気がある医師を呼び込みたい」と断固たる決意だ。
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医療崩壊 / 逃散 2 / 検証医師不足第 1 部 (6)
Posted by guideboard on 2007/10/09/Tue
デーリー東北新聞
(6) 努力の代償 死亡率改善に心血注ぐ 2006.1.7
これまで全国最悪レベルだった青森県の“赤ちゃん死亡率”。だが、二〇〇四年の県人口動態統計では「乳児」「新生児」「周産期」のすべてで軒並み改善の兆しがみられ、関係者を喜ばせた。
記者発表の席上で、難波吉雄県健康福祉部次長は、改善理由を「産婦人科医の長年の努力や、県内の周産期医療体制の充実」と説明した。
■過酷なスケジュール
昨年七月二十三日、弘前市。三村申吾知事は弘前大医学部産婦人科講座の大学院生と意見交換会を開いた。県内の産科医不足の原因究明に向けて、現場の生の声を聞くためだった。この日集まった四人の院生は、研究や実験の傍ら県内の自治体病院などで非常勤医として従事する。意見交換の中で院生は、びっしりと埋まった一週間のスケジュール表を示した。
厚生労働省の調査によると、若手産婦人科医の約27%が「産科診療はしたくない」と答えている。それは過酷な勤務状況と訴訟の多さが起因している。院生は「労働に見合った対価が得られていない」「県が強力にリーダーシップを取り、各地域をまとめてほしい」などと提言した上で、「県民が安心して出産できるように手伝いたい」と意気込みを語った。
■安全神話
「昔は妊婦や家族は命懸けで出産に臨んだものだ」と話すのは、八戸レディスクリニックの小坂康美医師。医師になりたてだった一九五〇年代は、今の助産師に当たるいわゆる“産婆”が手伝い、出産の約七割が家庭で行われていたという。
今と比べて乳児や母体の死亡率も高かった時代だ。それゆえ、医師や助産師らは赤ちゃんの死亡率改善に心血を注いだ。県内の医療体制は次第に整備され、結果として死亡率は改善に向かった。一方で、医療訴訟の多さに小坂医師は「世間は訴訟という形で評価した」と、努力の代償として得た皮肉な現実を嘆く。
産婦人科医でもあるむつ総合病院の小川克弘院長は「今は出産の“安全神話”が築かれた」と住民意識の変化を指摘する。「安全で安心なお産が一番だが、何が起こるか分からないのもお産だ」と強調。その上で「妊婦や家族への正しい妊娠や分娩(ぶんべん)などの知識の啓発が必要だ」とも話す。
だが、産婦人科医を志した理由を二人ともこう話す。
「やっぱり生命誕生の瞬間の感動ですよ」
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医療崩壊 / 逃散 2 / 検証医師不足第 1 部 (5)
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デーリー東北新聞
(5) 家族のきずな 夫らにのしかかる負担 2006.1.6
昨年十一月三日、青森市のアウガ。「ゆっくりとお湯に入れてくださいね」。助産師の指導に従い、若い夫婦が赤ちゃんの人形を使用して沐浴(もくよく)を体験していた。この日は「1103」の数字にちなみ「いいお産の日」。主催の青森県看護協会は毎年、妊婦や家族を対象に、県内各地で育児支援のイベントを開いている。
「思ったより難しいなぁ」「これからパパになるんでしょ」。会場では夫婦の幸せそうな会話が弾む。同協会助産師職能理事の山田順子さんは「市内はまだ大きな病院や開業医があるが、いない地域の妊婦さんや家族は大変でしょうね」と心配そうな表情を浮かべた。
■全員でサポート
産科医不足は妊婦だけでなく、支えるその家族にとっても大きな負担となっている。
十和田市の下田多香子さん(23)=仮名=は妊娠八カ月。同市内は十和田中央病院の産科が休診しており、出産に対応できるのは個人の診療所のみ。だが、下田さんは八戸市の個人の診療所に通院している。
普段は自分で車を運転して通院するが、体調が悪いときは実家の姉や母の静江さん(54)=仮名=に交代してもらった。「おなかが大きくなってくると往復二時間の運転はきつい。本当に助かる」と家族のぬくもりを実感する。
家族も遠くに通院する多香子さんのことが気掛かりだ。静江さんは「一人目は心配はなかったが、今回は事情が違うので家族全員でサポートしたい」と笑顔で話した。
■二人三脚
昨年七月に八戸市立市民病院で男の子を出産した十和田市の西山美由紀さん(24)は、夫の繁さん(25)=ともに仮名=との“二人三脚”で初めての出産を乗り切った。
繁さんは十和田市内の建設会社に勤務。平日は仕事だが、美由紀さんに無理をさせたくないため、休みを取って病院まで送り迎えをしていた。
出産直前の六月中旬。予定日を過ぎても赤ちゃんが生まれず、美由紀さんは入院。繁さんは出産までの約二週間、仕事が終わるとその足で毎日病院に向かった。
「仕事で疲れていたが、妻が心配だった。同じ境遇の夫はほかにもたくさんいると思う」と繁さん。医師不足の不便さを感じながらも、夫婦のきずなをより確かなものにした。
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医療崩壊 / 逃散 2 / 検証医師不足第 1 部 (4)
Posted by guideboard on 2007/10/09/Tue
デーリー東北新聞
(4) 広がる影響 休診で分散する分べん 2006.1.5
「やっぱり二つの自治体病院の産科休診は痛いなあ」。昨年十月上旬、青森県内のある病院関係者はこうつぶやいた。
上十三地域の分べん数は年間約千七百件。このうち二〇〇四年度は、出産ができなくなった十和田市立中央病院は約四百二十件、公立野辺地病院は約二百十件と、合わせて同地域の三分の一を占めていた。
それが一気にゼロになったことで、他の公立病院や開業医が扱う数は確実に増加した。この関係者は「全体的に医師は不足しており、ぎりぎりのところでやっているだろう。パンクしないかどうか心配だ」と懸念する。
■変わる妊婦動向
二病院の産科休診による妊婦の動向について県健康福祉部は「三沢市や八戸市、青森市などに分散した。五戸町や七戸町の病院でも増加している」と説明する。
特に、年間約二百二十件の出産を扱っている三沢市立三沢病院は、昨年四—十一月で約三百件とハイペースな伸びを見せる。同年八月末に青森市で開かれた県自治体医学会で、同病院の医師は「分べん数は倍増する見込みだ」と発表した。
古澤次寸事務局長は「普通に考えて、距離的に近い三沢病院に流れている」と分析。その上で「しっかりと妊婦を診られるように院内の態勢を整えたい」と話す。
■七戸病院も休診
公立七戸病院でも一月から出産ができなくなった。同町でただ一人の産婦人科医が昨年十二月末で退職したからだ。ただ、この医師は一月十日から町内で開業する予定で、産科医が空白化する事態は一応、避けられそうだ。
同病院の〇四年度の分べん数は約二百件。だが、〇五年度は十二月中旬までに約二百十件を超えた。大黒博院長は「一人の勤務体制で大変だっただろう」とこれまでの労をねぎらった上で、「開業するという意思は尊重したい。こちらとしては“ノー”とは言えない」と話す。
同病院は、これまで医師を派遣していた秋田大学医学部に対して新たな産科医派遣を打診したが、「秋田県内でも医師不足で県外派遣は難しい」との回答があり、現在のところ後任の見通しは立っていない。
これで、上十三地域の公立病院で出産ができるのは三沢病院だけと、ますます深刻な状況となった。
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医療崩壊 / 逃散 2 / 検証医師不足第 1 部 (3)
Posted by guideboard on 2007/10/09/Tue
デーリー東北新聞
(3) 悪循環 24 時間体制 多い訴訟 2006.1.4
「医者がいないと言うけど、実感はあまりないですね」。青森市内の産婦人科に通院する会社員女性(25)は、医師不足に悩む青森県内の状況をよく分からない。県立中央病院や青森市民病院、民間の医療機関が多い市内で生まれ育った。
これまで病気や妊娠をした経験がなかったこともあり、新聞やテレビのニュースで取り上げられるまで意識していなかった。「毎年、医学部を大勢卒業しているはずなのに、なぜ?」との疑問がわく。
■負担大きく
「産婦人科の医師不足は今に始まったことではない」と話すのは、山中朋子県医師確保対策監。
県内の産科医の数は、二〇〇二年十二月末で九十八人。人口十万人当たり六・七人で、全国ではワースト四位タイ、北海道・東北地区では最悪だ。
特に公立病院では勤務医の絶対数が少ないため、一人の医師にかかる負担は大きい。出産はいつ始まるか分からない。まさに二十四時間体制の重労働に加え、産科は特に医療訴訟が多い。
産科医のなり手がいなくなり、それが産科医不足に拍車をかける。激務のため最終的に勤務医を離れ、都市部で独立する—という悪循環に陥る。
一方、お産ができる民間病院や開業医は県内約三十件あるが市部に集中しており、郡部では産科医が不在の地域が多い。最近では出産を扱わず、婦人科のみに対応する開業医も増えている。
■集約の必要性
派遣医師の配置集約を進める弘前大学医学部の兼子直学部長は「地域の中心的な病院に集約することで、先進医療の導入やマンパワー(人的資源)の有効活用ができる」と説明。その上で「集約は後退ではない。これからは病院間の機能的な役割分担が必要だ」と強調する。
県は一九九九年度から県内六つの圏域ごとに中核病院を設け、効率的な医療体制の構築を目指す自治体病院の機能再編成に着手した。
上十三地域では昨年二月、十和田市立中央病院を地域周産期母子センターとして機能強化する素案の骨子を了承。だが、実現に向けた動きは足踏み状態だ。山中対策監は「停滞したままだと、悪循環にはまってしまう。圏域で安心、安全な出産の環境を守らなければならない」と危惧(きぐ)する。
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医療崩壊 / 逃散 2 / 検証医師不足第 1 部 (2)
Posted by guideboard on 2007/10/09/Tue
デーリー東北新聞
(2) 突然の休診 病院からの通告に困惑 2006.1.3
二〇〇五年四月。十和田市立中央病院と公立野辺地病院が相次いで産科を休診し、上十三エリア内の二つの自治体病院でお産ができなくなった。
全国的に産婦人科医は少ない。医師派遣を担う大学医学部も病院へ向かわせる人材を集約せざるを得ない状況だ。東北大は十和田中央病院、弘前大は野辺地病院からそれぞれ医師を引き揚げた。
■大きな病院なのに
「四月から産科は休診となります」。昨年二月、十和田中央病院に通院していた同市の安田佳子さん(28)=仮名=は、突然の病院側からの通告に困惑した。妊娠三カ月だった。担当医が転勤するということを聞いた。
仕方なく三沢市内の開業医に通院先を変更した安田さん。ところが、わずか三カ月余りで、そこも病院側の都合で休診となった。今度こそ安心して出産ができると思った直後の出来事に、「ショックは大きかった」と振り返る。
その後、八戸市立市民病院に通い、無事に女児を出産した。安田さんは「私の場合、運が悪かったのかもしれない。でも、住んでいる街に大きな病院があるのに、何でそこで産めないんでしょうね」と問い掛ける。
現在、十和田中央病院は非常勤医による週二日の婦人科対応のほか、昨年十二月から八戸市民病院と連携して助産師外来を開始、安定期の妊婦検診も行っている。「少しでも患者の役に立てれば」(同病院)と、医師不在を必死にカバーする。
■頭の中が真っ白に
野辺地町の佐々木洋子さん(27)=仮名=は、妊婦検診の際に担当医から「別の病院を紹介しましょう」と言われた。出産二カ月前のことで、頭の中が真っ白になった。
病院内では、以前から産科休診のうわさが流れていた。「覚悟はしていたが、現実を突きつけられるとつらかった」
その後、佐々木さんは通院に一時間要する三沢市立市民病院に移り、元気な男の子を出産した。佐々木さんは「子供は三人くらいほしいけど、今のままではすぐ“次”という気にはなれない」と顔を曇らせる。
大学医学部の医師集約の動きについて神雅彦野辺地病院長は「激務解消のために医師の複数配置は必要だ」と一定の理解を示す。だが、同病院の産科復活については「今のところめどは立っていない」と表情は険しい。
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医療崩壊 / 逃散 2 / 検証医師不足第 1 部 (1)
Posted by guideboard on 2007/10/09/Tue
デーリー東北新聞
(1) 初めての出産「どこで産めばいいの」 2006.1.1
初冬のある朝。野辺地町で食料品店を営む大原悟さん(36)・恵美さん(30)夫妻=仮名=は、自宅からマイカーに乗り込んだ。悟さんは青森市内の市場へ野菜を仕入れに、恵美さんは約三十五キロ離れた、同市内の県立中央病院に行くためだ。
まだ夜は明けない。暗闇が広がる国道4号をひた走る。
■地元で産めない
「おめでたです」
恵美さんの妊娠が分かったのは昨年六月。既に三カ月目で、初めての赤ちゃんだった。
喜びに浸った大原夫妻だが、一抹の不安もよぎった。地元の公立野辺地病院では昨年四月以降、産科医が不在となり、個人の開業医がいない町内では、子供を産めない状況となっていたからだ。
選択肢は七戸病院か青森市内の病院のいずれかに狭まった。「どこで赤ちゃんを産むべきか」。大原夫妻は悩んだ末、お産や産後の安心感、悟さんの仕事の都合を考えて同市内の総合病院を選んだ。
だが、二週間に一度の通院は予想以上にハードだった。午前六時に出発してから、悟さんが仕事を済ませるまで恵美さんは車で待ち、午前八時半にようやく病院に到着。店を開けなければならない悟さんは先に帰り、恵美さんは診察後、一人でJR青森駅までバスで行き、電車で帰宅する。
恵美さんは「最近はおなかが大きくなって駅の階段の上り下りがつらい。午前中の診察のため朝早く病院に行き、帰ってくるだけで疲れる」と現在の心境を明かす。
■日々募る不安
野辺地町出身の悟さん。当然、自分の子供も町内で産むものだと考えていた。しかし、生まれ育った町で子供が産めないという「想定外」の事態に見舞われた。
悟さんは「どうして医者がいないのか」と疑問を抱きながらも、「常駐が難しいなら週一回だけでも医師が来て診察するなど何か対策を考えてほしい」と切実に訴える。
出産予定日は今月十六日。「陣痛が始まってから病院に向かうまでに、赤ちゃんが生まれてしまわないか」。大原夫妻は初めての出産を前に不安を募らせる毎日だ。
町では、商工会議所青年部が中心となり、野辺地病院への産科医確保を求める署名運動を展開している。大原夫妻も署名したが、今のところ見通しは立ってない。
◇ ◇ ◇
地方の医師不足が深刻だ。病院や診療所から勤務医がいなくなり、特に不足する産婦人科などは、診療科の休診が相次いでいる。事態は住民の目に見える形で進行し、地域によっては日常生活にも影を落としている。医師不足問題の背景と、地域医療の在り方をシリーズで探る。第一部では、青森県南地方の産科医不足を追った。
(地域医療取材班)
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医療崩壊 / 逃散 2 / デーリー東北新聞
Posted by guideboard on 2007/10/09/Tue
本記事の原典は、2006 年 4 月 16 日、http://sword.txt-nifty.com/guideboard/2006/04/_2_5633.html にアップされた。原典は削除された。
キーワード
医師不足、医師確保、医療事故、過失、刑事、訴追、逮捕、起訴、構造改革、僻地、地方
デーリー東北新聞による、地方での産科医療崩壊の特集記事。
検証 医師不足 – 地域医療の危機 -
2006 年 1 月 1 日から 3 月 31 日まで、計 16 回の記事。
なかなかよく調べてまとまっている。態度も中立的で、医師のモラルだとか、聖職だから、義務、倫理、努力、ひいては根性、赤ひげやヒポクラテスなどを持ち出さない。事実を正確に伝えようという努力が見られる。
朝日新聞福島県版とは大違いである。
さらに、具体策としてどうすればいいのか、現場の多数の医師の声を拾っていって欲しい。行政や大学、病院の偉い人たちの妄言は、もう聞き飽きている。
———-
参考資料
デーリー東北新聞が、2006 年 1 月から 3 月にかけて連載した特集記事を保存しておく。
第 1 部 産科医がいない
(1) 初めての出産「どこで産めばいいの」 2006.1.1
(2) 突然の休診 病院からの通告に困惑 2006.1.3
(3) 悪循環 24 時間体制 多い訴訟 2006.1.4
(4) 広がる影響 休診で分散する分べん 2006.1.5
(5) 家族のきずな 夫らにのしかかる負担 2006.1.6
(6) 努力の代償 死亡率改善に心血注ぐ 2006.1.7
(7) 下北に暮らす むつ除いて ” 空白地帯 ” 2006.1.8
(8) 将来ビジョン 複数配置の方向を検討 2006.1.9
第 2 部 勤務医の実態
(1) ルポ 40 時間 「仮眠は 1 時間くらい」 2006.3.24
(2) 重い負担 役割と機能ばかり増す 2006.3.25
(3) 手術はまだか 麻酔科医は深刻な状況 2006.3.26
(4) 必修化の功罪 研修医取り込みに躍起 2006.3.27
(5) 派遣事情 大学に従前の力はなし 2006.3.28
(6) 若手の決断 県内とどまる学生 4 割 2006.3.29
(7) 岩手の試み 県と 14 病院 連携を強化 2006.3.30
(8) 支援体制 確保優先 孤立する現場 2006.3.31
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医療崩壊 / 逃散資料 2
Posted by guideboard on 2007/10/08/Mon
東奥日報 2006.3.19
産婦人科への新規入局 弘大ゼロ
二〇〇六年度、東北地方の六大学の医学部産婦人科に新規入局する若手医師は計八人にとどまり、うち弘前大学はゼロであることが日本産婦人科学会の調査で分かった。新規入局者は全国で二百十人と、三年前に比べ半減。地方大学の産婦人科が先細りする一方で、全体の三分の一余りの七十三人が東京都での勤務を予定しており、不均衡な一極集中も浮き彫りになった。
調査は三月で二年間の卒後臨床研修を修了する研修医の入局意向を把握するため、同学会が二月、全国八十一大学付属病院の教授、総医長、医局長に対しアンケート形式で実施した。回収率は100%。十八日に弘前市の弘前プラザホテルで開かれた「県臨床産婦人科医会」で、弘前大学医学部の産婦人科医師が発表した。
調査によると、来年度の医学部産婦人科入局見込み者は全国二百十人。二〇〇四−〇五年度は卒後臨床研修制度のスタートに伴い、全国的に新規入局者がいないため比較できないが、〇三年度の四百十五人に比べると半減した。地区別では東京都七十三人、関東(東京都を除く)二十八人、大阪府十人、中部三十六人、九州十四人、東北八人、北海道五人など。東北地方八人の内訳は弘前大学ゼロ、岩手医科大学二人、東北大学ゼロ、秋田大学一人、山形大学一人、福島県立医大四人となった。
〇一−〇三年度をみると、弘前大学は毎年三人ずつ入局し、東北六県では十八−二十四人の新規入局者がいただけに来年度は大きく減員することになる。これは過重勤務、訴訟の多さなどにより産婦人科を敬遠する傾向が強まったことや、研修先を選択できるようになった卒後臨床研修制度により、若手医師の都会志向や大学病院離れが一気に顕在化したものとみられる。
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デーリー東北新聞 2006.3.19
弘前大産婦人科教室への入局者3年連続ゼロ
弘前大医学部産婦人科学教室(旧・医局)への二〇〇六年四月の入局予定の医師がいず、〇四年度から三年連続で入局者ゼロとなる見通しであることが、十八日分かった。東北六県の大学医学部でも、入局予定者は合計で、わずか八人にとどまる。激務や医療訴訟の多さなどが背景にあり、産婦人科医不足はますます深刻な状況になっている。
同日、弘前市で開かれた青森県臨床産婦人科医会で、弘前大の横山良仁講師が明らかにした。
それによると、東北地方の医学部がある六大学の産婦人科学教室への〇六年四月の入局者見込みは、福島県立医科大が最多の四人、岩手医科大は二人、秋田大と山形大はそれぞれ一人。弘前大と東北大はともに三年連続で入局者がゼロだった。
全国的にみても、産婦人科へ入局予定の医師は二百十人。〇三年度の四百十五人と比べ、ほぼ半減する。また約三分の一が首都圏の大学に入局する見通しで、都市への偏在に拍車がかかる。
十八日の医会には約七十人が出席。医学生や研修医、医師の代表者が「産婦人科医獲得を目指して」をテーマに意見を発表した。
医学生は「忙しくて訴訟が多いというマイナスイメージが大きい」、「(産婦人科は)学生時代の実習で広く学ぶことが困難で、興味を持つことができない。改善が必要」と訴えた。医師からは「地域の偏在は何もしなかった厚生労働省のミス」、「安心して働くことができる環境をつくることが大事だ」と指摘した。
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読売新聞医療ルネサンス 2006.3.25
産科 厳しい現実に尻込み
「産科や小児科の現場を見て、尻込みしました」
医師になって2年間、今月まで金沢大などで臨床研修を受け、来月から内科に進む島田幸枝さん(26)は、複雑な表情で語る。
医学生時代は、内科か、赤ちゃんや子供を診る産婦人科や小児科の医師になりたいと思っていた。
2年間の研修でも、3科を重点的に回った。特に産婦人科では、大学での2か月の研修に加え、「お産の現場を知りたい」と自ら希望し、地域の開業医のもとで1か月間、研修した。産声を聞き、母親や寄り添う父親の笑顔を見て、やりがいのある仕事であることを肌で感じた。
一方で、勤務の厳しさも味わった。お産のため、開業医は深夜に診療所に駆けつけ、誕生を見届けると、そのまま朝から外来診療にあたることも少なくなかった。出産の際、突然、胎児の心音が聞こえなくなったこともあり、お産は危険も伴うことを痛感した。
小児科でも、満足に休暇をとれない医師たちの激務を目の当たりにした。
島田さんは今月結婚した。いずれ子供が欲しいが、仕事も中断せずに続けたい。産婦人科や小児科は魅力的だが、仕事と家庭を両立できるだろうか。
「産科や小児科では、若い間は身を粉にして働けるかもしれないが、燃え尽きてしまいそう」。結局、内科医を目指すことにした。
日本産科婦人科学会の調査では今春、臨床研修を終え、大学や研修指定病院の産婦人科に入る医師は約310人。最近数年に比べ1割以上減った。東北地方12人、北海道7人、北陸9人など、特に地方は少ない。
調査をまとめた藤田保健衛生大産婦人科教授の宇田川康博さんは「現場を体験して進路を決められる研修は、研修医には望ましいが、働く環境が厳しい産婦人科や小児科の医師不足を加速させてもいる」と話す。
全国の80大学病院の産婦人科のうち、入局予定者ゼロは14か所あった。金沢大もその一つだ。
同大産婦人科医局長の田中政彰さんは「島田さんのように、熱心に産科研修に取り組んだ人に来てもらえないのは残念だ。魅力ある産婦人科診療の体制をどう整えるかが問われている」と言う。
今春、産婦人科に新たに入る医師の7割が女性だ。それだけに女性が働きやすい環境作りが望まれる。産科や小児科を志す医師をどう育て、支えていくか。課題は多い。(田村良彦、坂上博、中島久美子)
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YAHOO! NEWS 毎日新聞 2006.3.21
福島ニュース – 3月21日(火)13時1分
大野病院医療ミス:県立医大医師派遣、応援継続を要望−−三春町長 /福島
県立大野病院(大熊町)の医療事故をめぐり、産婦人科医の1人勤務体制が課題となっている問題で、三春町の鈴木義孝町長は20日、県立三春病院(三春町)への県立医大からの産婦人科医の応援を継続するよう佐藤栄佐久知事に要望書を提出した。
三春病院は、県立病院としての廃止決定を受け、07年4月から町立病院に移行する。現在、産婦人科は常勤医1人と県立医大からの派遣1人の2人体制で運営している。
要望書は「県立医大では、医師不足から医師派遣取りやめや地域の拠点病院への集約化に向けて検討すると聞いている。仮に現体制が維持できないままに移譲を受けるようになれば、地域住民に不安が広がり、町の病院開設に危機感を持つ」と訴えている。
これに対し、佐藤知事は「体制についてはこれから検討するので、三春病院についてどうなると決まっているわけではない」と即答を避けた。鈴木町長は「田村地域で産婦人科があるのは三春病院だけ。しっかりした体制を組んだ上で病院の移譲を受けたい」と重ねて要望した。【上田泰嗣】
3月21日朝刊(毎日新聞) – 3月21日13時1分更新
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毎日新聞 2006.3.22
産婦人科医:若手医師は4割も減 勤務条件などが敬遠材料
04年度に必修化された2年間の臨床研修制度を終えて4月から大学で産婦人科を専門に選ぶ若手医師は、制度発足前に比べ4割も減ることが日本産科婦人科学会(日産婦、武谷雄二理事長)の調査で分かった。勤務条件の悪さや出産トラブルによる訴訟が多いことが敬遠材料になっている。福島県立大野病院で起きた帝王切開手術中の死亡事故で、産婦人科医が業務上過失致死などの罪に問われ、学会内には「さらに希望者が減る」との懸念もある。
調査は今年1〜2月に全国81大学の産婦人科医局を対象に実施した。研修を終え、4月以降に医局に入る医師数やその減少の理由を聞いた。
81大学の産婦人科医局に入局する医師は合計で210〜212人と推計された。臨床研修制度の発足前の年間約350人に比べ4割減だった。
特に、北海道や東北、信越地区と九州の大学で減少が目立った。
志望者が減った理由について16大学は「臨床研修制度でほかの診療科を経験し、負担の多い診療科を敬遠するようになったため」と回答。夜間や休日の出勤が多いなど勤務条件の悪さや訴訟のリスクが高いことを挙げる回答も目立った。
「(勤務条件のいい)麻酔科や皮膚科、形成外科に人気が集中し、志望者の一人が麻酔科に変わった」(信州大)や「入局を勧めたが、(勤務がきついと)拒否された」(山口大)など、リクルートの難しさを指摘する意見も寄せられた。
北村聖・東京大教授(医学教育学)は「臨床研修の必修化から2年が経過し、人気のある診療科と不人気な診療科がはっきりしてきた。産婦人科の医師不足は恒常化するだろう。特に地方は不足が深刻になり、お産できる病院が限られてしまう」と話す。
【山本建】
毎日新聞 2006年3月22日 21時11分
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医療崩壊 / 逃散資料 1
Posted by guideboard on 2007/10/08/Mon
某所より拾ってきたコメントを保存しておく。
私は、このように訴える医師たちを避難することはできない。その気持ちは充分すぎるほど理解できる。
———-
加藤医師を救い、かつ自分が二の舞にならないために今勤務医としてできること。
1) 全ての院内死亡症例を『異状死』として届け出る。
理由 : 医療にかかわった死である以上、異状死の可能性は否定できない。全ての患者を解剖に附し、全ての遺族にその異常性を理解していただきましょう。
2) 労働基準法を厳守しそれ以上の労働は行わない。必要があれば院長に管理者責任として対応していただきましょう。
理由 : 言うまでもありませんが過剰労働は医療事故を誘発します。
3) 重症症例は極力これを受け入れず全てを高次の大学病院へ送りましょう。大学病院の場合は全て東大か京大へ送りましょう。
理由 : 今の司法は「医療の平均水準」ではなく、明らかに最高水準を要求しています。実際の東大や京大がどうだかは知りませんが、患者が納得できるブランドを選びましょう。
4) 侵襲的な手技や治療は一切行わない。
帝王切開を行って癒着胎盤があると「経験が少ない」と断ぜられる始末です。当然ですが侵襲的な治療には予期しない状況が生まれやすいので、これを「未然に」防ぐには診ないのが一番です。皆、投薬(内服)で済ませられる程度、点滴も末梢で済ませられる程度に留めましょう。
5) 入院ベッドをいつも満床にするように心がけましょう。
理由 : ベッドを開けておくと重症を受け入れさせられますから、極力軽症、社会的入院で埋めてしまいましょう。
0) 忘れてました。産科・小児科・救急・外科一般、これらの勤務医はとっととマイナーかなんちゃって内科に鞍替えしましょう。
これは大前提です。当然ですが僻地に住むのも却下です。
———-
加藤医師を救うのは、大変な労力になりそうですね。検察もマスコミも敵にまわしたうえ、医師会も何故か統一した支援を打ち出さない。こうなったら、本当に防衛医療しかありませんね。
「もう、重症患者は診ない」なんて、患者さんを脅かすつもりもないんです。
自分が地雷を踏むのが怖いだけなんです。
医者を尊敬して欲しいとか、救命が崇高な仕事だとか思って欲しいわけでもないんです。
他の職業と同様に、悪い医者は逮捕してもらって結構です。また、たとえ誠意のある医者でも勉強不足による医療過誤を起こしたならば、プロとして失格なのですから、裁きを受けて当然です。
ただ、加藤医師にはミスも過誤もなかったし、私らも明日はわが身であることを知ったのです。
もう、司法にも、マスコミにも、患者たちにも、うんざりなんですよ。
いつかはこんな日が来ると予感はあったけど、加藤医師逮捕で、私の決意は固まりました。
患者さんを、いつものように、プロとして、診療します。しかし、他人なのですから医者側のリスクは可能な限り回避することにします。急変しても、救急依頼があっても法的責任以外のサービスは行いません。自分と家族を守るために。
———-
私もメスを置くことにしました。
執刀は後輩。
外来でも難しい患者はみんな大都市、大病院に送る。
40 歳前で、自分でも「かなり出来る」と思ってますが、 知人で訴えられた医師がいて(ほとんど無実の罪だと思う苦情で)もう怖くて外科系の仕事はできません。
自己防衛に徹した医療を心がけます。
絶対に訴えられないようにします。
近日中に大都市に撤退予定です。
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医療崩壊 / 逃散
Posted by guideboard on 2007/10/08/Mon
本記事の原典は、2006 年 3 月 21 日、http://sword.txt-nifty.com/guideboard/2006/03/post_bc5f.html にアップされた。原典は削除された。
キーワード
医師不足、医師確保、医療事故、過失、刑事、訴追、逮捕、起訴、構造改革、僻地、地方
現場の医師は、過去の 10 年ほどの間、警告を発し続けていた。燃え尽きる医師は後を絶たず、少しずつ、静かに現場からいなくなっていった。そして、過酷な勤務に加え、臨床研修制度、医局から医師を派遣する慣習への批判、民事訴訟の多発、ひいては刑事訴追が日常のものとなり、医師の逃散は雪崩を打ったように拡大した。
地方の切り捨ては、なにも三位一体の改革、地方交付税の話だけではない。財政の議論と並行して、医療政策の分野でも地方は切り捨てられている。各地の病院で産科、小児科、麻酔科、のみならず整形外科などの医師の確保が困難になっているだけではない。とうとう大学病院への入局者がいなくなった。
東奥日報 2006.3.19
産婦人科への新規入局 弘大ゼロ
二〇〇六年度、東北地方の六大学の医学部産婦人科に新規入局する若手医師は計八人にとどまり、うち弘前大学はゼロであることが日本産婦人科学会の調査で分かった。新規入局者は全国で二百十人と、三年前に比べ半減。
…..
地区別では東京都七十三人、関東(東京都を除く)二十八人、大阪府十人、中部三十六人、九州十四人、東北八人、北海道五人など。東北地方八人の内訳は弘前大学ゼロ、岩手医科大学二人、東北大学ゼロ、秋田大学一人、山形大学一人、福島県立医大四人となった。
地方大学だけでなく、旧帝大でもゼロなのだ。
私たちの先輩が、戦後、様々な困難を乗り越えて築いてくれた世界に誇ることができる日本の医療制度、それはもう崩壊したのだ。
———-
さらに福島県では、産婦人科医を招聘したいという町からの要望が出されているという事態は、何と言ったらよいのだろうか。一人医長の産婦人科医は、もはや福島県では働けない。いや、何人いようとも、大学病院や高次医療センターでないと働けないだろう。
YAHOO! NEWS 毎日新聞福島ニュース
大野病院医療ミス:県立医大医師派遣、応援継続を要望−−三春町長 /福島
県立大野病院(大熊町)の医療事故をめぐり、産婦人科医の1人勤務体制が課題となっている問題で、三春町の鈴木義孝町長は20日、県立三春病院(三春町)への県立医大からの産婦人科医の応援を継続するよう佐藤栄佐久知事に要望書を提出した。
記事本文とは関係ないタイトルをつけて、しかも「大野病院医療ミス」とトップに持ってくる。毎日新聞社の性根は腐っている。
参考資料
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医療崩壊 / 医療の限界資料
Posted by guideboard on 2007/10/08/Mon
「医療の崩壊」を警告 政策転換要求 日本医学会がシンポ
救急車での患者選別搬送、06年度に選別基準作成
介護保険料 65歳以上は月4300円超 政令市平均 小池議員が軽減要求
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しんぶん赤旗 2006.3.18
「医療の崩壊」を警告
政策転換要求 日本医学会がシンポ
「市場原理」にゆだねた弱者切り捨ての米国医療の悲劇を日本で再現していいのか——日本医学会総会(会頭・杉岡洋一九州大前総長)の公開シンポジウム「どうする日本の医療」が十六日、東京都内で開かれました。
アメリカ在住の医師で、『市場原理が医療を亡ぼす』の著者、李啓充氏が、「市場原理と医療—米国の失敗を後追いする医療改革」と題して基調講演。日本が「改革」のモデルとするアメリカで、公的医療保険にも民間保険にも入れない無保険者が四千五百六十万人にのぼり、医療費を払えないことによる破産が、個人破産原因の第二位になっていることを生々しく報告しました。また、民間保険会社など「医療におけるビジネスチャンスの創出をねらう勢力が、混合診療解禁などの『規制改革』を主張している」とのべました。
パネルディスカッションでは、『健康格差社会』の著者・近藤克則日本福祉大教授が、公的医療費を抑制した結果、入院待機者や患者の待ち時間の増加、医師の海外流出などが相次ぎ、医療を荒廃させたイギリスの経験を紹介。日本の医療費は国際的にみて低く、患者や現場にしわ寄せされており、政府の政策は「やせている人が、ダイエットするようなものだ」と批判しました。
同じくパネリストの本田宏・埼玉県済生会栗橋病院副院長は、日本の医師数は現在二十六万人で、OECD(経済協力開発機構)基準をあてはめると十二万人も少ないことを指摘。青森県十和田市で産婦人科医がいなくなるなど「日本の医療の崩壊は始まっている」とのべ、政府の医療費抑制策の転換を求めました。
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asahi.com 2006.3.17
救急車での患者選別搬送、06年度に選別基準作成
増え続ける救急車の出動への対策を検討してきた総務省消防庁は17日、患者の緊急度や重症度に応じて優先順位をつける「トリアージ制度」の導入に必要な医学的な「判断基準」と「運用要領」を06年度に作成することを決めた。実用化に向けた試行テストも行う。
同日開かれた同庁救急需要検討会(座長、山本保博・日医大教授)の最終報告書を受けたもの。具体的な対応策として、通報時や救急隊の到着時にトリアージを行うための優先度を判断する「選別基準」と、具体的な事例をこの基準に当てはめる際の「運用要領」をつくる。ただ、トリアージの導入は各自治体の判断にまかせることにした。
また、検討会では、基準を決めるための検証作業が必要としており、同庁は、東京消防庁などに協力を求め、現場でのテストをする考えだ。このため06年度に新たに専門家の検討会を設ける。
人件費などがかさむためあまり活用されていない病院所有の救急車について、民間運行会社への業務委託や複数の病院による共同運用を進める。緊急性の低い患者に民間搬送車を使ってもらうようにするため、業者情報を知る際の電話番号を全国一律の専用番号にすることも検討する。有料化については、慎重論が根強いため、再度議論することにした。
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しんぶん赤旗 2006.3.17
介護保険料
65歳以上は月4300円超
政令市平均 小池議員が軽減要求
今年四月から六十五歳以上の介護保険料(基準額)が、政令指定都市の平均で月四千三百円(現在三千四百六十六円)を超えることが、十六日の参院厚生労働委員会での日本共産党の小池晃議員の質問で明らかになりました。厚労省の磯部文雄老健局長が答えたもので、政令市十四市のうち十二市の平均は月四千三百四十一円にのぼります。
小池氏は「毎月千円近い負担増だ。高齢者の負担能力は限界にきている」と追及。現在25%の国庫負担引き上げや、介護保険財政が赤字の市町村が借り入れている財政安定化基金への償還繰り延べなど負担軽減に必要な措置を求めました。
また、小池氏は四月から設置される「地域包括支援センター」の整備の問題を取り上げました。同センターは、新介護予防給付のケアプラン作成などを行うものです。その設置について、厚労省は昨年六月時点では「人口二、三万人に一カ所が目安」と言っていました。ところが、小池氏の調査では、千葉県松戸市(人口四十七万人)で一カ所、柏市(三十八万人)で一カ所などとなっている状況です。
小池氏は、四月からの介護報酬改定で、新予防給付を支援センターから委託する場合、ケアマネジャー一人あたり八件までという制限が付き、しかも委託料が一件四千円と低く抑えられていることをあげ、「すでに委託は引き受けないという事業者も出ている。このままでは支援センターにケアプラン作成が集中し、介護予防が受けられない“ケアマネ難民”が発生する危ぐがある。地方自治体からも懸念の声が出ている」と批判しました。
川崎二郎厚労相は「状況を把握しながら注視していきたい」と答えました。
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沖縄タイムズ 2006.3.10
社説(2006年3月10日朝刊)
[ヒヤリハット事例]
安全が病院選びの基準だ
一件の重大事故の背後には二十九件の小さな事故があり、さらにその背後には三百件の「ヒヤリ」「ハッ」とするミスが隠れている。安全工学でよく言われる「ハインリッヒの法則」だ。事故を未然に防ぐには、この三百件に切り込まなければならない。
日本医療機能評価機構の調査によると、一歩間違えば医療事故になりかねないヒヤリハット事例が、二〇〇五年一月から六月までの半年間に、対象となった全国二百五十医療機関で九万一千件にのぼった。
日本集中治療医学会が、百九十病院を対象に集中治療室(ICU)でのヒヤリハット事例を調査したところ、三分の一の病院は「患者一人当たり二十五日に一回以上」と改善が必要なレベルであった。
全国には三十八万余りの医療機関があるから、「あわや医療事故」というケースは相当数にのぼるとみられる。
医療機構の調査で最も多かったのは「薬の処方」におけるミスだった。当事者別では看護師が80%と圧倒的に多く、確認や観察を怠ったために起こった事例が目立った。
「多忙だった」「夜勤・当直だった」を理由に挙げた人も多く、看護師不足が事故と隣り合わせの状況を生んでいる実態も浮かび上がる。
確かに医師や看護師不足は深刻な問題だ。が、そのために「病院で事故に遭うのでは」と心配するのは、たまったものではない。
日本は世界で最も長寿の国であるにもかかわらず医療に対する患者の満足度が低い。医療の質が社会問題となっていることと無関係ではないだろう。
医療事故が航空機事故などと異なるのは、事故が隠ぺいされ、なかったものとされるケースが多いことでもある。事故を減らすためにも情報開示が重要であることはいうまでもない。
医の安全を確保するには、「数」と「質」の両方が不可欠だ。安全を軽視したつけは何倍にもなって返ってくる。ヒヤリハットにまで踏み込んだ包括的な対策を講じてほしい。
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医療崩壊 / 医療の限界
Posted by guideboard on 2007/10/08/Mon
本記事の原典は、2006 年 3 月 18 日、http://sword.txt-nifty.com/guideboard/2006/03/post_7120.html にアップされた。原典は削除された。なお、小松秀樹先生の著書よりも本記事がこのタイトルでアップされたものが、時系列で早い。
キーワード
医療、崩壊、破綻、逃散
物事は限界近くまでぎりぎり耐えていて、限界を超えると一気に変化が進む。
過去 20 年、日本は公的医療保険にかける費用を出し渋ってきた。バブルの頃までは、医療費の伸びを経済成長より低く抑え、2002 年からはマイナスに切り下げた。GDP と医療費を連動させると言っておいて、2005 年の GDP がプラス成長に転じたにもかかわらず、2006 年、医療費を過去最大の下げ幅で引き下げた。
G7 諸国で最低の医療費、OECD 参加 21 カ国中 17 位の低い医療費、先進国で最下位の医師数、病床あたり最低の医療従事者数、WHO の評価で世界一の医療制度と健康保険制度。しかし国民の医療への満足度は低い。望みは限りなく高く、出すものは限りなく少なく、だ。
医療従事者は善意、奉仕の精神で耐えてきたが、ほころびは何年も前から目に付き始め、その限界点をとうとう超えてしまった。
大多数の国民はそれが理解できない。医師をはじめ医療従事者は、ずっと以前からその危機を訴えてきたのに、国民はバッシングを浴びせ続けてくれた。
以下の報道の市井の人々のコメントを見よ。
河北新報 2006.3.18
「身勝手だ」と憤る住民もいる。
ある保育所の女性保育士(51)は「人の命を預かる仕事だから万全の準備をするのは当然」と怒りをあらわにする。別の保育士も「実情を知る医療界が、1人体制の厳しさや危険性を今になって言い出すのはおかしい」と疑問を投げ掛けた。
参考資料
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医療崩壊 / 的外れ資料
Posted by guideboard on 2007/10/08/Mon
東日新聞 2006.3.21
新城市民病院改革委が経営縮小提言 救急受け入れ制限も
新城市民病院改革委員会(委員長・長隆総務省地方公営企業経営アドバイザー)は20日午後4時から、同市民病院で第3回改革委員会を開き、最終報告書を発表した。それによると4月から産婦人科は休診、小児科は外来だけ診療、向こう1年間の救急受け入れ制限—など経営縮小を提言、市民にとっても厳しい内容になった。
しかし、全国でも初めての試みとして、不足する医師確保のためドクターヘリを医師通勤用に運用することを提言、地元医師会との協力体制を確立、院内開業も視野に改革を進めるとの新提案も。
また、経営の透明性を確保して豊橋、豊川、蒲郡市民病院、東栄病院との連携や安定した医療体制確保のため「地域医療システム改革協議会」を速やかに設置し、東三河北部医療圏の基幹病院としての役割を再構築する—とした。
医師の確保では、通勤用ヘリ利用で年間7000万円弱の予算を使うが、それほど医師確保がひっ迫していることをPRする意味もある。院内体制では「日本一働きやすい病院」を目指して改革を行う—など。
長委員長は「各自治体病院も同様に苦しんでおり、医師通勤用ヘリ導入は政府に窮状を知ってもらうのも狙い。これは、医師のアクセス改善になり、周辺公立病院にとっても不足する医師を確保できる」と全国初の試みを積極的に検討してほしいと強く要望した。
(2006-03-21)
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週刊新潮 2006.3.23 p. 72 – 73
あとの祭り 連載 93
渡辺淳一
データだけ見て患者を診ない
さる二月、埼玉県に住む女性が、医師の手違いで、甲状腺を摘出されるという事件が起きた。
いったい、どうしてこんなことがおきたのか、以下、理由をおってみると。
甲状腺を取り違える
この事件の舞台は、埼玉県毛呂山町にある埼玉医大病院。
ここにAさん(六十九歳)が昨年十二月、甲状腺機能低下で、甲状腺の細胞を調べる検査を受けた。
ところが同じ日に、甲状腺ガンの患者さんのBさん(七十歳)も検査を受けた。
そこで、検査技師が二人の検体を取り違えたまま、名前のラベルを貼ってしまった。
おかげでAさんはガンと診断され、二月に甲状腺を摘出する手術を受けたが、ガンは確認できず、取り違えが判明したという。
ミスに気付いた病院側は、副院長らがAさんを訪問して謝罪し、医療事故報告書を提出したという。
さらに横手病院長は、「患者さんとご家族に多大な肉体的、精神的苦痛を与えたことを深くお詫びします」とのコメントを発表した。
まったくそのとおり。なんでもない甲状腺を誤って摘出された患者さんの苦痛は、いかばかりか。
これに対して、「深くお詫びする」のありきたりな言葉だけでいいのか。
患者さん側の出方にもよるが、金銭的な賠償も考えるぺきではないか。
さらに、病院側は今後、このようなミスを絶対おこさぬよう、対策を講じるのは当然だが、はたして取りかかっているのか。
そのあたりを含めて、県や医療事故調査委員会は、徹底的に調べるべきである。
検査は大丈夫か
それにしても、このような事故はなぜおこるのか。
この場合、第一に考えられるのが、検査技師によるうっかりミスである。
本来のガンの検体のほうに「異常なし」 のラベルを、そしてなんでもない人のほうに「ガン細胞あり」 のラベルを ……
むろんそこに悪意があったとは思われないが、考えてみると怖い。
鼻歌まじりではなかったにせよ、緊張感のないまま軽い気持ちでいつものように貼りつけた。
それが、Aさんの運命を根底から変えることになってしまった。いやAさんだけでなく、Bさんの運命も変えたかもしれない。
医療事故というと、普通、医師のミスと考えるが、医師の背後には多くの檎査技師がいる。この技師の技術と判断が、患者さんの運命を握っている。
このことはあまり知られていないが、医師は検査技師からのデータを見て病名をつけ、治療方針を決めていくのである。その基本となるところが狂っていては、その先すべてが狂うことになる。
大きな病院では毎日、何百件、何千件という検体が検査されている。それはガン細胞の病理的な診断から、血液型の判定まで、まさに千差万別。
これらがすべて正確におこなわれて、さらに判定された結果がすべて正しく分けられ、ラベリングされているのか。
そのなかには乳ガンや子宮ガンの検査結果もあるかもしれない。それらがもし取り違えられたら、と思うと、怖くて病院に行けなくなる人もでてくるかもしれない。
訴訟が怖い?
今回の事件は表面だけみると、柏査技師の誤りのようである。
それを受けて、間違った検査結果が送られてきたら俺たちはそれに従うよりないではないか、とうそぶく医師もいるかもしれない。
しかし医師も責任を逃れることはできない。
なぜなら、医師は職務上、検査技師の上に位置しているからである。技師が間違ったとしても、医師はそこを統括し、監督する責任がある。
さらに、医師なら検査結果だけでなく、その患者の全身情報を熟知し、そこから判断するぺきである。
今回の事件についても、たとえ「ガン」という棉査結果がでても、まわりの状態やこれまでの検査データなどから、「本当なのか」と疑うことはできたはずである。
どうしてこんなに一気にガン細胞が増えたのか。注意深い医師なら考え、検査結果について、逆に技師に尋ねたかもしれない。
察するところ、この外科医は検査結果だけを鵜呑みにして、あっさり手術に踏み切ったのだろう。
いわゆる、最近はやりのデータばかり見て患者を診ない、データ医師だったのかもしれない。
しかし、医師の基本はまず、人を診ることである。患者さんを自分の目で診て、自分の言葉で話し、これまでの、そして現在の患者さんの様子をいろいろな点から分析する。
そのうえで、さまざまな検査データを重ねて、最後に総合的に判断する。
それさえしていれば、こんな誤りは犯さなかったはずである。
最近、外科系にすすむ医師が減りつつある、といわれている。その理由は、なにかというと訴訟をおこされ、面倒なことに巻き込まれるから、だとか。
なにを、つまらぬことをいっているのか。
訴訟が怖いという以前に、そういう問題を引き起こさぬ医師になるぺきではないか。内科なら訴訟沙汰にならないということは、内科なら間違っても隠せる、というわけか。
医学教育も、根本から改めるときにきているようである。
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医療崩壊 / 的外れ
Posted by guideboard on 2007/10/08/Mon
本記事の原典は、2006 年 3 月 21 日、http://sword.txt-nifty.com/guideboard/2006/03/_2_3929.html にアップされた。原典は削除された。
キーワード
医師不足、医師確保、医療事故、過失、刑事、訴追、逮捕、起訴
勘違いな事例二つを紹介する。何が勘違いか、分からない方はもっと勉強して欲しい。
東日新聞 2006.3.21
新城市民病院改革委が経営縮小提言 救急受け入れ制限も
「全国でも初めての試みとして、不足する医師確保のためドクターヘリを医師通勤用に運用することを提言 …..
医師の確保では、通勤用ヘリ利用で年間7000万円弱の予算を使うが、それほど医師確保がひっ迫していることをPRする意味もある。」
医師のヘリ通勤とは、深夜にオンコール医師を呼び出すのにヘリを使うのか。毎朝毎夕、ヘリで医師が通勤するのか。論評以前の、なんとも表現のしようがないものだ。
7,000 万円の年間予算を医師の人件費に使えば、3 – 4 人の中堅医師が雇える事に気がついているのだろうが、なぜ素直に医師をこれだけの予算で雇います、と言えないのか。
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臨床経験を積んだ医師でありかつ大作家、大学病院の医療の問題点を肌で感じて知っている渡辺淳一氏ですら、これである。私は作家渡辺淳一氏が嫌いではないが、このコラムだけは頂けない。
週刊新潮 2006.3.23 あとの祭り 連載 93
渡辺淳一 データだけ見て患者を診ない
「察するところ、この外科医は検査結果だけを鵜呑みにして、あっさり手術に踏み切ったのだろう。」
簡単に言ってくれるが、全身所見を見、検査所見を見、画像所見を見、その上で癌を疑えばこその細胞診である。初診で何もせずにいきなり細胞診をする訳ではない。本事件の調査をしっかりやって再発防止策へたどり着いて、はじめて本件外科医が不注意だったかどうかも論じることができよう。そんなに簡単にこの外科医を不注意と言えるのか。
ちなみに渡辺淳一医師は整形外科医だった。甲状腺癌を語るには、慎重にして頂きたい。
「訴訟が怖いという以前に、そういう問題を引き起こさぬ医師になるぺきではないか。」
今は、渡辺淳一医師が和田心臓移植を目にしたときとは時代が変わっている。民事のみならず刑事訴追が日常ありふれたものになってきている。訴訟は日本中の医師の足許に迫っている。
さらに、システムの安全を設計する、という観点が抜け落ちた論評である。
もう一つ、事故を起こさない医師を養成せよ、とは不可能ではないか。
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注記
渡辺淳一医師が札幌医科大学整形外科学講座講師であった時、札幌医科大学で和田外科教授による本邦初の ( 疑惑の ) 心臓移植が行われた。
参考資料
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国民皆保険 18 / 理想的な日本の保険制度資料
Posted by guideboard on 2007/10/08/Mon
神戸新聞 Web News くらしあんしん 2003.6.30
http://www.kobe-np.co.jp/kurashi/kaigo208.html
医療分野の規制緩和 石原・愛媛大教授に聞く
2003/06/30
「アメリカに倣い、競争原理の導入を」—。株式会社の病院参入や混合診療の解禁など、医療分野の規制緩和をめぐり、よく米国の例が引き合いに出される。アメリカの医療は日本のお手本になるのか。海外の事情に詳しい愛媛大学医学部の石原謙教授に聞いた。(竹内 章)
理想的な日本の保険制度/「抑制」より公費投入を
世界保健機関が治療費の平等性や施設面で各国の医療を調べたところ、日本は一位、アメリカは十五位(二〇〇〇年)。
「日本のように国民全体を対象にした公的な医療保障制度がないアメリカは、民間保険が中心。このシステムでは、保険会社が指定する医療機関以外を受診した場合、保険は適用されない」
米国医療の影の部分を切り取った映画「ジョンQ/最後の決断」(二〇〇二年・米)。加入した民間保険が安いため、わが子が移植手術を受けられない現実に直面する父親が描かれる。
「米国の民間保険は数百種類もあり、安い保険だと医師を選べないなど、医療サービスに制約がかかる。医療は社会保障ではなく、有料の民間サービスという解釈だ」
正常分娩(ぶんべん)を例にとると、日本では一週間ほど入院して三十—四十万円ほど。アメリカは百五十万円もかかり、普通の保険では出産翌日には退院しなければならない。
イギリスは家庭医(登録医)という制度をもつ。患者は初期医療を担う家庭医をあらかじめ登録し、登録医以外の診察は全額自費。専門医を紹介されても数カ月待ちという状況が社会問題になっている。
「待たずに専門医の診断を受けられるのは交通事故など緊急時のみ。自国での医療を嫌ってフランスで治療を受ける人も珍しくない。健康保険証があれば、誰でも、どこでも、何の制限もなく受診できる日本は、他国から見たら理想的といえるのだが」
三十兆円に上る国民医療費。この額をどうみるか。公的年金は四十兆円、建設投資額、いわゆる公共事業費は五十兆円。
「先進国の中で公共事業が社会保障より多いのは日本だけ。日本の公共事業費は米独仏などサミットG7の他の六カ国の合計額よりも多い。規制緩和派が唱える医療費亡国論は誤り」
日本では医療ミスが起きると、個人の資質に置き換えられがち。だが一方で、日本の医師はアメリカの医師の約八倍の外来患者を診察しているという過酷な数字がある。
「日本の医療現場は慢性的な人手不足で、これが『三時間待ちの三分診察』といった批判を呼んでいる。株式会社参入などの規制緩和は決して医療の質を高めはしない。取り組まねばならないのは、医療費抑制をやめ公費投入を増やすことだ」
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国民皆保険 18 / 理想的な日本の保険制度
Posted by guideboard on 2007/10/08/Mon
本記事の原典は、2006 年 10 月 27 日、http://sword.txt-nifty.com/guideboard/2006/10/post_84d7.html にアップされた。原典は削除された。
キーワード
国民皆保険、公的医療保険、健康保険、国民医療費、医療費亡国論
2003 年に石原謙愛媛大学医学部教授が神戸新聞のインタビューに答えた記事を発掘した。
このときよりさらに以前から、二木立、李啓充両先生をはじめ、日本医師会も、名もなき多くの医師たちも、警告を発して来た。著名な方はマスコミ上で、そうでないその他大勢の医師たちはウェブ上で、発言してきた。それを黙殺したのは、最近では小泉政権と、それを支持した大多数の日本人だ。
今さら医療崩壊などというな、医師は何もして来なかったではないか。そういう意見が目につくようになってきた。しかし、自分の無知を棚に上げ、人を非難していればよいのだろうか。
医療制度研究会 このままでいいの?日本の医療 ≫ 医療,医療制度,医療事故,改革 http://www008.upp.so-net.ne.jp/isei/top2.html
医療政策を考える会 http://www.orth.or.jp/seisaku/
神戸新聞 Web News くらしあんしん 2003.6.30
http://www.kobe-np.co.jp/kurashi/kaigo208.html
医療分野の規制緩和 石原・愛媛大教授に聞く
2003/06/30
「アメリカに倣い、競争原理の導入を」—。株式会社の病院参入や混合診療の解禁など、医療分野の規制緩和をめぐり、よく米国の例が引き合いに出される。アメリカの医療は日本のお手本になるのか。海外の事情に詳しい愛媛大学医学部の石原謙教授に聞いた。(竹内 章)
理想的な日本の保険制度/「抑制」より公費投入を
世界保健機関が治療費の平等性や施設面で各国の医療を調べたところ、日本は一位、アメリカは十五位(二〇〇〇年)。
「日本のように国民全体を対象にした公的な医療保障制度がないアメリカは、民間保険が中心。このシステムでは、保険会社が指定する医療機関以外を受診した場合、保険は適用されない」
米国医療の影の部分を切り取った映画「ジョンQ/最後の決断」(二〇〇二年・米)。加入した民間保険が安いため、わが子が移植手術を受けられない現実に直面する父親が描かれる。
参考資料
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国民皆保険 17 / 政府と製薬会社の癒着資料
Posted by guideboard on 2007/10/08/Mon
毎日新聞 2006.9.3
医薬品機構:製薬企業OB9人を雇用 新薬の審査部門に
医薬品の安全性などを審査し、厚生労働省に新薬として承認すべきかどうか通知する独立行政法人「医薬品医療機器総合機構」(東京都千代田区)が04年4月の設立以降、製薬企業8社のOB9人を雇用していたことが分かった。企業で開発部門に携わっていた人物を審査部門に配属するなど、いずれも企業在職時と関係の深い業務に就いている。専門性の高さや人員不足などを理由とする例外規定に基づく措置だが、専門家からは生命にかかわる公的業務の中立性を不安視する声が上がっている。
◇公的業務の「中立性」に不安も
新薬審査は薬事法上、厚労相が最終決定権を持つが、「承認して差し支えない」とする機構の判断が覆された事例は04、05年度で一件もない。薬害エイズ事件後の39人の天下りが発覚した厚労省に続き、強大な審査権限を持つ機構も業界と結びつきを強めている実態が浮かんだ。
9人は05年3月〜今年1月、公募方式で採用された。2社から各2人、残る6社から各1人ずつ雇用されている(うち1人は2社に在籍)。機構就職後は医薬品の安全審査や、工場への現地調査により申請書通りの製造工程が守られているかなどをチェックする品質管理業務を担当している。
機構は9人を採用した事実や出身企業名などは明らかにしたが、氏名や肩書(企業時代も含む)、具体的な業務内容など詳細は一切公表していない。
民間からの採用については機構の設置法などで(1)製薬企業の現職役員の場合、機構役員への登用は禁止(2)採用前5年間、企業で医薬品の研究・開発に携わっていた場合、機構就職後2年間は医薬品の承認審査業務に関与できない−−などの制限がある。
9人は雇用後すぐ企業時代の担務と密接な関係のある部署に配置されており、(2)の規定に反する。しかし「治験データの分析・評価、医薬品・医療機器の工程検査の分野で、かつ他職員とともに業務に当たる場合に限り関与を認める」とする機構の例外規定により採用された。規定は「専門知識が必要なため人員確保が困難」などを理由に定められたという。
機構設立前は、一部の文書チェックなどを除く審査に関する全業務を厚労省や国立研究所に所属する国家公務員が担当していた。このため、機構の設置法を審議した02年の国会で、健康・生命に関する重要な業務を切り離す点に批判が集まったが、政府・与党側が「厚労相が最終決定権を握ることに変更はない」として押し切った経緯がある。
坂口力厚労相(当時)は機構設立前の02年12月、薬害被害者と面談し「優秀な人の場合どうするかなど個々のケースもあるが、原則的に言えば完全に(民間と)分離をしたい」と企業OBの採用に慎重な姿勢を見せていた。
【小林直、堀文彦】
▽医薬品医療機器総合機構・業務調整課の話 採用は適正な手続きに基づいており、9人は(外部の識者らで作る)運営評議会にも報告している。OB採用で審査が甘くなることはない。
【医薬品医療機器総合機構】
特殊法人改革の一環として、新薬を審査する「国立医薬品食品衛生研究所・審査センター」、被害者救済事業を行う「医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構(認可法人)」などを統合し、04年4月に発足した。審査対象は医薬品だけでなく医療機器にも及び、販売後の副作用情報収集なども行う。4月現在の役職員数は319人。
◇「企業寄り」懸念
医薬品問題に詳しい新横浜ソーワクリニック院長の別府宏国医師の話 「人員確保が困難」との理由も理解できなくはないが、多くの製薬企業OBを採用している現状では、審査が企業寄りにならないか疑念が生じる。OBがどの企業の、どの医薬品の審査にかかわったかなど情報を開示しない限り、適正さがチェックできず不透明さが残る。
◇情報開示姿勢に疑問
企業OBを採用しながら、業務内容などの情報開示を拒む「医薬品医療機器総合機構」の姿勢は、安全審査の中立性をチェックする手段を市民の手から奪うものだ。だれが、どの薬の審査に、どのように関与したかなど、最低限の情報が、一般はおろか内部チェック機関の運営評議会にさえ報告されていない現状は、機構の公益性に照らせば、あまりに不十分だ。
機構の規則によれば、「古巣」と密接に関連する担当部署に配属されたOBは、別の機構職員と合同で職務に当たる。一見、癒着は防げる配慮がなされているようだが、問題は、その「密接かどうか」を判断するのが機構自身であることだ。外部は「きちんとやっている」という機構の説明をうのみにするしかない。
機構の設置法案の骨子も定まっていない02年8月、厚生労働省は製薬企業に「02年度の職員数は約240人。05年度は約370人に強化」など全容を文書で示した。同時期に説明を受けた被害者団体には明らかにされず「企業寄り」と非難を浴び、設置法成立時「業務内容を積極的に公表し、組織や運営状況を国民に明らかにする」との付帯決議までなされている。機構は原点に立ち返り、積極的な情報開示を心掛けるべきだ。
薬害エイズなど過去の悲惨な被害の背景には、官民の癒着が横たわっていた。「受益者負担の原則」により、機構は製薬企業など延べ7891社から約91億円(04、05年度)もの拠出金を受領している。カネに加え、人まで企業頼みの現状は独立性に大きな問題があり、できるだけ早期に企業OBの採用を中止すべきだろう。
【堀文彦】
毎日新聞 2006年9月3日 3時00分
—–
毎日新聞 2006.9.5
医薬品機構:企業OB雇用さらに5人 評議会に報告せず
医薬品審査などを行う独立行政法人「医薬品医療機器総合機構」による企業OBの採用問題で、同機構が04年4月の設立以降、営利企業から、さらに5人のOBを雇用していたことが分かった。既に判明していた9人については、雇用の事実を外部の識者らで組織する「運営評議会」に報告していたが、新たに判明した5人は「民間時代と関係の無い仕事に就いている」として未報告のままだった。安全審査に強大な権限を持つ機構の不透明な運用ぶりが一層鮮明になった。
機構は、直近5年間に企業で研究開発を行った人物の場合、採用後2年間、新薬審査業務などへの関与を禁じている。新たに判明した5人について、機構は取材に対し「この規定に禁じられていない雇用」とだけ説明。出身企業の業種など、人数以外の一切の情報を明らかにしていない。
既に判明していた9人を運営評議会に報告していたのは、一定の分野で同僚とともに勤務するなど、特定の条件を満たせば、規定に反する就業を許可する代わりに、運営評議会への報告を義務づける例外規定があるため。これについても、どの企業の、どの医薬品を審査したかを伏せるなど、不十分な情報しか伝えていなかったことが既に明らかになっている。
毎日新聞の取材で初めて5人の存在を知った運営評議会メンバーで、全国薬害被害者団体連絡協議会代表世話人の花井十伍さん(44)は「驚いた。なぜ報告しなかったか機構に指摘していく」と話した。
【小林直、堀文彦】
▽医薬品医療機器総合機構・業務調整課の話 5人は規定に基づき適切に配置されており、問題はないと考えている。
◆ぜい弱なファイアーウオール
新たに5人の企業OBが雇用されていた実態は、企業とその製品を審査する「医薬品医療機器総合機構」との間に必要なファイアーウオール(業務の隔壁)が、ぜい弱であることを改めて印象づけた。内部チェック機関の運営評議会にさえ未報告だったという点は、9人の雇用よりも事態がさらに深刻で、早急に全雇用を報告するシステムに変更すべきだ。
「9人」と「5人」で報告、未報告が分かれたのは、前職と密接に関連する就労の場合にのみ報告義務が生じる内部規定によるものだ。「密接」かどうかの判断は機構に委ねられ、5人はノーチェックのままの、言わば“極秘雇用”となった。こうした事態を防止するため、雇用してから評議会に報告する現行システムを改め、評議会の承諾を得てから採用する方式に変更すべきだろう。
【堀文彦】
毎日新聞 2006年9月5日 15時00分
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国民皆保険 17 / 政府と製薬会社の癒着
Posted by guideboard on 2007/10/08/Mon
本記事の原典は、2006 年 9 月 3 日、http://sword.txt-nifty.com/guideboard/2006/09/post_44d4.html にアップされた。原典は削除された。
キーワード
政府、厚生労働省、医薬品医療機器総合機構、医薬品機構、産業界、財界、製薬会社、癒着
力のある製薬会社の思い通りになりはしないか。
もともと、厚生労働省に、米国の FDA の様な人材、予算、権限を持った組織がなく、政府と製薬会社の癒着のなすがままの薬事行政なのではないだろうか。
これまでの天下り役人、政治献金といったチャンネルだけでなく、こういう交流も産まれていたのだ。
毎日新聞 2006.9.3
医薬品機構:製薬企業OB9人を雇用 新薬の審査部門に
医薬品の安全性などを審査し、厚生労働省に新薬として承認すべきかどうか通知する独立行政法人「医薬品医療機器総合機構」(東京都千代田区)が04年4月の設立以降、製薬企業8社のOB9人を雇用していたことが分かった。企業で開発部門に携わっていた人物を審査部門に配属するなど、いずれも企業在職時と関係の深い業務に就いている。
記者の心配は、薬害エイズ問題のような、センセーショナルなことにしか目が向いていないようだが。
力のある会社の新薬が、早く承認され、高く売れるだろう。
今ある薬に新しい効能効果を認めるかどうか、それも製薬会社の力次第となる。
古くからある優れた薬、しかし製薬会社の力がないばかりに製造できなくなる薬が出てくるだろう。
———-
メソトレキセートという抗癌剤がある。それを極少量を使うことで関節リウマチに対する、最近までは、最も効果が高く、安価な治療薬だった。製造はワイス、販売は武田だ。しかし日本では、効能効果として関節リウマチは認められていなかった。価格が安過ぎて、それ単独の臨床試験をし直して効能効果の追加ができなかったとも聞いているし、メソトレキセートにちょっとコーティングを施しただけの薬に 9 倍以上の値段をつけて、新薬承認を取って売り出すことにしたとも聞いている ( メソトレキセート錠 2.5mg 47.7 円、リウマトレックス錠 2mg 355.5 円、2006 年 4 月現在の健康保険収載薬価 )。
政府と製薬会社が仲良くしても、国民にとってよいことは少ない様だ。
参考資料
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国民皆保険 16 / 明細付き領収書 2 資料
Posted by guideboard on 2007/10/08/Mon
毎日新聞 2006.12.1
2割が領収証に不備 18機関は総額表示のみ 山口県内医療機関調査
県内医療機関調査:2割が領収証に不備 18機関は総額表示のみ /山口
県内の保険医療機関の約2割が患者への領収証に不備があることが総務省山口行政評価事務所の調べで分かった。30日、同事務所が調査結果を明らかにした。
改正厚生労働省令(4月施行)で適正な領収証の交付が義務付けられたことから、8月-11月末、県内2809機関から無作為に選んだ424機関(病院、医歯科診療所、保険薬局、指定訪問看護事業者)を対象に調べた。その結果、18機関が総額表示だけで明細が無く、54機関が詳細に記載しないなど全体の17%が不備のまま領収証を渡していた。
評価事務所は30日、監督する立場にある山口社会保険事務局に対し指導の徹底を要請した。
評価事務所は「『患者がいらないと言った』と説明する所もあり、改正省令への認識は十分ではない」と指摘している。
広島や鳥取でも同様の調査を行っており、広島21・2%、鳥取24・3%の機関で不備がみられたという。
【長谷川隆】
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国民皆保険 16 / 明細付き領収書 2
Posted by guideboard on 2007/10/08/Mon
本記事の原典は、2006 年 12 月 4 日、http://sword.txt-nifty.com/guideboard/2006/12/_2_a907.html にアップされた。原典は削除された。
キーワード
健康保険、医療費、明細、領収書
健康保険診療における明細書付き医療費領収書をネタに、また攻撃である。小ネタだが、じわじわと責める手を緩めない。
明細書付き領収書の負の部分と不合理、法的な問題点は過去に指摘した。
2006 年 4 月から制度化され、10 月までが制度移行期間だった。その移行が完了する前に、不備があると攻撃する。
診療に必要なコストとマンパワーを削って紙切れに費やしているのに、それをも叩くネタにする。
毎日新聞 2006.12.1
2割が領収証に不備 18機関は総額表示のみ 山口県内医療機関調査
県内の保険医療機関の約2割が患者への領収証に不備があることが総務省山口行政評価事務所の調べで分かった。30日、同事務所が調査結果を明らかにした。
改正厚生労働省令(4月施行)で適正な領収証の交付が義務付けられたことから、8月-11月末、県内2809機関から無作為に選んだ424機関(病院、医歯科診療所、保険薬局、指定訪問看護事業者)を対象に調べた。その結果、18機関が総額表示だけで明細が無く、54機関が詳細に記載しないなど全体の17%が不備のまま領収証を渡していた。
マスコミにとって、医療とは、叩けば叩くほど旨味があるかのようだ。
参考資料
コメント
とりあえず、まず先に政治家の歳費とか、政治資金とか、そういうお金の明細をきちんと公開すべきでしょうね。
で、余計な事務的な事に医者が時間を取られて、厚労省の役人とか天下り先の人達は、仕事が増える、と。
投稿 Dr. I | 2006/12/04 23:11:10
Dr. I 先生
こんにちは
医療費明細書は、厚労省、財界 ( = 保険者 )、労組が一体となった医療の現場への攻撃で、得をするのは彼ら。患者さんには、ほとんど何のメリットも生まないものだと思います。
投稿 道標主人 | 2006/12/05 9:37:28
>>道標主人さん
最近、更新がないのはお忙しいからなのか、お体の具合でもお悪いのか...
密かに心配しておりますです。
投稿 元田舎医 | 2006/12/10 16:26:00
そうだ、申し遅れました。
諸処でお世話になっております元田舎医の「元田舎医」です。
こちらへは初めてコメントさせていただきます。
鋭い評論によって常々私の蒙を啓いてくださり、なおかつ貴重な資料庫として活用させていただき、感謝しきりであります。
今後ともなにとぞよろしくお願い申し上げます。
投稿 元田舎医 | 2006/12/10 16:36:16
元田舎医先生
お返事遅れまして申し訳ありません。お気遣いまことに有り難うございます。
おかげさまで元気にしておりますが、多忙にしておりますゆえに、更新ができずに止まってしまっています。
投稿 道標主人 | 2006/12/14 18:10:33
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国民皆保険 15 / 老人定額資料
Posted by guideboard on 2007/10/08/Mon
北國新聞 ( 共同通信 FLASH 24 ) 2006.9.10
病状に応じて定額に 75歳以上の患者負担
2008年4月導入の75歳以上を対象とした新高齢者医療制度で厚生労働省は9日、医師らに支払う診療報酬について、病気の種類や治療方法ごとに額を定める「包括払い」制度を導入する方針を固めた。これに伴い、患者の医療費の自己負担も各自の病状に応じて定額となる。
検査や診療を重ねるたびに報酬が増える現行の出来高払い制度は、医療費の無駄遣いを招きやすいとされており、高齢化が一段と進む中、包括払い導入で増え続ける高齢者医療費を抑制し、併せて患者負担の軽減を図る狙い。
早ければ来月にも社会保障審議会に特別部会を設け、専門家らによる議論を始めたい考え。ただ医師の収入も抑制されることになるため、日本医師会などの反対が予想され、結論が出るまでには曲折も予想される。
———-
毎日新聞 2006.10.5
診療報酬:75歳以上に「定額制」厚労省が検討へ
厚生労働省は75歳以上の人の診療報酬(治療費)について、08年4月から病気の種類や病状に応じた「定額制」とする検討に入った。社会保障審議会に5日、「後期高齢者医療のあり方に関する特別部会」を発足させ、具体案の検討を始める。現行の「出来高制」は医療費増大の要因とされ、定額制が導入されれば医療費の抑制につながるだけでなく、お年寄りの自己負担も減る。ただ、医療機関を適切に評価する制度がない現状では、高齢者医療の切り捨てにつながりかねない危険性もはらんでいる。
出来高制の下では、医師が患者を「薬漬け」にし、収益を上げることも可能。定額制なら過剰診療分は医療機関の出費となり、ムダな治療に歯止めをかける効果はある。同省は「医療費のかかる75歳以上を対象にすれば抑制効果が大きい」と判断した。
具体案は部会で今年度中に詰めるが、厚労省は入院治療について、脳腫瘍(しゅよう)や白内障など個別の病気それぞれに薬剤、検査費まで含めたワンパッケージで価格を設定する考えだ。同じ病気でも投薬量、検査回数など治療の必要度に応じ、複数の定価を設ける。
厚労省は外来や終末期医療への導入も検討しているが、日本医師会は「必要十分な治療ができず、過小診療を招く」と強く反発。小規模診療所まで対象にすれば収入減となる可能性が高く、議論の混乱も予想される。
今年成立した医療制度改革関連法は、75歳以上を対象とした新健康保険創設(08年4月)を盛り込んでいる。同省は、75歳以上の診療報酬も高齢者の特性に応じた独自の体系に再編する必要性を主張していた。
【吉田啓志】
◆出来高制と定額制
現行の診療報酬は、手術、検査など診療行為ごとに点数が決められ、その合計を治療費とする出来高制が基本。医療機関は点数を積み上げるほど収入が増え、過剰診療を誘発すると指摘されている。一方、過剰診療にも決められた価格しか払わないのが定額制で、医療費抑制策の切り札とされる。その半面、差額を浮かすことを狙った過小診療の呼び水となる危険もある。厚労省は06年度、360病院で定額制を試行している。
毎日新聞 2006年10月5日 3時00分
———-
Sankei Web 2006.10.3
【正論】医事評論家・水野肇 間違いだらけの老人医療と介護
■健康寿命を延ばす施策こそ必要
≪現実的には酷な在宅療養≫
「ニコリ・グット」という造語がある。あるシンク・タンクが考案した言葉だそうだが、その意味は「これからの社会はお年寄りが、ニッコリと微笑(ほほえ)んだり、胸にグッときて感動するようなことを展開しなければならない」ということだそうな。
この話を聞いて、私の脳裏をよぎったのは、江戸時代に幕府の圧政に対して、江戸のあちこちに落書された政治批判の川柳、あるいはソ連治下のもとで隆盛をきわめたアネクドートの類だった。この造語の中に、小泉さんの老人への医療対策の不満や、弱い者へのいたわりのなさを表現しているように感じた。
6年近くにわたる小泉前内閣は経済の立て直し、規制緩和を実施するなど、刮目(かつもく)させる業績も残したが、弱肉強食の時代に導入したことも事実である。
とくに弱者といわれる階層への配慮は少なかったといえ、お年寄りは行政的に取り残された感さえある。とくに医療政策の中での老人の扱いは、かなり厳しいもので、高額の自己負担を課されたほか、老人医療そのものへの医療行政的な切り込みも激しく、途方に暮れている人たちも多い。
とくに、事実上の老人の末期医療に近い療養型病床群と呼ばれている医療に厳しい削減の数値が示され、その代替は在宅療養という形にしようとしているが、これは現実的に酷である。というのは、在宅療養は、どうしても家内労働を必要とする。
理屈の上では訪問看護や訪問介護を派遣すればいいということになるのかもしれないが、実際には、そうはいかない。そういった人たちを受け入れるために家内労働を必要とする。かつてのスウェーデンのように、家内労働の部分も、介護を公的にするようにすれば、かえって金がかかる。これは事実上、大変なことである。
≪寿命延びても病気は存在≫
やはり、入院のような形で入る所を確保しなければうまくいかないと思う。とくに、現代のように家庭内の介護力に余裕のない時代であれば、“在宅は安くつく”といった安易な考え方をしてはいけない。
脳血管障害の後遺症のリハビリも配慮が十分でない。多田富雄東大名誉教授が、自身の体験から発表した手記(文芸春秋2001年2月号)のとおりであり、あまりにもお年寄りへのいたわりがない。
それに考えねばならないことは、平均寿命が延びたこと自体は福音だが、よく見てみると、寿命は延びたが、高齢に伴って出てくる多くの疾病は、平均寿命の延びた分だけ遅れて現れるのではなく、個人差はあるにしても、寿命が延びても老化に伴う病気は今までどおりに出てくる。このことは極論すれば、平均寿命が延びることは“病人が死なない”だけのことに過ぎないという見方もできる。
≪生活の質に配慮した策を≫
本当のことを言えば、健康寿命を延ばす施策の推進こそ必要なのである。健康寿命というのは(1)認知症でなく(2)自分のことは自分で処理できる−という条件を何歳まで保つことができるかということで、これは平均寿命の延長より、はるかに有意義である。これを新しい施策として考えるべきである。
75歳以上の老人を別枠にした新しい「老人保険」が誕生することになっている。まだその仕組みは決まっていないが、今までのような小泉流で「老人は応分の負担を」ということが前に出ては、どうにもならないことになる。老人は数字の上では若い人の5倍の医療費を必要とする。だからそれは老人自身で持てというような乱暴なことになれば、老人のクーデターが起きるだろう。
この点は十分に考えないと悔いを千載に残すことになる。それでなくても老人の介護保険の徴収料は鰻登りに上がっている。個人の意見を言わせてもらうと、75歳以上の老人医療は、日本の特徴と言われる出来高払いでない方式を導入せざるを得ないのかもしれない。一考を要する点である。
ここで一言、安倍新内閣に是非言いたいことは、前内閣の考えてきた「政府予算に医療費を多く計上するのは反対だが、患者の自己負担が増えるのは経済の増大になる」という考え方が正しいのかどうかということである。
この考え方が貧富の差を増大させることに基本的につながっているのではないか。そして、老人の医療には、老人のQOL(生活の質)を配慮した施策を展開すべきなのであって、検査結果に一喜一憂するものではない。
(みずの はじめ)
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国民皆保険 15 / 老人定額
Posted by guideboard on 2007/10/08/Mon
本記事の原典は、2006 年 9 月 10 日、http://sword.txt-nifty.com/guideboard/2006/09/_19__c371.html にアップされた。原典は削除された。
キーワード
医療費、抑制、老人医療費、定額、削減
先進国最低の医療費をさらに削って、医療の質や安全の保障はどうするつもりなのだろうか。
その上、この報道には作意が感じられる。医療費イコール医師の収入として、日本医師会を悪者に仕立てようとしている。
医療費のうち、医師のサラリーはほんの一部でしかない。医師以外の医療関係職種、医療の設備、薬や器具、その他様々なものにかかるコストが医療費のほとんどなのだが。
—–
北國新聞 ( 共同通信 FLASH 24 ) 2006.9.10
病状に応じて定額に 75歳以上の患者負担
…..
医師の収入も抑制されることになるため、日本医師会などの反対が予想され、結論が出るまでには曲折も予想される。
参考資料
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» 奪われる日本 トラックバック 大和ごころ。ときどきその他
『拒否できない日本 』の著者、関岡英之氏の最新の新書です。文藝春秋やわしズム、テーミスなどに掲載されたものを中心に新たに書き下ろしも加え出版されました。巻末には今年3月に武道館で行なわれた『皇室の伝統を守る一万人大会 』で話された内容も載っています。郵政民… [続きを読む]
受信: 2006/09/11 9:50:47
» 包括払い制度 トラックバック 健康、病気なし、医者いらず
2008年から、75歳以上を対象に包括払いの制度が 導入されるかもしれませんね。 「包括払い制度」っていうのは、簡単に言うと、風邪なら5000円、 心筋梗塞で入院したら30万円とか、 病気によって値段を決… [続きを読む]
受信: 2006/09/17 17:54:30
コメント
そう言えば社会保障に関しては「質を落とさず給付を下げる努力をする」とも述べられてましたから、先行きは推して知るべしですね。
投稿 Yosyan | 2006/09/10 15:27:43
Yosyan 先生
こんにちは、またはこんばんは
2008 年に向けて、どんどん来るでしょうね。
投稿 道標主人 | 2006/09/10 17:47:52
医師ではない方だと思いますが、以下に理解あるコメントを見つけました。
http://ameblo.jp/shionos/entry-10016862191.html
投稿 道標主人 | 2006/09/10 18:00:34
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国民皆保険 14 / 薬価資料
Posted by guideboard on 2007/10/08/Mon
毎日新聞 2006.9.6
薬価算定基準:毎年改定実施を 厚労省が論点提示
厚生労働省は6日の中央社会保険医療協議会薬価専門部会で、現在2年に1度の薬価(医薬品の公定価格)改定に関し、「改定の頻度を含めた薬価算定基準の在り方について検討すべきだ」と記した論点ペーパーを提示した。薬価を毎年改定し、より市場価格に近い値段に下げることで医療費抑制を目指す意向を正式に示したものだ。
公定薬価は、保険から医療機関に支払われる医薬品の値段。05年の場合、医療機関の仕入れ値である市場価格より8%高かった。
政府は2年に1度薬価を引き下げ、市場価格との差を2%にまで縮めている。しかし、2年に1度では「市場価格はメーカー間競争で大幅に下がっているのに公定価格は高止まりしたまま」というケースも多い。この薬価差を放置すれば保険財政を圧迫するため、毎年格差を是正しようというのが厚労省の考えだ。
同省は6日、より詳細な薬価調査の必要性も併せて示したが、医薬品メーカーなどは強く反発している。
【吉田啓志】
毎日新聞 2006年9月6日 18時01分
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国民皆保険 14 / 薬価
Posted by guideboard on 2007/10/08/Mon
本記事の原典は、2006 年 9 月 6 日、http://sword.txt-nifty.com/guideboard/2006/09/__3f1b.html にアップされた。原典は削除された。
キーワード
医療、健康保険、薬価、薬価差、薬価差益、消費税、損税、ゼロ税率
薬価差が医療機関の儲けになっていたのは過去のこと。今は薬を在庫することが経営を圧迫する。
薬価差は医者の儲け、いまだにこういったことを言う亡霊が医療界のまわりを徘徊している。
消費税導入前 : 薬価 – 仕入れ値 = 薬価差
消費税導入後 : 薬価 – ( 仕入れ値 + 消費税 ) = 薬価差
医療機関が薬を仕入れるときには 5% の消費税がかかっている。公的医療保険において、患者さんに処方する時の公定価格、すなわち薬価には、消費税導入の折、消費税分が上乗せされた薬価が決められたはずだ。
薬価が決められても、メーカー、卸業者、医療機関との間の価格交渉、価格競争といった要因で、次の薬価の決定までの 2 年間に、仕入れ値は少し下がる。
しかし、薬価は 2 年毎に切り下げられ、仕入れ値 + 消費税 > 薬価 となった薬がいくつもある。ほとんどの薬で薬価差と消費税がとんとん。よって薬の在庫、損耗リスクを考えたら、薬価差で儲けるという事態はほとんど無くなって来た。
特に、薬価改定の直前に在庫している薬は、偶数年の 4 月 1 日の薬価改定の途端に、薬価すなわち販売価格が 1 割ないしは大きい場合 3 割程度下げられてしまう。とてつもない在庫リスクがあるわけだ。
医療機関は薬で儲けているのではない。薬はできたら在庫したくない。ところがいまだに亡霊の恨めしそうな言葉が聞こえてくる ….. 「医者は薬価差でぼろ儲けしている」
医療保険財政に占める薬の価格の部分は、少ない方が財政上はよいに決まっている。諸外国を参考に、下げるべきものは下げてよい。しかし、薬価を下げることが、無条件、全面的に善ではない。
毎日新聞 2006.9.6
薬価算定基準:毎年改定実施を 厚労省が論点提示
厚生労働省は6日の中央社会保険医療協議会薬価専門部会で、現在2年に1度の薬価(医薬品の公定価格)改定に関し、「改定の頻度を含めた薬価算定基準の在り方について検討すべきだ」と記した論点ペーパーを提示した。薬価を毎年改定し、より市場価格に近い値段に下げることで医療費抑制を目指す意向を正式に示したものだ。
公定薬価は、保険から医療機関に支払われる医薬品の値段。05年の場合、医療機関の仕入れ値である市場価格より8%高かった。
政府は2年に1度薬価を引き下げ、市場価格との差を2%にまで縮めている。
薬価差と消費税が、今では、医療機関を苦しめている。薬価差を限りなくゼロにする代わりに、次のいずれかをして頂きたい。
・診療報酬にも消費税を課税して、それをゼロ税率にする。
・インボイス制を導入して、消費税分が還付されるようにする。
———-
医療機関における薬の在庫リスクは、医薬分業によって回避できると言われている。政府は、実際そういう政策を採って、医薬分業を推進して来た。医療機関を締め付け、調剤薬局を優遇する政策である。
しかし、現在の日本の医薬分業は、患者さんにとってメリットが少ない。コストと労力がかかるばかりのものの上に、患者さんの医療への理解を妨げるような事例が発生する。
医師の説明と薬剤師の説明に食い違いが生じることは、日常茶飯事だ。薬剤師は薬のプロと言っても、患者さんの精神身体のどういう状態に、この薬がなぜ選ばれ、なぜこの量なのか、個々の患者さんの事例ごとに医師と同等の理解を持ってその患者さんに説明できるわけではない。
医師が患者さんに、疾患のことも薬のこともすべて話し、薬剤師は患者さんにその薬についてすべてを話し、その上で、その薬を用いるか否かを患者さんが自己責任で決定する。究極のインフォームドコンセントと医薬分業の姿だが、それは患者さんに福音をもたらすものだろうか。そこまでの労力に見合うコストを日本人は払っていないし、日本人が長年、村社会で培って来た曖昧さという生きる術は、そういう医療の姿を受け入れることはできないだろう。
—–
ヨーロッパの医薬分業は、古来、王侯貴族が、薬を処方する者と調剤する者が同じだと毒殺の危険性が高くなるという理由で、医師と薬剤師を分けて、それぞれを召し抱えたのが始まりだという。
( 1240 年ごろ、神聖ローマ帝国皇帝フリードリヒ 2 世の頃が起源といわれている )
日本の医薬分業の起源は異なるようだ。日本では、医師も昔は “くすし” と呼ばれ、医師と薬剤師は、一体のものだった。明治になって新しい医療制度となり、医師と薬剤師が分けられたとき、薬剤師はかつてのような医師としての役割を失った。薬剤師の団体からは医薬分業を求める運動が起こった。これは分業と同時に、医師から独立して薬を扱いたい、かつての ” くすし ” に戻りたい、というような願望であっただろう。
戦前から細々とあった医薬分業は、20 世紀の最後になって、医薬分業政策とともに飛躍的に発展したが、それは医療費抑制政策の一環でもあった。しかし、調剤薬局にかかる医療費は爆発的に増加し、医療費総額を押し上げる一因にもなった。
” くすし ” への憧憬、それは今でも薬剤師やその団体が発するコメントの端々に現れているのを目にすることができる。
医薬分業のあるべき姿とは、どういうものだろう。アメリカにも、ヨーロッパにも、モデルはあるが、そのまま日本に導入できるものではないようだ。
参考資料
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国民皆保険 13 / 不正資料 6
Posted by guideboard on 2007/10/08/Mon
会計検査院の資料
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第4号
社会保障で日本は沈まない 飯塚 正史
飯塚 正史(会計検査院事務総長官房総務課総括副長)
1952年生まれ。77年会計検査院へ,建設省・農林水産省・労働省・文部省・厚生省の各検査課を経て,現職。
I はじめに
昨年のことである。国民医療費が平成二年度の推計で20兆円を超えたという報道があったとき,早速大手出版社系の週刊誌Sに大きく取り上げられ,「医療費亡国は確実に近づきつつある」と喧伝された。
それからしばらくしてある雑誌に帝京大学の江見康一教授が,「社会保障で日本は沈むか」と題してS誌の記事を取り上げ論評を加えておられる。
私はこれらの記事や論評を読んで,週刊誌にはその結論において,江見教授の論文には,医療費問題に対するアプローチの方法において,それぞれ首肯しがたいという感想をもった。以下,この点について述べてみたい。断わるまでもないが,これは私個人の全くの私見である。
私は会計検査院において4年間,医療費の検査を担当した。その間全国各地の病院が提出した医療費の請求書およびその明細書(明細書とは患者毎,月毎に作られた医療費の請求書の内訳であり,これをレセプトという。)に基づいて検査を実施した。私が検査した病院数はのべで約2,400にもなる。現在日本国内には約1万の病院があるから全国でおよそ4分の1の病院の請求について調査したことになる。これを,レセプトの枚数にすると一つの病院について少なくとも100〜200枚のレセプトを調査したから全部で約30万枚ぐらいのレセプトを見たことになる。おそらく霞が関の役人の中で,私は誰よりもレセプトを見ているといえると思う。以下に記すのは,この全国の4分の1に当たる医療機関の医療費の請求の実態を実際に見た者として,その体験に基づく意見である。
従来からの日本の医療費問題の論じ方をみると,大事な視点が欠落しているように思われる。それは,医療機関に対して現在支払われている20兆円という医療費の内訳について,現状を踏まえた内容分析が欠けているという点である。
一口に20兆円の医療費と言っても,
(1) いったい医療の中のどの部分にいくらかかっているのか?診察料はいくらなのか,投薬料は,検査料は,手術料は,看護料は,……13の診療報州の種類毎に見るとそれぞれいくらなのか?
(2) 次に仮に診察料として何百億円支払っているとして,では翻って考えてそれらは本当に全額支払ってもよいものだったのであろうか?つまり,診察料の支払いの対象となった各医療機関の行為は,実際のところは,本当に診察料として支出に値するものと,そうでないものと,あるいはその中間的なものとに分かれるのではないだろうか? もしも分かれるとして,それらは具体的にはどういう態様のものなのか? そして診察料として支出に値しない部分を除くと支出に値する正しい診察料というのは一体いくらになるのか?
(3) 投薬料,検査料,看護料,処置料,運動療法料,……あるいは現金給付としての付添看護料等においても,上記2)と同様に実際になされているそれぞれの行為の種類を分析するとどうなのか? 負担すべき範囲は実際にはどこからどこまでであるべきなのか?
このような観点からの「医療費の内容に関する分析」が従来ほとんどなされていなかったのである。
こういった費用に関する内容分析が欠けていることについては,公共事業費と医療費の取扱いの相違を比較すればより明白なものとなる。西暦2000年までに公共事業費として430兆円を投資するという計画の時の事業費の内訳としては,下水道事業費,住宅・教育施設等建設費,空港・港湾建設費等に分類されており,これらが実際に投資された場合は,担当する省庁も検査院も各工事費毎の内訳にまで遡った検討をし,それを積み上げるのである。たとえば個々に支払われた住宅建設費について,その計画,設計,積算,施工の当否という多方面からの検証が多数の機関の総意によって行われているのと比べて,診察料とか投薬料とかいうような診療報酬の個々の部分に対して今まで
